桃桜の魔王   作:グレンリアスター

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これから

「ここが私のトレーナー室だよ」

 

 白雪トレーナーに案内されたのは、小さな仮説ハウス。

 少しボロボロで、ずいぶん使われたのが分かる。

 

「おっ……お邪魔しま~す」

 

 仮設ハウスに入ったわたしは……目を見開いた。

 

「うっわ!きったな」

 

 そう。汚かった。

 物は散らかっているし、埃臭いし……まるでゴミ屋敷だね。

 

「ご、ごめんなさい……私、掃除ができなくて……」

 

 恥ずかしそうに俯く白雪トレーナー。

 恥ずかしがる姿も可愛いけど……流石に掃除ぐらいはできるようにしないと。

 

「まずは掃除からだね」

 

 それからわたしは白雪トレーナーと一緒に掃除を始めたのだった。

 

<><><><>

 

「ふぅ~……終わった……」

 

 数時間かけてトレーナー室を綺麗にしたわたしは、ソファーに座って休んだ。

 すごい疲れた……でも、トレーナー室は綺麗になった。

 

「ありがとね……はい、これ」

 

 白雪トレーナーはお茶が入ったペットボトルをわたしに渡した。

 お茶を受け取ったわたしは蓋を開け、一口飲む。

 うん……疲れた後に飲むお茶は美味しい。

 

「で……これからなんだけど、ウララさんはどんなレースに出たい?」

「どんな?」

「そう。長距離、中距離、短距離、マイルってな感じでレースが分かれている。その中でどのレースで勝ちたい?」

「ん~とね……」

 

 顎に指を当てて、わたしはあえて考えるフリをした。

 前世でウマ娘のゲームをやっていたからわたしは分かっている。

 ハルウララの適性を。

 ハルウララの距離適性は短距離。

 だから、

 

「短距離かな」

「分かったわ。なら……短距離のレースを中心にやりましょう。そうね……差しで勝負できるように鍛えようか。一番、勝率が高いし」

「!!」

 

 すごい……一度見ただけで私の脚質適性がなんなのか分かったんだ、この人。

 新人って言ってたけど、分析能力は高いのかも。

 

「了解!頑張って鍛えるよ!」

「うん。私もウララさんをレースで勝てるようにするトレーニング方法を考えるね」

「うん!楽しみにしてる。ウララ~」

 

 すっごい楽しみだな!

 白雪トレーナーが考えたトレーニングシュケジュール。

 

「やっぱりトレーニングマシンを使って鍛えるの?」

「それは無理かな。まだ実績がないし」

「?使えないの?」

「うん。レースでいい成績を残すと色んなトレーニング器具を使えたり、すごく速く走れる秘訣の本を読むことができるの」

「なるほど……」

 

 ふむ……ゲームでは頑張ってトレーニングすると理事長が色々用意してくれたけど、この世界では実績を残すことでいいトレーニングができるのか。

 まぁ楽しく走れれば、わたしには関係ないかな。

 

「GⅢ、GⅡ、GⅠレースなどの重賞レースで一位を取ると最新のトレーニングシステムが使えるだけでなく、トレーナー室も豪華になるの」

「ふ~ん……じゃあ頑張って重賞レース全部出よう!」

「全部は無理かな……まぁ一応、ファンが多ければ長距離や中距離関係なく色んなレースに出られるけど」

 

 なるほど……ここもゲームと違って、ハルウララは短距離やマイルだけでなく中距離や長距離のレースにも参加できるんだ。

 ファンの多さで出られるレースが変わるのか。

 なら……、

 

「わたし、いっぱいレースに出たい!いっぱいレースに出て、多くの人にわたしの笑顔を届けたい!」

 

 だってそれがハルウララだから。

 例えレースで勝てなくても、多くの人に笑顔を届けるのが……本当のわたし。

 絶対に世界一笑顔なウマ娘になる!

 

「いいね……なら、私も頑張るよ」

「うん!よろしくね、トレーナ!……ところでさ、あの……一つお願いがあるんだけど」

「なにかな?」

「え、えっとね」

 

 わたしは勇気を出して言う。

 

「や、休みの日でいいから……わたしと、デートしてください!」

「え?デート?」

「が、頑張るから。トレーニングもレースも頑張るから……だから、デートしてほしいな~って」

 

 ううう、やっぱり恥ずかしい。

 顔が熱くなるのを感じながら、わたしは白雪トレーナーの顔を見た。

 トレーナーはぽか~んと呆然としていた。

 や、やっぱり……デート誘うのはいきなりすぎたかな?

 わたしが不安に思っていると、白雪トレーナーが微笑みを浮かべた。

 

「……いいよ」

「え?いいの!?」

「うん……私も……ウララさんと仲良くなりたいし」

 

 少し照れた様子で言う白雪トレーナー。 

 

「や、やった~!!」

 

 喜びのあまり、わたしは何度もジャンプをした。

 嬉しい!嬉しい!嬉しい!

 こんなに早くデートの約束ができるなんて!

 

「じゃあ今度の日曜日、デートしよう!」

「その前にトレーニングを頑張ろう」

「うん!」

 

 わたしは笑みを浮かべながら、頷いた。

 今度の休み……楽しみだな~。

 

 

 




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