もう一人の東京守護者   作:dwwyakata@2024

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原作ではある意味最大のポンが行われてしまう封魔塔。

周辺にいる人達からも色々と話が聞ける場所ですね。野菜屑をくれるから強制労働も平気だとか、ここに天使が子供をさらって詰め込んでいた繭があったとか。別世界ではその繭を壊したら中の子供がみんな腐ってしまったといういたましい話も聞けます。

本作では阿修羅会の弱体化につけ込んでの攻勢という形で戦端が開かれます。

原作で此処を守っていたアスモデウスらは既に敗れているのでいません。その代わり、マンセマットが同志カマエルとサリエル(一神教での汚れ役仲間)と、それに多神教連合から「手を貸しに来ている」テスカポリトカとともに控えています。






封魔塔の激戦
序、周辺制圧


新宿にターミナルを使って飛ぶ。新宿御苑はこのすぐ側にある。人外ハンターが既に戦闘を開始しているらしく、既に銃声がしていた。あまり使う事はないが、それでも銃は持っている。

 

東京の人外ハンターは銃を使って悪魔と戦う事も多いので、いやでもこの音は聞き慣れた。

 

既に作戦開始だ。一緒にいる霊夢とマーメイド。霊夢との共同戦線は初めてではないが、マーメイドは初だ。

 

後、戦況が落ち着いてから、銀髪の娘も出てくるらしい。

 

それにしてもこのマーメイド。霊夢が自分より強いと言っていただけの事はある。

 

側の地面の下を泳いでいるマーメイドの気配は強烈で、確かにそういう話が出るのも頷ける。

 

新宿御苑から放り投げられてきたのは、悪魔の死骸。

 

それも恐らくは、人外ハンターのものだろう。

 

急ぐ必要がある。

 

霊夢がイヤホンで何か聴いたらしい。どうも苦戦しているのは間違いないようだ。

 

「あたし達が接近する前に威力偵察というのを少し拡大解釈したようね。 一部の人外ハンターが、塔の至近まで接近して深入りしたらしいわ」

 

「連携が取れていないね」

 

「まったくよ。 志村は何をしているんだか」

 

「志村さんは歴戦の戦士だと思うよ。 だとすると、前に西王母戦で戦っていたような人達が、勝手に先走ったんじゃないのかな」

 

いずれにしても問題だ。

 

そういう連中でも、今は一人でも助け出さないといけないだろう。

 

新宿御園には既に幾つかの装甲バスがつけていて、銃撃戦が続いている。阿修羅会は何人かが必死の抵抗をしているようだが、火力も人数も完全に負けている。一方人外ハンターは、此処で働いている人間の事を考えて、大火力で一掃とはいけないようである。まあそれもそうか。

 

仕方がない、出る。

 

「ヨナタン、支援して」

 

「分かった!」

 

「行くよ!」

 

牙の槍はサムライ衆に返してきた。いずれ後輩が使う事になるだろう。

 

その代わりに新しい得物を僕は手にしている。

 

オテギネ。

 

その槍を振るって、僕は銃火の中突入する。天使が数体直衛について、主に後方からの射撃を防ぐ。

 

そのまま火力投射を突破して、石突きで阿修羅会の戦士を吹っ飛ばしていた。

 

「このやらああっ!」

 

巻き舌で至近から射撃をしてこようとする禿頭の男を、そのまま軽く蹴る。軽くしないと、肉袋が破裂してしまう。

 

そのまま槍を振るって、必死に抵抗する阿修羅会の戦士達をなぎ倒す。倒れたフリをしている戦士を蹴り飛ばして、土嚢に放り込んだ。不意を突いてくるつもりだったのだろうが、甘いわ。

 

「この地点は制圧! 他いって!」

 

「感謝する! 人質の救出を急げ! 催眠を使ってもかまわん!」

 

「催眠魔術、投射!」

 

多数の悪魔が、右往左往している阿修羅会の者や、其奴らが銃を突きつけている人質ごと眠らせる。

 

そこを手際良く抑えていく人外ハンター。

 

