最後の戦いが終わり、少しずつ、確実に時間が過ぎていきます。
そして、やるべき事をやり終えた霊夢は、やっと故郷に……幻想郷に戻る事になります。
霊夢は毎日神殿を作り、それに神々を祀り続ける。同時に東京で神職と巫女を育成しなければならない。
術に関しても、覚えたいという人間がたくさんいる。
大半は悪魔や神々に指導を任せてしまうが。
それでも、どうしても霊夢が出なければならない事もある。
しばらくは、幻想郷にはたまの帰省という形でしか戻れない。
大天使たちとの戦いで、幻想郷は大きなダメージを受けた。賢者も半減してしまった。
そういう事もあって、里帰りしたときは喜ばれたし。
死後は賢者になって欲しいとも頼まれた。
幻想郷は人も減ってしまった。
人里は壊滅的な打撃を受けて。今も復興の目処が立っていない。
東京だってそれは同じ。
東のミカド国も、人が余っている状態ではない。
それもあって、当面幻想郷で人が戻る事は無いし。
それで妖怪や神々が栄えることもない。
しばらくは苦しい時代が続くのは分かっている。霊夢としても、今は人間全体の事を考え。
幻想郷の神や妖怪が、それで力を取り戻すことを考えなければならなかった。
少しずつ、東京から出て遠出する日が増えている。
彼方此方にある正円系の湖。
核ミサイルというのが直撃した跡だ。
核の力を使う奴は幻想郷にもいたのだが。それは太陽神であるヤタガラスの力を借りて為していたこと。
逆に言うと。
それですら、幻想郷でも上位に食い込む実力だった。
これらの円形の湖の巨大さ。
その周囲ではまだ荒野が拡がっている場所もあること。
それらを考えると、そら恐ろしくなる。
ドクターヘルは、こんな核兵器などまだまだと笑っていたが。あの爺さんはやはり危険人物である。
これを見て、ブレーキを掛けられないような奴らが蔓延っていたから。
大天使がそう指嗾したとは言え。
世界中が焼き払われたのは、間違いの無い処なのだから。
ともかく、ガイガーカウンターというので調べる。ドクターヘルが作ってくれた、危険を排除するためのものだ。一種の毒が出ていて、それの危険性を測れるらしい。
それらを使って問題が無い地点に、未来に集落が出来る事を見越して、神殿を作る。
悪魔達の力も借り。
土建屋だった人達にも出て貰い。
機械も出す。
機械類も、大戦の前からあったものや。最近作られたものが雑多に混じっている。時間の流れが加速させられていた東のミカド国とその周辺を除くと。少し離れると、まだまだ朽ち果てた機械が残っていて。見つける度に大喜びでドクターヘルが飛んでくる。
土建屋達も。
ドクターヘルも。
後続の育成に忙しい。
今は各地の駅の地下に篭もって、腐った肉や野菜屑を囓っていた時代が終わった。シェルターから新鮮な野菜や肉が供給されるようになり。更には東のミカド国との貿易も正式に開始された。
カジュアリティーズの中には、東京に移り住むものが出始めている。
東京から東のミカド国に出向く人間もいる。
主に技術指導のためだが。
そっちはまだまだ、居着く人間はいないようだ。
かなり遠出した。
あまり遠くには行くなと殿に言われている。まだまだ人の数は足りていない。拡がりすぎると、ろくでもないことになると。
分かっている。
この辺りをしばらくは境界にしておくべきだろう。
声を掛けて、戻る。
戻る途中で、大きな……小山のような船が、座礁しているのを見た。一緒に来ていた年配の人外ハンターが言う。
「空母だ……」
「なにそれ」
「飛行機をたくさん乗せて海上を移動する船だ。 大戦の頃は飛行機が最強の兵器で、それを海のどこからでも展開出来る空母は、最強の船だったんだ」
「そう……」
恐らく核兵器とやらの直撃を受けたのだろう。
その最強の船は、大きくえぐれて、半ば倒れるようにして海岸線にあった。乗っていた人はひとたまりもなかっただろう。
ガイガーカウンターが、時々危険な数字を示す。
