ts転生者、脳を灼く   作:Y.Y@TSスキー

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30話 蛮族

 

 

 

「ふむ…」

 

 

 

コキリ…辺りを見渡し、首を鳴らす全裸。この場の全員の視線がその男へと集約する。

 

 

 

「す…須藤だ」

 

 

 

「通路の方から来たぞ…潜ってたのか?」

 

 

 

「全裸で登場とはな…狂ってやがるぜ」

 

 

 

男性探索者達のひそひそと囁く声。そして田村さん含む女性探索者達からは…

 

 

 

「「ぎゃぁぁぁぁぁあ!!」」

 

 

 

「おぇぇ…」

 

 

 

「室長…イカれてるわ…」

 

 

 

悲鳴と苦痛の声が上がった。

 

 

 

「む?…悲鳴?…誰かやられたか!すぐ助ける」

 

 

 

それを聞き、全裸は近くにいたモンスターを即座に蹴り上げ、探索者達の方へと駆け出した。

 

 

 

「いやぁぁあ!やめてぇ!!」

 

 

 

「須藤をこちらに来させないで!」

 

 

 

「誰か止めてよ!!私モンスターより無理だわ!!」

 

 

 

よりいっそう大きくなる悲鳴。だが須藤は激戦地の真ん中にライダーキックで着地、そのままの勢いでモンスターをぶちのめし始めた。

 

 

 

「…最低」

 

 

 

「絶対夢に出るわ…」

 

 

 

動く度ブルンブルンと振り回されるご立派様。それを見てしまった女性探索者はほぼ全員が汚物によって汚染され、死んだ目になった。

 

 

 

「ひゅう!流石は須藤さんだぜ!女の前でも構わず振り回すとは」

 

 

 

「しびれるぜ!!」

 

 

 

「しゃあ!!加勢しろ!!」

 

 

 

一方の男共は祭り状態だ。全裸と一緒になって暴れ回っている。

 

 

 

須藤さん…やべぇ人だった…

 

 

 

付き合い方考えるわ…

 

 

 

「目が!!目が腐るわ!!柚希ちゃんは見ちゃダメッ!!」

 

 

 

田村さんに手で目隠しされる。いや、別に前世思い出してからなんも思わんし視界塞がるの結構困るんだが…。とりあえず代わりに気配察知を発動した。これで表情とか外見は分からんけど何してるかは分かる。

 

 

 

魔力もあんま使いたくないけど、この目隠しを振りほどいたらなんかあらぬ疑いかけられそうで嫌だし。

 

 

 

「おぉ、田村くん!無事だったか!それに柚希くんも!」

 

 

 

田村さんの声に気づいたのだろう。モンスターをぶん殴りながら、こちらへ話しかけてきた。

 

 

 

「室長!服!服はどうしたんですか!?」

 

 

 

「こちらへ…ふんっ!戻るまでに全て無くなった!」

 

 

 

「じゃあせめてなにかで下を隠してください!!未成年の女性もいるんですよ!?」

 

 

 

「…む、確かに……」

 

 

 

須藤さんはそう言うと熊型モンスターの死体を掴み

 

 

 

「ふぅん!」

 

 

 

ベリベリベリッ!と毛皮をちぎって腰に巻いた。

 

 

 

「これでいいだろう田村くん」

 

 

 

「…まぁ、しょうがないですね」

 

 

 

ギリ及第点を貰えた須藤さんの格好により、目から手がどけられる。

 

 

 

「……ぷっ」

 

 

 

開けた視界。不意打ちで探索者達の中に原始人が混じっているのを見ちゃった俺は笑った。

 

 

 

「柚希ちゃん…今笑った?」

 

 

 

「ぷくく…はい、あまりにも時代錯誤な姿に思わず…」

 

 

 

「まぁ…1人だけ縄文人みたいだしね」

 

 

 

探索者達が槍やら剣やら使う中、須藤さんだけ格闘。格好もあって場違い感が凄いな。

 

 

 

「こんなものか…残りは任せたぞ諸君」

 

 

 

内部にいたモンスター達をものの2、3分でほぼ血祭りに上げた須藤さんは残りを探索者達に任せてこちらへと歩いてきた。

 

 

 

「やぁ柚希くん、元気かね?」

 

 

 

「はい」

 

 

 

「はっはっは!それは良かった、君は戦わないのかね?」

 

 

 

「須藤さんが来られる前、大物が来たので使った魔力を回復させています、あと…」

 

 

 

俺は袴を握る手を少し緩める。

 

 

 

「今戦うと下着が見えてしまいます、いざとなれば戦いますが…さすがに肌を晒すのはできるだけ控えたく思います」

 

 

 

「ふむ、未成年の女子が肌を晒すのは確かに良くないな…それに大物か…何が来たのかね?」

 

 

 

須藤さんが田村さんに視線を向ける。彼女は一礼した。

 

 

 

「ヘカトンケイルです、対応した赤き牙の峰村さん、うちの山本さんが致命傷を負い、私が絶命する寸前の所を助けて頂きました」

 

 

 

「ほう!ヘカトンケイルか!懐かしいな…あれは沖縄のボスモンスターでは無かったか?なぜ池袋に…死体は?」

 

 

 

「あそこに」

 

 

 

田村さんが前方を指差す。

 

積み上がったモンスターの死体で見えにくくなっているが、所々に巨体の一部が露出している。

 

 

 

「ふむ…確かにヘカトンケイルだな、いや柚希くん助かった、恐らく奴が暴れ回っていたら…ここは壊滅していただろう」

 

 

 

「お気になさらず、一応協専なので」

 

 

 

「いい先物買いが出来て私は嬉しいよ、君も報酬に期待すると良い」

 

 

 

え、報酬でんの!?やったー!柚希報酬大好き!ニンマリと笑う。

 

 

 

「あぁ…柚希ちゃん、高校生が報酬でニンマリしちゃダメ……それより室長、あれからなにが?」

 

 

 

田村さんが俺を諌めながら問いかける。須藤さんはそれに渋面を浮かべた。

 

 

 

「うむ…実はな…」

 

 

 

唾を飲む須藤。そして

 

 

 

「池袋ダンジョン1層が変異した…」

 

 

 

そう告げた。

 

 

 

 

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