もう一人の東京守護者   作:dwwyakata@2024

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陰陽五行説とも関係が深い中華の方角神、五神。

メガテンシリーズでも皆勤賞とまではいかないにしてもしょっちゅう出てくるし、なんなら黄龍は最高位の龍神で出て来たりするので、なじみ深い相手ですね。

今回はそれが堕落させられた状態で配置されています。

それらと西王母の同時攻略を行わない限り、西王母を守る無敵の陣は崩れないのです。





1、堕落五神

銀髪の娘に取り憑いてから、ずっと話はしてきた。銀髪の娘に対しては、無理矢理呼び出された挙げ句に憑依されたという感じではあったのだが。

 

それでも娘は嫌がっている様子もなかったし。

 

今でも関係は悪くない。

 

銀髪の娘が拒否したのは、この世界の人間があまりにも愚かだったからだ。

 

記憶はある程度共有している。

 

厳密には召喚もとの世界にいる本人ではないらしいのだが。それでも銀髪の娘は記憶を保持している。

 

確かに、この世界の人間に怒るのは無理もない。

 

銀髪の娘の世界は、本当にどうしようもない場所だった。

 

侵略者が世界にある強力な力を好きにしようとした。その結果、制御出来なくなった力が、世界そのものを壊した。

 

人も獣も、全てが穢れた存在へと化し。それらはおぞましい程の力を持ち、全てを壊し、全てを襲った。

 

その力すらも軍事利用し、或いは不老不死に活用しようとまでしていた輩もいたが。

 

殆どの人間は、全てが滅びていく中で必死に抗い。

 

そして最後の一人になるまで、滅びの中で大事なものを守って倒れていった。

 

娘はその全てを救済した。

 

誰も彼もが、己のやり方で、一生懸命破滅を回避しようとしていた。

 

大事なものを助けようとあがいていた。

 

娘はその記憶を共有していた。

 

だからこそ、阿修羅会だのいう連中が、クズの限りを尽くしているこの世界に対しては、本気で怒りを覚えたのだろう。

 

今、やっとこの世界の人間は、希望に向けて団結しようとしている。

 

そうでなければ、見限る事も考えていたようだ。

 

まあいい。

 

娘の意思を尊重する。

 

自分とて。

 

この娘の気持ちはわかるのだ。この娘がいた世界ほどではなくとも、理不尽が押しつけられ。希望などない世界で、必死にあがいてきたという点では、同じなのだから。

 

滑るように移動し、指定された地点に到着。

 

そこにいたのは、真っ黒に染まった巨大な亀だ。本来の玄武は、亀と蛇と龍を合成したような姿をしている存在だが。これは亀の体を真っ黒な邪気が覆い。龍ではなく、なにか気色が悪い……或いは男性器か何かか。そのような冒涜的な形状をしたものが、頭部と尻尾から伸びていて。全身からうねうねと触手が生えている。

 

これは酷い冒涜だな。

 

同じ中華神格でも、信仰の中心点であり。

 

陰陽五行と密接に結びついている神格に対して、このような最悪の冒涜。許されるものではない。

 

西王母とやらが、最低まで堕落しているのはよく分かった。

 

霊夢の話によると、霊的な月という場所にいた頃から、ろくでもない輩だったというのは聞いているが。

 

既にその頃から、誇りも信仰を向けてくる人間に対する慈愛も。

 

何も持ちあわせていない輩だったのかも知れない。

 

ただ、神々は多数の側面を持つとも霊夢は言っていた。

 

慈母としての西王母の人格をもつ神格もいるのかも知れないが。

 

少なくとも池袋にいるのはそれではない。

 

ただ、そういう話なのかも知れない。

 

玄武が此方に向き直る。まともな顔もない有様は、まるで中華の悪神である太歳星君や、四凶と言われる最強の妖怪の一つである混沌のようだ。

 

気色悪いものこっちにむけやがって。

 

毒づきたくなるが、出来るだけ喋らない方が良いだろう。

 

