ts転生者、脳を灼く   作:Y.Y@TSスキー

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22話 ダンジョンブレイクの予兆

昨日の投稿でとんでもないミスを犯し失礼しました。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

「柚希さんいないですねー」

 

 

 

「右に進んだのかもね…って、止まって高橋」

 

 

 

「なんですかー?」

 

 

 

「あれ、見て」

 

 

 

田村が前方を指差す。

 

 

 

先の通路でふよふよと何かが漂っているのが遠目ながら確認出来たのだ。

 

 

 

「んー?あーなんかいますねー?黒い…球?なんか旋回してますよ」

 

 

 

目を凝らす高橋。

 

 

 

田村は遠くを詳細に確認するスキル、鷹の目でその姿を捉える。

 

 

 

「あれって柚希ちゃんの見せてくれた動画の…」

 

 

 

それは黒い球体だった。

 

 

 

しかも動画とは違い2ついる。

 

 

 

あれは2層で見つかったという話だったが1層になんで?

 

 

 

その2つの黒い珠はお互いがお互いを追うようにふよふよと旋回。

 

 

 

「見た事ないモンスターですけど…とりあえず倒します?」

 

 

 

「あー…もしかしたらゲートの話と関係してるかも」

 

 

 

田村は考える。2層のゲートの話に加えてこのモンスター…なにかしらはありそうだ。

 

 

 

球と球の距離が旋回しながら近づいていくのを見ながら、田村は結論を出した。

 

 

 

「捕まえてみましょう…高橋は1つお願いね、私はもう1つを捕らえるわ」

 

 

 

「おけです!」

 

 

 

2人ははめていた指輪に魔力を流して魔装武器を展開。

 

 

 

田村は赤い槍、高橋は鈍重な両手斧。

 

そして構えたと同時に加速、飛びかかろうとして…

 

 

 

バチィィィイン!!

 

 

 

球と球が接触した。

 

 

 

「うわぁ!なになになに!?」

 

 

 

「なっ!?」

 

 

 

激しい魔力波動…空間を駆け巡る衝撃。

 

 

 

高橋のレベルは62で田村は66。

 

 

 

決して低いレベルじゃないが身体が吹き飛ばされ、前に進めない。その場で耐えるのが限界だった。

 

 

 

「ぐぅ!?」

 

 

 

「んにににっ!」

 

 

 

踏ん張りながらも、田村は球から視界を切らなかった。

 

 

 

その両目が捉えたのは溶け合う様に融合していく姿…互いが反発する様に激しい魔力が辺りを衝撃となって抜けていく。

 

 

 

10秒…20秒…

 

 

 

過ぎていく時間。そして球と球が完全に融合した直後…

 

 

 

紫の閃光が2人の視界を奪い、爆風が吹き荒れた。

 

 

 

「きゃぁぁあ!」

 

 

 

「やばいっす〜!!」

 

 

 

衝撃に吹き飛ぶ高橋が石畳を転がる。

 

 

 

「いっ、一体なにが…」

 

 

 

その場で辛うじて耐えていた田村。

 

 

 

光に奪われた視界が回復して行き、そして見たのは

 

 

 

「……えっ、ゲート?」

 

 

 

通路の真ん中に開かれた、新たなゲートだった。

 

 

 

「そんな…なぜゲートが?」

 

 

 

呆然とする田村。

 

 

 

直前の黒い玉が原因なのは分かる。

 

 

 

だがこんな事は今まで一度も無かった。

 

 

 

それに兆候らしきものも柚希の見せた動画以外には無い。

 

 

 

 

全く未知の現象、協会のマニュアルにもない。

 

 

 

「……むらさん…田村さん!」

 

 

 

「……あ、え?高橋?」

 

 

 

高橋に肩を揺らされ、考えるのを止める。

 

 

 

いつのまにか周囲の意識が散漫になっていて、高橋が隣に戻った事にも気づけなかった。気を引き締める。

 

 

 

「田村さん、大丈夫ですか?」

 

 

 

「えぇ大丈夫…高橋は?あなた吹き飛ばされてたけど」

 

 

 

「特に問題ないです!それよりもあれ!」

 

 

 

高橋が通路を指差す。

 

 

 

「ゲート…ですよね?」

 

 

 

「そうね」

 

 

 

「あの球がくっついて出来たんですか?」

 

 

 

「私にはそう見えたわ、あれがくっ付いて光って視界を奪われて…そして目が利いてきたらもう出来てたの」

 

