桃桜の魔王   作:グレンリアスター

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初レース

 白雪トレーナーが考えたトレーニングをして一ヶ月。

 ついに初のレースであるジュニアレースにわたしは参加した。

 

「つ、ついにレースだね。ウララさん」

「うん、そうだね。トレーナー!」

 

 控室でレース用の服に着替えたわたしは、白雪トレーナーとレースのことを話した。

 

「今回はデビュー戦。頑張って」

「頑張るよ!トレーナー!」

 

 今日は短距離のジュニアレース。

 重賞レースではないけど、頑張らないとね!

 

「じゃあ……行ってきま~す!」

 

 わたしは白雪トレーナーに手を振りながら、控室を出た。

 

<><><><>

 

「わぁ~!」

 

 レース場に到着したわたしは、興奮した。

 すごいすごいよ!

 観客席には多くの観客達がいる!!

 レース場にはわたし以外のウマ娘がいる。

 あの子達と戦うんだ~!

 ワクワクだね!

 

「よし、頑張るぞ~!」

 

 ゲートに入ったわたしはスタートが始まるまで待つ。

 集中~集中~!

 わたしが集中力を高めていた時、

 

 ガチャ!

 

 ゲートが開いた。

 わたしと他のウマ娘が同時に走り出す。

 多くのウマ娘がわたしの前を走る。

 

 みんな速い!

 だけど……楽しい!!

 

 わたしの中で楽しいという想いが湧き上がる。

 レースってこんなに楽しいんだ!

 思わず顔がニヤける。

 

 楽しいと思っていたら、いつのまにか直線コースに入った。

 

「ここだ!」

 

 わたしは足に力を入れ、加速!

 多くのウマ娘を次々と追い抜く。

 だけど後ろからわたしより速いウマ娘が走る。

 走る走る走る!

 

 そして……二人のウマ娘はわたしを追い抜き、ゴールした。

 

「はぁはぁ……」

 

 3着でゴールしたわたしは口から荒い息を漏らす。

 ダメだった……勝てなかった。

 でも……楽しい!!

 そうだ……手を振らないと!

 

「アハハ!」

 

 わたしはとびっきりの笑顔を浮かべて、両手を振るった。

 すると観客達はわたしを見て、微笑みを浮かべる。

 

「あの子……負けたのにいい笑顔……かわいい」

「素敵…」

「俺……あの子のファンになろうかな」

 

 観客席からそんな声が聞こえた。

 そうだよね。

 やっぱりハルウララは負けても笑顔を忘れない。

 勝っても負けても笑顔を浮かべる。

 それが……わたしだから!

 

<><><><>

 

「……」

 

 負けたというのに手を振りながら笑顔を浮かべる桃髪のウマ娘。

 そんな彼女を見ていた白雪氷柱は……少し悲しそうに顔を歪めていた。

 

「……大丈夫。まだ始まったばかり」

 

 僅かに胸が苦しくなるのを感じながら、白雪トレーナーはそう自分に言い聞かせる。

 

「次はあの子に……勝利の笑顔を浮かべさせるんだ」

 

<><><><>

 

「トレーナー……終わったよ!」

「お、お疲れ様。ウララさん」

 

 控室に行くと、白雪トレーナーは微笑みを浮かべながらわたしを迎えてくれた。

 

「えへへ……負けちゃった」

「最初はいいの。それで……次は勝ちに行こう」

「うん!」

 

 あ~……やっぱり白雪トレーナーと一緒にいるのが一番楽しい。

 彼女を見ていると、レースの疲れが嘘のように消える。

 

「さぁ……帰りに美味しいご飯でも食べようか」

「いいの!やった~!じゃあ……すぐに着替えるからね」

 

 そう言ってわたしが更衣室に入ろうとした時、

 

「次は……勝たせるから」

 

 そんな言葉が聞こえた。

 その声には……少し悲しみと自責の念が宿っていることに気付く。

 

「トレーナー?」

「ん?なにかな?」

 

 振り返ったけど、白雪トレーナーは優しそうな微笑みを浮かべていた。

 気のせい……かな?

 

 

 




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