もう一人の東京守護者   作:dwwyakata@2024

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歴代メガテンシリーズのロウ勢力国家としては比較的マシな東のミカド国。

そこでサムライに就任したフリンは、早速悪魔絡みの事件に巻き込まれる事になります。

そしてそれは、とても凄惨な事件へと発展していくのです。





討つべき敵
序、サバト


僕は奈落で悪魔を狩り、降伏した者は手持ちに加え。そしてホープ隊長から教わった悪魔合体を試していた。ガントレットに搭載されている機能であり、使えるなら使いこなした方が良い。

 

なんでもバロウズによると、悪魔と言うのは精神生命体なのだという。

 

肉体を持って出現しているのはむしろ異常な状態で、普段はアティルト界という世界に存在していて。

 

アッシャー界といわれる此方の世界では、栄養となるマグネタイトがないと出現できないらしい。

 

マグネタイトはそのまま血肉だったりもするのだけれど。

 

一番良いのは、負の思念を蓄えた人間だそうで。悪魔を召喚するために、昔は人間を生け贄にする事も多かったのだとか。

 

ともかく。そんな悪魔達は、意外に「個」に執着がない。

 

精神体であるからか、悪魔同士で要素を混ぜ合わせ、更に強力な悪魔になれるのならほとんどの場合喜ぶという。

 

それを悪魔合体という。本来は複雑な手順が必要で、大きな設備もいるらしいのだが。ガントレットにはそれを出来る機能がついているらしく、その場でぱぱっとやれてしまうのだ。凄い話である。

 

希に悪魔合体を拒む強い意思を持つ悪魔もいるらしいのだが。それは例外中の例外。更に強い存在になる事が出来るのならと、逸話や強い自我がある悪魔でも、悪魔合体を拒むことはほぼないらしい。

 

それで色々四苦八苦して、相性が良さそうな悪魔を探す。

 

先人の苦労の情報をバロウズは共有しているらしく、そのデータベースというのから、どういう悪魔を作る事が出来るか。それを今の僕が扱えるのか。それらを総合的に調べてくれる。

 

とても頭が良い。

 

僕自身も今まで鍛えて来た技と肉体を、実戦で更に伸ばす事ができるし。僕の実力を見て、即座に土下座して助けてと言ってくる悪魔もいる。

 

そういう悪魔は流石に討たない。

 

更には、弱い悪魔でも神話的につながりがある存在などと合体させることで、飛躍的に強力な存在に変貌する事もあるらしい。

 

それは、とても凄い事だ。

 

今、僕の側に浮いているのは掌に載るくらいの女の子だが、背中に蜻蛉みたいな翼が生えている。

 

妖精ピクシー。

 

バロウズによると、なんでも相手を迷子にさせて楽しむ妖精であるらしい。薄着でちょっと反応に困る格好をしているが。

 

ただこのピクシー、回復の魔術で傷薬よりも遙かに強力に傷を治してくれる。それどころか、雷撃の魔術も使えるのだ。

 

僕は仲間……いや仲魔か。ともかく仲魔にした悪魔に色々教わっているのだけれど、どうにも火を出したり氷を出したりといった魔術にはそこまでの適性がないようだ。

 

その代わり、体を使う魔術は相性が良いらしく。

 

ピクシーには回復の魔術を教わって、継戦能力を更に上げるべく頑張っていた。

 

「よし、じゃあもう一度やってみる」

 

「それはいいけれど、本当に肉弾でいくの?」

 

「ええと……搦め手も使えるようにしろってホープ隊長には言われているけれど。 それはそれとして、僕の最大の武器は頑丈な体だから」

 

「中には悪魔に支援させて前衛を張る人間もいるって聞いたことがあるけれど、それはそれで凄いわね……」

 

悪魔の中には、強力な肉体を更に強力にする魔術や。相手を弱体化させる魔術を使うものもいる。

 

そういった強化弱体をかき消す者も。

 

そのため、僕はそれらの魔術を覚えたいと思っている。ただし、今の時点では仲魔にした悪魔にも、そこから作れる悪魔にも、適任がいなさそうだが。

 

