もう一人の東京守護者   作:dwwyakata@2024

113 / 126



フリンがガブリエルを破った時、同時に立ちふさがっていたメタトロンとサンダルフォン。

メタトロンは四大天使よりも強いなんて逸話があったり、七大天使に確定ではいる天使の大物。メガテンシリーズの扱いを見る限り、天使としての神の写し身みたいな扱いのようですね。

サンダルフォンはそのメタトロンと双子の天使。とんでもなく巨大であるという逸話があったりします。

真VVでは合体技を貰ったこの天使達。真2で頑張ってレベルを上げて作った時のあまりの弱さに涙をぬらすようなことはなく、昨今のメガテンでは普通に強力な存在です。

本作でもそれは同じです。






2、双子の最強天使

秀は構えを取る。伝承では途方もない巨大さだというサンダルフォン。めぼしい大天使の話は事前に聞いていたから覚えていた。此処での姿は、せいぜい十数メートル程度しかない。

 

メートル法は便利だ。だから秀は今は此方に切り替えている。

 

殿と連携して攻撃を仕掛けているが、放つ光が強烈すぎる。少しばかり地獄に長くいすぎたか。

 

そもそも秀は、人間と妖怪の子だ。

 

だからこそ、若干相性が悪い相手かも知れない。それでも、勝ち抜かなければならない。地獄から戻って見れば、こんな世界だ。

 

それはどれだけ斬っても亡者が来る。

 

それに、此奴らは誰も彼も殺しているし、今後もそうする。此奴らの主観で人間を選別されてはたまったものではない。

 

光が斥力になって叩き付けられる。

 

激しい炎、稲妻、冷気。立て続けに飛んでくる。妖怪達を壁にし、或いは足場に、回避しつつ迫ろうとするが。

 

サンダルフォンは巨大な体の彼方此方に目があるようで、まるで隙を見せない。

 

殿が不可視の鈍器で相手の攻撃を捌いているが、サンダルフォンはまだ本気を出していないと言える。

 

リリィといったか。

 

あの子も、救世の英雄だ。それくらいの器を持つ存在だ。

 

だがそれでも、まだ届く気がしない。相手はそれほど凄まじい存在。

 

未来から集めて来た怨念を吸収して、極限まで強大化した叔父、大嶽丸。まるで巨大な化け物となった叔父を、過去の世界で撃ち倒したときも。どうして勝てたのか、よく分からなかった。

 

まだ先がある。

 

それを思うと、此奴に苦戦はしていられないか。

 

一旦距離を取る。

 

幸い、立て続けに放たれる魔術は、それほどの火力ではないが。まだ相手は遊んでいると見て良さそうだ。

 

殿が弾かれて、側に着地。

 

サンダルフォンは機械的な目を此方に向ける。ういんういんと動く度に音がしていて、機械そのものだ。

 

意思など不要、か。

 

妖怪になってしまった人間達は、元とは違う凶暴な意思に動かされていたように秀は思う。

 

秀が生きた戦国でたくさん見た光景だ。

 

この領域を構築している光の床のような黄金を取り込むと、妖怪になってしまう。どんどん人間ではなくなっていく。

 

それを見て、悲しくなったことも多かった。

 

天使もそれと同じなのだとしたら。

 

呼吸を整える隣の殿。

 

視線を一瞬だけ交わす。サンダルフォンの実力は相当なものだ。後ろで大天使達をばったばったとなぎ倒しているワルターやヨナタン、イザボーに負担を掛けないためにも。此奴は秀が倒さなければならない。

 

まずは殿が突貫。

 

小柄なリリィを押し潰そうと、サンダルフォンが立て続けに攻撃を仕掛けてくる。今までが戯れだったことがよく分かる、猛烈極まりない光の攻撃だ。光の壁で逸らすことも厳しいようで、高速で走り回ってリリィはどうにか回避している。

 

その隙に、秀は札で妖怪を召喚。

 

火車。巨大な猫の妖怪だ。それが引く車に飛び乗ると、炎の轍を残しながら、巨大な大天使へと間を詰める。

 

此方を見るサンダルフォンが、冷気の魔術を放ってくるが。

 

召喚した海坊主を使って防ぎ抜く。そして、海坊主をそのままサンダルフォンに突貫させる。

 