娘に軽く指示。

 

攻撃をまず見きれ。

 

それから、あの甲羅を叩き割れ。

 

頷くと、娘が仕掛ける。

 

多数の触手が一斉に迫ってくるが、不可視の刃でたちまちに切り裂く。続けて真上から、尻尾だから頭だかが押し潰しに来るが。

 

光の壁を斜めに展開して受け流しつつ。

 

横殴りに質量体を叩き込む。

 

ごっと、凄まじい音がして。風が遅れて吹き荒れる。

 

態勢を崩す堕落玄武に対して、更に娘が仕掛ける。触手を片っ端から斬り払いながら、攻めるそぶりを見せると。

 

玄武は地面を踏み荒らして。

 

辺りに、氷の錐を突き出し、林のような有様へと変えていた。

 

直撃したら即死だっただろう。

 

光の壁を上手く使って回避しながら、飛び退く娘に追撃が入る。水を圧搾して、連続して叩き込んでくる。

 

その水も、邪気を大量に含んでいる代物。

 

だが、娘は回避しつつ、避けきれないものは光の壁を上手く利用して弾く。

 

これは思った以上に戦い慣れているな。

 

歴戦の猛者である事は知っているが、たちまちに相手の動きを見切っていく。難敵と何度もやりあって、それで全て退けてきた存在の立ち回りだ。

 

業を煮やした玄武が、首だか尻尾だかを引っ込めると、甲羅をがっと開く。其処には、大量の目が存在していて。

 

恐らく呪詛そのものであろう黒い光を、一斉に叩き込んでくる。

 

問題ない。

 

こいつがムキになって力を使えば使うほど、西王母に対する負担が増える。ジグザグに移動する娘。空中を滑るように移動するその様子は、まるでこの世界にあったスケートというものの選手のようだ。

 

地面が炸裂し、血と怨嗟に濡れた土がぶちまけられる。

 

甲羅を閉じた玄武が跳躍して、上から押し潰しに懸かってくるが。

 

もういいぞ、と告げた。

 

頷くと娘は地面に踏ん張り、そしてすっと指先を空から襲い来る堕落玄武に向ける。

 

同時に、極太の光がほとばしり、堕落玄武を貫いていた。

 

大穴を開けられた堕落玄武が、空中分解して、地面に粉々になって叩き付けられる。娘は怒っている。

 

この堕落玄武にじゃない。

 

堕落させた相手にだ。

 

これは容赦をしそうにもないな。

 

そしてこの戦い、遠くから見られている。それで別にかまわない。

 

この時代の武器は見せてもらっているが、ライフルでも対戦車ミサイルでも、この距離からだったら殺される事はない。巡航ミサイルのような大型武器なら話は別だが、流石にそんなものは阿修羅会も持っているとは思えない。

 

砕け散った堕落玄武が集まり始める。

 

徹底的にやれ。

 

そう告げると、娘はこくりと頷いた。元々心優しい子だ。だが、だからこそ、怒ると怖い。

 

甲羅がようやく集まりかけた所に、娘が質量体を叩き込む。不可視だが、巨大な棍棒のような形状をしているようだ。或いは鎖つきの鉄球も使いこなせるようである。実に力強くて結構。

 

文字通り甲羅の上から粉々に砕かれた堕落玄武が、力を貪欲に吸い上げているのが分かる。

 

提供先は西王母。

 

そしてこれは、多数の人間の絶望と哀しみ。

 

どれだけ人間を貪り喰って力に変えたのかよく分かる。銀髪の娘の纏う光が、更に強くなる。

 

そうすると、堕落玄武に集まる力の殆どが霧散していく。

 

魂が救われ、開放されていくのだ。

 

飛ばしすぎるなよ。

 

かなり熱くなっているのが分かるので、アドバイスは入れる。娘は頷くと、再生がままならずもがいている堕落玄武に、容赦なく質量体を叩き込む。何度も、何度も。徹底的に。再生する端から。

 

