以前カガさんがガイア教団を抜けるときに仕掛けるよう命じられていたトラップが発動です。
カガさんは仁義を通して抜けたので、きちんと最後の指令はこなしていました。
結果、阿修羅会には文字通りの致命打が入る事になります。
アベはハレルヤを連れて、六本木の街を警邏していた。既に阿修羅会の威信は墜ちるところまで墜ちており、六本木からは目だって人間が減ってきている。阿修羅会に協力的な人外ハンターもいて、阿修羅会の依頼を受けるものもいたのだが。それも既に姿が見えなくなっていた。
沈没する船からは鼠が逃げ出す。
有名な話だ。
阿修羅会の面子は、そもそも今までやってきたことがことだ。他で受け入れられる可能性もない。
だからこそに、阿修羅会の人間は逃げてはいないが。
それも時間の問題なのだろうなとアベは思う。
それにだ。
タヤマが衰えてきているのは、アベも分かっている。
元々大した人間ではなかった。
こういう混沌の中では、強い者が生き残るなどと言う迷信があるが、それは大嘘である。
例えば、ネズミザメ科のサメ……ホオジロザメなどが有名だが。あれは卵胎生の中でも特殊で。母親の腹の中で子供が食い合って、生き残った一尾なり二尾が最終的に生まれてくるという生態を持っている。
凄惨な生態だが。それで強い子供が生まれてくるかというと、答えはノーだ。
実際には最初に生まれた子供が他の卵や後から生まれた子供を片っ端から食い荒らしていくだけである。
どんなに育てば強力になる子供だろうが、生まれるのが遅れるという時点でチャンスすらない。
それに、それだけ過酷な生態を持っているネズミザメ科は最強だったかというと、それですらない。
シャチを初めとするもっと強力な捕食者にはおやつ同然に食い荒らされ。
それどころか人間が映画の影響で面白半分に殺戮して回った事もあって、絶滅寸前まであっと言う間に追い込まれた有様だ。
つまり混沌と淘汰は強力な存在が生き残る状態など作らない。
それをタヤマはいつか勘違いしていたし。
周囲もまたそう。
アベは何度も諌めた。
だが、自分がどうやら取り返しがつかない所に来てしまったとタヤマが悟った時には。既にもう遅かったのである。
「兄貴……」
ハレルヤが悲しそうにいう。
連絡がまた取れなくなった阿修羅会の者がいるという。通信がきれたと言うよりも、通信が遮断された様子だそうだ。
恐らく足抜けだな。
そして後を追う余裕も無い。
阿修羅会の内情を売れば、今勢いを増している人外ハンターに加われるかも知れない。そう判断しているのだろう。
バカな連中だ。
そんな甘い相手ではない。
戦闘の最前線に配置されて、今まで以上に過酷な事をさせられるのは分かっている。それは何度も皆に説明した。
阿修羅会は東京の人間が悪魔に対して決定的に劣勢になる直接原因となった集団だ。
東京の民が、阿修羅会を恨んでいない筈がないのに。
六本木の街を離れて、タワマンに戻る事にする。
タヤマは酒に逃避している。
糖尿が悪化する可能性が高いから出来るだけ控えた方が良い。そう警告しているのだが。タヤマは泣きながら酒に縋り付いていて。酒がなければ心が壊れてしまいそうな有様で。無理にとめる事もアベには出来なかった。
そして、悩みが。
一瞬の決定的な破綻につながっていた。
兄貴。
ハレルヤがそう叫んだときには、とんでもない衝撃が、真横から叩き付けられていたのである。
吹っ飛んだアベは、瓦礫の中に突っ込んでいた。
瓦礫に突っ込んだことよりも、恐らく巨大な質量体に殴られた事の方がダメージが大きい。
ただの質量体じゃない。
今のは、感覚的に覚えがある。
「ハレルヤ、逃げろ!」
「逃がすかよ!」
数人はいる。
瓦礫を押しのけて立ち上がると、にやついた阿修羅会の誰かが、ハレルヤを抑え込んでいる。
いや、それはどうでもいい。
ハレルヤは元々悪魔と人間の合いの子であり、ちょっとやそっとでは死なない。問題は、にやついているそいつらのリーダー格。