ピクシーはというと、いずれ成長して更に強力な妖精になるから、そのまま側にいさせて欲しいと言う。

 

僕としても、嘘をついているようには見えなかったし。

 

魔術を用いた火力支援は仲魔に任せてしまうのも手だから、もしも強くなってくれるのなら充分にありだ。

 

「おーう、フリン」

 

「うん? どうしたの」

 

こっちに来たのはワルターだ。ヨナタンが今日は出かけているらしく、イザボーを任務に誘いに来たらしい。

 

内容は聴取だとか。

 

土地勘はあるもののあまり人と話すのが得意では無いワルター。

 

そもそも庶民とどう話して良いかよく分からないイザボー。

 

それもあって、合同で任務を受けたいらしい。

 

ヨナタンがいれば良かったらしいのだが。ワルターはどうもイザボーに苦手意識があるらしく、僕を誘ったと。

 

まあ確かにワルターとイザボーでは水に油に思える。

 

「分かった。 丁度色々終わったから行くよ」

 

「助かる。 あっちでイザボーと合流して、麓の村に向かうぞ」

 

「それにしても村で聞き込み?」

 

「ああ、ちょっと訳ありでな」

 

ワルターはこう見えて、任務をこなすことには貪欲だ。

 

最初さぼってばかりの駄目サムライになるのではないかとか周りに噂されていたのだけれど、そんなこともない。

 

酒場に出向いては、Kに荒事関連の依頼を頼んでまわして貰いせっせとこなしている。

 

その過程で、僕もヨナタンやイザボーと一緒にワルターと組み。

 

奈落の中で四層などで苦戦している味方を救援に行ったり。

 

物資が不足している麓の村の状態を調べて、即座にお城から物資を輸送するような仕事をしたりと。

 

それなりに色々と仕事をこなしてきた。

 

ちなみに僕から両親に手紙は何回か送ったが。

 

返事は来ていない。

 

手紙といっても紙はかなりお高いし、何よりも正式な文字を書かないと送られてこないのである。

 

ともかく、ワルターとともに門に行く。

 

そこで、イザボーは何か読んでいた。本だろうか。

 

「待たせたな。 それでなんだそれ」

 

「ああ、これは漫画よ」

 

「漫画?」

 

「そうね、創作の読み物。 それを絵と文字で表したものね。 今、色々な所で本が出回っているの。 あまりおおっぴらには読めないけれど、これはほら」

 

バイブルと同じ表紙を被せている、と。

 

意外にイザボーってこういう悪い事をするんだなと思ってちょっと苦笑いする。ヨナタンの同類かと思っていたのだが。

 

歩きながら話す。

 

「聞いているかも知れないけれど、麓の村の一つで大きな被害が出たの。 公式には火事と発表されているけれど、悪魔の仕業よ」

 

「悪魔だと」

 

「ええ。 ホープ隊長が選りすぐりの精鋭とともにその場で鎮圧したけれど、村にいた引退サムライと、多くの民がなくなったらしいわ」

 

「……」

 

酷い話だ。

 

悪魔は奈落から、どう人の目をくぐり抜けて出て来ているのだろう。

 

或いは奈落の先ではなくて、他でも悪魔は何かしらの手段で活動しているのだろうか。

 

「この辺りで良いわね。 おいでペガサス」

 

イザボーが呼び出したのは、翼のある馬だ。

 

純白でとても美しい。悪魔だろうが、あまり戦闘向けには見えない。

 

「貴方たちも移動用の悪魔を用意した方が良いわ。 迅速に展開するためには必須だもの」

 

「それもそうだな。 俺が持っているのは此奴くらいだな……」

 

ワルターも悪魔を呼び出す。

 

あまり人前で、露骨に悪魔に見えるものは出すなと言われているのだが。ワルターが呼び出したのは、ちょっとぎょっとするものだった。

 

板、だろうか。

 

だけれども、なんだか藁で編まれているような。

 

それに随分と大きいが、何だこれ。

 

「此奴はべとべとさんというらしい。 夜道で相手をつけ回す足音だけの悪魔だそうだ。 その馬にくくりつけて移動するように見せようぜ。 こいつ自身は高速で移動するから、その馬に負担はかからねえよ」

