母親に認めてもらいたくて、一流のウマ娘になりたくて……私はトレセン学園にやってきた。
そんなトレセン学園の寮で、私は初めての友達ができたわ。
「あ!初めまして。わたし、ハルウララと言います!よろしくね!」
とても明るく、可愛らしい笑顔を浮かべる桃髪のウマ娘。
それがハルウララだった。
とても元気で、能天気で……だけど一緒にいると私も笑いたくなる。
笑顔は一流と言ってもいい。
そんな彼女とトレーナーのことで話すのが、一番楽しかった。
「ねぇねぇキングちゃん。トレーナーとどんな感じ?」
「そうね……いつものようにチャラ男みたいな感じで、だけど本気で私を一流のウマ娘にさせようとしている……い、一流のトレーナーよ」
「へぇ~」
「そういうウララさんはどうなの?」
「えへへ~……今度デートすることになった」
「デート!?そこを詳しく!!」
担当トレーナーである白雪氷柱のことを話すときが、ウララさんの笑顔が輝いていたわ。
だからついつい夜遅くまで話しちゃう。
だけど……ある日からウララさんは笑わなくなった。
そして、自分の机でいくつものレースの本を読み始める。
「ウララさん?勉強?」
「うん。勝つために頑張ろうと思って」
彼女の声には感情が宿っていなかった。
最初はすぐに勉強なんてやめるだろうと思って、私はベットで寝たわ。
だけど朝起きた時には、ウララさんはまだ勉強をしていた。
目の下には隈ができており、寝てないのが分かったの。
「ちょ、ウララさん!?まさか寝ないで勉強したの?」
「……うん、食事とかお風呂は済ませたから大丈夫」
「大丈夫って!今すぐ寝なさい!」
私は彼女をすぐに寝かせようと手を伸ばした。
だけど、私の手をハルウララは払ったわ。
「邪魔しないで……キングちゃん」
「!」
「わたしはね……二度と負けるわけにはいかないの」
それからウララさんは睡眠をとらないで勉強をする日が多くなった。
まるで勝利というもの囚われたみたいに。
そしてある日……ウララさんは重賞レースに参加し、そして……勝利した。
だけどその勝利は……多くのウマ娘や観客達に恐怖を与えたの。
誰もが言葉を失い、誰もが魅了されたのを覚えている。
それからウララさんは多くのレースで勝ち続け、多くのウマ娘を引退させた。
まさに魔王。
だけど……ウララさん?あなたは気付いてないでしょうけど……とても辛そうな顔をしているわ。
いつも無表情だけど私にはわかる。
あなたが苦しいって叫んでいるって。
悲しいって泣いているって。
あなたに魔王なんて似合わない。
あなたは楽しく笑っているのが一番よ。
だから……あなたは私が止めるわ。
このキングが……一流のウマ娘が、あなたを助ける。
そして私が勝ってあなたが元に戻ったら……また、トレーナーのことでお話ししましょう。ウララさん。