桃桜の魔王   作:グレンリアスター

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選抜レース

 ハルウララに転生してから二週間。

 わたしは学園に通って多くのことが分かった。

 まず一つ目は授業内容。

 午前の授業は一般的な中学・高校と同じ一般教養の学習。

 午後の授業はレース座学、ウイニングライブの練習、スポーツ栄養学、基本トレーニングなどのレースを中心としたものをやる。

 

 二つ目は商店街。

 体力を上げるために商店街まで走ったら、多くの人達に声を掛けられた。

 みんな友好的で「よく頑張ってるね!」「応援してるよ!」と言ってくれる。

 どうやら本来のハルウララは入学して一週間で、商店街のみんなと仲良くしたようだ。

 流石はハルウララだね!

 

 三つ目はわたしの才能。

 これは前世でも知っていたけど、ハルウララには特別な才能はない。

 ウマ娘の実力ではよくて普通かな。

 走ってて分かる。

 わたしには凄い才能はない。

 周りにいるウマ娘達の方が百倍すごい。

 

 でも……それでいい。

 わたしの目的は1着になることじゃないの。

 頑張ってレースをして、元気な笑顔を浮かべること。

 それがハルウララ。

 彼女の美しいのは、負けても笑顔を浮かべること!

 だからわたしもなる。

 そんな本当のハルウララに!!

 

<><><><>

 

「えっほえっほ」

 

 わたしは朝早くから外を走る。

 太陽はまだ昇りきっておらず、涼しい風が流れていた。

 まぁ1着になれないのは分かってるけど、やっぱり努力はしないとね。

 それにウマ娘になってから、走るのが楽しいと思うようになっている。

 走っている時は、前世で遊んだウマ娘のゲームをやっているぐらい楽しい。

 

「ふぅ……少し休憩……」

 

 息を整え、首にかけていたタオルで汗を拭う。

 うん、やっぱり楽しいね!走るのは!

 気持ちもいいし!

 

「選抜レースまでにいい走りができるようにしないと」

 

 そう。

 今から一か月後、選抜レースが行われる。

 選抜レースとは何か?

 それは学園所属のトレーナーに見定められ、契約をする大切なレース。

 分かりやすく言うと、スカウトされるために頑張るレースかな。

 トレーナーは私たちウマ娘を成長させてくれる大切なパートナー。

 レースに勝ちたいウマ娘なら、絶対にいいトレーナーと契約したいはず。

 だから全員、選抜レースには全力で走るだろう。

 まぁわたしは、一緒に楽しくできる美人トレーナーとなら誰でもいいけどね。ウララ~♪

 

「よし!最高に美人で巨乳なトレーナーと契約するために頑張るぞ~!」

 

 わたしは走った。

 全ては……巨乳美人のトレーナーにスカウトされるために!!

 

<><><><>

 

 一か月後、ついに来ました選抜レース。

 今日、レースで使われるのはダート……つまり土や砂が敷かれた道。

 ゲートが設置されており、多くのウマ娘がいる。

 そして……観客席のところには多くのトレーナーがいた。

 

「今日は……巨乳美人なトレーナーにスカウトされてみせる!」

「ウララさん……発言がおっさんみたいよ?」

 

 熱く燃えるわたしの隣にいたキングちゃんは、ドン引きした表情を浮かべていた。

 

「だってどうせスカウトされるなら美人のほうがよくない!?」

「欲望がだだ漏れよ?」

「じゃあ逆に聞くけどキングちゃんはどんなトレーナーと契約したいの?」

「私?もちろん、一流のトレーナーよ!」

 

 胸を張って、堂々と言うキングちゃん。

 うん、やっぱりキングちゃんはキングちゃんだね。

 自分がウマ娘で一流であることを証明するために、一流のトレーナーと契約する。

 ゲームと同じく、君は一流のウマ娘なんだね……キングちゃん。

 

「まぁ……ただ、できれば一流で、いい男性のトレーナーがいいな~と思うけれど」

「キングちゃんだって欲望だだ漏れじゃん」

「うるさいわね!別にいいでしょ!?」

 

 頬を膨らますキングちゃん。

 はぁ~可愛いな~、もう!

 

「そうだね!メスがオスに発情するのは普通だよね!」

「笑顔でとんでもないことを言ってるわよ、あなた!?」

「だけどわたしはメス同士で発情するの!」

「聞いてないわよ!?」

 

 ギャーギャーとわたしとキングちゃんが騒いでいると、

 

「ほら~次は君たちの番だよ~」

 

 先生の一人が声を掛けてきた。

 わたしたちはゲートに入り、走る準備をする。

 選抜レースに参加するのはわたしとキングちゃん、それから知らないウマ娘十人。

 なるほど……みんな真剣な表情を浮かべているね。

 ならわたしも……全力で行くよ!

 

 ガチャ!!

 

 ゲートが開いた瞬間、わたしを含めて他のウマ娘も駆け出した。

 わたしの前を走るウマ娘達。

 そのあとをわたしは追いかける形で走る。

 くっ!やっぱりみんな速い!

 だけどわたしだっていい走りをしてみせる!

 

 わたしたちはカーブを曲がり、走った。

 走り走り走り続ける。

 そして直線コースが突入した。

 直後、多くのウマ娘達が素早く走り出す。

 わたしも全力で走る!!

 だけど……ぜんぜん届かない!

 みんなに追いつけない!

 

 そしてわたしは……一番最後の12着になってゴール。

 

「やっぱり負けちゃったか」

 

 分かってた……才能がないことぐらい。

 でも……楽しかった!

 やっぱり走るのって楽しい!

 わたしは観客席にいるトレーナーたちに向かって笑顔を浮かべて手を振る。

 これでいい!

 負けても笑顔を忘れない。

 それがハルウララだから!  

 

<><><><>

 

「おい、あの子……負けたのに、笑っているぞ?」

「変わった子だな~」

 

 12着でゴールしたのにも関わらず、笑顔を浮かべて手を振る桃髪のウマ娘。

 そんな彼女を見て、おかしいなと笑うトレーナーたち。

 だか一人だけ……笑わなかった者がいた。

 

「……いいな、あの子」

 

 その者は気弱そうな女性トレーナーだった。

 白いジャージを着ており、チャックが閉められないぐらい大きな胸をぶら下げている。

 

「あの子がいい……担当するウマ娘。あの子がいい!」

 

 女性トレーナーは瞳を輝かせながら思った。

 あの子と一緒にレースに勝ちたいと。

 




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