アベの部下の一人。
トウゴウだった。
トウゴウが従えているのは、白い巨大な人型。顔のある場所に、巨大な口があり、一目で貪欲な存在だと分かる。
あれは、知っている。
嫌になる程だ。
ネフィリム。
悪魔としてのアベに、縁のある存在だった。
「若頭。 悪いがタマ取らせていただきやす」
「其奴がどんな存在だか分かっているのか」
「分かっていやす。 悪魔召喚プログラムによると、エグリゴリと言われる堕天使の集団と人間の間に生まれた子だとか。 凄まじい食欲で世界を食い尽くしてしまうとかいう連中でしょう。 此奴が土の中に埋まっているのを見つけて、ガイア教団と連絡を取って。 阿修羅会のシノギの一部を譲る代わりに、自由に使いこなせるようにしてもらったんですよ」
丁寧に話しているトウゴウだが、顔はずっとにやついている。
アベの正体を話した事はない。
というか、悪魔としてのアベの正体は、タヤマにも話していない。だとすると、これは偶然だろう。
偶然だが、あまりにもタチが悪い偶然だ。
側で抑え込まれているハレルヤにも、あまりにも悲しい事だ。
「そいつはお前が扱えるような存在じゃない。 生半可な天使では歯が立たず、神がノアの大洪水を引き起こして全て洗い流した伝承もある程の強大な巨人だ。 巨人信仰を嫌った一神教徒が、巨人を無理矢理悪役として聖書に取り込んだという説もある! 事実はともかくとして、其奴は制御など受けつけない! お前が扱える相手ではないぞ!」
「そんな逸話のある悪魔など幾らでもいるではないですか。 それでもこっちのレベルが足りているか、或いは制御のための装置があればどうにかなるのは知っています。 必殺の霊的国防兵器のようにね」
駄目だ、完全に勘違いしている。
そもそも必殺の霊的国防兵器は、あれは制御出来るようにしたものではない。
長い時間を掛けて相手と対話(極めて非人道的な方法で)をして、その結果相手が制御のための装置を託してくれた(という建前で実際には洗脳同然)ものなのだ。
それを悪用していることを、必殺の霊的国防兵器は皆恨んでいるし。
どうにか自力で外そうと、毎日努力している。
いずれ破られる。
タヤマが生きている間にそれが起きるかは分からない。
分からないが、どちらにしても阿修羅会の命運なんて詰んでいるのだ。
もう少し若い頃、タヤマは地獄に落ちるのも本望だなどと言っていたが。地獄が本当に存在すると知った時には、明らかに恐怖に顔を引きつらせていた。
アルカポネを代表とするような、自分は聖人だと考える完全に人間としての一線を越えてしまっているタイプの悪党と違い。
タヤマはある程度人間としての心があり。
それが故に、自分が地獄以外に行き先がないことも。地獄の最深部にしか席がないことも分かってしまっていた。
立ち上がる。
ともかく、ネフィリムは止めなければならない。
「流石はアベさん。 でも、ガイア教団から、此奴はアベさんと決定的に相性が悪いと聞いています。 勝たせて貰いますよ。 そして阿修羅会は俺が貰います」
「そうか……」
ガイア教団は、或いは悪魔を通じてアベの正体を知ったのかも知れない。一神教関係者の悪魔で、高位の堕天使だったら、アベの正体を看破できる可能性はある。
だが、いずれにしても。
トウゴウと子分達は救えない。
やれと言おうとしたトウゴウの上半身が消える。
分かっていた。
ネフィリムは最終的に共食いまでした逸話が残っている暴の権化である。それが、こんな半端な力の人間や、制御具でどうにかできるものか。
トウゴウの上半身を当然のように一瞬で喰らったネフィリムは。右手を振るって、トウゴウの下半身と、子分達をまとめて掴み。
そして何が起きているかも分からない様子の子分達を、まとめて口に放り込んでいた。
悲鳴を上げる暇すらなく、巨大な口が閉じられる。
むしゃりむしゃり。
そう咀嚼の音。
