もう一人の東京守護者   作:dwwyakata@2024

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助っ人の英雄達だけではなく、かなり早い段階でナナシ君とアサヒさんともフリン達は出会います。

原作真4Fだともっとずっと後での出会いですが、本作ではそれが前倒しに。

その結果、色々と変わっていく事になります。



ちなみに荒れているナナシ君には、ワルターが魅力的に見えます。

まだまだナナシ君は、力の理論から抜けきれていないのです。

一方ワルターはワルターで、ナナシ君という後続をえて、考えが少しずつ変わり始めることになります。






2、共闘開始

ターミナルに出向く途中で、志村が若い子を二人呼んでくる。見た所、十三~四歳というところか。

 

男の子と女の子だが、男の子の方は何もかも恨んでいるような獰猛な雰囲気である。

 

女の子の方も野性的な格好をしているが、比較的言動はしっかりしていた。

 

「志村さん、この人等は?」

 

「噂のサムライだ」

 

「それって天使かもって言われている奴らだろ。 大丈夫なのか?」

 

女の子の方は、天使という単語が出ただけですくみ上がっていた。それほど怖れられているのか。

 

今の子供達は、東京で起きた大戦という災厄を直接は知らないらしい。

 

それでこれほど怖れられていると言うのは、相当だな。

 

僕はそう思って、天使を大事にしているヨナタンの事を一瞥する。ヨナタンも思うところがあるらしい。

 

「皆の中で天使を使役しているのは僕だけで、僕も大戦というものでこの辺りを荒らし回った天使が何者なのかは知っておきたい。 僕の手持ちの天使が悪さをしないことは約束しよう」

 

「ふーん、随分毛並みが良いんだな」

 

「こいつは貴族様だぜ。 だが、クソみたいな血筋だけの貴族様じゃなくて、きっちりちゃんと立派に貴族をしてる。 それは俺が保証する」

 

「そっか。 あんたはなんだか俺と馬があいそうだ。 そんなあんたがいうなら、ちょっと信じてもいいかな」

 

男の子、ナナシがそういう。

 

とりあえず、ターミナルに。

 

移動しながら、軽く話をする。志村もついてくるので、まあ身を守ることだけは問題ないだろう。

 

「ターミナルに前にいたのは太歳星君って邪神だった。 とにかく手強い相手だったし、今回も何がいてもおかしくない。 最悪さっさと逃げてね。 ターミナルの主は、逃げる相手を追うつもりもないようだったし」

 

「上野のターミナルに太歳星君がいたのは私も把握している。 此処にいるのがそれより弱いとは限らない。 二人とも、支援に徹しろ。 くれぐれも前に出るなよ」

 

「分かった。 そんなにヤバイ奴がいるのか」

 

「回復は任せてください。 回復魔術使いで揃えてありますので」

 

女の子の方、アサヒがそう言う。

 

僕は頷くと、またエレベーターで降りる。

 

こっちはつい最近内部を制圧したばかりらしい。しかもターミナルがあるから、内部にまだ拠点は作っていないそうだ。

 

見ると埃っぽく、色々と機械や知らないものがある。

 

志村が此方だと案内してくれる。

 

血の跡もある。

 

ここで死んだ人もいるのだろう。或いは、実体がある程度ある悪魔かも知れないが。

 

案内された先には扉がある。

 

いる。

 

びりびり気配がする。僕は先に呼吸を整えると、「入って」おく。それを見て、ワルターが前に出ていた。

 

「大剣は折っちまったが、ステゴロでもやってやるぜ」

 

「その意気。 ターミナルだったら一度戻って、それから装備を調えて新宿とやらに向かおう」

 

「さっきのベヒモス戦で、パワーに転化した天使が更に増えた。 前衛はサポートするよ」

 

「わたくしの鬼も、スイキという更に大型の鬼に転化しましたわ。 前衛はある程度支援できましてよ」

 

心強い話だ。

 

僕が最前列で扉に入る。

 

やっぱり結界が張られていて、内部は領域になっていた。

 

「む、もう来たのね。 思ったよりも早いじゃない」

 

「?」

 

気配は以前と同じだ。

 

だが、前にいた奴と同じだろう人型の悪魔は。屈強な男性なのに、何故か女物らしい服を着ていて、しゃべり方もそれっぽかった。

 

声が低いから、余計に違和感が強い。

 

「なんで前と声とか格好が違うの?」

 

