ホロライブラバーズ 『この蒼空で会えるなら』 作:まだまだだね
4月1日──入学式当日の7時40分。寮の自室で一夏は目を覚ました。
前日の就寝時間が3時半頃、約4時間の短い睡眠時間でも、一夏の今の体は体力を万全まで回復さてくれる。
そのタフさも、彼の強みの一つだ。
「対策、思ったより時間掛かったな……ふわ……」
あくびを噛み殺しながら起き上がる。
最低限の家具のみの簡素な部屋に、存在感を放つのは壁の一面を隠す大きな本棚だ。
一般書籍や指南書は本棚の一角に過ぎず、その大半はこの五年で書き記された研究ノートである。
全てが彼の手で直接書かれたものだった。
色濃く残る、少年の軌跡があった。
「もうちょい研究対象絞っといたほうが良かった気がしてきた……」
この一か月、一夏は普段通りの修練と学園で戦うことになるであろう相手の対策研究に時間を費やしていた。
名を馳せる強者というのは常に噂されるもので、軽く調べてみるだけで彼彼女らの動向をサーチすることが可能な場合だってある。
一夏は眉唾かもしれないものも含め、ホロライブ学園に入学する噂が流れた者を調べ上げ、その研究を行っていた。
ホロライブ学園で行われる入学式後のバトルロワイヤルでは基本的に同級生と争うことになるが例外も存在する。
『アンチ』と呼ばれるルールにより一部の上級生が途中参戦するのだ。
それも、学園内でも実力者として知られる存在が。
そのルールによって、一夏の研究範囲は一層広がってしまう。
一夏は実戦の前にできる限り敗北の可能性を潰したいと考えるタイプであり、対峙する可能性がある上級生についても調べている。
誤算なのは、出てきても納得できる実績・能力を持つ生徒の数が多く、一人一人を詳しく分析・対策しきれなかったことだろう。
2月頃までは大会や予定が重なりバトロワに向けての準備があまりできていなかった。
一夏がこの学園のことに集中できるようになったのは3月から今日までの1ヶ月間だけであり、徹底した対策は無理であった。
「やば、あんま余裕ないな。急がないと」
枕の横に置いていた魔力変換式の携帯端末を起動し時間を確認した一夏は一つ伸びをして動き出す。
従来の充電ケーブルによる充電機能とは異なり魔力を端末に送ることで動作するモデル──去年出た大会の優勝景品──は、世界融合が齎した変化の一つである。
旧世代のデスクトップ型PCと同等のスペックを携帯できる、嘗てSF作品の中だけだったそれは、今では普遍と化している。
一夏は少し急いで準備を始める。
今からのんびり準備してから寮を出ても入学式には間に合うが、もしもの事態が起きればその限りではない。
いつも思考の片隅で最悪を想定するから、その可能性を消していく。
選択肢を消すことで、一つの結末へと辿り着く。
そういう思考の方向性は、戦闘の際にも同様に機能する。
日常の節々に、闘争の気配が宿っていた。
寝間着にしている中学のジャージを脱ぎ、学園から渡された制服を着ていく。
白を基調とし部分的に黒が取り入れられたデザインに、激しい運動にも耐えられる丈夫さと動きを阻害しない伸縮性を両立するよう設計された制服。
特殊素材を使用しているのか防刃・防弾・防魔にも高い性能を示すそれは、”この格好で戦っても問題ないな”と思わされる、戦闘服としても一級品の代物だった。
「こんな蒼色あったっけ? てか、みんな違ってたような……」
シンプルなデザインの制服に、自らの好みの色をアクセントとして追加することが可能なことを一夏は知らない。
この一ヶ月の間に見た上級生の戦闘記録の中で気づける筈だが、対策研究に関係のない内容は忘れてしまったために記憶の詳細を思い出すことはなかった。
「……まぁいいか」
たとえ知ったところで一夏は"別にいらないだろ"と思い何もしないことのだが、そのことを予測した叔父が勝手に蒼色を追加させている。
