もう一人の東京守護者   作:dwwyakata@2024

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真女神転生4のフィールドは、飛行アイテムであるアメノトリフネ(シリーズによっては天津神で登場したりしますね)を手に入れるイベントが大変で、最後まで手に入れない人も多いだろう事もあって、移動がとにかく大変ですね。手に入れても降りられる場所が決まっている事もあって扱いづらいですし。更に別平行世界にいけるようになると、クエストとかの処理での大変さが更に増しますね……

レベル差がある悪魔もこっちを避けてくれないので、余計な戦闘になりがちですし。ゲームシステム的にも、事故も起こりやすいですし。

とりあえずフリン達もそんな所で一歩ずつ進み始めます。

そして早速、東京の洗礼を受ける事になります。






2、ケガレビトの里にて

上野だとかいう街に入る。東のミカド国にも同じ名前の場所がある。確かラグジュアリーズが住む貴族街の一角だった筈。

 

其処には巨大な建物の残骸が立ち並び。

 

そして、彼方此方に魔法の文字で色々書かれている。

 

忙しく周囲を見る二人組を、ワルターがしっかり抑えている。腕力でも、二人がかりでもワルターにまるでかなわないようだ。

 

「上野……駅? 駅って何バロウズ」

 

「駅というのは、交通機関の中継地点の事よ。 此処には鉄道という交通システムが通っていて、それで多くの人が出入りしていたの」

 

「だが、これは……」

 

地上部分は凄まじい戦闘の跡。破壊され尽くしている。

 

それだけじゃない。

 

悪魔が多数彷徨いているが、こっちには目もくれていない。我等が土地だといわんばかりに、我が物顔だ。

 

たまに威嚇してくる奴がいるが、僕が視線を合わせると、さっと逃げていく。

 

この辺りの悪魔は、まだ充分に手に負えそうである。

 

どおんと爆発音。

 

ずっと緊張を保っているが、ワルターが聞く。

 

「なんだあ?」

 

「こ、ここでは珍しくないんでさあ。 悪魔どうしの縄張り争いとか、悪魔と人外ハンターがやりあっているのかもな、へへへ」

 

「そうか。 お前等をエサに差し出せば、悪魔は口が軽くなるか?」

 

「や、止めてくれっ! なんでも話すし、逃げねえよ!」

 

一つ気になる事がある。

 

此奴らの荷物を取りあげたときに、赤い玉が出てきたのだ。

 

見るからに禍々しい代物で、しかも赤いのは明らかに血の色だった。

 

それを見て、手持ちの悪魔が露骨に美味しそうだと言った。

 

バロウズが嫌悪感を示し、捨てた方が良いと即座に言ったほどだ。

 

この二人組が、それがないと生きていけないとか泣いて懇願しだしたので、焼き捨てるのは止めたが。

 

逆に言うと、これが此奴ら程度が悪魔だらけの中を歩き回れる秘訣なのか。

 

辺りには、多数の遺物があり、回収もされていない。ただ今の時点では、回収は避けた方が良いだろう。

 

まずは拠点の確保からだ。

 

建物は、どれも悪魔がいる。たたき出してもいいのだが、状況の把握が先だ。

 

人里が悪魔に乗っ取られているのか、それとも人と悪魔が一緒に暮らせているのか。

 

いや、それはないだろう。

 

とても此処の悪魔が、人間と一緒にやっていけるようには思えない。

 

大きめの建物に入ると、嫌な気配がした。

 

ずるりずるりと、濡れた音がする。

 

奥から出て来たのは、とんでもなく長い髪を持つ、ずぶ濡れの女だ。肌の色が死人のそれである。

 

明らかに悪魔だ。

 

「幽鬼濡れ女ね。 本来は海辺で出現する、人間を容赦なく殺して吸血する危険な妖怪よ。 各地に同類の伝承が残っているわ」

 

「お前達……」

 

「!」

 

話しかけて来た。

 

濡れ女とやらの髪の毛が、その近くへと寄り集まっていく。

 

複数の触手のようになって、明らかに臨戦態勢だ。にやりと濡れ女の口が歪んだ。

 

「赤玉を持っているようだね。 おくれ……」

 

「この赤い奴?」

 

「そうだよそうだよ。 とても美味しいんだそれ」

 

「……これは一体何?」

 

濡れ女は、素足のまま近付いてくる。辺りは尖った石やらだらけだけれど、それで傷ついている様子もないのは、悪魔だからだろう。

 

かなり強力な悪魔だ。

 