そして、バカな連中を飲みこんだネフィリムは、巨大な舌で口の周りをなめ回すと、ハレルヤを見る。
やるしかなかった。
アベは己の姿を解放する。
そう、アベの正体は、先に話に上がっていたエグリゴリの一角。
人間の女達の美しさに魅せられ、恋をした天使の一人。
シェムハザだ。
神話の時代、天使シェムハザは人間に恋をして、子をもうけた。だがその子はネフィリムとなり、際限のない災厄をまき散らした挙げ句に、天使達に殺され。シェムハザも堕天使にされた。
アベは全力で、ネフィリムに立ち向かう。
あれが同胞の誰の子のなれの果てかは分からない。
それでも、愛の末に生まれた子があれなのだとすれば。絶対に倒さなければならない。これ以上、破壊をまき散らさせないために。
何よりも、ハレルヤに。
素性は教えていないが。自分の子に。
あれと戦わせたり。あれと同じ存在にさせるわけにはいかなかった。
雄叫びとともにアベは跳躍し、蹴りを叩き込み。空間ごと抉り取る勢いで、ネフィリムを吹き飛ばす。だが、巨体で踏みとどまると、ネフィリムは腕を振るってくる。原始的な動作だが、とんでもないパワーだ。回避。しかし、二発目。今度は振り下ろしてくる。擦る。それだけで、吹っ飛ばされる。
これは恐らくだが。
制御用の道具ではなく、増幅用の道具を使われたな。
空中で翼を拡げて立て直すと、頭を抱えて震えているハレルヤを視認。潰される前に、どうにかしなければならない。
突貫。
ネフィリムはかっと口を開くと、笛のような音を立てる。あれが詠唱だということは分かっている。
そして詠唱を止めようと突っ込んで来させようとしていることも。
させるか。
中空から、多数の攻撃魔術を叩き込み、ネフィリムの全身を爆裂させる。だが、傷ついてもネフィリムは即座に修復し、詠唱も止まらない。
歯を噛むと、上空に出て、逆落としを掛ける。ネフィリムはそれを見て、跳躍。両手を拡げる。
蚊でも叩くようにして。
アベを叩き潰しに来ていた。
ばんと、手が打ち合わされる。
だがその時には、アベは更に加速して、ネフェリムの顔面至近に。そして、口に向けて、最大火力の魔術を叩き込む。
それはあらゆる全てを超越する、破壊にだけ特化した魔術。
炸裂したそれが、ネフィリムの体内から爆裂して、巨大な花火を其処に作り出していた。
着地。
粉々に砕けたネフィリムが墜ちてくる。
呼吸を整えていたアベだが。背中から叩き込まれた一撃に吹っ飛ばされ、瓦礫に突っ込んでいた。
呻きながら立ち上がる。
体内から爆破されたネフィリムが、まだ動いている。バラバラになった手足を遠隔で操作して、背後から奇襲してきたのだ。
頭は今ので完全に消し飛んだはずなのに。
立ち上がろうとして、それで気付く。
ネフィリムの体が溶けながら、再構築されていく。
それはヒトの形をしていて。
背中に不格好な翼を持っていた。
あれは多分だが、母親としての要素。人間としての姿。
巨人と蔑視されたネフィリムだが、母親は人間だし。育って巨人になったのであって、最初から巨大だったのでは無い。
分かっている。分かっているから、余計に手も鈍るが。
人間体となったネフィリムは残像を作りながら間合いを詰めてきて。アベの顔面に拳を叩き込んできた。
いつもだったら対応できるが、アベもダメージが大きい。回避しつつ、手に力を集中。首を刎ね飛ばそうとするが、かき消えるネフィリム。
背後に回られた。
なんとか回避しようとするが。
その瞬間、翼を掴まれていた。
天使の時は白かった翼も、堕天使になってからは蝙蝠のものとなっている。
だが、ユダヤ教の天使は、古くは翼にも多くの目をつけていたものだ。
天使の美しいイメージは、後の一神教で醸成されたもの。美しい女を天使の様だとかいうが。
本来の天使は男性的で、女性的な面が目立つガブリエルのような存在が例外なのである。
対応する暇もない。
翼を、引きちぎられる。
