ts転生者、脳を灼く   作:Y.Y@TSスキー

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29話 お前はネイキッドなんかい!

 

「うぉぉおらッ!!」

 

 

 

「潰せぇぇぇ!!」

 

 

 

俺が青肌の巨人…ヘカトンケイルを仕留めた後、探索者共の士気が沸騰。辺りのモンスター共を手当り次第にぶち殺している。

 

 

 

「……」

 

 

 

その姿を俺、橘柚希はヒーラー達の傍でただただ眺めていた。

 

 

 

「あの…参戦されないので?」

 

 

 

「しません」

 

 

 

直ぐ横のヒーラーのお兄さんが話しかけてきた。この人は今、田村さんが担いで後退させた死にかけの2人を治療してる。

 

 

 

俺は破れた袴を手で寄せた。

 

 

 

「ヒーラーのお兄さんは私に下着を晒しながら戦えと?」

 

 

 

「あっ…いえ、そう意味じゃ…」

 

 

 

「…もしかして見たいのですか?身下げ果てた変態ですね」

 

 

 

氷点下の視線を送ってやるとお兄さんは目線を逸らして黙りこんだ。

 

 

 

「ふん…」

 

 

 

参戦?する訳ねぇだろ…どうせ参戦したらしたで人を修羅パンツ呼ばわりするんだろ?嫌だわ。

 

 

 

「柚希ちゃん…」

 

 

 

「……」

 

 

 

田村さんの困った子を見る目…そんな顔してもダメだぞ。なんで俺の様な美少女が修羅パンツ呼ばわりされにゃならんのだ。

 

大体、何か知らんが通路から来るモンスター共が明らかに減ってる。探索者共も押せ押せだし俺いらんやろ。

 

 

 

「あれ?……そういえば」

 

 

 

通路で思い出した。豚は?あれからそこそこ経ったしもう着いていてもいい頃だが、死んだか?

 

気になったので辺りを気配察知で確認してみる。

 

 

 

「ひぃぃ…」

 

 

 

「ガゥゥゥ!!」

 

 

 

あぁ…いたわ。なんか机の下で2体のモンスターに囲まれてる。アホだな、なんで隠れたんだよ、こっち来たら良かったのに。あいつ邪魔しかしないな。

 

 

 

「田村さん」

 

 

 

「なに?柚希ちゃん」

 

 

 

豚のいる机を指さす。

 

 

 

「あそこの受付の机の下に豚が居ます、連れてきて頂けませんか?」

 

 

 

「…えっ?…豚?なんで豚が協会に…?」

 

 

 

首を傾げる田村さん。あぁ、言い方悪かったな。捕捉しないと。

 

 

 

「正確には人間ですが、豚野郎なので私が豚と呼んでいるだけです…あれは弱いので早くしないと死にます」

 

 

 

「……柚希ちゃんって女王様系なの?知り合いなら柚希ちゃんが助けてあげたら?」

 

 

 

なんだよ女王様系って。別に俺がいってもいいけど…

 

 

 

「…ズボンを脱いで私に貸してくださるなら行きます」

 

 

 

こうなるよ?

 

 

 

「……いざとなったら助けてね?」

 

 

 

「分かりました」

 

 

 

ズボン貸すの嫌やったんやろうな、槍を担いで加速する田村さん。これであいつも何とかなるだろ。

 

 

 

「あの…もし良かったら俺のズボン履く?脱ぐけど…」

 

 

 

「は?私の下着を見たいだけでは飽き足らず、脱いで自分の下着を見せたいと?度し難い変態ですね」

 

 

 

「ひん…」

 

 

 

ヒーラーのお兄さんの提案を一刀両断し、俺は戦いの推移を見守る。

 

まぁ真面目な話をすると実は俺も、そんなに余裕は無い。理由は田村さん助ける時に、瞬歩3回使ったから。

 

 

 

ここでステータス開くと見られちゃうからざっくりと計算してみようか。

 

俺の最大魔力量は238、そこから黒い球に使った魔力が体感200。ただ自己再生の能力で150程は回復してる筈なので188とする。んで、瞬歩。

 