それは、強い怒りと、それ以上に哀しみが篭もった攻撃だった。

 

 

 

トキの前にいるのは、名前とは裏腹に真っ黒になり、牙が二本鋭く伸びている白虎だった。

 

ぐるると唸りながら、身を起こす。

 

怖れるな。

 

そう周りのガイア教徒達が叫ぶが、それは怖れているのと同じだ。

 

「ひっひっひ。 いくぞ」

 

「わしらが動きを止めるでな。 それぞれ、総力での攻撃を叩き込め」

 

「承知!」

 

四十名近いガイア教徒の雑兵達が散開。飛びかかってきた巨大な黒い虎。これでは白虎ではなくて黒虎だが。堕落した白虎としては、正しい姿なのかも知れない。

 

空中で、凄まじいおばあさま達のサイコキネシスで、黒い虎が拘束される。

 

そこにガイア教徒達が悪魔を召喚。

 

一斉に襲いかかった悪魔が、滅多打ちにする。

 

その猛攻を、弾き散らすと、白虎は着地。

 

だが、その時。

 

トキは既に、その背後に回っていた。

 

後ろ足を、ざっくりえぐり。そして離れる。

 

五月蠅そうに此方に振り返ろうとするが。おばあさまが呼び出した悪魔が、堕落白虎に絡みつく。

 

邪神クトゥルフ。

 

蛸のような姿をした、大戦前に人気だった創作の邪神だ。創作の邪神であっても、人間が愛した存在であり、故にアティルト界に存在し、このアッシャー界にも条件が揃えば実体化する。絡みついたクトゥルフを振り払おうとする堕落白虎だが、蛸という生物の吸盤は凄まじい力を持ち、吸い付く力は尋常ではない。

 

問題は海中では無く陸上であることで、押さえ込み続けるのは無理があるということだ。

 

一斉攻撃を続ける皆だが。堕落白虎の毛皮は厚く、なかなか致命打が通らない。

 

トキは暗殺者として厳しい訓練を受けてきた。

 

感情の制御。

 

欲望の制御。

 

身体の制御。

 

有望だという理由で集められた子供は、使えないと判断されると次々処分された。皆の見ている前で、悪魔のエサにされた。

 

使えないものはこうなる。

 

そうおばあさまは、敢えてそう見せつけていた。トキは死にたくなかった。だから必死に戦った。

 

そして、おばあさまが満足する「仕上がり」になった。

 

今では、人も殺した。こうして、悪魔を殺すのにも慣れている。戦うのにも。

 

首筋を鉈で切り裂き、更には流れるように喉も抉る。

 

唸りながら、もがいてクトゥルフを振り回す堕落白虎。だが、おばあさま達は交代でサイコキネシスを用いて、堕落白虎を抑え込む。

 

傷がどんどん回復している。

 

致命傷でも関係無いか。

 

こいつは元々虎。食肉目は恐竜なき世界では、地上で一番偉そうにしていた捕食者だ。一部の勘違いした学者が、恐竜より強いなどと言う寝言を喧伝していたことすらあるという。

 

実際にはそこまでの力などない。

 

だが、それでも。

 

各地で信仰と結びついて神格化された虎は、悪魔になればやはり強い。激しい格闘戦を続けるクトゥルフがダメージを大きく受けている。そろそろ限界か。

 

ガイア教徒達は、それぞれの最強の悪魔を呼び出し、飽和攻撃を続ける。

 

他の班は大丈夫だろうか。

 

人外ハンターは、たった二人でこれをやっている班もあるという。まだまだ自分より強い奴なんて幾らでもいることはトキも知っているが。

 

それでも、色々と思うところはある。

 

腕を振るう白虎。

 

クトゥルフの腕が引きちぎられて、悲鳴を上げる。

 

其処に、トキが仕掛ける。

 

腕を切り裂き、派手に血肉をぶちまけさせた。悲鳴を上げつつも、見る間に回復させる堕落白虎。

 