雷撃一閃。海坊主が消し飛んだ。

 

神の雷というわけか。だが。

 

海坊主が消えた時には、甲高く笑う火車が爆走するだけ。更には。今の一瞬で、殿も間近に。

 

サンダルフォンが、金属音を立てると、周囲一帯が押し潰される。

 

重力、いや違う。

 

光の斥力で、周囲全てを叩き付けた。純粋な防御行動だ。

 

火車は瞬殺されてかき消える。殿は光の壁を全力で展開したが、リリィがそのまま床にたたきつけられて、動けなくなる。

 

だが、この瞬間。

 

既に背後に回っていた秀が、サンダルフォンの巨大な翼を一つ、空から叩き斬っていた。

 

ぐらりと巨体が揺れる。

 

その体から、光が溢れる。

 

制御出来なくなったな。秀は飛び離れつつ、火縄銃を立て続けに叩き込む。装甲に火花が散る。大砲。顔面に直撃。巨体が揺らぐ。タダの大砲だったらダメだっただろうが、撃ちだしたのは地獄で鍛練した呪力の塊だ。特に天使の類なら特攻効果を見込める。ただ、それでも頭を吹き飛ばすには至らないが。

 

走る。

 

サンダルフォンが、すっと手を振ると。連続して斥力が来る。吹っ飛ばされる。それも、全周囲に放ってくる。

 

なるほど、これだけ力があれば雑に力を振るうだけで充分というわけだ。

 

頭が悪いように見えるが、違う。

 

これは圧倒的な力を生かす戦略。

 

大軍に緻密な用兵なんて必要ない。ただ数で平押しすればいい。それで正しい。血を吐き捨てると、秀は跳ね起きる。

 

殿は。リリィは、やっと立ち上がった所だが、かなり出血している。だが、怯んでいる様子はないし、なんなら自分を回復させている。

 

今度は秀が気を引く番だ。

 

大量に餓鬼を召喚。それだけではない。鉄鼠も召喚する。

 

堕落した坊主がなり果てたと言われるこの鉄鼠、非常に動きが素早くて、戦国の世で初遭遇した時は苦労した。

 

それを大量に召喚して、一斉に襲いかからせる。サンダルフォンがそれらを片っ端から雑に薙ぎ払う。だが、それは秀の動向に気を配っているからだ。銃撃。逸らされる。やはりさっきの大砲が有効に機能している。

 

サンダルフォンが、手を向けてくる。

 

収束した一撃。

 

塗り壁を呼び出して防ぐ。

 

だが、塗り壁ごと打ち砕かれて、吹っ飛ばされる。

 

元々頑丈な方じゃない。サンダルフォンは、ぐるんと首を機械的に回して、周囲への警戒も怠っていない。

 

だが、その時。

 

頭上から強襲を掛けたのは、巨大な妖怪だった。

 

牛鬼。

 

ワルターも召喚していたが、これは少しばかり規模が違う。それこそ小山のような大きさである。

 

それが、真上からサンダルフォンを強襲する。勿論大きさでは同格でも、サンダルフォンに勝てる訳がない。

 

そんな事は分かっているが、穢れた妖怪に押し潰されて、面白いはずもない。同時に秀が大砲を叩き込む。

 

更に、多数の餓鬼と鉄鼠も同時に襲いかかる。

 

「光アれ」

 

ひび割れたサンダルフォンの声。

 

本当に壊れた機械という風情の声だ。

 

メタトロンの双子となると、この双子は神の写し姿に近い存在であり。天使達の中でも最強の兵器であるのだろう。

 

秀も一神教の信徒には会ったことがある。

 

だが、それらがこんな壊れた機械を崇拝していたとは思えない。ただひたすらに、反吐が出る。

 

そして、召喚した妖怪が、牛鬼も含めて全て吹っ飛ばされる。

 

分かった。今のは見切った。

 

体内全てから、指向させた光を大量に展開したのだ。それくらいに、今のを危機と判断したのだろう。

 

大砲の弾すらも打ち砕かれていた。

 

だが、消えていく牛鬼の影に潜り込んでいた殿、いやリリィが。

 

真下に向けて、幾多の悪魔を屠った、光の極太槍を叩き込む。

 

流石に防御の大技を放った直後。

 

