もう一人の東京守護者   作:dwwyakata@2024

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東のミカド国では18になると成人の儀というのが行われ、ガントレットに選ばれた人間がサムライという護国の戦士になります。ガントレットが選ぶ基準も曖昧ですが、多分原作を見ている限り強い自我がある人間が選ばれているっぽいですね。

現実の侍とはだいぶ違う存在で、ガントレットがそもそも悪魔召喚プログラム入りのハンドヘルドコンピュータなのもあって、まあそういうことです。

もっとも、「18才になったら誰でも」というのは嘘だろうなと個人的に思っています。こんな身分制度バキバキのクソディストピアで、平民がそんなん受けに来たら多分袋だたきでしょうし。

本作ではその結果、「数年合格者が出ない」という事態が発生した結果、あわてた国が平民も受けられるようにきつく達しを出した……という設定にしています。







1、ガントレット様

東のミカド国は、王様を頂点とした国で。山の上にある城に王様は住んでいて。その周囲に王様を支える……という名目のラグジュアリーズが住んでいる。

 

街がまるでうねるように山を覆っているその様子は、なんだか上に行けば行くほど緑がなくなって、あんまり住みたい場所じゃなくなる。

 

それでも、今は其処が希望の地だ。

 

僕は夕方になると、ちいさな宿場に到着。

 

宿の取り方は知っている。

 

これでも彼方此方武者修行に回っていないのだ。

 

彼方此方の村には、引退した老サムライもいて。村の人達に自衛の仕方を教えたりしている。

 

そういう人達に武芸をつけてもらうために、彼方此方走り回っていたのだ。

 

だから、宿場の人も僕を知っていた。

 

「よう鬼っ子。 今日も訓練に来たのか」

 

「ううん、成人の儀に向かう途中だよ」

 

「なんだと。 お前もう18なのか」

 

「数え年でだけどね」

 

ふふんとない胸を張ってみせる。

 

カジュアリティーズに支給されている服は耐久性に問題がある麻が殆どなのだが。父ちゃん母ちゃんは、動きまくる僕のために頑丈に工夫して仕上げてくれている。なんだかんだで理解があるのだ。

 

周りの堅苦しい親には色々陰口をたたかれていたけれど。

 

それでも僕を庇ってくれていた。

 

それも知っている。

 

だから、僕も両親を馬鹿にする奴は許さない。

 

同世代の人間は、僕を昔はからかうこともあったけれど。

 

全員実力で分からせてからは何も言わなくなったし。

 

年下の子達は、僕の武芸を見ると大喜びして、それですぐに弟分妹分になった。

 

子供ってのは、相手の実力に敏感なのだ。

 

ただ流行病も多くて、簡単に死ぬ。

 

何度も墓の前で泣いたっけ。

 

「それにしても鬼ってなに?」

 

「良くは知らないが、なんでも凄く強いものらしい。 お前に稽古をつけていたサムライのじいさまが、お前の事を鬼っ子って呼んでいてな。 すっかりそれで定着してしまってな」

 

「そっか。 それで、ご飯を食べてトイレ行って、あと風呂だけ浴びて行くから短時間宿泊で」

 

「あいよ」

 

料金を払う。

 

これだって、父ちゃん母ちゃんが身を切って捻出したものだ。

 

だからいい養子が貰えるように、サムライになったら頑張らないと。

 

僕はどうせ良い親にはなれない。

 

だから、それでいい。

 

逆に、親を選べない子だっている。

 

そういう子が、優しい僕の自慢の父ちゃん母ちゃんの所に行ければ、僕はそれだけで満足だ。

 

がつがつとにぎりめしを食べて。

 

それでトイレに入る。

 

風呂は、水がどこでも豊富だから、基本的に入れる。ただやっぱり湯を沸かすのが大変なので、毎日は無理だ。

 

水場で水浴びをする事も多いけれど。

 

やっぱり川の中にはおっきな魚とかもいるし、川の水は案外獰猛だから流されたりして危なかったりもする。

 

覗かれたりもするし。

 

だから風呂でゆっくりできるのはそれはそれで助かる。

 

湯を贅沢に使った桶の風呂で、しばらく汗を流す。数日分の汚れも、それで取ってしまう。顔も髪の毛もあらって、それですっきりした。

 

料金を払うと、すぐに宿を出る。

 

「もう出るのか。 一眠りくらいしていったらどうだ」

 