明確に、トキを排除認定したようだ。此方を見る。

 

その目は神のものではなく。

 

完全に濁りきっていた。

 

 

 

秀、か。そう呼ばれる事が多い。別にそれでもいいので、特に何か言い返すことはない。

 

自分の正確な名前は斎藤秀千代だが、千代というのは幼名。結局大人としての名前を得る事はなかった。

 

そう思いながら、秀は相対する。

 

そこにいたのは、地面から大量に這い出している、大量の首。それらは龍の体を持っているが、完全に狂気に染まった人間の顔を持っていた。

 

まるで八岐大蛇のような有様に。

 

人間の顔。

 

方角神の中央に位置する黄龍を、此処まで穢すとは。

 

今の西王母は、信仰などに値する存在ではない。此処まで堕落するというのは、まさに恥。

 

秀の字。

 

お前だったら、きっとやれる。

 

そんなことを、ずっと相棒だったあいつは良く言っていたな。

 

調子が良くて、それでいて野心に満ちていて、金に貪欲で。それでも、話していると気持ちが良い奴だった。

 

病的な女好きで、いい奥さんを貰ったのにとにかく浮気ばかりしていた。だけれどもあれも、子供に恵まれないことを悟って、必死だったのだと思う。実際問題、半分妖怪である自分には、最後まで友として接してきていて。女として見る事は一度もなかったと思う。

 

最終的に道を踏み外して。

 

それでも最後の最後には、やっぱり側に戻って来てくれた彼奴。

 

自分としても異性として最後まで好きにはなれなかったが。ずっと相棒として信頼していたっけ。

 

歴史が変わってしまった今は、もう縁もゆかりもない存在になってしまったが。

 

それでも二人で秀吉だった事は忘れていない。

 

大上段に構える。

 

多数の蠢く首が、此方を一斉に見据えた。

 

斬る。

 

踏み込むと同時に、最初に襲いかかってきた首の一撃を見切りつつ、流しつつ斬り飛ばす。

 

完全に斬り飛ばした首だが、次々に来る、

 

そして再生しながら、次々襲いかかってくる。

 

典型的な飽和攻撃だが。

 

この程度、別になんでもない。

 

片っ端から斬り伏せる。

 

地獄にいた。

 

それは、最終的に時を渡り。いろいろな時代に呪いを振りまいていた元凶である叔父と戦った後。

 

叔父がようやく救われて。

 

楽になったのを見届け。

 

それで思うところがあったからである。

 

叔父も、結局は人間のせいで墜ちたのだ。

 

そして呪いは高潔な戦士であった叔父すらも蝕んで、時代を渡ってまで呪いをまき散らす化け物へと変えてしまった。

 

だから、地獄に満ちている呪いを斬ることにした。

 

閻魔には許可も貰った。

 

地獄に平気で入り込んでくる自分を見て、面白いと思ったからかもしれない。

 

後は考えられないくらいの時間、地獄で亡者を斬り続けた。

 

知っている者もいたし。

 

知らない者も多かった。

 

罪を晴らすために斬ったのではない。

 

呪いを切り裂くために斬ったのだ。

 

だが、呪いから解放された亡者は。皆、感謝しながら。地獄の責め苦を受け。それで、つとめを果たすと、静かに転生していった。

 

斬ってくれと頼む亡者も多かった。

 

それだけ抱え込んだ呪いが凄まじく。

 

人間の世界でどれだけの呪いが蔓延しているかという事を、地獄からでも知る事ができたのだ。

 

次々に首が再生する堕落黄龍。

 

だが、切り裂き、呪いを排除していくと。うめき声がし始める。

 

「誰ぞ……」

 

「貴様を斬る」

 

「……斬ってくれ。 西王母が彼処まで墜ち果てているとは思うておらんだ。 我も眷属も皆闇に染められてしまった。 斬ってくれ。 理性が持たぬ。 これ以上呪いをまき散らしたくない。 これ以上民草を苦しめたくない」

 