だが、それでもサンダルフォンは反応。だが、反応しきれず。回避しようとするも一撃は頭を掠り、更には残った翼をもぎ取っていた。

 

千切れた翼の残骸が、火花を噴いている。

 

巨大な手を振るって殿を吹っ飛ばそうとするサンダルフォンだが、顔面にもう一発大砲の弾を叩き込んでやる。

 

殿が着地。

 

首がへし折れたまま、サンダルフォンが両手を剣に切り替える。

 

形ががしゃがしゃと機械的に音を立てながら変わった。まるで機械のからくりが、変形したかのようだ。

 

そのまま、両腕を、凄まじい速度と圧力で振り回してくる。

 

更には、目から光を放って、辺りを焼き払いに懸かってくる。

 

秀は突貫。

 

妖怪化して、猛烈な一撃をどうにか打ち消す。

 

だが、それで妖怪化は消し飛ばされる。もう殆ど余力はない。それは殿も同じだろうとみた。

 

妖怪を呼び出すのも厳しい。

 

振り下ろされる手刀。秀と、殿にそれぞれ。受けたら死ぬ。だから、敢えて前に出て、内側に。

 

サンダルフォンの両足を、殿と一緒に、交差するようにして両断。

 

倒れながらも、サンダルフォンは目から光を放ってくる。それを殿が、リリィが光の壁で弾く。だが、相殺。吹っ飛ばされて、転がった。

 

足を失いつつも、まだ壊れた人形みたいな動きで、とどめを刺そうと腕を振るい上げるサンダルフォン。

 

だが。既に秀は飛んでいた。

 

元々、妖怪化はあまり使えるものではなかった。

 

強いて言うならとどめの一撃に使うくらいだった。だから、人の姿のまま、この巨大な大天使を屠る。

 

雄叫びとともに、頭に大太刀を叩き込む。ガンと、機械を殴りつけたそのままの音がした。

 

そのまま。一気に斬り下げていく。

 

凄まじい擦過音と火花の中。

 

秀はサンダルフォンを、股下まで斬り下げ。

 

それがとどめとなって、サンダルフォンは倒れ、マグネタイトになって消えていった。

 

「これはしばらくは動けぬな」

 

「回復に専念する」

 

殿とリリィがそれだけ言っている。

 

これは、他に助けにはいけないな。ヨナタンが天使を数体回して、回復を支援してくれる。

 

それだけで充分だった。

 

 

 

霊夢は飛んでくる凄まじい光の圧力に辟易する。

 

相手の攻撃を全回避する必殺の技もあるにはあるが、それはそれ。いつも使える訳でもない。

 

ましてや相手は最強の天使。天使の中の天使メタトロン。

 

あのマーメイドと組んでいると言っても、微塵も手なんて抜ける相手じゃない。

 

幸い弾幕を回避するのは得意だ。メタトロンは巨大な姿形をしているが、その性質は暴そのもの。

 

天界におけるサタンの姿なんて言われる事もある存在だ。

 

多数の神の敵対者を串刺しにして喜ぶなんて逸話もあるほど。

 

一神教は、様々な他の信仰を取り込んで大きくなっていった。ユダヤ教の頃から、それはそう。キリスト教になっても、イスラム教になっても。

 

その中で、汚れ仕事をする天使をどんどん堕天使のレッテルを貼って悪魔にしていったのだが。

 

メタトロンは残虐非道の逸話があるにも関わらず、ずっと大天使であった不可解な存在である。

 

その圧倒的な強さが貴ばれたのか。

 

信仰を集めた四大天使の影に隠れたのか。

 

それとも。

 

実際にはこれこそが、本来の四文字の神の姿なのか。

 

三位一体説の父と子と聖霊の名においての聖霊とは、ミカエルではなく実際にはメタトロンではないのか。

 

そうとさえ、霊夢は間近でみて思う。

 

アブディエルに壊滅させられた幻想郷だが。

 

もし此奴が出て来たら、壊滅どころか消滅していただろう。そうとさえ思う。

 

地獄の女神と復讐の仙霊を同時に相手にして圧倒していたアブディエルでさえ、まだ優しかったのだ。

 

凄まじい弾幕をどうにか回避しながら、霊夢は何度もひやりとした。

 

殺し合いとしての弾幕。

 

弾幕ごっこなんて遊びに乗ってこなかったアブディエルとは別の意味で違う。

 

