テンションが落ち着いてきて、逆にテンション低くなってきた作者です。
冷静になって考えると5話まできてまだ原作始まってないのかー
って気付いて1話1話が短すぎるのかな?って悩んでます。
まぁとりあえず気長に続ければ、いつかはアシュリーまでたどり着けるはず...多分!
「そんな...間に合わなかった...のか?」
目の前に広げられた父が取っている新聞『デイリーラクーン』を机に広げながら、
顔をまるで死にかけの病人のように真っ青にさせて見ているのはリーシュ・バスクード。
若干12歳にして、ロボット工学の若き新星の異名を取る天才工学者だ。
彼が、顔を真っ青にしながら一字一句見逃さないとばかりに読んでいる記事の内容はこういうものである。
【THE DEAD WALK! 死体が歩く⁉】
この新聞事態は、既に発刊されてから2週間近くたっているものであり、この記事について9月も中ごろに差し掛かろうとしている現在に顔を青くするのはおかしな話ではある。
しかし、リーシュはこの2か月あまり、具体的にはクリスとバリーに出会ったあの日から、睡眠時間や食事時間を削る勢いでとあるロボットの作成に夢中になり、碌に世間の情報を得ていなかったのだから、この記事を見るのがここまで遅くなってしまったのも仕方がないことではある。
「…ラクーンフォレスト周辺で…行方不明者がこんなに」
リーシュが眺めている記事以外にも机の上に広げられた他の新聞。
【THE RACCOON CITY TIMES】【ニューズコメット】【メガスクープ】等のこのラクーンシティで発刊されている
大手の新聞が投げ捨てられるように広げられていた。
開かれたページはどれも、ここ最近の猟奇殺人事件・行方不明事件などの項目である。
「ネズミが原因だったはずじゃ…」
彼が作るのに夢中になっていたロボット。
それはAI搭載型のネズミ駆除ロボットだ。
下水に放たれたこのネズミ駆除ロボットは、自動でラクーンシティ内の下水を走り回り、
マッピングしながらネズミを捕獲・殺傷・滅菌のために焼却まで行うという優れたものであり、
リーシュが制作を続け、数を徐々に増やしているため既に数は100機を超えている。
ロボット同士が連携を取り合い、燃料・バッテリー補給のためのマザーロボットが情報を統括する。
驚異的なスピードで行われた駆除作業はトントン拍子で進み、あと一月もあればラクーンシティ内の下水のネズミを駆除し終えるという段階まで来ていた。
リーシュがそんなことを必死になってやっていたのは、
彼の原作知識にあった、
バーキン博士がGウイルスを奪われるシーンを描いたゲーム内のムービー、
そこで割れた保管カプセルから漏れたTウイルスの原液をネズミが舐めるというシーンを覚えていたからだ。
実際にそのシーンでゲーム主人公のレオンが「あのウイルス、ネズミが拡散させたのか」と呟いている。
しかし、この新聞記事たちを見るにウイルス漏洩はもう起こっているのでは?
リーシュの脳内にそんな嫌な予感が木霊する。
いや、そんなはずはないと頭を振り、その嫌な予感を振り払おうとするリーシュ。
しかし考えれば考えるほどバイオハザードというその文字が頭をよぎる。
最悪のその瞬間はもう目の前にまで迫ってきていた。
ピンポーン、とドアチャイムの音が響き
リーシュを思考の渦から強制的に連れ出す。
一階からは母さんの「はーい、少々お待ちください」という声が聞こえる。
どうやら、来客が来たらしい。
こんな忙しいときにいったい誰だよ!と悪態を一つつくが、それは八つ当たりというもの。
大きくため息を付いて、椅子から立ち上がる。
ネズミ駆除用のマザーロボットから定期的に送られてくる駆除データを閲覧しなければと立ち上がったのだ。
新聞を片付けつつ、リーシュの思考はあることについていっぱいになっていた。それは…
武器を作らなければならない
ここは銃規制が完璧に施行されていた日本ではなく、
銃の本場である銃大国アメリカ。
街のストリートまで赴けば、銃器の1つや2つ簡単に手に入る。
俺が材料と道具不足の状況で作る武器より、
アメリカが戦争の中で技術を磨いて作った銃のほうがよっぽど高性能だった。
ガンダムに登場するようなビームライフルといったものを俺が作れるなら話は簡単だったが、
現在の手持ちの材料では、ビームどころか、そのビーム発生に必要な「ミノフスキー粒子」を生成する粒子加速機だって満足に作れない。
レーザー兵器の類なら作れないこともないが、現状ではバッテリーの関係で
据え置きの物しか作ることができない。
ゾンビから逃げ回りながら使うことができない時点で、現時点では意味の無い物にしかならない。