そのまま制圧地点を拡げる。目を覚ました阿修羅会の連中は、皆縛り上げられ、銃を突きつけられているのに気付いて、それでもがなり立てようとしたが。側に巨大な悪魔が立っているのを見て黙り込むのだった。

 

塔の側には畑があるが、人工の光を当てられているようだ。しかしなんだこの痩せた土地は。

 

それに干涸らびている野菜の無惨なこと。

 

ろくな畑の管理もしてないのが丸わかりだ。お日様が差さないとは言え、もう少しマシな土造りはできないのか。

 

僕は此処を管理していた阿修羅会を面罵したくなったが、今は一刻を争う。ずんずんと歩いて行く霊夢に、短刀だろうか。刃を腰だめにした男が突っ込むが、デコピン一発で飛んでいった。

 

まあ、戦力差からして勝てる訳がない。

 

ワルターもまあそうだろうなという目で見ていた。

 

「C地区抵抗排除! 制圧完了!」

 

「人質の救出続行! 医療班、負傷者の回復を急げ!」

 

「塔に接近しすぎた人外ハンター達は!」

 

「連絡取れません!」

 

修羅場の中を歩く。

 

やがて塔の側に来たが、彼方此方に散らばっている悪魔の残骸。此処でかなり激しくやりあったようだ。

 

血の臭いも酷い。

 

僕は周囲を確認。半殺しになった男が倒れているが、すぐに駆け寄るほど僕も甘くはない。

 

そのまま踏み込むと、半透明なまま隠れていた悪魔を貫く。

 

ぎゃっと悲鳴を上げて、それが飛び退く。毛むくじゃらの……犬かあれは。

 

さっとマーメイドが、倒れている男を助け出す。イザボーに回復を任せて、僕は槍を構えて前に。

 

だが、数体の似たようなのが、周囲から姿を見せていた。

 

ワルターとヨナタンが壁を作る。

 

霊夢がじっと見ていたが、やがて正体を特定したようだ。

 

「コヨーテね。 普通のコヨーテではなくて北米神話の神格としてのコヨーテよ」

 

「コヨーテって?」

 

「犬科の動物の一種だけれど、古い信仰だと動物を神の使いだと考える事があるの。 日本でもアイヌの信仰では狐や熊なんかをそう考える事があったし、本州でも昔は狼をそう考えていたようね。 此奴はトリックスターとして、場を引っかき回すことに特化した悪魔よ。 気を付けて」

 

「なるほど、卑怯者の集まりって訳だな」

 

ワルターの挑発に、言葉が通じているらしいコヨーテが、歯を剥いて唸る。

 

そして、見る間に巨大化していた。

 

熊ほどもある巨体。口は血に濡れている。これは先行した連中はどうにもならなかったのだろう。

 

一斉に襲いかかってくるコヨーテ。

 

がっと、パワー達が盾で壁を作って受け止める。霊夢はまだ力を温存してもらう。僕らで此奴程度は対処する。

 

一体の頭を、オテギネで叩き割る。

 

だが、ぬるっとさがると、割られた頭を即座に修復するコヨーテ。なるほど、普通のコヨーテではないし、これくらいの芸当は余裕というわけだ。

 

まあ、こっちもまだまだ本気には程遠い。

 

飛びかかってくるコヨーテを、そのまま蹴り上げて、浮き上がった所へ追撃の対空技を入れる。

 

だがコヨーテは体を伸ばして、突きを回避。

 

ケラケラ笑っていたが。

 

僕が着地すると同時に、その体は四方八方から炸裂した攻撃魔術で吹き飛ばされていた。気配が消える。

 

他のコヨーテが、明らかに怒るが。

 

面白半分に人間をなぶり殺しにした分際で怒る資格があると思っているのか。

 

飛びかかってくるコヨーテ。割って入ったワルターが、大剣で唐竹にするが、首をにゅっと伸ばして刃に噛みつき。ワルターが大剣を振るって地面に叩き付けようとすると、首がやはり伸びた。

 

