もう一人の東京守護者   作:dwwyakata@2024

95 / 126
4、太陽神復帰

上で派手に戦っているのが分かる。霊夢は神楽舞をしながらも、集中して祝詞を唱え続ける。

 

天照大神か。

 

月で戦った時。

 

神降ろしのスペシャリストで、今の霊夢よりも更に技量が上の神と戦った。勝てなかった。

 

その時、天照大神が呼び出されるのを見たが。

 

幻想郷でも屈指の使い手が、文字通りひねり潰された。

 

信仰を現役で得ているというのは、それだけ凄い事なのだ。霊夢もそいつには勝てなかったし。

 

今、天照大神の力を呼び出せるのであれば、それはそれでいい。

 

ドクターヘルが言う。

 

「儀式をしながらでいいから聞いておいてくれるか」

 

「……」

 

「大戦の時、此処に蓄えられていた力はあらかた使い尽くされたそうだがな。 そもそもとして天照大神はそれ以前に、この国に襲来した魔とやりあって、大きな消耗をしていたそうだ」

 

魔、か。

 

それがどのくらいの時期かは分からない。

 

幻想郷は時間の流れが違っている。

 

幻想郷に後から来た人間は何人かいたが。同世代に思えたのに、明らかに文化の世代が違っていた。

 

だからその魔が現れた時。

 

霊夢が月で戦ったときの前か後か分からない。

 

もしも後だったとしたら。

 

その前に戦ってなくて良かったとしかいえない。

 

力を浴びたあいつは、ひねり潰されるどころか蒸発してしまっていただろう。

 

「この国では豊富な信仰心を狙って、明治維新の頃から異神に脅かされてきたという歴史があったそうだ。 一神教の神々は、この国で異神が力をつけることをあまりよく思っていなかったようだな」

 

そうか。

 

その割りには、世界全てを滅ぼして、この国で東のミカド国なんてものを作った。その理屈がよく分からない。

 

いずれにしても、掴んだ。

 

後は、引っ張り挙げるだけだ。

 

光が満ちてくる。

 

もの凄い力で、おおとドクターヘルが声を上げていた。

 

霊夢は拍手して。

 

荘厳な空間に、それが具現化していた。

 

今、霊夢が、立ち会ってくれている日本武尊の草薙の剣とともに、鏡と勾玉を揃えた。それが、この偉大な神の再臨を招いたのだ。

 

勿論、かなり弱体化した状態だが。

 

それでも、この国最高の太陽神。

 

天照大神。

 

羽衣を纏った威厳のある女性だ。

 

男性説なんてものもあるらしいが、少なくともこの場に呼び出された天照大神は。常に光を纏っている、女性の姿だった。

 

「偉大なる巫女よ。 妾の復活を助けてくれて感謝している」

 

「それはどうも。 それよりも、この国の状況について分かっていらっしゃいますよね」

 

「分かっておる。 まずは外で戦っている悪魔共を片付けなければなるまい」

 

「いや、それはわしらでやる。 貴方は民のための光としてあってほしい」

 

殿がいつの間にか来ていた。

 

天照大神同じく光を纏う銀髪の子。

 

そういえば、殿が予想通り徳川家康だったのはそれはそれでいい。だが、この子は結局何なのだろう。

 

「ふうむ、異国の巫女のようだな。 ただし巫女としてのあり方が違うか」

 

「この娘は神降ろしよりも人の力を引き出すことに長けておる。 神降ろしは其方の本職が専門よ」

 

「まあよい。 外の敵は、そなた等でどうにでもできるというのだな」

 

「無論」

 

殿が行く。

 

まあ、勝てるだろう。恐らく秀かマーメイドも来てくれる。今のフリン達の戦力も、既に霊夢が信頼出来る次元にまで来ている。

 

この程度の敵の群れなど。

 

今更怖れるに値しない。

 

霊夢は座り込むと、持ち込んでいたスポーツドリンクを飲み干す。ドクターヘルは情報を引き出し終えると、持ち込んでいたポータブルHDDとやらに吸い出していた。後でシェルターで解析するのだろう。

 

「これで一段落か霊夢よ」

 

「ええ。 アンタの方は?」

 

「縮退炉の整備については問題はない。 後は大天使どもが攻めてきた時に備えて、悪さが出来ないようにプログラムを書き換えておく必要があるな」

 

そう。

 

大天使が狙うとしたら、縮退炉の暴走。

 

それを用いて、この東京を悪魔や神々もろとも消し去る事だ。

 

そうすれば東のミカド国だけが残り、後は愚民を用いて四文字の神への信仰心だけをじっくり熟成させればいい。

 

四文字の神への信仰だけが残る。

 

奴らには最良の結果だろう。

 

この恐るべきもくろみについては、霊夢だけではなくフジワラが看破していた。

 

それに、だ。

 

縮退炉に現れたクリシュナと明けの明星。

 

あいつらも気になる。

 

だから、悪さを出来ないようにしておく。

 

それが必須なのだ。

 

勿論ドクターヘルもどちらかというとダークサイドの人間だ。だが、ブラックホールに飲み込まれて自殺なんかはしたくはないだろう。

 

此処では利害が一致しているのである。

 

「少し休んだら、上での戦闘に加勢するわ」

 

「ではわしも行くかのう」

 

「貴方、何か仕込んだわね」

 

「市ヶ谷の防衛システムをちょっとな。 悪魔共をあっといわせてやるわ」

 

そうか、頼もしいことだ。

 

天照大神には、傅いている日本武尊がいる。あいつは生半可な悪魔が手に負える存在ではない。

 

ここの霊的防御の厚さから言っても、簡単に突破もできない。

 

ならば任せて大丈夫だ。

 

さて、行くか。

 

霊夢はにっと笑うと、戦場に出向く。

 

神降ろしの負担が減ってきている。後は大天使どもを一神教の影響以前の姿にまで戻せば。

 

その後は、どちらかと言えば霊夢が好きな。

 

攻撃的な戦闘に復帰できるというものだった。

 

 

 

(続)








ついに復活する天照大神。これによって東京の神の力の主導権が天照大神に戻ります。

ただそれでもまだ状況が悪い。

悪魔だらけの状態を沈静化させるにはまだまだ作業が必要になりますが、それでもついに大きな一歩が踏み出されたのです。








感想評価などよろしくお願いいたします。励みになります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。