これはもう、年月が経過して、浄化されるのを待つしかないらしい。
東のミカド国から地平線の範囲くらいまでは、時間の流れが加速されていたこともあって、放射能とかいう毒は中和されているそうなのだが。
この辺りは既にそれらの範囲から外れていて。
油断すると、危険な放射能をもろに浴びることになる。
警戒しながら動かなければならなかった。
もう少し秀に残って欲しかったな。
そう思うが。
地獄が満員で、一人でも秀みたいな人員が欲しいと、霊夢も知っている閻魔の一人に泣きつかれたのだ。
膨大な魂が輪廻すらできない状態で地獄にいるのは、確かに好ましい事ではない。
霊夢としても、それを思うと、秀には地獄に行って貰うしかなかった。
彼方此方を移動して、疲れた。
酒を入れていると、来客だ。
シェルターの一室をすっかり自分の部屋にしている霊夢は。いるわよと、若干機嫌が悪く応える。
部屋に入ってきたのは、鍛えている巫女の一人だった。
「霊夢さん、知り合いだという悪魔が……」
「あたしの?」
「はい。 どう対応したものか分からなくて」
「分かった、行くわ」
軽く水を飲んで、それでシェルターを出る。
人外ハンターが銃を向けている中で、困惑しているその姿には、覚えがあった。
「あんた、ルーミア!」
「久しぶり」
金髪の幼子に見える妖怪。
闇を操るという凄そうな能力を持っているが、実際には光を遮るだけで。しかも能力を使っているときは自分も周囲を見る事が出来ないという。能力も弱く、妖怪としても弱い。幻想郷でも最弱に近い妖怪である。
ただそれでも舐められないように、人を食うとか色々な話が盛られて、人里では怖れられるようにされていた。
幻想郷では。妖怪が人間に舐められる事は、それ自体が死につながるからだ。
ただ、驚いたのには理由が幾つかある。
一つはルーミアは戦死者の一人だった事。
文字通り手も足も出ず、天使にゴミのように殺された。ただしルーミアが殺されている間に、里の子供が数人助かったのだ。
もう一つは幻想郷の外に出ていること。
そもそも幻想郷の外では失伝してしまったような弱小妖怪が、幻想郷には集まっていたのである。
色々と思うところはある。
人里での凶悪な噂とは裏腹に、別にルーミアは人を食うようなことはなかったし(少なくともここ数百年は)。
何よりも、友だと思った事はないが、殺されて良い気分がしたわけではない。
自室に案内する。
「悪魔」である事を示すように(妖怪だが)ふわふわと浮いて移動するルーミアだが。霊夢の知り合いと言う事で、人外ハンターも敵意を収めたようだった。
酔いも醒めてしまった。
自室で、咳払いする。
「あんた、どうして」
「よく分からないけれど、賢者の一人が蘇らせてくれた」
「……あいつかな」
マタラ神。幻想郷での名前は摩多羅隠岐奈。
絶対秘神と言われる程、伝承が錯綜している訳が分からない神。幻想郷の賢者の中でも龍神に次ぐ実力者。
妖怪をその気になれば自在に作り出す事ができる事が分かっており。その性格が陰湿なこともあって、本格的に動き出してからは霊夢も随分振り回された記憶がある。
ルーミアは人間を適度に怖がらせ、いても害にならない妖怪として判断されたのかも知れない。
「外に出て大丈夫? あんた、伝承なんてもう……」
「平気。 多分賢者が大丈夫なように調整してくれたんだと思う」
「そうか……」
「それよりも伝言頼まれてる。 ただ、外に出ても大丈夫ではあっても、やっぱり力は出ないから、出来るだけ急いで帰りたい」
手紙を受け取る。
幻想郷でもあまり状態が良くないか。ただ霊夢としても、正直あまり手を外せる状態ではない。
何度か戻って。賢者達に四文字の神を座から蹴り落とした話はした。
それから、何とか綺麗にされている自宅である博麗神社の掃除くらいはした。自分でも掃除をしないと落ち着かないからだ。
ただ、それでも。
幻想郷に巫女がいない事は、余り好ましい事ではないのだ。