「大丈夫大丈夫。 成人の儀一番乗りするくらいの気分で行きたいし、それに昂奮してどうせ眠れないし」

 

「そっか、相変わらずだな……」

 

「相変わらずだよ」

 

ふふんと笑うと、荷物をまとめて宿を出る。

 

明日も朝には宿場に泊まるが、その後はずっと走るつもりだ。

 

夜闇の中を走る。

 

途中、虫の鳴き声がした。

 

凄い合唱で、更には今日は雲も少ない。星明かりが降るようだ。その中を、棒を担いで疾走する。

 

いつの間にか朝になっていた。

 

疲れは全然平気。

 

それに、まったく眠くなかった。もうすぐ城に着く。

 

貴族街なんて言われる所の入口辺りにある村で、宿場に。

 

此処は何回か来ている。

 

というのも、まだ引退していないサムライが此処に住んでいて。それで、稽古を何度かつけて貰ったのだ。

 

最初はたのもうというと良いと言われていたので。

 

サムライの家にたのもうと全力で叫んで乗り込んだら、相手は肝を潰したようだったけど。

 

用事を告げると、苦笑いしながら稽古をつけてくれた。

 

いいサムライで、とても褒めながら、僕の技をどんどん伸ばしてくれた。

 

力だけではダメで。武器はこう握る。こう振るう。

 

体はこう使う。

 

姿勢を良くしなければならない。全てが武術につながっていて、破壊力に直結する。

 

そういった事は、全部教えてくれた。

 

ただ、そんないいサムライだったのだけれど、任務で命を落としたと聞いている。話を聞いた後、お墓参りをしに行って。

 

それで随分泣いたな。

 

サムライの奥さんはこの村の人で、サムライが亡くなってからも僕が会いに行くと、良くしてくれたっけ。

 

ただその人も去年なくなった。

 

子供はいないらしかった。

 

宿に泊まって、そんな事を思い出す。そして、ご飯にする。

 

とにかくお金は節約しなければならないので、仮眠だけ念の為少しとって、それですぐに出る。

 

貴族街に入ると、警備らしいのが声を掛けて来た。

 

身分証……ロザリオとかいうらしいけど、それを見せて年齢を告げると、ああと納得したらしい。

 

どこに行けば良いのか、丁寧に説明してくれた。

 

ただ、その速度で走るのは危ないから止めろと言われて、しぶしぶ早歩きにする。

 

馬車が通っている。

 

絹だかの色とりどりの作りも凝った服で着飾っているラグジュアリーズが行き交っていて、そいつらの中には僕をゴミみたいに見る奴も多い。

 

むかつくけど無視。

 

早歩きしていると、何だか服を着崩した、ガラが悪いのがラグジュアリーズ達を睨んでいた。着崩しているのは筋肉を敢えて見せつけて、男らしさをアピールしているのだろうか。まあ大胸筋とか腹筋とかなかなか凄いが。

 

見た感じ僕と同じカジュアリティーズだ。背は随分高い。

 

此処にいると言う事は、多分成人の儀に来ているのだろう。

 

「成人の儀に来たの?」

 

「ああ。 て、ガキ?」

 

「残念だけど成人の儀に来たんなら、僕と君は同い年だよ」

 

「マジか。 て、そのごっつい棒なんだよ。 そんなん持って平気なのか」

 

平気とにやりと笑うと、柄が悪い奴はちょっと態度を改めた。

 

子供みたいだな。

 

僕が愛用している棒「とんぼちゃん」を見て、それで実力が分かったらしい。実力がある奴には敬意を払う。

 

そういう奴だ。

 

早歩きしながら話す。

 

この柄が悪いのはワルター。キチジョージ村より、もっと麓の村から来たらしい。キチジョージ村から来たと聞くと、あっと声を上げる。

 

「お前まさか、キチジョージの鬼っ子か?」

 

「それ、定着してるんだ!」

 

「してるしてる! やったらめったら強いガキンチョみたいなちいさな女がいるってな! そっか、お前か! その棒、平気で振り回せるのか」

 

「僕の一部みたいなもんだよ。 これに蜻蛉が止まると、なんだかちょっと安心するんだよ。 だからとんぼちゃんって呼んでる」

 

ひくりと笑顔を引きつらせるワルター。

 

命名のセンスがおかしいというのだろうか。

 

まあ、それはいい。

 

そのまま歩いていると、今度はやたら身なりがいい男が、ラグジュアリーズと揉めているのを見る。

 