叔父の小さな気遣いに気づかないまま着替えを終えて、軽く見た目の確認をした。
自分を良く見せるためのではなく、相手を不快にさせないためのもの。
本当は自分の見た目なんてどうでもいいけど、それで他人に嫌な思いをさせることのは違うと思ったから、一夏は人並みに見た目を気にする。
「よし、飯を食おう」
特に変なところもなく、身支度を完了としてキッチンへと向かう。
そして冷蔵庫を開き、前日から冷やしていた容器を取り出した。
どろりとした、密度の高そうな見た目のそれを、一夏は一気に飲む。
手早くカロリーを摂取しようと、この一か月で一夏が考案した完全食。
ドライフルーツ、ナッツ、バナナ、牛乳、プロテイン、小麦粉をミキサーにかけて作ったもの。
ネットで調べた高カロリーの食材を手あたり次第混ぜたそれを飲むことを、食事と呼んでいいかすら怪しい。
その液体を勢いよく2L飲み干して、不足する栄養を各種サプリで補い、一夏の朝食は終わりだ。
普通の人間からすれば『補給』としか思えない、そんな光景。
人より多くのエネルギーを消費する──単純な生命活動での消費エネルギーが多い──ー夏には、効率面だけ見れば相性もいい。
今日はバトルロワイヤルが控えているから、普段より量も多い。脳への栄養補給を意識してのことだった。
バトルロワイヤルは仮想空間で行われるとはいえ、脳の消耗は激しい。
そういう点でも、合理的ではあった。
「一人だとこういう時に楽だ……」
孤児院にいた頃は周りと同じ食事をとっていたが、今は一人暮らしで合わせる必要がない。
もし叔父や孤児院の子供達がこの食事風景を見たら白目をむいていただろう。それがないのは、気が楽だった。
見た目のこととは異なり、食事内容で他人を不快にさせることがないから、本来の自分に対する無頓着さが表れる。
『おいしいものが食べたい』と思うこと自体を禁じているように。
食事をパフォーマンスに支障をきたさないようにエネルギー補給をするだけの行為にしていた。
『料理上手』とは口が裂けても言えないし、たぶんこの先も言うことはないだろう。
素早く食事を終え、軽く対策内容を復習してから一夏は寮を出た。
まだ集合時間には早いが、寮から学園への道には多くの新入生の姿が見える。
じっと目を細め、眼光が鋭くなる。
緊張している様子だったり浮足立っているものが多いが、中には落ち着いた佇まいの者もいる。
入学への期待、バトロワへの緊張、それを抑え冷静さを保つ者を、バレないように一夏は観察する。
一夏がこの一ヶ月研究してきたのは
だから今観察するのだ。
歩き方に独特の癖がある、何か武芸の経験者だろうか。
堂々としているが鍛えられているようには見えない、遠距離を主体にしている可能性がある。
人の死角に入るようにしている、奇襲への警戒を強めたほうがいいかもしれない。
調べられる範囲で情報を集め、推測を重ね、不測の事態を事前に潰していく。
実力で負けるのならともかく、自分の不手際・油断で負けることがあってはいけない。それを鷲尾一夏は許せない。
一夏の頭にもう入学式は欠片しか残っておらず、ただバトロワへと意識を向けていた。
歩きながら情報収集に勤しむ一夏だったが、すぐ側に近づいてきた気配に観察を中断する。
「うわっ」
「ん?」
後ろに迫る気配に、咄嗟に振り向く。
戦闘の時のようにな瞬時の振り向きは、傍から見れば倍速再生に近しい挙動で、近づいてきていた少女は驚きの声を上げた。
頭上に浮かぶ光輪。
意識を集中させれば、聖性を確かに感じる。
天使。嘗て幻想にのみ語られた、今では実在する人類種の一つ。
一夏の中で警戒度が上がる。
小柄な体格ながら、佇まいだけで高度な身体運用を読み取れたからだ。
有名な武道家が立っているだけで圧迫感を感じさせるように。
モデルがレッドカーペットを歩くだけで人を魅了するように。
ただそこにいるだけで、人を惹きつけるものがある。