しかし、その体に僕が蹴りを叩き込むと、ぎゃっと悲鳴を上げて血を吐きながら吹っ飛び。

 

更にはイザボーの悪魔達が一斉射した魔術を浴びて消し飛んでいた。

 

なるほどな。

 

分かってきた。

 

此奴ら、相手をおちょくることに特化しているが、それしか芸がない。それが出来るだけ充分だが、しかし多角的な攻撃には弱いと言う事だ。

 

呼び出すラハム。

 

僕は突貫して、突きをコヨーテに叩き込む。びよんとコヨーテが体を丸めて攻撃を回避するが、そこへラハムの髪から生じた蛇が一斉にかぶりつく。勿論猛毒を注入だ。コヨーテが悲鳴を上げる。

 

他数体のコヨーテが逃げ腰になるが、全部まとめて氷漬けになっていた。

 

今のを狙っていたらしい。

 

マーメイドによるものだった。

 

ひくひくと痙攣しているコヨーテに、僕は歩み寄る。ラハムは容赦なくまだ毒を注入していた。

 

「他の人外ハンターは? 喋れるのは分かってる」

 

「へへ、食っちまったよ。 あんまりにも隙だらけだったんでね」

 

「そ、じゃあいいや。 ラハム」

 

「はい」

 

絶叫するコヨーテ。凄まじい密度の呪いの魔術が叩き込まれ、その全身が真っ黒になりながら溶けて行った。

 

氷も砕ける。

 

辺りには人間の残骸が散らばっている。

 

これが戦いだと分かっていても、やりきれない話だ。

 

「塔の入口、制圧したわ。 此処で起きた事はきちんと展開して、再発を防ぐようにして貰えるかしら」

 

「了解。 無駄に命を散らしやがって……」

 

「手柄に逸るのは考え物なんだな」

 

ワルターがぼやく。

 

ワルターとしてみれば、このコヨーテのエジキになったハンター達の気持ちは、分からないでもないのだろう。

 

ワルターも似たような部分があるからだ。少なからず。

 

塔周辺を、人外ハンターが確認する間に、霊夢が魔法陣を展開する。何やら呪文みたいなのを唱えているけれど。

 

やがてばちんと音がして、霊夢が弾かれていた。

 

数歩さがった霊夢が、ぐっと顔を上げる。

 

「これは厄介よ。 塔の内外から複数の結界が張られてる。 中に何がいるかは分からないけれど、多分ただ者じゃないわね。 守りについているのが大天使マンセマットだけとは思えないわ」

 

「結界は無力化出来そう?」

 

「一度では無理。 一枚ずつ剥がして、内部に侵入。 内部からも結界を壊す必要があるでしょうね」

 

まずはそうなると外からか。

 

霊夢がスマホに説明して、人外ハンター達が調査する。新宿御苑に戦力を集中させていたと言う事は、破壊目標はあまり遠くとは思えない。

 

今回は歴戦の志村さんも来ている。

 

ならば特に問題なく、おかしなものは見つけられる筈だが。

 

塔の扉はまだ閉じている。

 

しかし、霊夢が手をかざしてずっと解析していた。棒立ちしているつもりはない、というわけか。

 

程なくして、連絡が来る。

 

「どうやらそれらしきものを発見した! 三つの何か小型の牙のようなものが地面から生えているが……強い魔力を感じると悪魔達が言っている!」

 

「下手に手を出さないで! 一旦距離を取って!」

 

「分かった! 各自一時距離を取り、悪魔達を展開して防御姿勢!」

 

座標がバロウズの所にも来るので、僕も即時で移動する。塔を真ん中に三つの牙みたいなのがある。

 

途中で、銀髪の子が来る。

 

丁度牙の所で合流。霊夢が牙に触れて舌打ちしていた。

 

「厄介よこれ。 ユダヤ神秘思想に基づく結界だわ」

 

「ユダヤ……何?」

 

