もう一人の東京守護者   作:dwwyakata@2024

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4、違和感

一度東のミカド国に戻る。予想以上に大量の遺物が集まったからだ。食糧を提供する事で、パソコンとやらも手に入れる事ができた。ただ、一度にまとめて運ぶと、ターミナルを移動する時に壊す可能性が高い。

 

非常に精密で、壊れやすいと聞いている。

 

それもあって、四人で分担して、何回かに分けてターミナルを移動して、物資を運ぶ事にした。

 

それで東のミカド国に戻ってきたのだが。

 

妙だ。

 

暑さのピークを越えている。

 

確か、東京へ辿りついた時が、丁度夏の盛りで、暑さのピークに達していたはずだけれども。

 

少し涼しすぎておかしい。

 

小首を傾げながら、後から来たヨナタンの荷物を受け取っておく。そして荷車に分別して並べる。

 

遺物の殆どはまったく正体が分からない。

 

何回か往復して、荷車に一杯荷物を詰め込むと、一旦は酒場に。

 

酒場を経由して、寺院に納品するのだ。

 

その後寺院に呼ばれる。

 

面倒な話だが、とにかくサムライである以上、手順は踏まなければならないのだ。

 

ウーゴが山ほど遺物を持ち帰ったのを見て、黄色い声を上げて歓喜していた。

 

「貴方たち、やるじゃないですか! しかしこのパソコンは残念ながら部品が足りませんね。 もう少し色々と遺物を集めて貰う必要があります。 パソコン自体も、もっと集めてください」

 

「注文が多いんだよこの……」

 

「ワルター。 ウーゴ殿、正式に酒場に依頼として出してください。 此方もサムライ衆として依頼を受けますので」

 

「そ、そうですね……。 まあ、遺物の中にはとても有用なものがたくさんありますので、それで可としましょう。 おお、これなどは技術書ではないですか! しかも公用語で書かれている! 素晴らしい!」

 

半分話を聞いていないなこれは。

 

ワルターが不機嫌にみるみるなっていくのを、僕が袖を引いて遠ざける。このままだとウーゴはワルターの拳骨で寺院の床にめり込みかねない。

 

それよりも、皆と話しておく事がある。

 

サムライ衆の食堂に移動してから、軽く話す。

 

「ね、今って八の月だよね」

 

「そういえば妙に涼しいな。 そういう日か?」

 

「いや……まて。 カレンダーを見るんだ。 今は十月になっている。 それも十月末だ」

 

「嘘でしょう。 そんなに長期間東京にはいませんでしたわ」

 

イザボーが驚くのも当然である。

 

僕も驚いた。

 

一旦それぞれの宿舎に戻る。宿舎はそれぞれ、下働きが掃除してくれていたので埃は積もってはいなかったが。

 

キチジョージ村の人から、何通か手紙が来ていた。

 

無事だった人が感謝の言葉を述べてきているものもある。

 

だが、何ヶ月もサムライとして活躍してとか、武勲をたくさん挙げたと聞くとか、色々不可解だ。

 

僕はサムライになってから、それほど時間は経っていないのだが。

 

一度休んでから、また食堂で話す。

 

一日だけカレンダーは経過している。

 

どういうことだこれは。

 

「ケガレビトの里……東京で連戦していたけれど、陽が差さない土地とは言え、時間感覚は其処まで狂っていないはずだよ。 こんなに時間が経過しているのはいくら何でもおかしくない?」

 

「確かにそうだ」

 

「お前達、戻っていたのか」

 

ホープ隊長だ。

 

礼をしてから、話をする。

 

そうすると、お前達もかと言われた。

 

「実は既に活動しているサムライ衆の分隊から、ほぼ同じ話が出ていてな。 ケガレビトの里に出向いてから此方に戻ると、考えられない時間が経過しているというのだ」

 

「どういうことですかねこれ……」

 

「分からないが、気を付けろ」

 