少女もまたそういうタイプだった。
疑いようもなく実力者と分かる天使。
一夏の一か月の研究。その記憶が、自然と思い起こさせる。
「天音かなた……?」
「え、なんで名前知ってるの」
名前を呟いてから遅れて、少女の容姿が目につく。
淡い青色のアクセントが入った制服に、青のインナーカラーが入った銀髪。
道端ですれ違った人全員が口を揃えて『美少女だ』と評するぐらいに整っ顔立ち。
鷲尾一夏が「このレベルは相手に初見で戦いたくない」と思う研究対象の一人。
一夏は最後に、天音かなたが驚いているような、警戒しているような表情でこちらを見ていることに気づいた。
「……? あっ、違う。俺は怪しいやつじゃない」
「爆速振り向きから初対面で名前知られてるのは怪しすぎるでしょ」
思わず一夏は口を閉じた。
ぐうの音も出ない正論である。
客観的に見て、自分がかなり怪しい奴だった。
流石に入学初日から怪しい変な奴認定は学園からの評価に影響しそうだ、と慌てて弁明を図る。
「ほら、君は結構有名だろう? だから軽く調べたりしてて……」
「僕のことを調べてた……?」
怪訝な表情のかなたを見て、”これどちらにせよ怪しいことに変わりはないな”と気づいた一夏はヤバい、と焦りを加速させる。
どうにか訂正をしようとするが、上手くいく気がしない。
一夏に話す才能はあんまりなかった。
「本当に怪しくな──」
「ボク、そんな有名なってたんだ…………!」
「い──?」
「ふっふっふ……いやぁ照れるなあ」
本当に信じているようだった。
一夏からしても苦しい言い分だった気がするが、特に疑うことなく信じた様子に”この子大丈夫か”という不安が湧いてくる。
と、同時に人を疑わず、純粋に喜ぶ少女の姿に好感を覚えた。
強さからくる評価とは別で、単純に天音かなたという個人に対する印象が良くなる。
「それで、君の名前は? ボクだけ知られてるのも何か変だし」
「あー、鷲尾一夏。これからよろしく」
「鷲尾くんだね。うん、よろしく!」
「…………」
鷲尾一夏という名前はある程度の知名度を持つ。
一夏が全国優勝を成したのが三年前。その翌年もまた優勝し、連覇を成し遂げている。
仮想空間内での戦闘がメジャースポーツと同等の人気を博すこの世界において、その実績で名が知れ渡るのは当然のことだった。
それこそこの学園に入るなら当たり前に知っていて、一夏の対策をしてきているだろう。
そういう自覚があった一夏は、自分のことを全く知らない様子の少女に、羞恥に似た感情が湧き上がる。
「どうしたの? 何か話が滑って気まずい空気になっちゃった人みたいな顔してるけど」
「俺にも驕りがあったと自省してる……」
「?」
そこまで会話をしてから、一夏は自分が初対面の相手に普通に話していることに気がついた。
年が近い相手に砕けた口調で接するのは元からだが、それとは別にかなたに気を許している。
まるで前から親交があったかのように、気楽にいられる。
分からない感覚のままかなたをじっと見つめて、誤魔化すように口を開く。
「それで、何の用なんだ? 君と何かあったりしたんなら、申し訳ないけど忘れてるんだ」
「あっ、初対面であってるよ。ええと……なんて言えばいいんだろ……」
「急がなくていい。上手く言えないなら、それで大丈夫だから」
うーん、と可愛らしく唸りながら首を捻り、かなたは言葉に迷っているようだった。
孤児院の子供にそうするように、急かさず、焦らせないよう優しい声色で相手の言葉を待つ。
「特に用とかじゃないんだけどさ、直感? なのかな。何か仲良くなれそうだなーていう感覚があったんだよね……変な意味じゃなくてね!?」
「分かってる。言語化できないけど、俺もそういうのがあった」
「だ、だよね? だから友達もまだ殆どいないから、話しかけよっかなーって感じで!」
軽く頬を染めながら焦ったように話すかなたに、一夏は同意する。