全員が身構える中、手を拡げる。

 

「正体は私も知らないねえ。 だけれども、人間の恐れや哀しみ、痛みや苦しみといった感情が詰め込まれているんだ。 それに、人間の味もする。 だからとても美味しいんだよ……」

 

「へえ……」

 

「くれるのかい?」

 

「此奴らだったらくれてやってもいいが?」

 

ワルターがひょいと二人まとめてぶら下げると、二人はきゃーっとか面白い悲鳴を上げた後、泡を吹いて動かなくなった。

 

ころころと笑う濡れ女。

 

「幾つか話を聞かせて貰いたい。 僕達は、ここに来たばかりなんだ」

 

「おや、新入りかい? そういえば、人間共のなかでは阿修羅会だとかいう連中と同じくらい身ぎれいだね」

 

「此処は東京と呼ばれる土地で間違いないのか」

 

「……あんた達、本当にどこから来た。 ひょっとして、「上」じゃないだろうね」

 

空気が変わった。

 

濡れ女の髪が、鋭く尖った杭状になる。

 

ワルターが気絶しているでくの坊二人を放り投げる。僕も槍を構えていた。

 

「あのなんでもかんでも殺し尽くして焼き尽くしていった天使どもは、人間だけじゃなくて我々の伝承も姿すらも奪った! だから残りの人間も少ないのに、こうして人間を襲い続けなければならないんだ! 人間を殺し尽くしてしまったら、我々も、神々さえも、何も残らない! それなのに! 獣同然になってしまった奴らもいる! その哀しみが分かるか!」

 

「戦うつもりなら受けて立つ。 多分僕達はその上から来た。 だけれども、僕達にも事情がさっぱりなんだ」

 

「やっぱりそうか! 殺してやる!」

 

立て続けに、髪で作られた杭が襲いかかってくる。

 

牙の槍で弾くが、重い。

 

それだけではない。

 

凄まじい絶叫を濡れ女が張り上げると、辺りの悪魔が集まって来たようだった。

 

「天使だ! みんな、あいつらがまた来たよ!」

 

「なんだと!」

 

「くそ、やられてたまるか! 先にぶっ殺してやる!」

 

「かかれっ!」

 

何処にこんなにいたんだという程、悪魔が出てくる。だが、これらを制圧すれば、少しは周囲が安全になるか。

 

僕は立て続けに叩き込まれる濡れ女の髪の杭を牙の槍で弾き、足下を狙って来た一撃を踏みつけて拘束。

 

「後ろ、任せた!」

 

「おう!」

 

「いきたまえっ!」

 

「簡単に倒されはしませんわよ!」

 

頷くと、踏み出す。少し高い所にいる濡れ女が、口を開くと何か放ってきた。鋭い一撃。水か。

 

僕は紙一重でかわす。後方の床が、雑魚悪魔もろともざっくりと抉られていた。

 

立て続けに放ってくる水の刃。

 

それだけではなく、四方八方から髪の毛の杭が襲ってくる。なるほど、直線攻撃と、曲線攻撃の飽和攻撃を連携させる戦術。

 

だが、これは経験がある。

 

色々な引退サムライに武芸を習っていたとき、鎖がまという武器について習った。覚えるのではなく、こういう戦い方をして来るという実演をしてもらったのだ。

 

それに比べて手数は多いが、基本は同じだ。僕は一気に踏みこむと加速。濡れ女が、一斉に包み込んでくるが。

 

地面を蹴り砕きながら跳ぶ。

 

そして天井に。

 

天井を蹴って柱に。

 

速度を上げる。僕がいた地点を、髪の杭が、水の刃が抉る。だが、その髪を、不意に出現した悪魔が掴む。

 

僕の手持ちの一つ、妖精スプリガンだ。

 

何度も交戦した事があるごつい強力な悪魔だが。この間手持ちに加えたのである。一体くらい、僕以外のインファイターがいてもいいかと思っての判断だった。

 

スプリガンの力は凄まじく。髪を引っ張られて態勢を崩した濡れ女が、スプリガンに水の刃を叩き込もうとしたが。その時には、僕が距離をゼロに詰めていた。

 

濡れ女の目が、恐怖に歪むが。

 

その全身に突きを叩き込むと、悲鳴を上げながら、濡れ女が髪の毛の束になっていき、そして消えて爆ぜる。

 

マグネタイトをかなりの量ばらまいたが、それでおしまいだ。

 

皆は。

 