「それはね、あたしもいつも同じだとつまらないと思うから。 格好とか色々、用意してお・出・迎・え、というわけよ」

 

「へえ……」

 

「じゃ、今回は彼に相手をして貰おうかしら。 彼を斃せたら、此処は自由に使わせてあげるわ」

 

すっと進み出てくるのは。

 

なんだ。

 

小柄な子供に見える。

 

手足に何か不可思議な道具をつけているが、びりびり来るほどの強い気配だ。

 

「軍神ナタタイシ、行きなさい」

 

「ナタタイシだって……!」

 

「志村のおっさん、知ってるのか?」

 

「道教でも屈指の人気を持つ軍神だ。 くっ、まずいな。 フリン殿、手強いぞ!」

 

分かってる。

 

実際、いきなり足も動かさず、滑るようにして拳を叩き込んでくる。とんでもなく重い。僕も牙の槍で弾きながら、足捌きを用いて受け流すが、それでも後方に吹っ飛ばされる。更に蹴りを長い足から叩きこんだワルターだが、振り向きもせずにナタタイシは拳を振るい。

 

ワルターが衝撃波だけで吹っ飛ばされて、壁にドゴンとか音を立てて叩き付けられていた。

 

数体のパワーが同時に襲いかかるが、ナタタイシが手にしている武器をすっと振るだけで、スライスされてかき消える。

 

冗談じゃない。

 

前の太歳星君よりも更に強い相手だ。

 

僕は飛び起きると、ジグザグに走りながら突貫。その間、イザボーがスイキを突撃させ、同時に魔術攻撃班で一斉に魔術を叩き込ませるが、どれも涼しい顔でナタタイシは耐えている。

 

ナタタイシを呼び出した男は腕組みして、後ろで余裕を持って見ている有様だ。

 

後方から志村とナナシが援護射撃をしてくれているが、銃弾を受けてもナタタイシにダメージが入っている様子はない。

 

多分此奴も弱体化しているのだろうが。

 

それでこの強さか。

 

僕が呼び出したピクシーと末の子が、連携して雷撃魔術を叩き込む。

 

それを見て、イザボーが詠唱から、大きめの冷気魔術を同時に放っていた。

 

雷撃魔術を涼しい顔で受け流したナタタイシだが、その頭に、復帰してきたワルターが、舐めるなと叫びつつ、凄まじい蹴りを叩き込む。それも腕でガードするナタタイシだが。その時、僕が強化魔術込みの突きを同時に打ち込む。それももう片方の手でガードするナタタイシ。

 

ふっと体を回転させるだけで、僕とワルターを吹っ飛ばして見せるが、少しずつパワーと速度になれてきた。

 

ワルターのナーガが飛びついて、絡みつきに懸かるが、ナタタイシはナーガをそのまま引きちぎってしまう。

 

更にはスイキに組み付かれるが、そのまま投げ飛ばして地面に叩き付ける。

 

二体とも消えてしまう中。

 

一斉に叩き込まれた天使の光の魔術。

 

それも、気合でかき消してくる。

 

しかしその間、僕は更に強化魔術を重ね掛け。

 

筋力強化では無い。

 

今度は速度強化だ。

 

すり足から、ナタタイシに今度は払いを、更に続けての突き技を、連続で叩き込んでいく。速度が上がったことに気付いたナタタイシだが。その足が滑る。

 

さっきの冷気魔術の掃射の結果、床が濡れたのだ。ナタタイシの足下はなにか機械みたいなので動いているのだが。

 

それが上手く濡れた水に対応できなかった。

 

一瞬態勢を崩したところに牙の槍を地面に突き立てつつ、それを軸にして回し蹴りを叩き込む。

 

完全に入った。

 

くの字に折れたナタタイシが吹っ飛び、壁に叩き付けられる。

 

一斉に銃撃と魔術での飽和攻撃を浴びせかけるが、それが全てかき消された。ナタタイシが纏っている布みたいなのが、それを為したらしい。

 

「信仰が失われ弱体化しているとは言え、道教でも屈指の武闘派神格よ。 色々な技を持つわ。 さあ、どう攻め……」

 

「いや、もう貰った」

 

僕は深呼吸すると、最後の一押しに入る。

 

悪魔からどんどん色々な技を教わっているが、その一つ。

 

体内の力の流れをコントロールして、一点に爆発させる奥義。

 

悪魔はチャージと呼んでいたっけ。

 