 

 

自分の記憶を反芻する様に説明する田村。

 

 

 

高橋も珍しく頭を使っているのか、顎に手を当てている。だがすぐに考えるのを止めた。

 

 

 

「うーん…まぁ…今は考えてる場合じゃないか!田村さん!これからどうします?」

 

 

 

「そうね、とりあえず室長と合流しましょう、話はそれからだわ」

 

 

 

「わかりま…って!あぁ!ゲートから、なんか出てきてます!!」

 

 

 

その言葉に田村は即座に振り返る。

 

 

 

バチバチと魔力の雷を発生させながらゲートから出てきたのは、3m程のトカゲ型モンスターだった。

 

 

 

「なんでモンスターがゲートから!?」

 

 

 

高橋が叫ぶ。

 

基本的にモンスターはゲートを通れない。なので5階層ごとにいるモンスターも違うし生態系が変わることがない。

 

 

 

だが目の前のトカゲは明らかにゲートを渡っている。

 

 

 

「グルルル……」

 

 

 

唸りをあげる大トカゲ、どうやらこちらを捉えたらしい。

 

 

 

「高橋!」

 

 

 

「わかってまーす!」

 

 

 

2人が斧と槍を構える。直後大トカゲは口から舌を伸ばし、田村を狙った。

 

 

 

「……シッ!」

 

 

 

田村は短く息を吐き、槍で上から突き刺して舌を床に縫い付ける。

 

 

 

高橋はその間にトカゲへと肉薄、斧を振り下ろす。

 

 

 

「おりゃぁ!!」

 

 

 

ドゴォォオン!

 

 

 

石畳を破壊しながら振り下ろした刃は大トカゲの首を切断。

 

 

 

紫色の血飛沫を吹き出しながら、トカゲは絶命した。

 

 

 

「いっちょあがりですね」

 

 

 

「えぇ…」

 

 

 

今までの感覚的にトカゲのレベルは30程だと田村は感じた。40超えなら高橋の一撃で首は切れない。

 

 

 

「高橋くん!!田村くん!!」

 

 

 

田村がそう考えていると後ろから声。

 

 

 

こちらに駆けつける人影、須藤だ。

 

 

 

「2層へのゲートを確認後、凄い魔力波動を感じてすぐそちらを追ったのだがこれは一体…なにがあったのかね」

 

 

 

チラリ…と1層にいる筈のないトカゲ型モンスター、そして不可解な場所にあるゲートを一瞥する。

 

 

 

「室長!なんかゲートが出来ましたぁ!」

 

 

 

「高橋あなたは静かにして、後は私が説明するわ…室長…実は…」

 

 

 

田村は分かりやすく要点を報告していく。

 

 

 

柚希に見せて貰った動画の事。

 

 

 

黒い球、そしてゲートが出来てモンスターが出てきた話

 

 

 

それを見たままに伝える。

 

 

 

須藤は黙って聞いていたが、聞き終わるなり呟いた。

 

 

 

「…不味いな」

 

 

 

「不味い?室長は何かをご存知なんですか?」

 

 

 

田村の質問。須藤は答える。

 

 

 

「…黒い球の事は分からない、だがモンスターがゲートを超える現象を私はよく知っている…いや、協会職員なら皆知っている筈だ」

 

 

 

「私と高橋もですか?」

 

 

 

「うむ、直接見た事が無いからピンと来ていないのだろう、階層にモンスターが溢れると許容しきれなくなり次の階層へ進めるようになる現象……聞き覚えがある筈だ」

 

 

 

「……まさか…」

 

 

 

須藤に言われ、思い当たる事があったのだろう、田村は驚愕する。

 

 

 

須藤は頷くとすぐに2人に指示を出す。

 

 

 

「田村くんと高橋くんは直ぐ上に戻り、今から言う事を報告しろ…2層へのゲートは通れず、新たなゲートが出現…氾濫の兆候も見られ…」

 

 

 

バチバチッ!

 

 

 

さらにゲートがスパークし、新たなモンスターが現れる。それも1体ではない…溢れんばかりにでてくる。

 

 

 

須藤は手甲をすぐに換装し言葉を続けた。

 

 

 

「ダンジョンブレイクの発生する可能性ありと!さぁ行け!」

 

 

 

そして2人を尻目に、どんどんと出てくるモンスターの群れに須藤は飛び込んだ。

 

 

 

 

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