「或いは、此処とケガレビトの里では、時間の流れが違っているのでは」

 

イザボーがいう。

 

そういえば、時間の流れが違う土地に流れ着いてしまった人の昔話がある。

 

バイブルがあまりにも退屈と言う事もあって、彼方此方の村ではそういうお話が広まっていたりするのだが。

 

虐められていた亀を助けた漁師が、美しい城で夢のような時間を過ごし。数年程度の筈だったのに、帰ってきたら誰も自分を知っている人はいなくなっていた、なんてものであったそうだ。

 

「時間の流れが異なる、か。 可能性はあるな。 お前達、出来るだけ小刻みに此方に戻るように心がけてくれ。 そうしないと、体調を崩したりする可能性も出てくるだろうな」

 

「分かりました」

 

「お頭、それはそれとして、遺物は回収しているんだから、お給金ははずんでくださいよ。 出世についても考えてくださいね」

 

「現金なものだ。 案ずるな。 お前達の武勲は群を抜いているし、無能者がまとめて粛正されたこともある。 すぐに出世出来る。 フリンに至っては、ある程度武勲を重ねたら、私の後継者になってもらうつもりだ」

 

そうか。

 

それは有り難い話である。

 

歴代でも女性のサムライ衆の長は珍しくもないらしい。

 

ただ、そこまで高く買って貰っているとは思っていなかった。嬉しくないといえば嘘になるし。

 

サムライ衆の長になれば、キチジョージ村の復興を、より効率的に進められるかも知れない。

 

軽く打ち合わせをした後、東京に戻る。

 

風呂にも入って体を休めたし、上野駅周辺の厄介な悪魔はあらかた掃討駆逐した。大量の悪霊を引き連れて現れたピアレイという悪魔の悪臭には辟易させられたが、幾つも得たものはあった。

 

バロウズのアドバイスで悪魔合体を繰り返した結果、出来た悪魔がいる。

 

召喚するのは、その悪魔。女神アナーヒター。

 

古い古い時代の女神らしいのだが、戦いの神でもあるらしい。

 

特筆すべきは水魔術の専門家と言う事で、不忍池と言われる池の汚染を、その周辺の川の汚染も、一気に浄化してくれた。

 

流石に生水をのむ事は避けた方が良いだろうが、それでも不忍池は今や清浄な池と化していて。

 

お魚を放しておけば増やして食べられるようになりそうだし。

 

湧かせば飲料水としても使えるはずだ。

 

そのアナーヒターに、川を凍らせて貰う。

 

川の先に、以前ニッカリという人外ハンターが言っていた、国会議事堂シェルターがあるらしいのだ。

 

一瞬で川が凍り付くのを見て、渡り守をしていた人外ハンターが驚く。

 

「おいおい、これは……」

 

「渡し守、命がけでしょ。 いずれ、橋も作ってしまいたいけれど」

 

「そうだな。 だが、阿修羅会がまだ大きな力を持っているから、あいつらをぶちのめさないと厳しいだろうな」

 

「なにその連中。 まとめて凍らせてやろうかしら」

 

アナーヒターが冷たい声で言うと、人外ハンターはぞっとしたようで、愛想笑いを引きつった顔で浮かべるばかりだった。

 

ともかく、これで永田町方面に向かえる。

 

まずは、人外ハンターの本部とやらに出向いておきたい。

 

情報を収集して。

 

あの黒いサムライ。リリスと思われる存在を追うために。

 

 

 

(続)








フリン達、明確に東のミカド国と東京の時間の流れの違いに気付きます。

この辺りは原作だと東のミカド国に戻ってきたとき、サムライ衆の台詞とかで分かるんですが、まあ明確に気付いていてもいいだろうなと判断したので。

それとアナーヒターはまだフリンのレベルが低くて戦闘は無理ですが。消耗は小さい多少の土木工事とかでは手伝ってくれます。






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