それを、ナタタイシが飽和攻撃を吹っ飛ばした時から練り上げ、既に完成させていた。

 

突貫。

 

ナタタイシが拳を此方に向けると、強烈な衝撃波を叩き込んでくる。ワルターが立ちふさがると、大きな蜘蛛みたいな悪魔を呼び出して、その悪魔と一緒に体ごと防ぐ。そして、ナタタイシの全身が凍り付く。

 

時間差でイザボーが魔術を叩き混んで凍らせたのだ。

 

そして左右から、ヨナタンの天使が一斉にナタタイシに襲いかかる。それを捌くのが、最後の頑張りだった。

 

僕の渾身の突き技が、ナタタイシの胸を貫く。

 

若干効きは悪かったようだが、それでも何か大事なものを砕ききった手応えがあった。

 

悪魔の領域が吹っ飛ぶ。ナタタイシは胸に大穴を開けつつも、原型を保ったまま倒れていた。

 

おおと、ナタタイシを呼び出した男が感心していた。

 

「まさか弱体化しているとは言えナタタイシを下すとは。 見事見事。 ターミナルは明け渡すわ」

 

「……僕はもういいんだな」

 

半身を起こしたナタタイシが喋る。壊したと思ったのに、まだ動けるのか。

 

なんか声はクソガキじみていた。

 

「いいわよ。 あの西王母に協力したくないって拗ねてた所を契約しただけですものね。 元々は護法神に近い貴方が、あたしみたいな冷血悪魔と協力するなんて屈辱だったでしょう。 後は好きにすればいいわよ」

 

「そうさせてもらう。 おい、其処の人間共。 僕の本当の力はこんなもんじゃないからな。 悪魔召喚で呼び出せ。 その時は本当の力、見せてやるよ」

 

負け惜しみというか捨て台詞というか。

 

そういうと、ナタタイシはマグネタイトになって消え果てた。

 

後ろで志村が冷や汗を掻いているのが分かった。

 

「じゃ、あたしはこれで。 また何処かで近いうちに会いましょうねえ」

 

「二度とくんな」

 

「あら釣れない。 でもどうせすぐに会うことになるわよ」

 

すぐにアサヒが回復魔術を掛けてくれる。ナナシは舌打ちすると、じっと手を見ている。

 

非力すぎる。

 

そう感じたのかも知れない。

 

だが、あのナタタイシの膨大なマグネタイトを得たのだ。きっと、すぐに強くなれる筈だ。

 

領域が消え、ターミナルになる。

 

アサヒの回復魔術を受けた僕は、まだちょっとふらつくけれど、もう大丈夫だ。

 

「ありがとう。 とりあえずターミナルに登録して、一度東のミカド国に戻るよ。 ワルターも武器を無くしちゃったしね」

 

「ナナシ、アサヒ、お前達も登録しておけ。 私も人外ハンターへの登録を勧めておく。 これで一瞬で此処に戻れる。 ただしターミナルからターミナルへの移動が出来るだけだし、何より直接登録した人間しか使えないから、誰かを連れて転移する事は出来ないぞ」

 

「便利だな。 でも俺の今の力じゃ、それを生かせねえ」

 

「お前は同年代では充分過ぎる程に強い。 だから今は気にせず、確実に修練して力を伸ばせ。 それはアサヒも同じだ」

 

志村が慰めている。

 

いずれにしても、僕達も一度戻る頃合いだ。

 

此処を使わせて貰う事。

 

他のサムライにも、此処は案内すること。それを告げて、後はターミナルから一度戻る。

 

東のミカド国王城ターミナルに戻ると、やはり空中に放り出されて。

 

疲れきっているワルターは受け身を取り損ねて、僕があわててお姫様抱っこして受け止めていた。

 

「危なかったね。 大丈夫?」

 

「……屈辱だ」

 

「あんな相手と戦った後だし、仕方がないよ。 強かったねあいつ。 ワルター、作れるようになったら呼び出してみたら?」

 

「そこまで力が上がるなら、やってみるさ。 それにしてもターミナルは便利だが、毎度あんなのが出てくるのか? 冗談きついぜ……」

 

城の広場に出る。

 

まずはホープ隊長の所に。

 

ホープ隊長は執務室にいて、ボロボロになって戻って来た僕とワルターを見て、絶句していた。

 

「何があった」

 

「ターミナルに凄い悪魔がいて。 酷い目にあいました。 ただ、また一つターミナルを開放したので、報告がてらに戻りました」

 