まだ乱戦。上を取った僕は、悪魔をありったけ呼び出すと、高所から攻撃魔術で支援を指示。

 

僕自身は突っ込む。

 

そして、しばらく無心に、目につく悪魔を倒し続けた。

 

 

 

流石に息が切れた。悪魔をありったけ倒して、それで逃げていく悪魔の背にも魔術を浴びせて、出来るだけ始末した。

 

ワルターも傷だらけで、座り込んでいる所をヨナタンの天使が回復させている。イザボーは、なんだか綺麗な女性の悪魔を呼び出していた。

 

ヨナタンは無言。

 

イザボーは魔術を使いすぎたからか、地面に横になって休んでいる。魔術を使いすぎると、精神を著しく消耗するのだ。汚い地面だが、仕方がない。

 

あの二人組は、隅っこで抱き合ってブルブル震えていた。

 

僕が見ると、ひっと声を上げる。

 

「あ、あんたら本当になにもんだ!」

 

「やっぱり天使なのか!」

 

「訳わからねえこと言いやがって。 天使だったらそこにいるが、俺たちは人間だ」

 

「くそっ! なんなんだよ!」

 

喚く二人組。

 

縄もいつの間にか解いたらしい。僕も疲れているので、あまり相手にしたくはないのだが。

 

人の気配。

 

皆ちょっと厳しい状態なので、僕が立ち上がる。

 

そうすると、この巨大な建物を覗きに来たのは、数人の武装した人間だった。

 

酷い格好だ。

 

服はぼろぼろ、無精髭はそのまま。異臭が此処までするほど酷い汚れた格好に、明らかに栄養が足りていない。持っている武器も錆びだらけ、傷だらけだ。悪魔を引き連れているが、そいつらはそれなりに強そうである。

 

「此処で激しい戦いがあったようだが……何があったんだ。 君達が何かと戦ったのか」

 

「今度は話が通じる人間だといいなあ、オイ」

 

「ワルター。 すみません。 僕はヨナタン、彼はワルター、彼女はイザボー。 彼女は背丈は低いが優れた豪傑であるフリン。 僕達は東のミカド国から来たサムライ衆の者です。 貴方方は?」

 

「東のミカド国……?」

 

ヨナタンの言葉に困惑した様子の武装した人間達。

 

見ると、見かけの僕の年齢くらいの子供もいる。つまり、子供も戦わないといけないくらい状態が厳しいと言う事だ。

 

「妖精達が集落を作って国だって言っているって聞く。 其処のことか?」

 

「いや、それにしては格好がしっかりしすぎている。 どうも妙だが」

 

「こっちは素性を名乗ったんだ。 あんたらも名乗ったらどうだ」

 

苛立つワルター。阿修羅会だとかいう二人組と違って、それを聞いて流石に非礼を悟ったらしい。

 

武装した者達の先頭にいた男が、態度を改めた。

 

「すまない。 我々は人外ハンター協会の者だ。 俺は人外ハンターのニッカリ。 錦糸町にて普段は暮らしているが、今回は上野に遠征してきている。 上野で若いハンターの演習につきあうところだったのだが、いきなり大乱戦が始まったのを察してな」

 

「人外ハンター? そこで捕まえた阿修羅会だとかいうのとは関係がないのか」

 

「本当に君達は何者だ。 阿修羅会の人間を苦もなく捕らえたのか。 使役悪魔は。 そもそもこのビルは凶悪な悪魔幽鬼濡れ女の巣だった筈だが」

 

「そいつだったらやっつけたよ」

 

絶句するニッカリという人。

 

ひそひそと話している他の戦士を、咳払いで黙らせる。

 

そして、幾つか交渉してきた。

 

まず其処で震え上がっている阿修羅会の二人は、ニッカリの方で引き取る。

 

伝手があるらしく、何より色々話を聞かされる。

 

「阿修羅会はこの辺りにある大勢力だ。 君達がいきなり敵対すると、組織的に襲ってくる可能性がある。 来たばかりだというのであれば、状況を敢えて複雑にしてしまった方が良いだろう。 私の方から、阿修羅会とやりあっている集団に引き渡してしまうよ」

 

「どうする?」

 

「……他にも話を聞かせて。 人外ハンターとはなに?」

 

「人外ハンターは、有志で悪魔と戦う集団だ。 元は悪魔討伐隊という組織だったのだが、それが崩壊してしまってからは、人外ハンターと名を変えて活動している。 今は再建を進めていて、ここしばらくは手が届くようにようやくなりはじめたところだ」

 

嘘は言っていないな。

 