此奴は、殺すためにどれだけでも手数を増やす手合いだ。そしてその殺意は、今まで相手をした何者よりも上である。

 

マーメイドが、多数の冷気魔術を一斉に浴びせかける。メタトロンは平然とそれを防ぎ抜く。

 

マーメイドの冷気は、生半可な熱じゃ防げない。

 

だがメタトロンは、見た所あらゆる攻撃を、呪い以外は全て平然と半減する力を持っているようだ。

 

呪いですら決定打にはならないようである。

 

まったく、とんでもない相手だ。

 

そういう能力と言う事だろう。

 

他の皆が戦っている大天使だって、楽な相手じゃない。それに、わらわらと仕掛けている天使達も、たまに霊夢に仕掛けて来る。全てその場で針や札を叩き込んで粉砕するが。それも決して楽な相手ではなかった。

 

メタトロンが口を開く。

 

まずい。

 

マーメイドが、顔面に巨大な氷塊を叩き込む。

 

メタトロンは五月蠅そうにそれを手で弾く。マーメイドの力も回復して来ているようだが、それでも瞬時に砕かれる。

 

氷の欠片が砕けて飛び散る中。

 

霊夢はメタトロンの至近に出て。

 

そして、神降ろし。

 

やりたくは無かったが、降ろしたのはアマツミカボシだ。

 

凄まじい呪いの力を、真正面から叩き込んでやる。流石に顔面、目にも口にもあのアマツミカボシの槍を叩き込まれて、メタトロンも呻きながらよろめく。霊夢は飛び離れる。即座に巨大な手が来て、掴みに来る。掴まれるのは防いだが、擦っただけで吹っ飛ばされて。意識が一瞬吹っ飛んだ。

 

空中で立て直すが、あれはまずい。

 

メタトロンが非人間的な動きで起き上がると、傷だらけになった顔の装甲が剥がれる。その下には、やはり機械仕掛けの顔があった。

 

「相手を恐るべき神霊と認識。 殺戮形態に変化する」

 

「気を付けて! まだまだ出力が上がるよ!」

 

「そのようね……!」

 

メタトロンの逸話に、四大天使でもどうにも出来なかった相手を、あっさり倒したというものがある。

 

それほどの強さと言う事だ。

 

光の魔術は使っても回復させるだけだろう。針をありったけ叩き込みながら、高速で飛ぶ。メタトロンはその翼を展開して、六枚に増やす。全身の装甲が内側から吹っ飛ぶと、威圧的な赤黒いものとなった。

 

そして、一瞬で後ろをとってくる。

 

まずい。

 

尋常じゃ無い死の臭い。全力で回避する。拳を振り下ろしてくるメタトロン。空間ごと抉り取りにきた。

 

あれは恐らくだけれども、空間転移しても。その空間ごと抉られて即死するだろう。移動速度も尋常じゃない。

 

マーメイドが自身も全力で移動しながら、大量の氷の槍を展開。飽和攻撃を続けるが、メタトロンはその全てをかき消してしまう。

 

違うな、あれは。

 

近付いたものを、空間ごと粉砕しているんだ。

 

とんでもない力だ。

 

だが、あんな事をしていて、長時間戦えるとも思わない。

 

それにだ。

 

この形態は、攻撃力に全力を振ったものだ。だったら。

 

ぱんと手を合わせて、神降ろしに入る。降ろすのだったら、最強の存在しか無い。前だったら、降ろしたら数日は動けなくなっただろう。だが、今だったら。

 

マーメイドが援護してくれる。

 

メタトロンが放った強烈な光の波動が、辺りを滅茶苦茶に破壊する。天使も相当数巻き込んでいるが、お構いなしだ。

 

本当に天界の殺戮兵器なんだな。

 

そう思って、むしろ霊夢は呆れていた。

 

化け物を通り越して。

 

これはただの、挽肉製造器か何かだ。

 

武神というのは、どの神話でも荒々しいものである。凶暴を通り越して、ただ残虐なだけの事もある。

 

そういったもののなかで、もっとも危険な要素だけを抽出したのが、あの大天使。

 

だからこそに、霊夢は王道で行かせて貰う。

 

全力を展開する。

 

攻撃の余波が何度も擦る。その度に翻弄され、吹き飛ばされ。だが、それでも態勢を立て直す。

 

