あれから2年の月日が流れた。
1998年
忘れたくても、忘れられない最悪の瞬間は
一歩、また一歩と迫ってきていた
「なぁクリス。こんな話知ってるか?」
とあるいかれた構造の警察オフィスにて
スラッとした長身が特徴的で、まったくゴリラに見えない青年であるクリス・レッドフィールドは、煙草の一服中に同僚のバリー・バートンの噂話に付き合っていた。
「なんだバリー?また娘の自慢話か?」
「ふっ、違うよ。まぁモイラとポリーが自慢の娘なのは確かだがな」
そう言って机の上に置かれた家族の写真を眺めるバリー。
クリスは慌てて続きを促す。
このままではまた耳だこになっている娘の話を聞かされてしまう。
「バリー!娘の話じゃないんなら、どんな話なんだ?」
「ん?おお!そうだった、最近町で噂の天才少年についての話をしようと思っていたんだった!」
そう言って語り始めたバリーが言うには
数年前にこのラクーンシティに引っ越してきた一家について、
とりわけその一人息子についての話だった。
なんでもその子供は異常なまでの天才少年らしく
様々な分野でその実力を示しているが、とりわけ機械分野…ロボット工学について
並外れた技術力を示しているらしい。
あまりに並外れた技術だったらしく、最近外国の大手企業や某航空宇宙局からも接触があったほどだったとか
「へぇー、この町にそんな天才少年がいたとはねー」
「あぁ、この前うちの署内に導入された自動掃除機も彼の開発らしいぞ。あれは試作品をケネスが無理言って貰ってきたやつらしい」
「あー!あのル〇バとかいうやつか!あれ便利だよな!」
「ケネスは実家が近かったらしくてな、息子さんを連れて遊びに行ったみたいなんだ」
バリーが言うにはそこでケネス達が見せられたのは現在の技術レベルを大きく突き放したとんでもないロボットたちだったという。
犬のような挙動で歩く4足歩行ロボット
この署内に設置された自動掃除機
災害時に崩れた瓦礫の間などから建物に侵入するためのレスキューロボット
はてには機械で作られた義手義足など
「ケネスのやつ。それはもうその子の技術に惚れ込んだみたいでな。何かロボットを売ってくれと頼み込んだみたいなんだ」
「おいおい、子供相手に何やってんだよケネスのやつ」
「ふふふ、まぁ許してやれ。その天才少年君も悪い気はしてなかったらしくてな。あっさりとこの自動掃除機をくれたらしい」
「ふーむ、まぁいいか。で、その天才少年はなんて名前なんだ?」
「あぁ、彼の名前はリーシュ・バスクード。まだ12歳だって話だぜ」
「ほおー、こんなすごいロボットをそんな歳でねぇ。俺も興味が出てきたな」
積み上げられた機械でできた歪な柱。
ぶちまけられたかのように床にちらばっているのは、まるでタコの足のように四方に配線を伸ばした剥き出しの基盤
部屋のあちこちには一般家庭にはまずないであろう大きさの箱物の機械が所狭しと並んでいる。
一歩間違えればゴミ屋敷と思われても仕方がないこの部屋の奥には、
今もああでもないこうでもないと唸りながら机に噛り付く部屋の主の姿があった。
どうも皆さん、オリ主です。
今日も今日とてチート能力によるロボット研究開発を進めています。
いやー、やっぱ男として生まれたからにはガンダムの1機や2機持っておかなくちゃね!
という理由でこっちに引っ越してからずっと、ロボット開発ばかりやっています!
…嘘です。工具作りばっかやってました
だって今の店売りのレベルの工具じゃ、満足になんも作れねーんだもん!
最近になってようやくまともな設備を整えることができてきている気がする
まぁ、それでもガンダムとかの大型ロボットを作るのはとてもじゃないが道具のレベルが足りないが...
しかし!それでも1年かけてじっくり道具のレベルアップに注力した結果、
俺のラボは劇的な進化を遂げたのだ!
超高倍率のカメラ、金属の切断・面取り・穴あけ・バリ取り等々を自動でこなす高機能金属複合加工機、レーザー基盤加工機etc...