回し蹴りを叩き込んで、ネフィリムを吹き飛ばす。
翼を一つ失ったが、どうでもいい。
瓦礫の中から立ち上がったネフィリムが、もぎ取ったアベの翼を喰らっている。栄養にさせると、回復させるだけだ。
突貫。
まだ手に力を溜めてある。
ネフィリムが投擲してきたのは、アベの翼の残骸。それを視界妨害に使って、至近距離まで間合いをジグザグに詰めてきた。
ぐっと歯を噛みながら、真上に飛ぶ。
それに追いついてくるが、敢えて無駄に旋回。翼を掴むネフィリム。
此奴はどうしても食欲が優先する。
それが分かっているから、翼をくれてやったのだ。
翼を引きちぎられた瞬間。
アベは手刀で、ネフィリムを上下に断ち割り。更には左右にも切り裂いていた。
これにはひとたまりもなく、ネフィリムは粒子になって消えていく。
マグネタイトを吸収するが、とても回復には足りない。
地面に着地。
いや墜落。
それでも立ち上がるのは。ハレルヤを探すためだ。
ハレルヤは倒れていて、ぐったりしている。
ハレルヤも。
ある意味、ネフィリムだと言える。
人間の姿に戻るのさえ、アベは苦労した。呼吸を整えながら、ハレルヤを背負い、そしてタワマンに向かう。
これは、阿修羅会は終わったな。
そう考えながら。
タヤマの不調は、トウゴウのような雑魚にも知れ渡るようになって来ているということだ。
決定的だったのは、あのフリンというサムライに、面罵されたことだったのだろう。
それを見ていた子分達が、周りにあの事件を伝えた。
ヤクザというのは舐められたら終わりだ。
タヤマは完全に権威を失墜したのだ。あの時に。
タワマンにつくと、見張りが絶句する。
「あ、悪魔にやられたんですか!?」
「そうだ。 トウゴウが操った、な」
「トウゴウの兄貴が……」
「ハレルヤは無事だ。 奧で手当てしてやれ。 俺は休んでいれば大丈夫だ。 しばらく時間は掛かるがな……」
これで、更に阿修羅会の威信は墜ちるな。
そしてこれが意図的に仕組まれた事だとすると。
人外ハンターがやったとは考えにくい。
やはりトウゴウが言った通り、ガイア教団が手を回したのだろう。
市ヶ谷で抑えている例のものを、精神の均衡を崩しつつあるタヤマが好き勝手にするのを防ぐため。
そうだとみていい。
分からないでもない。
アベの愛した訳ありも訳ありの女を匿ってくれた恩があるとはいえ、タヤマを冷静にも分析は出来ている。昔は不器用な侠気がちょっとだけあったタヤマだが。市ヶ谷の地下にあるあれを手に入れてからは決定的におかしくなった。それは客観的な事実なのである。
そしてあれを。
無限炉ヤマトを手にするのは、今のタヤマでは不的確だ。
それもまた分かっている。
自室で休んでいると、タヤマが来る。
「ど、どうしたんだ、お前ほどの奴が!」
「トウゴウの裏切りです。 トウゴウはよりにもよってネフィリムを使って俺にけしかけてきました。 それどころか、ガイア教団につながってさえいました」
「トウゴウが! あいつは十年も面倒を見てきたんだぞ!」
タヤマはヒステリックに喚くが。
そのタヤマ自身が、二十年以上面倒を見てくれた兄貴分達をゴミでも捨てるように裏切ったことをアベは知っている。
勿論バカな連中がいうような、ヤクザは身内に優しいだのの話は大嘘だ。タヤマに酷薄だった兄貴分達とはいえ。裏切りは裏切り。
何よりタヤマはトウゴウに対しても……タヤマの兄貴分達が、タヤマにしたような接し方をしていたのだ。
巡り巡って、自業自得の運命が来た。
それだけのことだった。
「と、トウゴウまで裏切るなんて! お、俺は、どうすればいい! アベ、お前も裏切るのか!?」
「タヤマさん、俺は裏切るつもりなら戻って来ていません。 ただ、トウゴウが放ったネフィリムとの戦いで大きく消耗してしまいました。 しばらくは休まなければなりません」
「ち、畜生! あのユリコめ! 殺してやる!」
錯乱気味に叫ぶタヤマだが、無理だ。