このままだと、年単位で幻想郷から巫女がいない状態になる。ルーミアが寄越されたのは仕方がないのかも知れない。
フジワラに話しに行く。
ルーミアがお土産といって、幻想郷の地酒をフジワラに渡していた。随分とそれは喜ばれていた。
霊夢も驚いた。
人里も妖怪も壊滅的なダメージを受けた幻想郷だ。そもそも外からものが流れ着く事もなくなった。
外がなくなったのだから。
だから、地酒なんて造れるんだと、それだけで感動した。
戻る意味が、もう一つ出来たかもしれない。
「ありがとう、可愛らしい妖怪のお嬢さん。 有り難く飲ませていただくよ」
「霊夢を客として歓迎してくれて幻想郷を代表して礼を言わせて貰う。 此方としても、決死の賭だった」
「ああ、本当に頼りになった。 彼女がいなければ、もっと酷い事になっていただろうからね」
「……」
ルーミア、少し性格が変わったな。
だがそれは、仕方が無い事なのだろう。殺されて、それで蘇ったのだとすれば。完全に元には戻れまい。妖怪だってあの世に行く事は知っている。もとのルーミアはきっとあの世にいって。その記憶や妖怪としての要素だけ抽出した存在が今のルーミアなのだろう。
いずれにしても、数日幻想郷に戻る事で話がつく。
幸い、今は霊夢がずっと貼り付いていないと厳しい状態は終わっている。神殿への分祀や合祀も、神々も数日くらいは待てるだろうし。
ワルターがどうにも出来ないような悪魔が出ても、フリンが出てくれば対応できる筈だ。
ルーミアが、作られた空間の穴に先に消える。
霊夢もフジワラに一礼すると、その後を追っていた。
戻ったのは何度目かだが。幻想郷で、じっと変わり果てた光景を見やる。
高位の悪魔は核攻撃並みの魔術を容易に扱う。それが大天使となればなおさらだ。
博麗神社から見下ろす人里は、凄まじい爆撃の後でえぐれてしまっている。人間も大半が死んだ。
彼方此方も廃墟だらけだ。
雑多な妖怪すら殺されて、随分と静かになってしまった。
博麗神社も大きくダメージを受けたが、どうにかある程度再建したようである。
ルーミアが手を振って、ふよふよと麓に消えていく。
こちらでは、悪魔が人間と協力して復興とはいかない。
妖怪は人間に怖れられていないと、あっと言う間に消滅してしまう。
たまに高位の妖怪が人間と交流するのはありだ。
だが、人間と共同で里の復興なんてやっていたら。いずれ舐められて。消え果ててしまうことになる。
人間に化ける事ができたり。
人間とある程度友好的な関係を構築している妖怪が、復興作業をしているようだが。
その数も限られている。
何より幻想郷の医療を司っていた永遠亭が壊滅した事で、今の幻想郷にはまともな医療もない。
昔はそれでも許されたかも知れないが。
この状態が続くとなると、色々と厳しいだろう。
ルーミアを此方に戻した空間の裂け目、スキマが側に開く。
そして顔を出したのは、賢者の一人。
八雲紫だった。
紫も無事じゃない。
最近は上半身しか姿を見せないが、顔にはまだ包帯を巻いている。下半身も大きなダメージを受けたらしく。車いすで移動しているそうだ。
元々人間型の妖怪ではないとも聞くが。
逆に言うと、人間の形すら、紫ほどの高位妖怪が保てなくなっていることを意味している。
「戻ったわね」
「ええ。 でも外の状態はまだまだ全然よ。 出来るだけ急いで彼方の復興を進めないと、博麗大結界を復興した今でも、幻想郷に未来はないわ」
「分かってる。 此方としても、話を進めていてね。 此方から、野菜や酒、或いは動植物等を譲渡するから、医療品などの輸入を頼みたくてね。 貴方は向こうの人間の代表に顔が利くはず。 頼めるかしら」
まあ、それくらいなら出来るだろう。
それにしても、フリンが東京と東のミカド国の間でやったのと同じ事だな。
フリンも最初、東京と足りない物資同士を交換する事を考えていたし。それもある程度上手く行った。
それで東京の復興に弾みがついた。
そういえば、外では絶滅してしまった動物が幻想郷には逃げ込んでいるのか。