とりあえず疲れたし、そこのでくの坊二人からはロクな情報も聞き出せそうにない。

 

僕は呼び出した妖鳥コカクチョウに、二人組に眠りの魔術を掛けさせる。元々死産した女性が悪魔化したものだ。眠りの魔術は、本来は子供を寝かしつけたかった無念の現れらしく、容易に使いこなす。

 

完全に寝こけた二人を縛り直すと、ニッカリという人物の指示で、人外ハンターという連中が連れて行く。

 

国会議事堂近くがどうとか言っていた。

 

まあ、あれから得られる情報は他に無さそうである。

 

「逆に話を聞きたいが、君達は本当にどこから来た。 東のミカド国とはなんだ」

 

「此処から物理的に上にある国……というと襲ってくるのかな」

 

「!」

 

「っ」

 

一気に場が緊張するが、ニッカリが先に銃を下ろした。

 

僕も、それで槍を降ろす。

 

皆疲れきっている。

 

今、戦闘するのは避けたかった。

 

「もしもそれが本当なら、国会議事堂近くのシェルターに来て欲しい。 そこで、私達のリーダーであるフジワラと話をしてほしいんだ」

 

「フジワラさんという方がリーダーですの?」

 

「ああ、伝説的な三人の英雄の一人だ。 かなりの年配だが、僕達の不動の長だよ」

 

そうか。

 

確かにその人と話せるなら話が早い。

 

僕は頷くと、まずは上野とやらを案内して欲しいと頼む。それと、休憩できる地点を知りたかった。

 

 

 

上野というのは、さっきバロウズが言っていた駅をそのまま集落にしている空間らしい。

 

地下に降りて行って、そして入口を固めている武装した男達にニッカリが話をして。中に入れてくれる。

 

狭い街だ。

 

そして、これなら確かに多数の悪魔が一気に入ってくる事は出来ないだろう。

 

守りには長けていると言える。

 

逆に言うと、こんなところで隠れて暮らすしかない状態、とも言えるだろう。

 

子供が歩いているが、僕達を見て明らかに怖れているのが分かった。よそ者というよりも、格好がまずいのだろう。

 

みんな酷く貧しく、不衛生だ。

 

道ばたに多数汚物が転がっている。

 

それだけじゃない。

 

襤褸に身を包んだ人が、身を寄せ合っているのが分かる。酷い臭いで、まともな状態ではない。

 

ただ地下でも明るい。

 

光を放つ長い棒みたいなのが配置されていて、それが灯りを作り出している。

 

ランタンにしては火が見えない。

 

「君達と情報交換をしたいが、同時に頼みたい事がある」

 

「今の時点では、僕達もろくに身動きが取れないからいいよ。 こんな状態の人達を見て、何もしないような人でなしでもないし」

 

「そうか、それは助かる。 人外ハンターに登録して貰えないだろうか」

 

「詳しく」

 

何かの空間に出た。少し狭いが、それでも充分に休める。他にも何人か休んでいる人間がいたが。いずれも餓えに苦しんでいる様子がわかった。

 

持ち込んでいる保存食を食べる。おにぎりは日持ちしないと思ったので、燻製肉を持ち込んでいるのだが。

 

それを見て、周囲が明らかに羨ましそうにする。

 

ニッカリが、さっき仕留めてきた悪魔肉があって支給するというと、その人達は皆そそくさと行った。

 

イザボーが悲しそうに目を伏せる。

 

「酷い状態ですわね。 こんな状態では、病気が流行ったり、病気になったら助からないのでは」

 

「その通りだ。 その上劣悪な装備で悪魔と戦わなければならない。 元々いたような動物はほとんど食べ尽くしてしまっていてね。 倒せば肉が残るような悪魔を、犠牲覚悟で倒すしかないんだ」

 

ただ、それでも状況は少しずつ改善しているという。

 

咳払いされた。

 

本題に入るのだろう。僕も燻製肉をかじり、体力を戻しながら聞く。

 

「人外ハンターは互助組織で、特に入るのに資格は無い。 登録して、それから様々な依頼を受けてくれればそれでいい。 悪魔退治から物資の回収まで仕事は色々だ。 今、動ける人間は一人でも必要な状態でね」

 

「ああ、見ていてそれは理解できます。 貴方も年齢的には本来は戦士を引退する頃合いでは」

 

「そうだね。 だけれども、とても引退できる状態ではないんだ」

 

「地獄かよ。 いや、ミノタウルスの野郎が地獄だって言っていたな」

 