 

「分かったわ。 それでフリン、どうするの」

 

「僕は走るよ。 馬くらいの速度は出るし」

 

無言になるイザボーとワルター。

 

いや、この二人だって多分それくらい強くなっていると思うけど。奈落の試練では、僕とそれほど到達時間も変わらなかったし。

 

ひょいひょいと跳んで、体を温めると。

 

ペガサスとやらが走り出し、その後ろをワルターのべとべとさんがワルターを乗せてついていく。

 

僕は走る。

 

今日は外部任務だからとんぼちゃんを持っていく。

 

なお、とんぼちゃんを盗んで嫌がらせをしようとした誰かがいたのだが。持ち出そうにも持ち上げられなくて、倒してぎゃっとか悲鳴を上げて逃げたようだ。

 

「いや、本当に追いついてくるな! それも余裕で併走か!」

 

「軽い軽い。 もっと速度出るよ」

 

「……ペガサスを作っておいて正解でしたわ。 ユニコーンは気性が荒すぎて扱いが難しいらしいですし」

 

馬の悪魔は、かなりの数がいるらしい。

 

乙女にしか近付かず、角が秘薬になるユニコーン。額に一本角がある美しい馬の悪魔だ。乙女にしか近付かないというだけならまあ子供にでも世話させておけばいいのだが、此奴は男には見境なく襲いかかるらしく、乗馬としては推奨されていないそうだ。なお支援悪魔としては有能で、回復の魔術を色々使いこなすらしい。

 

これが悪しき存在として歪められたバイコーン。角が二本生えていて、ユニコーン以上に獰猛で論外。

 

川の側に住む馬の悪魔ケルピー。これは乗りこなせば駿馬になるらしいのだが、なんと油断すると人を川に引きずり込んで容赦なく食べてしまうという。

 

人食い馬の悪魔か。実はこれは、架空の話というわけでもない。僕も聞いたことがあるのだけれど、たまに人食い馬の話がある。ロバなんかでもそうなのだけれども、畜産家が偏った栄養を馬に与えていると、人間を襲って食う事があるらしいのだ。馬は草だけしか食べない、なんてことはないのである。

 

他にもケルピーの同族は多く、アハイシュケと呼ばれる人食い馬の悪魔もいるそうだ。これらは共通して、乗りこなせれば駿馬になる。

 

悪魔とはいずれも恐ろしいものだ。

 

こういった馬の悪魔は、もっと技量をつけてから呼びだし、乗るようにしろ。

 

ホープ隊長が、そう言っていた。多分だけれど、イザボーが乗っているペガサスが最適解なのだろう。その気になれば空も飛べそうだが、今は翼を降ろして、飾りのようにしている。

 

イザボーが通り過ぎるのを見ると、黄色い声を上げる女性が時々いる。

 

ワルターがなんで、という顔をしていた。

 

「俺が女に好かれないのは知っているが、なんで女のお前が女に好かれているんだ」

 

「以前お父様に聞いたのですけれど、男性は男性的な性格の女性が好きで、女性は女性的な男性が好きな傾向があるらしいの。 要するに中性的な容姿は受けがいいらしいそうよ」

 

「いや、俺はそういう事はないが……」

 

「あくまで傾向の話よ。 わたくしはどうもその容姿がそう、同性受けするらしいんですのよ」

 

そうなのか。

 

でも、猿とか言われてた僕は男性にもてなかったなあ。

 

多分色々とその辺は他にも要素が絡むんだろう。知らないけど。

 

全力で走る。ペガサスが僕が余裕で息も切らしていない事に驚いたようだが、とにかく現地には出来るだけ早く着いた方がいい。

 

しばらく走って、やがて現地に到着。

 

この辺りくらいから、城壁が減ってくる。麓に降りて行くほど、東のミカド国は城壁がなくなる。

 

これはどうしてなのか分からない。

 

平らな土地には殆ど人は住まない。住んでいるという話は聞かない。

 

それなら恐ろしい何かがいるのかと思いきや、悪魔だのの話は、むしろそういうところにはなく。

 

村やらの近くでむしろ多いのだとか。

 

