え?生物兵器が主役?…専門外なんだが…   作:りんご味

8 / 15
筆者の執筆能力が無いせいで、話が遅々として進まない。
ほんとにすみません。
頑張って書いてはいるんですけど、
なんか頑張れば頑張るほど、
状況を細かく書こうとすればするほど、
内容が進まなくなる気がしています。

おまけになんか雨のせいで断水になっちゃったり、
リアルも忙しいです。

お盆だからもうちょっと時間あると思ったんだけどなぁ...


ななわ

9月25日

 

 

カチャカチャ

 

ビルの屋上へ避難してきた者のうちのほとんどがリーシュを取り囲むようにして、

固唾をのんでその作業を見守る中、

リーシュはローレンから受け取った壊れて電源が入らなくなったラジオを凄まじいスピードで分解し始めていた。

 

落としてしまった衝撃のせいなのか

ラジオの外装はひび割れ、

つまみは音量調整用のものしか残っていない。

もう片方のつまみはこのラジオを落とした場所にでも転がっているのだろう。

 

外装のネジは全て外したが、歪んでしまっているのか上手くカバーが外れない

リーシュは懐からサッと自作のスクレーパーを取り出して、側面の溝にそれを容赦なく突っ込む。

ラジオを回すようにグルっと一周、

溝をこじ開けるように動かせばカチリと音を立てて外装が外れる。

 

中はあまり分解して掃除したことがなかったのだろう、

若干の埃をかぶった基盤と、絡み合った配線。

 

一見故障部分はないように見える。

しかし、リーシュは一目で問題部分を見抜いていた。

 

「トランジスタが、折れてる...」

 

リーシュがラジオのスピーカーが付いている方の外装から摘まみ上げたのは、

足が折れて基盤から外れてしまっていたトランジスタ。

 

「おいっ!そのトランジスタってパーツが壊れてるとヤバいのか⁉結局直らないのか⁉」

 

避難者の一人であるエイヴリーが叫ぶように捲し立てる。

その表情には結局直らないのか!とでも言うような

侮蔑の表情が浮かんでいる。

 

「ちょっとエイヴリー黙ってて!リーシュ君が怖がるでしょ⁉子供に怒鳴るなんて最低よ‼」

「んだと⁉このクソアマ‼直らねーんなら意味ないだろうが‼」

「直らないなんてリーシュ君言ってないでしょ‼」

「やめないか2人とも‼」

「そうよ、落ち着きなさい」

 

チッ、フンッと互いに舌打ちとそっぽを向くことで喧嘩をやめた2人に、

よっぽど相性が悪いんだろうなと苦笑いしながら

リーシュは改めてラジオに向き直った。

 

「今回折れていたトランジスタっていうのは…。要するに増幅装置です。」

 

小さな信号を増幅したり、発振したり、スイッチとして働いていたりと、

まさにラジオにおいての心臓部ともいえる部品のことだ。

 

前世では、もはやトランジスタは「集積回路(IC)」の中に組み込まれてしまっており、

個別に確認することができるトランジスタラジオと呼ばれる代物を探すほうが大変になってしまっている。

この時代においても、ぶっちゃけこのラジオは骨董品と呼べるレベルの代物だ。

きっとローレンの私物ではなく、親の物か何かを借りて来ていたのだろう。

 

しかし集積回路(IC)が壊れてしまえば修理が難しくなってしまう現代のラジオより修理しやすいというのは

このトランジスタ式ラジオの明確なメリットだろう。

 

難しい話はさておいて、このラジオはトランジスタが6つついたタイプ。

所謂6石ラジオとか呼ばれるタイプのラジオのようだ。

他のトランジスタが生きているかのチェックが必要だが...

 

そんなことをザっと説明しながら、

リーシュは懐から小さな箱のような道具を取り出す。

これはリーシュが作ったオリジナルの持ち運びマルチメーター(テスター)だ。

 

箱の両端から少し飛び出しているクリップのような部品を引っ張ると、するすると黒と赤のリードが伸びてくる

リーシュはそれを基盤に残っているトランジスタの足部分に取り付けて、箱のスイッチを入れた。

箱には小さなディスプレイが付いており、そこに0.66Vと表示される。

 

「...0.66ボルト。こいつは生きてるな」などと言いながら次々トランジスタのチェックをしていくリーシュ。

周りの避難者たちは何をしているのかついていけず、目を白黒させるばかりだったが、

リーシュは手早くチェックを終え、顔を上げる。

 

「折れたトランジスタ以外は全部生きてますね。電源が入らないのは接触が悪くなってるだけっぽいですし、これなら修理は簡単です。」

 

「本当かリーシュ君⁉良し‼これでいつ助けが来るのか分かるかもしれない!」

 

マイルズの喜ぶ声を皮切りに皆が喜びの声を上げる。

 

喜びに水を差すようで悪いが、先に頼むべきものを頼んでしまおう。

リーシュはそう思い立って、自分はすごいだろ!と技術をひけらかしたくなる心を抑えて、コナーとマイルズに頼み事をすることにした。

 

「お二人に頼みがあるんです。あそこにあるテレビ用のアンテナを外したいんです。僕も後から行くんで先に外せるところから外していてくれませんか?」

 

「テレビ用のアンテナ?あれが欲しいのかい?そりゃ俺は良いけど」

 

「俺もかまわない。だが、あんなもの何に使うんだ?」

 

頭に?マークでも浮かべるような表情をして二人が訪ねてくる。

あまり機械に強くない二人には分からないだろうが、アンテナさえあれば...