「方角神の長たる貴方すらそう言わしめるか。 分かった。 救おう」

 

攻撃が苛烈に更に激しくなる。

 

だが、それは救って欲しいという意思の表れだ。

 

既に霊夢とサムライ達、それにカガという女は西王母と戦いはじめているだろうか。此方で力を削れば削るほど、彼方が有利になる。

 

西王母は霊夢と自分で当たる相手だと、霊夢が言っていた。

 

それほどの相手だ。

 

できる限り、力を削らなければならない。

 

いきなり飛び出してくる巨体。

 

多数の首を蠢かせながら、地面からせり出してくるそれは、まるで巨大なイソギンチャクのようだった。

 

それが、丸呑みにしようと襲いかかってくる。

 

即座に手札を斬る。

 

巨大な黄龍に対して、呼び出したのは城そのものが妖怪となった存在。長壁姫。十数メートルだったか。この時代の規格で直径がある堕落黄龍の口も、流石に城が相手では飲み込む訳にもいかず。石壁にがっと食いつく。長壁姫も四本の触手で、黄龍を抑え込み。その瞬間。

 

頭上に出た自分が、武器を大砲に切り替える。

 

武器の切り替えも、半分妖怪である自分だから出来る技。

 

そのまま砲弾を叩き込む。

 

堕落黄龍の体に大穴があく。

 

だが、凄まじい力で、めりめりと長壁姫が砕け始める。

 

大穴に飛び込むと、妖怪の力を解放。内側から、何もかも切り裂いて、吹き飛ばす。

 

長壁姫を引っ込める。

 

肉片になって飛び散った堕落黄龍が、復活しつつある。肉片に更なる呪いが供給され、寄り集まっていくのだ。

 

「殺してくれ、斬ってくれ!」

 

少しずつ黄龍の意思が出て来ている。

 

最早暴君と化したか西王母。いや、霊夢の話を聞く限り、月という場所で偉そうにふんぞり返っていた頃から、救いようがない外道と化していたようだが。

 

いずれにしても斬り伏せる。

 

再生する肉片を片っ端から。

 

だが、それでも再生していく堕落黄龍。消耗が無視出来なくなってきた。この体、実の所耐久力はそんなにたいしたことがないのだ。霊夢達が苦戦するようだと、下手すると押し切られるかも知れない。

 

だが、苦しい戦いなんて幾らでもこなしてきた。

 

時を超えて集めた呪いによって、まるで怪物と化した叔父と戦った時だって、とてつもなく苦しい戦いだった。

 

あれに比べれば。

 

肉片が寄り集まって、巨大な蛇のようになる。いや、これは大百足か。

 

ぺっと愛刀に唾を吐きかける。対大百足にはこれだ。そのまま、襲いかかってくる大百足と、ひたすらやり合う。斬り付けると、そのまま肉片が吹っ飛び、浄化される大百足。だが、それでも黄龍の呪いが全身を蝕んでいく。

 

冷や汗が流れる。持久戦は、いつも冷や汗が流れる。

 

 

 

ニッカリが待機する前で、フジワラが指揮を出し続けている。人外ハンターの二班が苦戦中だ。既にツギハギが堕落朱雀とやりあっているリッパー鹿目の班に加勢している。そして、フジワラがいかんと呟いていた。

 

堕落青龍とやりあっているもう一班。ライフルの野田の班が、かなり押し込まれているのだ。

 

堕落青龍は完全にあれは蚯蚓だ。凄まじい再生力を発揮して、ライフルの野田が召喚した幻魔フィン・マックールを追い込んでいる。北欧の英雄も、巨大な無限再生する蚯蚓には大苦戦しているようで、他の人外ハンターの悪魔達も次々と暴れ狂う巨体にねじ伏せられていた。

 

ニッカリは提案。

 

手元には、秘密兵器がある。

 

「今、やるべきかと」

 

「うむ。 やってくれるか。 あまりその武器、回数は使えないぞ」

 

「分かっています。 これでも狙撃には自信があります」

 