ペガサスとべとべとさんがイザボーとワルターのガントレットに消える。僕はハンカチで軽く汗を拭ったが、まあ問題はない。

 

僕は地面にとんぼちゃんを突き刺す。

 

太くなっている方を下に差すので、まあ倒れる事はない。

 

それでドカンと音がして、人が注目する。

 

一番吃驚していたのは、隣にいたワルターとイザボーだったけれど。特にイザボーは跳び上がりそうな様子だった。

 

そんなに大きな音だったか。ちょっと分からない。

 

「で、どう手分けする?」

 

「え、ええとわたくしは女性方に話を聞きますわ。 お二人は殿方に」

 

「それが良さそうだな。 俺は話すのがちょっと苦手だ。 頼むぜフリン」

 

「そう? 僕にはぐいぐい来てたじゃん。 まあいいよ。 この村だと知ってる人も何人かいるし、話を聞いてみるよ」

 

まあ、とにかく手分けして話をする。

 

今回の聴取は、この辺りで出回っている本についてだ。本そのものに罪はないのだろうが。

 

移動中に話した所によると、悪魔による小規模な被害が既に三回、この間の大規模なものがついに起きてしまい。

 

聴取をしていたところ、サバトという言葉が捜査上に浮上したそうなのである。

 

サバトというのはよく分からないのだが。誰かが持ち込んだ本をみんなで読んで、感想とかを言い合うだけのものらしい。

 

それがどう問題になるのかさっぱり分からないのだが。

 

ただ、それがそもそもバイブル以外は一切読ませないというこの国のやり方に反している事。

 

それと、四件の悪魔事件全ての側で行われていた事が証言されている事が問題視されているらしい。

 

今はサムライ衆が駆け回って、情報を集めており。

 

とにかく手が足りないので、僕達にも話が廻って来た、ということだ。

 

「サバトだって。 確かにやってるよ。 若いのも集めて、本読んでる」

 

そう、いきなり証言が得られる。

 

証言をしてくれたのは、以前僕に稽古をつけてくれた老元サムライだ。この村で隠棲している。

 

無事に任期を乗り切って、今では村で静かに暮らしている人だ。

 

僕が来た時は、孫が来てくれたみたいだと言って喜んでいたっけ。それはそれとして、武芸の仕込みはかなり容赦なかったけど。

 

「本読んでるだけなのか、爺さん」

 

「ワルター、大先輩だよ」

 

「おっとそうだったな。 それで、どんな様子なのか分かりますか?」

 

「わしも心配して見にいったんだがな、ただわいわいと本を読んでいるだけだったよ。 わしも見せてもらったが、それほど難しい内容でもなくてな。 難しい本もあったが……算数のやり方とか、難しい出来事が起きる仕組みとか、そういうのが書かれた本が多かったねえ」

 

頭を下げて、礼を言う。

 

そうか、サバトをやっているか。

 

他にも子供達を集めて聞いてみる。僕は子供には顔が利く。実際問題、力持ちのお姉ちゃんと言われて慕われていたのだ。サムライになった事を告げると、すごく皆嬉しそうにしてくれた。

 

ワルターは露骨に怖がられるので、側で立っているだけでいい。

 

腰を落として、順番に話を聞く。

 

「子供は誘われないの?」

 

「うん。 頭が良い人とか、難しい事に興味がある人とか、素敵な物語が好きとか、そういう人に声が掛かってる。 大人はかなりの人が出ているよ」

 

「あれって悪い事なの? 本というとあの司祭様の奴しかしらなかったけど、司祭様の話ってとても退屈で……」

 

苦笑い。子供は正直だ。

 

これはヨナタンとイザボーに聞いたのだけれど。

 

司祭達は、敢えてバイブルを退屈に読み聞かせている節があるという。内容も意図的に難しくしているそうだ。

 

バイブルの本来の内容は、神様が世界を作って、それで人々に道を示した、という程度のものらしい。

 

色々な逸話がその中にあって、天使とか悪魔とか出てくるけれど。それらの記憶が聞かされていた筈の僕には本当にない。つまり面白い話として、司祭達は興味を持つように話していない。或いはそう話すように司祭達が教育されているのかも知れない。