どうやら下働きの子供を殴ったラグジュアリーズに対して、一歩も引かずに文句を言っているようだ。

 

「君は貴族が平民を教育するなどと言っているが、些細な失敗など誰であろうとするものだ。 アキュラ王であってもな。 事実アキュラ王もそう手記に残している! 君の今の態度、貴族たるラグジュアリーズに相応しいものだとはとても思えないな」

 

「なんだとこの……!」

 

「ま、まて。 こいつ確か……」

 

「! くっ、此処は引き下がろう。 だ、だが私は悪くなどないからな!」

 

仲間らしいのにたしなめられて。捨て台詞を吐くと、ラグジュアリーズが行く。

 

やるもんだな。

 

言葉だけで傲慢な腐れラグジュアリーズから下働きのまだ幼い子供を守って見せた。

 

ラグジュアリーズの中には、カジュアリティーズに触るのさえ嫌がる輩が存在しているが。

 

平気で手を貸して立ち上がらせ、優しい言葉も掛けている。

 

此奴もラグジュアリーズらしいが、まあたまにはこんな奴もいる。

 

詳細はわからないけれど、まあ助けるべきだろう。だから支給されている傷薬を渡す。この傷薬、国からどの家にも支給されていて、緊急時は誰もが使った経験があるのだが、本当に良く効くのだ。何で出来ているのかは分からない。ただ、とても良く効くので誰もが使っている、そういうものだ。

 

薬草なんかに知識がある老人も、成分は分からないと断言していたっけ。ラグジュアリーズも同じように使っているらしいし、分かる筈だ。

 

「ほい傷薬。 使って」

 

「ありがとう。 助かるよ。 ……君はそのロザリオを見る限り、成人の儀を受けに来たのか。 その棒を見る限り相当な使い手のようだが、随分と小柄だな……」

 

「みんな同じ反応するね……」

 

「コホン、僕はヨナタン。 僕も同じように成人の儀を受けに来たんだ。 そうか、君達もか」

 

手当てまで丁寧にするヨナタンを見て、ワルターは露骨に顔をしかめている。

 

感じの良い笑みを浮かべているヨナタンと、なんかあわないという雰囲気である。

 

まあ、雰囲気も真逆だし、仕方がない。今の場面、ワルターはあからさまに放置して先に行こうとしていたし。

 

弱い奴は弱いのが悪い。そんな雰囲気である。

 

軽く話しながら歩く。

 

足の長さが随分違うけれど、歩く速度は殆ど同じだ。

 

門の前。

 

最初に来たと思ったのだけれども、そうでもないか。もう既に、かなりの人が集まってきていた。

 

「夜通し走ったのに、なんだかんだで近くに住んでいる人の方が有利だなあ」

 

「夜通し走った!? ほ、本当なのか。 しかもそんな棒を担いで?」

 

「多分本当だろうな。 此奴、結構な有名人なんだぜ。 俺等漁師町の人間ですら名前を聞くくらいにな。 キチジョージ村の鬼っ子って言ったら、彼方此方の引退サムライの所に押しかけてくるとんでもない強いガキだって俺の所まで噂が流れてきてたぜ」

 

「ガキいうな。 君らとおない年だってば」

 

ワルターの奴め。頭二つくらい僕より高いからって。肘とか僕の頭に乗せそうな雰囲気である。

 

ただ、距離の詰め方が上手なのも事実だ。

 

僕みたいな手合いに苦手意識がないのか、一度胸襟を開くと、ぐいぐい話してくるようである。

 

僕の場合色々周りが怖がったりするから、柄が悪いのに上手に距離を詰めてくるワルターのやり方はちょっと勉強したい。

 

そうこうしている内に、扉が開かれる。

 

城のなんだかいう広場でガントレット様にあって、成人の儀をやるそうだ。実際にはこれを受けないカジュアリティーズも多いのだけれど、今年はそれを防ぐためにわざわざ広域に話を広めたのだろう。

 

「貴方たち、並んで中に入りなさい」

 

後ろから声を掛けて来るのは、ものすごくしっかりした雰囲気の女だ。多分この女も成人の儀を受けに来たのか。多分ラグジュアリーズだろう。服なんかがとても上物である。それでいて動きづらそうなドレスでもないし、髪も短く綺麗に切りそろえている。女が黄色い声を上げそうな容姿だ。

 