これは3m位までの距離を1フレームで移動するスキルだが、1回の使用でね?消費魔力50。普通のスキルなら平均10で使える所これは5倍。舐めてる。

 

 

 

つまり188-150で38、そこからヘカトンケイル倒すのに魔纏発動で10、さらに剣に魔力込めて20。今は少し回復してるが、あの時点で俺の魔力は絶対20も無かったはずなんだ。しかも自己再生は戦闘中には発動しない…だからいつまたヘカトンケイルみたいなのが出てきてもいい様に休んでるって訳ね。

 

 

 

まぁ8割くらいは修羅パンツって言われるのが嫌すぎるからだが…

 

 

 

「あっ」

 

 

 

自分に言い訳カマしてる内に田村さんがモンスター倒し終わった。そして机の下から這い出る豚野郎…感謝のあまり抱きつこうとしてビンタされてんの草。こっちに戻って来る。

 

 

 

「柚希ちゃん、連れてきたわよ」

 

 

 

「ありがとうございます」

 

 

 

ゲンナリとした顔の田村さんにお礼を告げて豚を見る。言いたい事があるのかすごい見てくるからね。そして案の定、口を開いた。

 

 

 

「橘さん!置いてくなんてひどいじゃないですか!」

 

 

 

「あなたが遅いからです」

 

 

 

「あんな速く走れませんよ俺は!全く…あの後、後ろから迫るモンスターが引き返したから助かりましたけど、本当死ぬとこだったんですからね!」

 

 

 

「うん?引き返した?」

 

 

 

なんかシレッと気になる事言ったぞこいつ。田村さんも気になったのか、豚に問う。

 

 

 

「引き返したとはどういう事ですか?…えっと、豚さん?」

 

 

 

「相沢です!職員さんなんだから所属する探索者は覚えておいて下さいよもう!」

 

 

 

「うるさいですよ豚、早く言いなさい」

 

 

 

「うわ橘さんまでビンタしようとしないで下さい!言いますから!」

 

 

 

ならはよしろ。はたくぞ?豚野郎は生意気にごほん…と一つ咳をした。

 

 

 

「まぁ俺も見たままにしか伝えられないんですが、いきなり後ろを振り返って戻って行ったんですよ…まるで他の獲物を見つけたみたいに」

 

 

 

「他の獲物…ですか」

 

 

 

考えてみるが…ふむ、よく分からんな。

 

 

 

「探索者が戻ってきたのかしら?」

 

 

 

田村さんが推察を口にする。あぁ、確かにそれはあるか。

 

 

 

「その方に気を取られてモンスターがこちらへ来なくなったのかも知れませんね」

 

 

 

「そうね、生きてこちらまで戻れたら良いのだけれど……」

 

 

 

「難しいとは思います…」

 

 

 

俺の時を思い出す。ゲート超えた瞬間、出待ちで30体超えのモンスターが居るんだ。俺レベル…とまでは言わんが高位探索者でもない限り無理だろうな。

 

 

 

「まぁ柚希ちゃんが心配する事じゃないわ、援軍が到着してからになるけど確認に…」

 

 

 

「チェストォォォォ!!」

 

 

 

田村さんが話している声を遮り、バカデカイ声が建物に響く。なんだ…?新手か?

 

 

 

再度静まり返る建物。そしてこちらに向かってくる乾いた靴の音。

 

 

 

「お、おい…またヘカトンケイルか?」

 

 

 

「いや、それにしちゃ足音が小せぇ」

 

 

 

「な、なんにせよこっちにゃ修羅パンツがいるんだ!関係ねぇ!」

 

 

 

ひそひそと話す探索者達。おい、今修羅パンツって言った奴…ツラ覚えたからな?

 

 

 

近づく足音。

 

 

 

やがて通路の奥から姿を現したのは

 

 

 

靴と靴下、そして蒼く輝く手甲を装備した

 

 

 

全裸の須藤だった。

 

 

 

「ふむ…中々大変な事になっているようだ」

 

 

 

いや…あんたの方が大変だよ…

 

 

 

俺は思った。

 

 

 

 

 

 

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