 

「チビ共には声は掛からないのか。 なんかいかがわしいことでもやってるんじゃないのか」

 

「その可能性は低いね」

 

「あん?」

 

「貴族街は違うし、麓ではどうだったか知らないけど、基本的にこの辺りの村はどこでも夜這いとか親公認でやってるんだよ。 婚約者どうしでね。 それが当たり前の事だから、誰もそれを疑問にも思わない。 貴族街の方だとなんだっけ、風俗とかいうのあるらしいけど、こっちではそういうのは誰も考えつきもしないし、言われても拒否反応だろうね。 みんなでいかがわしいことなんかやったら、即座に拒否反応した人からサムライ衆に通報が行くよ。 ごくごくたまに恋愛結婚とかあるらしいけど、それも殆どの場合白い目で見られるし、ましてや行きずりの相手と関係なんか持ったら下手すると司祭に連れて行かれて帰って来ない」

 

ワルターがさらっといった僕を見て目を丸くして黙り込んだ後、何度か咳払いした。

 

小首を傾げる僕に、すまんとものすごく神妙そうに言うので、よく分からない。なんだか罪悪感を顔中に貼り付けていた。

 

まあ僕は夜這いなんかされたこともないが。それは婚約者もいなかったし当然である。

 

勿論僕の前後の年齢は、特に男子は欲求を持て余す場合もあるらしいけれど。

 

その代わり農作業だの鍛錬だのを散々やりこむ。農作業は非常に過酷なのだ。僕みたいな例外もいるけれど。

 

それで殆どの人は力尽きてしまうし、欲求も霧散してしまうので、正直異性遊びをする余裕はないのが実情だ。

 

ワルターの漁師町はどうだったのだろう。

 

ただ分かるのは、多分ラグジュアリーズは違うと言う事だ。イザボーの大恋愛してみたいという発言もそうだったし、風俗なんて店があると言う点でも分かる。

 

生活に余裕があるのだろう。

 

だから体を持て余す奴が出てくる。

 

それだけの話である。

 

だいたい性行為の現実なんて、僕らはみんな幼い頃から知っている。それもその筈で、どの家も殆どちいさな石造りで、いやでも両親の行為は見る事になるし。余所の家でやっていても聞こえるくらいなんだから。

 

ワルターはしばらく黙り込んでいたが、とりあえず聞き込みを続けようと提案してきたので、頷く。

 

この様子だと、麓の漁師町もちょっと状況が違うのかも知れない。

 

だとしても、僕には興味があまりない。

 

今度は若い人達に話を聞いて回る。僕を舐め腐った目で見ている奴は前はいたが、以前ここの引退サムライに稽古をつけて貰っていたときの様子を見ていたのだろう。それにワルターもいる。何よりサムライの隊服とガントレット。それで誰も口が軽くなる。

 

やはりサバトとやらが行われている。

 

それも参加者もいた。

 

少し話しづらそうにしていたが、やがて挙手する。

 

「俺、サバト行ってるんだ」

 

「詳しく」

 

「ああ。 でも、今たくさん出回っている本を色々読んで、それで感想をいいあうだけの会なんだよ。 おサムライ様が出てくるって事は、それって司祭様達が怒るような事なのかな」

 

「そうかどうかはわからんが、幾つかの村で事件が起きていてな。 その事件と必ず一緒にサバトが行われていたんだよ」

 

えっと若者達が顔を見合わせる。

 

そしてワルターが凄むと、ひっと声を上げた。

 

漁師町と言う事は海暮らしだ。麓の海は魚もたくさんとれて、何より男達はみなガタイがいい。農民よりも更に体格がいいものが多いのだ。これは魚を豊富に食べられるからというのが定説らしい。ワルターも若者達より頭一つ大きいくらいである。

 

「出来るだけ詳しく聞かせろ。 仕事なんでな」

 

「しょ、処罰されないのか」

 

「今の時点で処罰の話は聞かないよ。 でも、危ないかも知れないんだ」

 

僕がそういうと、涙目になりながら若者が丁寧に状況を話してくれる。

 

ふと視線を感じる。

 

だが、振り向いたとき、視線は消えていた。

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