「ここは、今作れる限界サイズの巨大機動ロボットを作るしか...」
そんなことを考えていた時だった、
バンっといきなり俺の部屋の扉が開け放たれ、数人の黒服とサングラスに身を包んだ男性たちが俺の部屋に入ってきた。
「な、だ、誰ですかあなたたちは⁉」
慌ててそう怒鳴る俺に、スッと1人前に出てきた男が懐から身分証のようなものをこちらに突き出してきた。
「我々はあなた方のお父様であられる、マテオ博士の同僚の者です。」
突き出された身分証にはここ最近でリーシュが一番見たくなかった文字が刻まれている
すなわちアンブレラ・コーポレーションと。
「社内で重大な事故が発生しました。念のため博士とそのご家族には避難していただくことになります。ご同行いただきたい」
そう言って、有無を言わさず俺の背後に回り背中を押して玄関まで運ぶ黒服たち
対人恐怖症とまではいかないが、前世での経験からくる人見知りが発揮され、
もう俺の頭はいっぱいいっぱいになっていた。
「リシュ!」
母さんがそう叫んで慌てて駆け寄ってくる。
俺の人見知りを心配しているのかしきりに「大丈夫?」と尋ねてくる。
その母さんの様子に、パニックになっていたところから少し落ち着きを取り戻した俺は、
「どうしても避難しなければならないのですか?あと荷物などはどうすれば?」と先ほどの話かけてきた男に尋ねる。
「申し訳ありませんが、避難は絶対に行ってもらいます。あぁでもあなたの発明品はこの後来る別の部隊の者ができうる限り回収する手筈となっております」
そう言って「さぁお急ぎください」と俺と母さんは車に押し込まれ、
二度と目にすることのない我が家を後にするのだった。
キィィィィンと耳鳴りが木霊する。
「…ぅあぁ?どう...なってんだ?」
身体がダルすぎて、瞼を開くのも億劫な中、ゆっくりと目を見開く。
180度視界がひっくり返り、上下が逆さまになった視界に思わずそんな声が出る。
側頭部をヌルりと何か生暖かいものが流れる感触がし、気になって右手で触れればピチャリと手に触れた液体が音を立てる。
目の前の持ってきた右手には、真っ赤な液体で染まっていた。
「これ...俺の血?」
状況にそぐわない間抜けな声が出る。
血の気が引いたのか、少し冷静になったリーシュは状況を確認するように辺りを見回す。
自分の身体はシートベルトに固定され、天井から生えた椅子に固定されている。
右には自分と同じように母さんが宙吊りになっており、だらんと腕を下げている。
そうだ、ここは...
「車の中...そういえば、トラックにぶつかって」
交通事故にあったのだ。自分たちは。
そう冷静に判断できたのは、その瞬間をしっかりと目に焼き付けていたからだ。
数時間前にリーシュ達を乗せた護送車が発進した後、
ラクーンシティのストリートの1つに差し掛かろうとしたその時だった。
ブァァァァァン‼‼という大きなクラクションが車に乗っていた全員の耳を叩いた。
リーシュがバッとその方向を振り向けば、そこには今にも護送車にぶつかろうとする大型トラックの姿が…
「ぐっ、そうか、あの後事故って車がひっくり返ったのか」
言いながら、なんとかシートベルトを外そうともがくリーシュ。
しかし、自分の体重でベルトがロックされて、なかなか外せない。
「母さん、母さん!」
そう隣の母さんを呼べば「...うぅ」と弱弱しい声が聞こえる。
どうやら、生きてはいるらしい。
「まっててね、今助けるか「うわぁぁぁぁぁぁああああああ‼‼‼‼」ら?」
車の外から響く突然の大声に思わず声が止まる。
なんだ?
何が起きている?
「やめ、やめて!食べないでくれ!うわぁ!あああぁぁぁぁああぁあっぁぁぁぁぁ‼‼‼」
声が聞こえなくなり、
代わりにグチャグチャブチリブチリとまるで肉でも噛み千切っているかのような音が聞こえだす。
まさか...
と顔色がスッと悪くなるリーシュの視界にある物が映る。
事故の衝撃で割れた物であろう、鏡の破片だ。
その鏡に偶然映り込んでいたのは
リーシュが、ここ最近必死になって止めようとしていたものだった。
1番見たくないものであった。
四つん這いになって何かを喰っていたそれがフラりと立ち上がる。
ゆっくりとこちらを振り返るその口元は真っ赤なナニかに覆われ、
目はまるで白目を剝いているかのように、光彩が濁っている。
「ぅぁぁぁ」と低い声で唸るその姿はまさに…
「ぞ、ゾンビ…」
やっと始まったぞー!
というわけでバイオハザード2や3の事件、
悪名高きラクーン事件のはじまりはじまりー
さて、今回の話はあるバイオ作品をリスペクトしたんですが、
分かった人いたら、感想に書いてみてね!
では、また次回~