そして、ついに呼び出す。

 

天照大神を。

 

力が満ちる。

 

以前、これを呼び出したあの月の姉妹の女神。神降ろしの神は、それこそ霊夢と同格の相手を瞬殺していた。手加減つきで、である。

 

力が抜ける。

 

これは、一瞬で勝負を付けないとまずいな。

 

そう判断しながら、メタトロンへと突貫。メタトロンは、霊夢を脅威認定したのだろう。

 

空間を歪め削り取る力で、文字通り周囲全てから押し潰しに掛かって来ていた。

 

それを、天照大神の力で、文字通り中和する。

 

一瞬の均衡。

 

メタトロンが、明らかに全力を出したその瞬間。

 

その脇腹に、ガンと何かが音を立てて叩き込まれていた。

 

ドクターヘルが、携行式のレールガンを叩き込んだのである。それも一発だけじゃない。連発式のものだ。

 

ぐらりとメタトロンが揺れる。

 

同時に霊夢は、空間破壊を押しのけて。メタトロンに迫る。メタトロンが口を開けて、恐らく破壊の力のこもった声を叩き付けようとしたのだろう。

 

だが、第二の矢。

 

マーメイドが放った、渾身の氷の錐が。メタトロンを背中から貫き。腹へ抜いていた。

 

大量のオイルのような血が、メタトロンからあふれ出る。悲鳴を上げながらメタトロンは、錐を抜こうとする。

 

だが、最後の力を振り絞り。霊夢は神降ろしを切り替え。日本神話最強の剛力神、天手力男神を降ろす。

 

そして、メタトロンの頭を掴むと。

 

そのまま、裂帛の気合とともに、ねじ切っていた。

 

着地。

 

どんと地面に落ちたメタトロンの頭が、呪詛を吐き出す。

 

「偉大なる唯一絶対の神に仇なすものよ。 七代先まで呪われ続けると知れ」

 

「神はどれもそうだけれど唯一絶対なんかじゃあない。 そもそもあんたの神はバアルの影響を受け、アフラマズダの影響を受け、太陽神系統の神々の影響も受けた存在。 最初の神でもなければ、絶対の存在でもない。 バカに分かりやすい全肯定と全否定の理を採用してそれで信者を増やしただけのさもしい存在よ」

 

「う、うごぐ、おのれ、おのれ神を其処まで汚すか!」

 

「あんた達が他の神をデーモンだのいって汚さなければ、そこまでいう必要はなかったのだけれどもね。 そのデーモンという概念でさえ、ギリシャ神話から取り込んだものでしょうが」

 

冷静に指摘すると、無念そうに口をぱくぱくさせながらメタトロンはマグネタイトになって消えていった。

 

呼吸を整える。

 

意識が飛びそうだが、どうにかなった。

 

ヨナタンの天使達が来て、回復の術を展開してくれる。それで多少は楽になる。

 

見ると、丁度殿と秀がサンダルフォンを。

 

フリンがガブリエルを撃ち倒したところだった。

 

そして、ワルター、ヨナタン、イザボーの三人も、多数の大天使達を撃ち倒したところだった。

 

ただ、まだ領域が消えていない。

 

まだ何か控えているのか。

 

そう思ったところで、領域が消え始める。やっとか。座り込んで、ドクターヘルが運んできた輜重を漁る。

 

スポーツドリンクが冷えていて、とても助かった。

 

流石にこの状況で酒を口にするほど、霊夢もバカじゃあない。まだ何か控えていても、不思議ではないのだから。

 

殿が来る。

 

リリィがボロボロで、かなり手傷を受けていた。自力で回復しているようだが、相手はサンダルフォンだったのだ。

 

余裕はあまり無さそうである。

 

「各々無事か」

 

「問題ないッスよ」

 

「此方は大丈夫です。 ただ、天使達の消耗が激しい。 今、回復の魔術をどうにかします」

 

「僕も大丈夫」

 

フリンが苦笑いしながら挙手する。

 

周囲は、岩肌の洞窟になっている。雑多な悪魔がこわごわ此方を伺っていた。

 

此処が、本来の奈落なのだろう。

 

どうやら、神の宮殿を気取っていた領域を突破し。

 

後は、東のミカド国へ上がるだけのようだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。