「それとすみません。 大剣折っちまいました」

 

「結構な業物だったのにな。 まあいい。 ヨナタン、報告書を。 ワルター、お前は始末書だ。 文面は渡すから、それにそって書くように」

 

僕とイザボーは、一旦休むように言われる。

 

これが僕の報告書よりも、ヨナタンの奴のが正確性が高いから、という判断らしい。

 

まあ僕が最前線で常に体張ってるのは、ヨナタンも報告してくれているのだろう。だとすると有り難い話ではある。

 

イザボーもなんだかんだでブレーキ役をやってくれるし、悪魔から多彩な魔術を習って今ではすっかり熟練の後方支援役だ。

 

ナタタイシとの戦いでも、随分支援してくれた。

 

一度隊舎に行って風呂に入り、その後は睡眠を貪る。

 

寒くなって来ている。

 

前に十月の末になっていたが。

 

多分これは十一月過ぎているな。

 

そう、僕は思った。

 

 

 

報告書をヨナタンが提出してくれたらしく、ついでにワルターも始末書を書いて提出したらしい。

 

僕は牙の槍を鍛冶屋に渡して、調整して貰う。

 

鍛冶屋は口調は丁寧だが、時々ちくりと釘を刺してくる。

 

「おサムライ様は年齢には似合わぬ程の武芸の持ち主のようですが、それでもまだこの槍が悲鳴を上げていますな。 もう少し腕を磨けば、更に力を発揮できることでしょう。 処置は澄ませておきました。 ただ、あまり乱暴に扱うと、その内折れてしまいますよ」

 

「ごめん」

 

「謝るのはこの槍にしてくださいませ。 それでは、此方になります」

 

支給されているお給金で支払っておく。

 

命を預ける武器だ。これくらいの出費は仕方がない。

 

ワルターは最初から大剣を買い直しだ。相手がベヒモスだったのだし、仕方がない。僕だって、牙の槍を守りきれたのが不思議なくらいなのだ。

 

一度四人で集まる。

 

それで話を聞いたのだが、ナバールが奈落で修練を積んで、なんと東京に出る分隊のメンバーに選抜されたらしい。

 

他の班が今度上野まで引率するそうだ。

 

今では逃げ癖もなくなって、悪魔ともかなりやり合えるようになっているそうだ。

 

「それは良い事だね」

 

「やっとまともになっただけですわ。 今までの不良行為がそれで消える訳ではない。 ようやく人並みになった、ということですのよ」

 

イザボーは手厳しい。

 

まあ、悪党がたまに良い事をすると、普段から真面目に生きている人より偉いみたいに言われる風潮は、僕にも思うところがある。

 

確かにナバールはこれからだろう。

 

これから悪党に戻るようなら、それまでだ。

 

僕も擁護はしきれない。

 

「それで、新宿という所に出向くんですのね」

 

「うん。 フジワラって人は恐らく僕らを試しているし、こっちとしても円滑な連携を組むためにも必要だよ。 それに悪魔にも色々いる。 人間を食い荒らしているような奴は、さっさと駆除しないとね」

 

「ああ。 ただ、人間の方が悪い状況も、あの東京ではあるかもな」

 

「……阿修羅会だとかいう連中の事を考えると、そうかもね」

 

赤玉とか言う連中が持っていた奴。

 

あれは志村に引き渡して来た。

 

どうにも嫌な代物だったし。志村の方で処分してくれるという事だったので、それでいい。

 

二日休憩を取るが、こっちと東京では時間経過が60倍違う。二日なんて、東京では一瞬だ。

 

だからそれでじっくり休んだ後、また霞ヶ関のターミナルに戻る。

 

そして戻ると、既に人が入り始めていて、驚かされた。

 

悪魔が組織的に何か機械みたいなのを運び込んでいて、それを統率しているのは肌の色が人間とは思えない、筋肉質の老人だ。

 

「な、なんだ貴方は!」

 

「人間!?」

 

「失礼な。 まあ、不死の薬を飲んだから、厳密に人間と呼んで良いかはわからんがな」

 

声で分かった。

 

あのベヒモス戦で声を掛けて来ていた老人だ。

 

悪魔達と一緒に荷物を運んでいる銀髪の女の子がいる。此方を一瞥だけして。一瞬だけ視線があったが。

 

なんだろう。

 

なんだかぼんやりと、知っているような気がする。

 