ワルターが呻く。

 

ワルターは悪人を気取った言動を取るが、しかしながら暴力を振るって楽しむ輩でもない。

 

故にヨナタンともイザボーとも、勿論僕ともやっていけるのだ。

 

「君達は彼処に巣くっていた濡れ女を倒してくれた。 まずはそれで依頼を受けて欲しい。 上野にいる人外ハンターでは手に負えなかった強敵だ。 相応の報酬も出るだろう」

 

「悪い話じゃないな」

 

「同感だ。 互いに知る事から始めないといけないだろう」

 

「フリン、どうします。 判断は任せますわ」

 

僕は少し考え込んだが。

 

実際問題、此処の事は分からないことだらけだ。

 

ならばこっちから譲歩しなければ話にならないだろう。

 

「分かった。 受けるよ。 ただし、僕達はあくまで東のミカド国のサムライ衆であって、それ以上でも以下でもない。 人外ハンターとしての仕事を、サムライ衆としての任務には優先できない。 それでいいのなら」

 

「ああ、それで問題ない。 歓迎するよ、サムライ衆のみなさん。 侍というと、この国の古い戦士階級の事なのだけれど……偶然なのかな」

 

「実は、地名などが東のミカド国と極めて酷似しているんです。 これから調べて見ないと、なんとも言えませんね」

 

「……」

 

休憩終わり。案内して貰う。

 

通路は複雑に入り組んでいて、バロウズがきっちり登録してくれていないと確実に迷いそうだ。

 

それだけじゃない。

 

一部の通路には、普通に悪魔がいて、なにか肉をかじっているし。その側で、無気力そうな人がぐったりしている。

 

即座に悪魔を叩き潰す。

 

無気力そうな人に回復の魔術を掛けるが、これは心がまずやられてしまっている。体を回復させても、悲しそうに涙を流すばかりだった。

 

これが、ケガレビトの里の有様か。

 

どうやらあの黒いサムライ……恐らくリリスだろう存在は、此処を完全に支配できている訳ではなさそうだ。

 

まずは顔役であるというフジワラという人物と顔合わせした方が良いだろう。

 

「先にこの街に入り込んでいる悪魔を全部駆除した方が良さそうだね……」

 

「倒しても倒してもきりがなくて、人外ハンター達も諦めてしまっている。 もしも出来るだけ駆逐してくれるのなら助かるよ」

 

案内された先は、なんというか、もの凄い色彩で絵が描かれている扉だった。

 

中に入るとぎんぎんぎらぎらの光が飛び交っていて、もの凄い音が鳴っている。ひゅうとワルターが嬉しそうなのに対して、イザボーは即時で絶句していた。

 

まずは、案内された先にいる、ごっついおじさんと話す。登録をするのは、ニッカリが斡旋してくれるとすぐだった。

 

というか、手続きはバロウズが即時でやってくれる。

 

仕事については、以降バロウズが自動で探してくれるそうだ。

 

濡れ女の討伐については、あのビルからいなくなっているのをニッカリが保証してくれたので、即座に報酬が出た。

 

報酬と言ってもマッカ。

 

こっちでもマッカが流通しているのか。ちょっと不思議な気分である。

 

とにかく五月蠅いハンター協会というのを出ると、ニッカリがお別れだと言った。

 

「私はこれから、国会議事堂シェルターを経由して錦糸町に戻る。 仕事をこなしながら、辺りの土地勘を掴んでほしい。 国会議事堂シェルターに来てくれれば話が早い。 歴史の生き証人もいるから、それでだいたいの問題は解決すると思う。 私の方から、フジワラに君達の事は話しておくよ」

 

「分かりました。 感謝します」

 

「ご無事で」

 

僕が礼をすると、敬礼らしいのを返してくる。

 

そして、歴戦で……本来は引退している年だろうニッカリは、数名の同僚とともに戻っていった。

 

さて、まずは。

 

仕事を見るとある。上野の街に入り込んでいる悪魔の始末。これからがいいだろう。少しでも、周りの惨状を解決しておきたい。

 

僕は人でなしになるつもりはない。

 

ただ、それだけの話だ。








例の奴が死んでいる事なども含め(奴に錦糸町が襲われるのは時系列的にもっと後ですが、それ以外にも大物悪魔が多数落ちているのが大きい)、状況が改善している事もあって、ナナシくんの師匠であるニッカリさんが上野まで出張ってきています。

色々と原作のフラグが折れている結果、原作とは違う展開が少しずつ増えていきます。



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