「そうか、知らないでしょうね。 一神教というのは、元々モーセという人物が立てた宗教なのよ。 最初に出来たのがユダヤ教。 ユダヤ教は過酷な砂漠の宗教らしく、排他的で偏屈な思想でね。 他の宗教全てを敵と考えるような思想であったのだけれども。 人間、何でも一から作り出すのは難しい。 結局ユダヤ教も、他の宗教の思想を取り込みながら、形を為していった。 その中には神秘思想も多くあったのよ」

 

「良くわからねえが、最初を自称しているだけで、最初ではないってことか」

 

ワルターの意見に、霊夢はそうよと返す。

 

ワルターは直感的だが、こう言うときにズバリ真実を突き当てたりするから面白い。僕達に出来る事はないかと聞くと、あると言われた。

 

それぞれ三箇所の牙に散って、指定のタイミングでぶっ壊せ、だそうである。

 

霊夢とマーメイドは単騎で。僕達は銀髪の娘と一緒に。それぞれ、三つの牙のある地点に散る。

 

その間も、バロウズを介して説明を受ける。

 

「えっ、リリスって悪魔は、そのユダヤ神秘思想でも重要な存在なんだ」

 

「途中から一神教はユダヤ教、キリスト教、イスラム教の大まかに三つに分かれてね。 まあ他にもあるのだけれど、その三つが主な派閥よ。 ユダヤ教そのものがなくなったわけでもなく、色々と魔術的な要素を持つ思想が出来ていったりしたのよ。 リリスはそんな魔術としてのユダヤ教で悪魔の大親分に近い位置にいる。 或いは不死身の理由も其処かも知れないわね」

 

「とりあえず現場に着いた。 これは……瓦礫を積み上げて、わかりにくいようにしていたんだ。 魔術的な拠点というわりには、なんというか力仕事で隠していたんだね」

 

「そんなものよ。 あたしだって年始なんかの色々な悪神を抑えるための儀の時は力作業にもなって、結構大変なんだから」

 

そんなものか。

 

ともかく牙の周囲に展開する。

 

銀髪の子が戦う所は以前も見たことがあるから、不安はない。背中を任せてしまって大丈夫だろう。

 

人外ハンター達は救出した人々をどんどん後送しており、捕らえた阿修羅会の構成員も武装解除してから、乱暴にバスに放り込んでつれて行っているようだ。

 

今ですら死人が出ている。

 

それに此処での労働は、おおよそ労働と言えるようなものではなかったようだ。

 

東のミカド国の農民は過酷な労働に晒されているとフジワラに言われた。僕にはそんなつもりはなかったが、東京の人からみればそうなのかも知れない。自分の主観だけではなく客観を取り入れる事の大事さを僕は知っている。その上で周囲の様子を見て断言するが、これはおおよそ人間に対する扱いじゃない。

 

周囲には、人間を文字通りすり潰しながら使っていたのが分かる痕跡がいくらでもある。

 

ヨナタンも眉をひそめているし、イザボーは露骨に眉間に皺を寄せていた。

 

「よし、同時に壊すわよ! 3、2、1!」

 

バロウズを通じて霊夢の声。

 

僕は銀髪の子と頷くと、力を出し惜しみせずに行く。

 

移動中に支援魔術は既に重ね掛けしていた。其処にチャージも乗せる。

 

突貫。

 

ワルターとヨナタンも同じように自身に強化を入れていたし。

 

イザボーもコンセントレイトを其処へ更に重ね掛けしていた。

 

銀髪の子は見えない質量体を、真上から牙に叩き込む。

 

一斉攻撃で、牙が瞬時に砕け散る。

 

それなりに重い手応えだったが。

 

流石にこの攻撃の前には、どうしようもなかった。

 

呼吸を整え、残心もする。

 

牙は完全破壊。

 

一度休憩を入れると霊夢が言うので、塔から距離を取る。

 

人外ハンター達が掃討戦をしていて、周囲から雑魚悪魔を片付けていた。

 

僕は休憩所に出向くと、アサヒが展開する悪魔の回復を受ける。ナナシとアサヒは随分と強くなっているようで、掃討戦でかなり活躍したようだった。アサヒの悪魔も、面子が随分変わっていて。回復術の効果も上がっている。