必殺の霊的国防兵器は既に甲賀三郎を失っている。
今手元にあるぶん全てを叩き付けても、ガイア教団を守護するセトやベリアルに勝てるか分からないのに。
この錯乱しきったタヤマでは、ユリコの掌で踊らされて終わりだろう。
「タヤマさん、まずは落ち着いて。 こう言うときには眠るのが一番です。 その様子だと、酒をずっと飲んでいて、殆ど寝てもいないんでしょう」
「わ、分かってる! 子供みたいに扱うな!」
「眠ってください。 俺に言えるのはそれだけです」
ぶつぶつ言いながら、酒瓶を掴んだままタヤマは戻っていく。
あの酒だって、大戦前はコンビニで売っていた安酒だ。それが今では高級品で、タヤマにとってのステータスになってしまっている。
何もかもが薄っぺらだ。
アベが恩義から忠誠を誓った相手は。
そんな存在だった。
スコープで戦闘の様子を確認した小沢は、即座に連絡を入れる。この無線も、悪魔召喚プログラムによるプロテクトを施したものだ。元はこの手の無線は悪魔にことごとく筒抜けになっていて、大戦時には大きな被害を出したのだった。
「アベがネフィリムと交戦。 大きな負傷をした模様です」
「ネフィリムだと……!」
「悪魔召喚プログラムの情報によるとそうです。 そしてアベ自身の正体も分かりました。 あれは堕天使シェムハザ。 エグリゴリの頭目の一角ですね」
「そうか……」
フジワラが言う。
小沢も話は聞いている。
フジワラは大戦の時、アキラとツギハギと一緒に、多数の悪魔と戦い、撃ち倒してきた。
その中には、混沌側の勢力の一つであるファントムソサエティという集団を束ねていた大堕天使。アザゼルとサタナエルがいたそうだ。
その二体を倒したときに言っていたとか。
シェムハザが離脱さえしなければ、負けなどしなかったのだ、と。
その離脱したシェムハザが、まさか阿修羅会のアベだったとは。どういう理由で阿修羅会に入ったのかは分からない。
それに戦闘の経過を見ている限り、あれは側にいた子供を庇っていた。
まさか。
シェムハザは愛慕によって堕天したエグリゴリの一角だ。
また人間を愛して、それでか。
だとすると、なんとも愚かしく悲しい話だ。
神話の時代の過ちをまた繰り返したのだとすると、救われない話である。
ともかく戻る。
連絡はしたし、フジワラがこれから大攻勢の号令を掛けるだろう。それに小沢も参加するつもりである。
六本木ヒルズは現在大戦の影響で逆さになってしまっており、阿修羅会の間では逆さヒルズなどと言われているらしい。
入口にはあの南光坊天海がいるのも分かっている。
簡単に攻略できる場所では無いが。
此処を落とせば、阿修羅会の手駒を更に削り取ることが出来るだろう。必殺の霊的国防兵器を阿修羅会が握っているという最悪の事態は、少しでも緩和しなければならない。そのためには、あらゆる手段を尽くさなければならないのだ。
そして二体の必殺の霊的国防兵器を阿修羅会の軛から解放したら。
残りは四体。
そのうち一つはタヤマが護衛に身に付けているという話がある。
あまり楽観的に話を進めるべきではないが。
甲賀三郎、南光坊天海をそれぞれ抑えた先には。
二対三での勝負を挑める可能性が高い。そして日本神話系の存在だとすれば、霊夢がどうにか出来る可能性も高いのだ。
希望が見えてきた。
今、阿修羅会は絶望を見ているだろうが、それには全く同情できない。連中は東京の人々の絶望と引き替えに、自身の安楽を得ていたのだ。
小沢はターミナルから、シェルターに戻る。
既に、皆。
出撃の準備を、整えているようだった。
アベの正体は真女神転生4Fと同じくシェムハザです。
人を愛した故に堕天した天使集団エグリゴリの頭目の一人であり、その子らが巨人ネフィリムです。
そしてアベの子がハレルヤであり、ハレルヤもまた人との子だと言う事を考えると。
アベはまた、この世にネフィリムを作り出してしまったのです。