「よし。 他の皆は、野田君に加勢しに私と一緒に向かうぞ。 ニッカリ君、そこで君は狙撃に徹してくれ。 観測手兼護衛として、彼女を残す」

 

フジワラが召喚したのは、大天使ライラ。

 

あまり天使系統の悪魔は使いたくないらしいが、そうも言っていられない。

 

ライラは人間の懐妊に関係する大天使。天使の階級の下級二位の大天使とは別に、天使の重鎮達をこう呼ぶ。

 

ライラは黒系統の服を身に纏っている女の大天使で、雰囲気も少し暗い。

 

ただし、天使としての力量は確かだ。

 

フジワラがライラを残した理由は観測手というのもあるが。

 

それ以上に、最悪の場合ライラに悪意が向くからだ。

 

それだけ東京で天使は恨まれているのである。

 

ニッカリは既に組み立ててある規格外の長物を、寝そべりながら構える。

 

これこそ、用意して貰った最新兵器。

 

携行式レールガンだ。

 

地獄老人という協力者が作ってくれたものであるらしいが。やっと相応のバッテリーを作る事が出来たらしく、此処までのサイズに圧縮してくれた。通常の狙撃用ライフルの弾速がマッハ3くらいなのに対し、このレールガンは地獄老人が魔改造していることもあって、なんとマッハ20に達する速度の弾を発射。しかも弾には霊夢が術式を込めていて、ああいう呪いに汚染された悪魔には、何十倍も破壊力が跳ね上がる。

 

その代わりバッテリーの最充填に時間が掛かる。

 

ニッカリの手持ちの妖獣ライジュウを控えさせ、レールガンの側にある充電装置の側に待機させている。

 

ライジュウは雷とともに現れるという伝承のある妖怪で、全身は雷そのものだ。ニッカリの切り札の一つだが、それでもレールガン用の電池を何度も補給は出来ないし、そもそもバッテリーも銃身ももたない。

 

狙う。

 

激しく動き回る堕落青龍が、群がる悪魔を片っ端から押し潰しているのが分かる。

 

だが、此処だ。

 

基点になっている箇所を確認。

 

引き金を引いた。

 

文字通り、堕落青龍の肉が爆ぜ飛んだ。

 

そして、その破壊が全身へと波及していく。凄まじいな。霊夢という娘は戦っている所を何度か間近で見たが、その強さは本物。結界術の達人で、今は殆どいなくなってしまった神職だとも聞くが。

 

この強烈な浄化の力。

 

まるで神業だ。

 

一気に有利になった味方が、一旦さがってくる。負傷者を抱えてフジワラが来る。

 

「よし、流石だ。 次弾の装填と、不利になっている地点の観察に戻る。 ライラ、皆の回復を」

 

フジワラが即座に指揮に戻る。

 

ニッカリはその間にレールガンを確認。

 

分かってはいたが、かなり銃身にダメージが出ていて、アラートも。銃身を分解して見ると、もの凄い熱を発していた。下手に水を掛けると銃身が割れてしまうだろう。丁寧に放熱しつつ、ライジュウに充電をさせる。

 

凄い武器だし、悪魔にも通じるが。

 

それも何発も撃てる代物じゃない。

 

本当にここぞと言うときにしか使えないだろう。

 

今度はガイア教徒達が苦戦しているようだ。すぐにフジワラが手持ちの悪魔達と其方に向かう。

 

ニッカリは無言でレールガンの整備を続ける。

 

戦いは、まだまだ始まったばかりなのだ。







苛烈な総力戦の中、銀髪の子の実力がベールを脱ぎます。

この子はオリジナルキャラではなくちゃんと原作があるゲスト英雄で、原作で使っている技を此方でも再現できている状況になります。

この時点で正体がわかったひともいるかも知れませんね。

そして五神と戦う精鋭達と少し遅れて、霊夢とフリン達、それにガイア教団のカガも西王母の元へ突入します。

決戦開始です。





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