ある程度復興が進んだ後、それらを外に譲渡するべきかも知れない。
幾つか話をして、書状を受け取る。
咳き込む紫。
口を押さえているが、血が。人間のものとは違うけれど、黒い血が漏れていた。体が一部で崩れている。
紫は幻想郷の妖怪の中ですら最強ではなかった。
大天使達との戦いでは、かろうじて生き残ったに過ぎなかった。
まだまだ本調子には遠いのだろう。
霊夢はあまり紫を信用していなかったが。これほど弱っている姿を見ると、少し同情してしまう。
「書状はフジワラに届けておくわ。 後、同じものを増やして東のミカド国のヨナタンと殿にも渡しておく」
「頼むわね。 私が恋した幻想郷は、いつ元に戻るのかしら」
「外のダメージよりはまだマシよ。 あっちは人間が全盛期の数千分の一にまで減ってしまったようだから」
「そうね。 それも、これからは上向きだと思うと、少しは楽かしらね……」
紫にもう寝ろと言うと、霊夢は他の場所も見に行く。
命蓮寺に出向く。
理由は、たくさん墓があるからだ。
人員を失いつつも、どうにか生き残った命蓮寺は。今はせっせと墓を作り。そして、生き延びた人妖を保護している。
此処の人間を超越した住職は幻想郷随一と言って良いほどの善人だ。
霊夢もそれは信用しているので、全て任せても良いくらいだと思っている。
いっそ賢者になってもらうのも有りかも知れない。
霊夢は墓場に出向く。
既に日が傾き始めているが。
今は、雑多な妖怪達にも、きつく達しが出ている。
今は人間が絶滅寸前。代わりもいない。
襲うのは絶対に禁止。ましてや殺したりした場合、賢者から直接制裁が行くから覚悟するようにと。
墓の一つに、霊夢は出向く。
友人だった存在の墓。
友人の墓は幾つもあるが。その中でも、これには先に墓参りしておきたかった。
「戻ったよ」
それだけしか言えない。
しばらく墓の前で立ち尽くし。それで、涙を擦る。
感情が凍ったかとも思ったほどだったのに。
それでも、幻想郷に戻って来て。それで友人の墓の前に出ると、どうしてもこうなるか。
まだまだ人間なんだな。
そして、それは決して恥じる事じゃない。
お供えをすると、その場を離れる。
幾つかの生き残った勢力や賢者のところを回って、やっておくべき事がある。幻想郷も、今後は外と積極的に関わらないと、滅びの道を驀進することになる。
摩多羅隠岐奈の能力で、少しずつ妖怪を復活させる事は出来るかもしれない。
だけれども、そもそも危ういバランスでなり立っていた幻想郷は、そのバランスすら失っているのだ。
数日間忙しく働いた後、生き残りの人妖と打ち合わせをして、また東京に戻る。
しばらくは。これが続きそうである。
東京に戻った後は、まずは手紙をフジワラとヨナタン、殿に引き渡す。
殿はふんと鼻をならした後、手配をしてくれると言う事だった。
あまり妖怪優位の幻想郷に、いい印象がないのかも知れない。
「その結界を解除して、此方に合流してはどうか」
「そうもいかないのよ。 博麗大結界がなくなるだけで消滅する妖怪も多くてね」
「やれやれ、面倒な事だな」
「何かしらの混乱が起きたときには、隔離された場所は必要よ。 貴方なら分かる筈だけれど」
殿は、家康公は。
分かっておるわと言うと、しばし考え込む。
いずれにしても、この人ならそう無体なことはしまい。
それで充分である。
一通り作業が終わったところで、シェルターに戻る。こっちの柔らかいベッドがすっかり気に入ってしまったのは秘密だ。博麗神社が落ち着くのは事実だが、このベッドは向こうに持っていきたい。
疲れが溜まっていたのか。横になると、すぐに眠ってしまう。
霊夢も、もう少し自制が必要なのかも知れない。
そう思った。
夢を見た。
起きだして、溜息が出た。
此方でアブディエルを倒したが。幻想郷での戦いでは、とてもアブディエルに勝ち目なんかなかった。
その時の事を思い出す。