その女はワルターを見て、背筋が曲がっていて服装もだらしないとぴしっという。柄が悪いワルターに臆していないのは育ちが良さそうなのになかなかの度胸だ。

 

一方僕に対しては、違う方向から攻めてきた。

 

「貴方は……その、殿方のような頭と服装はともかくとして、背筋はしっかり伸びていて立派ですわね。 ただ、その恐ろしい巨大な棍棒はなんですの?」

 

「僕の相棒のとんぼちゃんだよ」

 

「棍棒に名前をつけているんですの?」

 

「そういう面白い奴なんだよ。 キチジョージの鬼っ子って言われて、結構麓の方では有名人なんだぜ」

 

自分の事のように楽しそうなワルター。

 

お空に浮かんだ不思議なものを見た猫みたいな顔で絶句する女。数秒停止するが、立ち直ると咳払い。女はイザボーと名乗っていた。

 

古くはイザベルというのが正しかったらしいのだけれど。近年はこう崩すのが正式になっているらしい。或いはそういう風に崩す方がそれっぽいからかも知れない。正式な言葉は、特にラグジュアリーズは気取って使ったりして。魔法の言葉に無理に混ぜたりするものなのだ。

 

イザボーは指先までとにかく動きがしっかりしている。

 

僕みたいに武術を習う過程で身体制御を隅々までやるようになったタイプじゃない。生活の過程で、身体制御を学んだタイプだろう。

 

腰に帯びている細剣が、飾りとも思えない。

 

かなり剣の方も出来ると見て良さそうだった。

 

ともかく、指摘されたとおり並んで、順番を待つ。

 

最初に入った奴が、落胆して出てくるのが分かった。一人ずつ呼ばれて入っていく。ガントレット様の数はあまり多く無いと聞いているが。

 

それ故なのだろうか。

 

いずれにしても、合格している奴はいないようだ。みんなガッカリした様子で出ていく。ラグジュアリーズが、こんな筈は無い私は選ばれた人間だとか言いながら出ていくのを見ると、ちょっと胸がすく。

 

最初にワルターがいく。

 

扉の先はアキュラ王の像がある広場のようである。其処で前に見たことがある、現在のサムライ衆の長が、厳しい目を光らせていた。口ひげを少しだけ蓄えた、威厳のある男性だ。

 

一目で強いと分かる。

 

多分今の僕より二回りは強いはずだ。ざっと見ただけでも。

 

他にも数名のサムライ衆が控えているが、長はあからさまに実力が段違いだ。一応武芸をやっているので、立ち姿だけでそれが分かる。

 

呼ばれたワルターがアキュラ王の像の前でなにやらしていたが、やがておおっと声が上がっていた。

 

「合格。 今日からお前はサムライだ」

 

「やったぜっ!」

 

「色々と手続きと教育がある。 服も支給するから、彼方に向かえ。 説明は係の人間がする」

 

「おう。 これからよろしく頼むぜお頭」

 

ワルターが悪びれもなくサムライ衆の長にいうので。サムライ衆の長は、流石に苦笑いしたようだった。

 

まあ、ガラは悪いけれど根っからの悪人ではない事が分かる。

 

続けてヨナタンが行く。

 

ヨナタンも選ばれたようだ。

 

僕の所からは何が起きているかは見えないのだけれど、ちかっと光って。そして何か喋っているように見えた。

 

「続けて合格だ」

 

「有難うございます。 彼方で手続きを受ければよろしいのですね」

 

「そうだ。 行ってこい」

 

「はっ!」

 

びしっと敬礼を決めると、ヨナタンも行く。あの様子だと、サムライ以外の雑兵として、軍役を経験しているのかも知れない。ラグジュアリーズの一部は、ノブレスなんとかというので、軍役を経験するらしい。

 

その割りには、大した使い手を見た事がないが。

 

強い奴はだいたいサムライ衆だ。

 

そして、僕が出る。

 

ふとイサカル兄ちゃんが来ていないかと思ったのだけれども、来ているか分からない。いつのまにか、滅茶苦茶人がきていて、吃驚するほどだった。

 

後ろでは、整列させるべく苦労しているようだ。おかしな話で、カジュアリティーズが綺麗に列を作っているのに、ラグジュアリーズが列に割り込もうとしていたりして。サムライ衆が面罵したりしている。

 

何が貴族だか。

 

僕は歩きながら、アキュラ王の像の前に。

 

