今日から2話ずつなげていきます
「あ…おいしい…」
じじいの紹介状を渡して5分後。個室へ通され、出てきたのは鬼でも蛇でもなく羊羹と煎茶だった。
部屋には俺以外誰もいない。1回お茶変える人が入って来ただけ。
ちなみにかれこれ20分は待ってる。なんか食わない方がいいかと思って放置してた羊羹も今食ってる。甘くてうめぇや。
コンコンッ…お、ようやく来たか?
「………」
…あれ?入ってこない。あぁ、待ってんのか、律儀だな。さっきお茶変えに来たおばちゃん普通に入ってきたぞ。
「どうぞ」
扉が開く。入ってきたのは中年のナイスガイだった。俺は羊羹食ってた木べらを置いて立ち上がる。帽子はここ通された時から脱いでるよ。
「はじめまして、私は探索者協会所属の須藤康弘(すどうやすひろ)と申します、どうぞよろしく」
「ご丁寧にありがとうございます、橘柚希と申します若輩ですがよろしくお願い致します」
「ははっ、あの修羅パンツのお孫さんとは思えないほどしっかりしているね…さぁどうぞおかけ下さい」
「はい、失礼いたしm…………ん?」
????????????
今なんて言った???
「……どうかしたかね?」
座ろうとしたまま静止する俺に訝しげな視線を送る須藤さん。
なんだ?俺の耳バグったかな?じじいの名前なんかおかしくなかった?聞き間違えかもしれないしとりあえず座ろ。
「なんでもありません、失礼します」
腰を下ろし、向かい合うと須藤は一つ咳をして背筋を伸ばした。
「先程預かった修羅パンツからの推薦状は「ちょっと待って下さい」私も」
手のひらを前に出し、話の腰を折る。いや無理…これスルーして話続けれる自信ない。
「なんだね?」
「失礼ですがその…先程から仰っているしゅら?ぱんつ?とは?」
「ん?君の御祖父橘道玄氏の2つ名だが?…もしかしてお存じない?」
「聞いた事もありません…よろしければお教え願えますか?」
知らねぇよ。知ってて当然みたいな感じで来るから頭バグったわ。いや今もバグってるわ
「ふむ、まぁ構わないか…これからする話に関係しないでもない、君もステータスがあるという事は道玄氏のモンスター狩りに同行した事があるのだろう?」
頷く。
「うん、今でこそ国内のダンジョンは管理されてほとんど起こらないが道玄氏が若い頃は黎明期だったからね…頻繁にダンジョンからモンスターが溢れたし街で人を襲うなんて事も多々あった」
「ダンジョンブレイク現象ですね」
「今の人はそう言うね…で、道玄氏は協会と協力してその溢れたモンスターを狩っていたのだが…氏はその中でも協会が対処出来ないような化け物との闘いを好んでね…まだ武具も発達してないものだから激戦の度に服がボロボロになってね…」
「……」
なんとなく話は読めた。でも最後まで聞こう。
「度々見かけられる修羅の如き戦いぶりと終わった頃にはパンツしか残らない姿から当時のネット掲示板で修羅パンツと呼ばれる様になってね…それが由来だ」
「…そう…ですか…ぷっ」
悲報、橘家祖父ネットの玩具にされていた件\(^o^)/
ダメだ、死ぬ。笑うな、笑うな笑うな笑うな…無表情美少女はこんな事で笑ったりしない、心頭滅却…心頭滅却…
「…大丈夫かね?」
「……すぅぅぅ…大丈夫です…ぷっ…ふぅぅ……」
これ俺家帰って普通に過ごせるかな?修羅パンツと姉パンツ(総司)揃って見たら絶対耐えられんわ。今ですら笑いこらえて肩とかぷるっぷるだもん。
「そうは見えないが…まぁ大丈夫なら話を続けよう、で推薦状には強さを求めて当協会に所属したいとの事ですが、間違いは?」
「ふぅぅ……いえ、ありません」
ようやく落ち着いてきた。
「分かりました、正直我々も道玄氏には随分世話になったしその恩をお孫さんである貴方に返す事に異論はない…提案できる事は幾つかあるがその前に見せてもらえるかな?」
「何をですか?」
「ステータスだよ、担当した職員の話だと何やら含みがあったと聞いているよ?高いんだろう?レベルが」
ニヤリと笑う須藤さん、その表情の裏に一瞬…獰猛な獣の様なものを感じた。
……ほう?…ほうほうっ!
いいねぇ!俺も微笑みで返す。
「いいでしょう、ステータスオープン」
ブォン…表示されるステータス。
こうさぁ挑発みたいな事されると疼くんだよね、橘の血かな?
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【名前】 橘 柚希 【Lv】116
【筋力】347 【俊敏】 576
【魔力】238 【器用】 600
【頑丈】240 【体力】 260/260
【備考】
【魔力纏】 【身体操作】 【見切り】
【気配察知】 【隠密】 【抜き足】
【瞬歩】 【自己再生】 【夜目】
【成長限界突破】 【流体】
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参考までに探索者の平均レベルは36、上澄みの指標が75レベルだよ♡
「ふっ…ははっ…凄いな、その歳で私と張れるのか…何をしてこうなったのはあえて聞かないでおくよ」
もう隠す気も無いのか須藤さんは全身に闘気を滾らせていた。スーツはみちみちと膨張する筋肉に悲鳴を上げ、爛々と輝く目で俺を見ている。
「あっちに訓練場がある、1曲お付き合い願えるかな?レディ」
口角がつり上がるのが分かる。
あぁ、多分今俺も似たような顔してんだろうな。
「えぇ、私でよければ喜んで……ミスター」
夜桜の入った刀袋を引っ掴み俺は立ち上がった。