霊夢が殺される可能性は充分にあった。そうなっていたら、博麗大結界は終わりだっただろう。
もう代わりの巫女なんて、探しようがなかったのだから。
平行世界には、そうして幻想郷が滅びてしまったものが幾つでもあったのかも知れない。そう思うとやるせなかった。
トラックが来ていて、壊されていた神社の残骸を運んで行く。今日は八幡神社を復興するのだったか。
八幡は幻想郷でも正体がよく分かっていないが、元は九州の神だったらしいという話を聞いている。
いずれにしても、この国でもっとも信仰を集めた神の一柱。
神社の復興はしておいた方が良いだろう。
今日は修行中の巫女達にも、神を祀る作業の手伝いをして貰う。祝詞などは既に覚えさせた。
後は本番だ。
霊夢もあの幻想郷の惨状を思うと、ずっと此方に居続けるわけには行かない事は分かっている。
或いは、次世代の巫女をこの中から探す事も考えなければならないか。
元々博麗の巫女は、外の世界も含めて探してくるものだった。
古くには博麗家というものがあったらしいが。それも途中で血縁で巫女を出す事はなくなったそうである。
霊夢も外に母親がいたらしいことは知っている。
ただ、外から連れてこられたにしても。
さらってくるようなことは、外の神々との関係からしてなかっただろう。恐らく、ろくな親ではなかったのか。
或いは存在が許されない存在だったのかも知れない。
いずれにしても、霊夢は幻想郷のためにも、東京と人間の復興に、力を貸さなければならない。
幸いなことに。
大戦前、賢者達が嘆いていた外の世界の精神性の貧しさは。これ以降は解消されていくことだろう。
あらゆる信仰が許され。
それらに上下はなくなる。
生け贄などを捧げる悪辣なものは客観性を持つようになった人間が自ら排除していく事だろうから。
神社の建設予定地に着く。
土建屋が組み立てをしていくのを見やりながら、護衛に来ているサムライ衆と人外ハンターが周囲を警戒するように促す。
ワルターが今日は所用でいないのだが、そうするとどうしても気が抜ける。これは良くないなと思っていると、代わりが来た。
「よう霊夢さん。 護衛に来たぜ」
「ナナシ。 助かったわ。 その辺りを見張っておいて」
「任せろ。 今日は確か八幡様だったよな」
「ええ」
ナナシも勉強を続けていて、様々な神々の知識を得ている。今後は人外ハンターの顔役として、東京の人々を引っ張って行くことになるだろう。
八幡神は強力な信仰を得ていた神で、それに神社が復興する事を喜ばない邪神もいるかも知れない。
だから今日は警戒が必要だ。
しばらく、祝詞などの練習をさせていると。気配あり。
「!」
「悪魔を展開! 何か来るぞ!」
ナナシの動きが早い。そしてすぐに人外ハンター達も動いていた。
地面からせり上がってきたのは、これはなんだ。日本神話系の神ではないな。いずれにしても、何処かの邪神だろう。
「さて、あたしはナナシがやれるかを見届けますかね」
ナナシも従えている悪魔の実力も、あの邪神に対して被害を出すほど柔ではない。
それはそれとして、流れ弾が飛んできても平気なように結界を張っておく。
逃げ出さずに側にいろ。
巫女達や土建業者に声を張り上げる。霊夢は立ち上がると、万が一ナナシが破れた時に備えておく。
だが、問題は無さそうだ。
人型すらろくに保てない邪神は、集中攻撃を浴びて見る間に弱って行き。大剣で頭を叩き割られて果てた。
おっしゃあとナナシが叫ぶ。
手を叩いて、霊夢は祝福。
少なくとも霊夢が、悪魔対策に東京中を飛び回らなければならない状態は終わっていると見て良い。
これならば。一年もしないうちに、幻想郷に本格的に戻る日程を組めるかも知れない。
その時には、東京の復興も、軌道に乗っているはずだった。
だいたいどのくらい幻想郷に被害が出たのか。この話では描写してみました。
見ての通りの惨状ですが、それでも霊夢の活躍もあって希望は途切れていません。
ある可能性の幻想郷の未来……ということです。