さっきから感じた謎の感覚。それが彼女にもあっておかしくはない。
かなたの様子に一夏も若干の気恥ずかしさを覚える。
その空気に耐えられなくなったのか、かなたが歩き出す。
「ほ、ほら、行こ? 入学式に遅刻なんて駄目だしっ」
「そう、だな。うん、行こう」
ぎこちない動きで二人が歩き出す。
けれど、共通して感じている友愛に似た好意が、すぐにそれをなくしていく。
元からの相性というものなのだろうか。短い時間で、どんどん仲が深まっていく。
ぽつりと交わされる会話も、気づけば普通のものに戻っていた。
「へえ、そんな色々調べたんだ。すごいね!」
「大会の記録とかは結構見られるからな。そんな大変じゃないよ」
「そうはいっても、ボクのこともちゃんと調べてたんでしょ? ボク、あんま大きい大会とか出てないのに」
「ああ、確かに君の記録はちょっと苦労したな。天界での大会以外の記録が一切なかったけど、本当にないのか?」
「うん。遠征? とかするほどの熱量はなかったし。色々興味が出たのも、この学園に入ろうと思った去年の遅めの頃だったから」
融合した世界における、一つの世界の要素を色濃く宿す地域には特別な識別名が与えられる。
天界・魔界・幽世といったふうに、その地域には元々その世界に住んでいた種族が多く集まる傾向がある。
かなたも天界に生まれ、その外に出ることがあまりなかったそうだ。
「小さかった頃は、友達と外に行くんだー! とかあったんだけどね。その友達も、いなくっちゃて」
「…………」
懐旧と寂寥が込められた言葉だった。
戻れない過去を想う言葉だった。
大きな共感が、一夏にあった。
「あっ……ごめんね? 初対面で言うようなことでもないよね」
「いや、そういうことを話して少しでも楽になれるんなら、話してほしい。少なくとも俺に対しては辛いことを話して謝る必要もない。
それに、分かるよ。大切な人が消えるのは……辛いよな」
「…………」
「あー、ごめん。いや、こういう空気にしたい訳じゃなくてだな……」
「ふふっ、分かってる。ありがとね、
「……おう」
話してるだけで距離が縮まっていく。
会話の中で、どんどん相手を好きになっていく。
あまり経験がなかった体験を、嫌じゃないと思った。
一夏は気づいていないが、風を浴びている時のように、普段の自罰思考が忘れられていた。
話しているだけで人の心を掴む、話すことが魅力になる少女だった。
自分の変化に気づかず、この娘は人に好かれる才能があるんだな、と一夏はなんとなく思った。
「っと、結構人いるな」
「話しながら歩いてたから、ちょっと遅くなっちゃったね」
そんな会話をしながら歩いていれば、学園が目前の距離まで来ていた。
式が始まる少し前。ちょうどいい時間だった。
入学式だからか、正門前は混雑している。
その大勢の新入生に対し、かなたと話しながらも、一夏は観察を怠らない。
思考を分裂させ並行に処理する能力は、ある一定のレベルの戦闘者にとって必須技能であった。
「そういえば、クラスって事前に発表されてたよね。一夏くんどこだった?」
「俺は一組だった。かなたは?」
「ボクは二組だよ。ありゃ、おんなじクラスにはなれなかったかぁ」
「残念だけど、また会えるだろ。これからもよろしくしてもらえたら嬉しい」
「勿論だよ! 君が嫌って言ってもそっちのクラスに遊びにいっちゃうからね? それで『お前、天音さんとどういう関係なんだよ!?』ってクラスメイトに問い詰められてる姿見て笑っちゃうからね?」
「あるかないかで言えばありそうなのが嫌だな……」
「ラブコメ主人公気分をお届けできるボク、いい天使だなぁ」
「押し売りしてくるのは確かに神話の天使っぽいな」
「あっそれは言っちゃだめだから! いくらボクが善良な天使だからってボコボコにしちゃうからね?」
「これアウトなんだ……」