なんか碑文があって、其処で名前を名乗る。

 

長には前にあったことがあるのだが、視線を見る限り僕の事を覚えていた。

 

だが時間がないのだろう。

 

成人の儀のやり方を教えてくれる。

 

手甲かこれは。

 

ガントレット様は、これのことなのか。

 

「余り数がない品だ。 手に嵌めろ。 こういう風に」

 

「ええと、力を入れすぎないように気を付けて……。 あれ、思ったより頑丈だ」

 

「やりづらかろう。 その棒は預かっておこう」

 

「はい、ありがとさんです」

 

ひょいとサムライ衆にとんぼちゃんを渡すと、一人がすっころびそうになって。あわててもう二人が必死にとんぼちゃんを抱えた。

 

サムライ衆の長が、その有様を見て、一人でとんぼちゃんを掴んで支えて見せる。

 

鋭い視線を受けて、サムライ衆達が恐縮する。

 

やっぱりこの人強いな。

 

僕はガントレット様を手に嵌める。手甲だが、なんだろう。からくりみたいになっていて。たくさん色々とついている。そして、真っ黒な板みたいなのがある。それに触るように言われた。

 

出来るだけ優しく触る。

 

次の瞬間、ぴかっとガントレット様の黒い板が光り。僕の頭の中に、なんだかよく分からない光景が流れ込んできた。

 

僕の背が高い。馬に乗っているのかこれは。

 

手にしているのは、とても長い槍。

 

あれは、なんだろう。不思議な鎧を着た人がたくさんいる。矢が飛び交っている。殺し合っているのか。

 

馬を急かすと、僕が叫ぶ。

 

雷霆みたいな叫び声だった。

 

「多勢であるが怖れるな! 我等はあの〇〇さえからも国を守りきったもののふぞ! 数だけ集めた烏合の衆など怖れるに足りず! 懸かれっ!」

 

「応っ!」

 

「〇〇〇〇、参る! 命惜しくないものは、我の前に出よ!」

 

「エイエイオウ! エイエイオウ!」

 

凄まじいわめき声。やがて、巨大な槍を振り回しながら、僕はたくさんの人の中に突っ込んで、血しぶきを巻き上げ始めていた。

 

はっと目が覚める。

 

そして、いつの間にか、黒い画面は白くなっていた。

 

文字が凄い勢いで流れていて。

 

そしてOSがどうたらと知らない単語が出た後。

 

ふっと、立体映像で、半裸の女性の肩から上の姿が浮かび上がっていた。流石の僕もびっくりする。

 

目元は見えないが、綺麗な顔と声だ。

 

「始めましてマスター。 あら、随分と小さくて可愛い子ね。 私はバロウズ。 ハンドヘルドコンピューティングデバイスの、ナビゲーションシステムよ」

 

「えっと、よろしくねバロウズ様、でいいのかな。 僕はフリン」

 

「合格だ。 一度同じように触れて、スリープというんだ」

 

「ええと、スリープ」

 

バロウズが、軽い感じでバアイとか言って、そのまま消えてしまう。

 

驚いた。

 

そして、サムライにこれで僕はなった。

 

壊さないように気を付けろと言われて、頷く。ガントレット様が、僕に答えてくれた。

 

絶対にサムライになるんだと思っていたけれど、まさか本当に。

 

とんぼちゃんを返して貰う。サムライ衆の長の力は凄く強くて。返して貰う時にもそれがよく分かった。

 

「後は係に聞くように」

 

「はいっ!」

 

「次、つかえているから急げ!」

 

「分かりましたわ!」

 

後ろで返事したのはイザボーだ。

 

とんぼちゃんを握る手に、汗がにじんでいるのが分かった。そして、強い高揚感が浮かんで来ている。

 

バロウズ様と色々と話してみたいのもあるけれど。

 

夢が叶ったというのが、どうしても大きい。

 

僕の次にイザボーが試験を受けていたけれど、イザボーも合格したようだ。四人連続だと、サムライ達がどよめいていた。

 

だが、記録は其処までだ。

 

それからは、しばらく不合格が続いた。見ていると、不合格の人はガントレット様に触っても、何も起きないようである。

 

割烹着みたいなのを来た女性が来て、此方だと僕達四人を案内してくれる。

 

これから、サムライになるための研修を受ける。

 

そう思うと、とても嬉しかったし。

 

何よりも、希望が胸の中に溢れるのを感じた。

















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