とにかく!俺のチートを活かすためのこの時代にはありえないレベルの道具たちがようやく揃ったのだ!
揃ったんだけどなぁ
「くそ!結局素材不足か!」
道具はある程度そろった、
しかし俺がアニメや漫画のロボットを作ることはできていない。
なぜなら、材料がないから。
俺のチートは知識はあっても、無から有を生み出すことができるわけではない
「レアアース・レアメタル...いやそれだけじゃない!結局基本的な素材も何もかも足りない!」
俺の転生したバスクード家はそこそこ裕福な家だ。
父さんしか働いている人間はいないが、転勤先の街で一軒家を買切るなんてことができる程度には
余裕のある生活を送っている。
しかし、俺の求めるレベルで、
すなわち子供の趣味の範疇を遥かに超えるレベルの値段の貴金属や化学製品を買ってくれるかと言われると
話は別だ。
「くそっ、金金金!結局何作るにも元手がいる!」
知識の中にある適当な技術を売るか?
いや、だめだ。
このチートだけなんだ!
俺にはこれしかないんだ!
このチートの中の知識は俺だけが使うべきなんだ!
ちっぽけなプライドというのは自覚しているつもりだ。
でも前世で引きこもりだった俺は、
親に疎まれ、
友達は一人も居らず、
高校で告白した女には嘲笑われ、
就活には失敗して就職する気力すら失せた、
何も持っていなかった俺が死んで初めて手に入れた俺だけの力なのだ。
これだけは、この知識だけは他の誰にも渡せないのだ。
…いかん。イライラして熱くなってしまった。
一旦落ち着こう。
所詮俺はまだ12歳のガキだ。
できることが少ないのは当たり前ではないか。
「まずは今作ってるレベルのロボットをブラッシュアップして、製品化することを目指そう」
そうすれば金も手に入る。
金が手に入れば、また新たな製品が作れる。
大丈夫だ、俺の技術力を世間が認知すれば、融資だって受けれる。
一歩づつだ、道具だって一歩づつ作って揃えてきたんだから。
「少し休憩にするか」
カタンと椅子から立ち上がり部屋から出ていくリシュ。
彼が先ほどまで作業していた作業台の上には全高1.5mほどのロボットが横たわっていた。
その作品を知る物なら一目で分かるであろうそのロボットは、
「あらリシュ。ちょうどよかったわ。今呼びに行こうと思っていたのよ」
「ん?どうしたの母さん?」
「またあなたのロボットを見せてほしいってお客様が来ているわよ」
あぁ、またその手の客か。
ちょうどいいタイミングだ。
1998年という世紀末も迎えていないこの時代。
俺の時代をぶっちぎったロボットの試作品たちが珍しくて、よく見せてくれ!と客がくるのだ。
前世では何も自慢できることがなかった俺は、この自分の技術をひけらかすという行為に、
優越感や承認欲求が満たされるのを感じていた。
そのため来た客は追い返さず、自慢を続けていたのである。
先ほどのイライラも、アッと驚く客を見れば治まるだろう
「リシュ。こちらがお客様のバリー・バートンさんとクリス・レッドフィールドさんよ」
………………………え?
やっと盛り上がってきたなー
原作キャラが登場するとやっとSS書いてる!って気分になりますね。
あ、注意を忘れてました。
主人公は結構なダメ野郎です。
かっこいい主人公とか求めてたらほんとごめんなさい。
本作の主人公は、
前世で何もかも上手くいっていなかったのは自分のせいじゃない!
とか考えてるダメなタイプの人間です。
ちなみに前世では中学・高校通して帰宅部。
宿題等は一切やってこず、自習なんかもしない。
当然学業の成績は終わってますが、
全部周りのせいにしてきたゴミ野郎って設定です。
転生してちょっとはマシになっていますが、それでもダメな部分が多いです。
今回ちょっと垣間見えましたね。
さて次回から果たして、本編に入れるのか入れないのか?
筆が乗ればいいんだけどなー
感想をくれた方ありがとうございました!
マジで感想って嬉しいんで励みになります。
月1更新でいいだろって思ってたんですが、思わず書き始めちゃいました。
誤字・脱字等の報告も待ってます。
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