新入生の波に流されるように、その流れに逆らわずに入学式が行われるホールへと移動していく。
並行して一夏は脳内に投影した学園内部の構造図面を実際の学園を比較し、警戒ポイントを精査していた。
やはり、廊下の一つを取っても大きい。
機動力を制限する必要はないな、と頭の中で呟きながら、頬を膨らませて可愛らしく怒るかなたに一夏は一つ提案する。
「俺もボコボコにされたくはないからな。やれるものならやってみろよ、この後のバトロワでな」
「っ! 今の言葉、後悔させたげるよ……!」
視線の間に火花が散った。
空気自体が燃え上がるような戦意が満ちていく。
強者の戦意とは一種の圧であり、周りの生徒が謎の圧迫感にざわつく。
そのタイミングで、ホールに到着した。
入学式はもうすぐで、新入生はクラスごとに指定された席に座らなければならない。
「じゃあ、一先ずお別れだな」
「うん、ボクに会う前に負けないでよ?」
「死ぬ気で頑張るよ」
新しくできた友人と別れて、自分の席に座り。
一夏は意識をごっそり入れ替えた。
かなたと会う前の状態へと戻る。
周囲の観察、脳内に無数にある戦術の選抜、対策の反芻。
それに意識を集中させる。
入学式の内容も、何か重要な情報を聞き逃すことがないように思考のほんの欠片だけに任せてた。
話があった。聞いていない。
また話があった。聞く余裕がない。
文字通り
一夏はいつも、死に物狂いで勝利を望む。
戦いたくないのに、負けられないから、死ぬ気で勝ちにいく。
どんな状況でも油断・諦めがないその性質を、過去に彼と戦ったもの全員が勘弁してくれと思っている。
以前、全国大会地方予選で彼に負けた誰かが、『ターン性RPGのラスボスが余裕を見せて1ターン無駄にするとかが無いみたいなもん』と評していたその性質は変わらず残っていて、一夏が『最強』を冠した理由の一つであった。
そうして、その時間がやってくる。
話が終わり、入学式でやることが完了した、次の瞬間。
床全面に魔法陣が展開された。幾何学的で複雑な術式に呼応するように、端末が震える。
「新入生の皆さんは、各デバイスよりダイブを始めてください!」
職員の声と共に、一夏は端末のフルダイブダイブ機能を起動した。
魔法陣に刻まれた術式が、一夏たち新入生の意識をこの学園を模した仮想空間へと潜行させる。
一人一人がそれぞれランダムに、学園各地へ転送していく。
「いくか」
一夏は考える。
自分にとっての勝利は『学園に自分の価値を再度証明する』ことであり、それは必ずしもバトルロワイヤルで1位になることとは限らない。
多くの生徒──一夏がこの一か月調べてきた、学園も注目しているであろう実力者を複数人倒せば、それだけで勝利といってもいい。
「ちょっと過剰かもしれないが、余裕なんてないからな」
転送が完了し、アナウンスもなく、勝負が始まる。
一夏は魔導回路を起点とし、全身への魔力循環を開始する。
白蒼の魔力が一切の余剰なく全身を循環し──髪も白蒼に染まっていく。
五年前からの特殊体質の影響で、戦闘時に一夏の髪色は黒から白蒼へと変わる。
それが、入学の時にあまり騒がれなかった理由。皆が知る鷲尾一夏に、『黒』はない。
黒髪の時点で彼の存在に気付いている者は少なく、だからこそ、一般生徒にとっての
一人の生徒が敵を探して、1位になるのは俺だ、と戦意十分に自分しか転送されなかった教室を出た。
そうしてその生徒は、これからの3年間不貞腐れながらも自慢げに語るエピソードに巡り合う。
全国二連覇の、この世代最強と名高い男が、視線の先にいた。
「まず一」
白蒼が迸り、首が落ちる。
あまりに早い、最速の開幕。
まだ殆ど誰も気づかぬまま、最強が駆動を始めた。
この作品は戦闘描写のための習作みたいなところがあるので、設定は結構雑です。
やご何某さんに胡散臭い意味深な強キャラムーブさせようかなって一瞬考えたんですが、普通になしです
次回:邂逅・風切りは光奔る