いずれにしても、僕よりも小さな体だけど、荷物を苦も無く運んでいるし。手助けは必要なさそうだ。

 

「わしは地獄。 そうさな、ドクターヘルとでも呼ぶがいい」

 

「またそれは、随分と物騒な名前だな……」

 

「好きこのんでどうしてそんな名前を?」

 

「カカカ、この世のあらゆる地獄を見て来たからな。 まあそれはいい。 今は忙しいのでな、失礼する。 此処を工場化して、更にあのシェルターの物資生産力やらを強化しなければならんのよ」

 

まあ、急がしいというなら仕方がないか。

 

ともかくさっさと此処を後にさせて貰う。

 

新宿という土地は此処からそれなりに遠い。

 

移動経路については教わっているが、現状だと地下通路を何回か経由していくのが現実的らしい。

 

勿論そういう通路は悪魔だらけなので、戦闘は避けられないだろう。

 

それよりもだ。

 

ピクシーを呼び出すと、言われる。

 

「ねえねえ。 私、上位の存在になれるみたいだよ!」

 

「本当。 そっか、転化か」

 

「やってみてもいい!?」

 

「いいよ」

 

ピクシーが、頷くと光に包まれる。天使の転化は何回か見てきたが。僕の手持ちの転化は初めてだ。

 

ピクシーが光を振り払い、現れたのはもう少し大人っぽい容姿になって、鎧を着込んだちいさな妖精の戦士だった。

 

ふふんと胸を張ってみせる。

 

あのナタタイシとの戦いで、大量のマグネタイトを吸収したのが大きかったのだろう。

 

バロウズが早速解説してくれる。

 

「ハイピクシー。 ピクシーの上位存在ね。 妖精としてはそれなりの力を持っていて、兵士階級にあたるそうよ」

 

「ええ、そういうこと。 今後ともよろしく」

 

「うん」

 

さて、戦力も少しずつ増強されている。

 

末の子はと聞いてみるが、まだまだだと悲しそうに言われた。

 

まあ元々が色々と難しい出自の悪魔だ。

 

そう簡単に上位種にはなれないだろう。

 

人外ハンターと、明確に連携する事で、大きな成果があった。それは事実だ。

 

新宿に向かう途中。

 

鉄の箱が追いついてくる。

 

志村だった。

 

「君達、随分戻りが早かったな」

 

「大丈夫、休んできましたよ」

 

「それならいいのだが。 新宿については、ナナシとアサヒが土地勘がある。 つれて行ってくれるか」

 

「大丈夫、役に立って見せます!」

 

アサヒが言う。

 

アサヒは少しターミナルで戻る前に話したのだが、冷静に魔術戦をこなすイザボーを見て、感動したらしい。

 

女子にもてるという謎体質がまた発動しているのかも知れない。

 

イザボーの手を採って、ブンブン上下に振り回すアサヒ。

 

「イザボー姉さんと呼ばせてください!」

 

「えっ? は、はあ。 まあよくってよ……」

 

「やったあ!」

 

一方ナナシは、銃を丁寧に整備している。僕はとりあえず、この子はまだまだだと思うが。ただ、将来性は高そうだとも思う。

 

またナナシは、ワルターに興味があるようだ。

 

だからワルターに声を掛けておく。

 

「ナナシって子は頼むよ」

 

「俺か? まあ良いけどよ」

 

「お願いします。 少しでも早く強くなりたいんで」

 

「……そうか。 分かった。 くれぐれも俺の前に出るな。 支援に徹しろ。 それを約束できるなら良いぜ」

 

まあ、そうだろうな。

 

僕にはなんとなしに分かるのだ。

 

ワルターは漁師町で荒れた生活をしていたと聞く。早く大人になって力が欲しいと思っていただろう。

 

それに、ナバールについてのイザボーの話を聞いて、色々思うところもあったようだ。

 

ワルターは世界に対する反発はあっても、根っからの悪人ではない。

 

昔の自分に近い相手がいれば、きっと思うところもあるはずだ。

 

「それとあんた、フリンさん」

 

「うん?」

 

「あんたのもの凄い戦闘術、間近で見せてもらって勉強させて貰うッスよ。 よろしく」

 

「ありがとう。 追いつかれないように頑張るよ」

 

さて、では行くか。

 

新宿とやらまで相応にかかる。それに、だ。

 

遺物なんかを集めるのにも、現地の協力者がいるのは、とても有り難い話であった。

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