 

前もあった仮設トイレもあるし、スポーツドリンクも支給される。以前より気前よく支給されているのは、それだけ供給量が増えているということなのだろう。いずれにしても有り難くいただく。

 

まだ銃声がしている。

 

抵抗が小規模ながら続いていると言う事だ。

 

志村さんが来る。

 

幾つか話をした。

 

阿修羅会の抵抗は沈黙。

 

元々此処はもっとたくさんの悪魔が守っていたらしく、阿修羅会の悪魔使いもいたらしいのだが。

 

それらは以前シェルターに攻め寄せた挙げ句に斃されていたらしい。

 

それもあって、今回の攻撃が決定された側面もあったそうだ。

 

以前は此処には大物の堕天使数体と魔王が確認されていたそうだが。

 

全てもうシェルターに攻め寄せた挙げ句に斃されている。だが、あのコヨーテについては、存在を初めて確認したそうである。

 

「阿修羅会がなりふり構わず手札を切ってきた可能性もある。 内部に何があるかはまったく分かっていない。 今まで調べた限り、阿修羅会の者達も内部に何があるかはしらないようなんだ。 恐らくタヤマや他幹部くらいしかしらないんだろう」

 

「その話を聞くと、阿修羅会って連中は、意外と悪魔に対してそれほど強く出られないようですね」

 

「必殺の霊的国防兵器を使って悪魔とやりあっている、というわけでもなさそうだ。 六本木で大きなトラブルが起きている事もある。 だが、その時間もいつまでも続く訳でもないだろう。 とにかく態勢を立て直す前に叩き伏せるしかない」

 

「ま、此処で優勢を決定的にすればいいんだな。 俺も阿修羅会の連中の胸くそわりい行動は散々見ている。 手助けするぜ」

 

ワルターもそう言ってくれるのは嬉しい。

 

やはりヨナタンとワルターは所々で考えが違う事もある。

 

いつか決裂するのではないかと僕も心配しているのだが。

 

今のうちはまだ大丈夫だろう。

 

いつか決裂の時が来そうになった場合は。

 

僕は止めるだけだ。

 

霊夢は無言でスポーツドリンクを口にしている。銀髪の娘はほとんど消耗もないようである。

 

マーメイドはというと、黙々と氷を食べていた。

 

ばりばりかみ砕いているような事もなく、細かくした氷を水に混ぜて飲んでいるようだ。ちょっとそれはどうしてかはわからない。

 

あの水も、真水ではなさそうである。

 

「マーメイドはあれ、何を食べているの?」

 

「喉をよくする成分の薬と、それとただの氷らしい。 マグネタイトは周囲に漂っているものを普通に吸収しているそうだ」

 

「まあ、人を殺して食べるような他のマーメイドに比べると穏当ですわね。 あの凄まじい魔術の威力を知っていると、苦笑いしか出来ませんけれど」

 

「そうだな」

 

ナナシが戻ってくる。

 

他の班と塔の周りを見てきたそうだが、今の時点では問題はないらしい。

 

それよりも、別の問題があるそうだ。

 

「此処にも用水路があるんだが、死体が浮かんでた。 かなり古い死体だ。 多分見せしめに殺されて、悪魔も手をつけなかったんだ」

 

「埋葬してやろう」

 

「仲魔に引き上げて貰って、荼毘に付したよ。 それでいいんだよな、志村のおっさん」

 

「ああ、ありがとう。 よくやってくれた」

 

見せしめに殺す、か。

 

満面の笑みを浮かべながら阿修羅会の連中がそれをやっていたのが、言われなくても分かる。

 

さて、そろそろ良いか。

 

休憩は、僕は充分だ。

 

霊夢ももう良さそうである。

 

シェルターに何があるか分からない。あの秀さんがフジワラと一緒に守っているといっても、いつまでもがら空きには出来ないだろう。

 

立ち上がると、皆も頷く。

 

ここからが、本番だ。

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