 

「ラジオは聞くだけですけど、あのアンテナがあれば、こっちから救助を呼べるかもしれません」

 

その言葉に驚愕の表情を浮かべる皆に、俺は再び自分の自尊心が満たされるのを感じてにっこりと得意げに笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こちらはラクーンラジオです、政府からの指示をお伝えします。現在、都市全域に非常事態宣言が発令されております。全市民は速やかに自宅に戻り、次の指示があるまで、戸締りを徹底し屋内で待機してください。繰り返し放送いたします...」

 

つけっぱなしにされたラジオのスピーカーから、

そんな録音音声が繰り返し垂れ流され続ける。

 

ラジオが直ってからおよそ5分ほど経過しただろうか?

避難場所のビルの屋上は、先ほどまでの喧騒が嘘のように静まり返っていた。

 

あれだけ元気だったローレンちゃんをはじめ、

全員が失意に暮れるように沈黙してしまっていた。

 

まぁこの放送を聞いてしまえば仕方がないだろう。

この場の全員が求めていたのは、『何時助けが来る、故に頑張れ』といった内容であって、

こんな自動音声による待機指示ではない。

 

そのうえ、このラジオ放送の内容には具体的なゾンビへの対応策すら含まれていない。

警察や軍が鎮圧している最中で~とか、

体液サンプルを入手して事態の究明を図っている~とか、

そういった内容が一切含まれていないのだ。

 

この場の誰一人として口には出さないが、全員の頭に浮かんだ不安はこうだろう

 

『もしかして、避難が遅れた街の住人は見捨てられてしまったのではないか?』

 

この嫌な想像を思い浮かべて尚、パニックになっていないだけましだが、

それは彼らがパニックになるだけの元気がないから、落ち込んでいるだけである。

 

この屋上に避難してから、既に丸1日以上の時間が経過した。

トイレは屋上の1つ下の階に非常階段から降りることで、ゾンビに対する見張りが必要だが何とかなっている。

水もこのビルの中にあったペットボトルの物がまだある程度の数残っている。

しかし、食料だけはどうにもならない。

このビルの中にあった食料は軽いお菓子程度の物くらいで、既に食べつくしてしまっていた。

 

空腹は既にピークに達しており、

全員の思考を暗くするには十分だった。

 

そのうえでこのラジオ放送である。

全員が沈黙してしまうのも無理はないことであった。

 

そんな沈黙の中、リーシュは一人黙々と工作作業を続けていた。

 

 

正直に言ってしまえば、リーシュにも不安はあった。

 

しかし、リーシュが抱えている不安は見捨てらてしまったとかそういったものではない、

彼が抱えている不安はこのまま愛する母親を助けられないのではないか?

という不安だ。

この避難民たちの中で比較的仲良くなっているローレンもその中に含めてもいい。

 

彼女たちを無事この街から逃がすことができるのか?といった不安

 

いやそれだけではない。

こんな事態に陥ることを知っていたにも関わらず、両親にすら事情を打ち明けなかった罪悪感

時間があったはずなのに、ウイルスの蔓延を許してしまった自分への無力感

 

そういった感情が全てひっくるめて大きな不安となってリーシュを襲っていた。

 

 

(でも、こいつさえ完成すれば、この事態を打開できるはずなんだ)

 

 

落ち込んでふさぎ込む避難者たちのなか一人、

リーシュの工作音だけが響いていた。

 

「…反射面を合わせて、焦点を合わせる」

 

自分に言い聞かせるようにリーシュはゆっくりとアンテナ焦点にコイルアンテナをねじ込む。

ワイヤーを伸ばして方向を固定する。

遠くの郊外に向けてアンテナを傾ける、傾ける先は...

 

「理屈の上ではこれで届くはずだ...ラクーン市警察署へ...」

 

呟きながら回路を組み上げ、改めてラジオの電源を入れる。

局発回路をいじくり、微弱なCW信号を送れるように改造したこのラジオ。

送られるのは小さな電子音。

即席のCW信号が空を舞い出す。

 

「・ ・・ --- ・・・」

 






尚、警察は普通はモールスの受信なんてしていないw
あと、周波数帯違いすぎw



とまぁ突っ込みどころは多々ありますが、
リーシュ君(元ヒキニート)がそんなこと知っているわけないので、
彼は本気で、これで警察が助けに来てくれると思っていますw






この先どうなってしまうのか?といったプロットもどきは一応出来上がっていますが、
ちょっと時間が取りにくく、遅くなってしまっています。

次回の更新日時は未定です。
首を長くして待っていていただければ幸いです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。