ミレニアムの『全能』   作:かっぱかにせん

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己の性癖を満たす自己満小説、ただそれだけよ。


クソボケ、全てを晴らし、全てを曇らせる。

 この世界に来て3年が経った。

 

 色々な人達と関わった、助けた、助けられた。

 

 その全てを清算するためにーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー俺は今、宇宙にいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヒマリィ!衝突まで後何秒!?」

 

『後13秒です!衝撃に備えて!』

 

「うぉおおおぉお!!間に合えぇぇぇ!!!!」

 

 前方に見える崩壊した黒い繭、ウトナピシュティムの本船。

 

 あそこに『先生』と『プレナパテス先生』が居る。

 

 チャンスは1度きり、ミスも失敗も許されない。

 

 

 

 

 

 

 思えば、この3年で色々な事があった。

 

 ミレニアムで浮浪者として目覚めた1年目。ユウカの優しさが無ければそのまま死んでいただろう。幸運にも彼女に拾われ、日雇い労働者兼1年生としてスタートした日々。

 

 権能に目覚めた2年目。自分が知っているものなら大体再現出来るとかいうザックリした権能で、自分の部活を立ち上げた。『未来開発部』、滑り出しは上々だった。ヒマリとも出会えた。

 

 激動の3年目。原作が始まり、手を出せる所は全て出した。アビドスを、ミレニアムを、トリニティを、ゲヘナを、見境無く。開発した汎ゆる物と功績により、『全能』の称号が与えられた。本来なら『マイスター』らしいが、功績が大きすぎる+すでにマイスターの称号持ちが居るから新しく『全能』の称号が作られたらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「突入ぅ!!!!!」

 

『全プロトコル異常無し!先生救出作戦開始です!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アビドスでは、唸る資金と開発した超深度ソナー、超深度採掘機で大規模再開発計画を開始した。ホシノは猛反発だった。これではアビドスがミレニアムの傘下になってしまうと。カイザーは土地を買う時に煩かったので金の暴力で黙らせた。

 

 ホシノ含めたアビドス対策会組は何度も足繁く通い、説得した。何度かシバかれたが、今では良好な関係を築けている、はずだ。

 

 

 

 

 

 ミレニアムでは、アリスとケイを仲直りさせた。アリスは魔王なんかじゃない、ケイは世界を滅ぼす役目を捨て、自由に生きたっていい。何度もそう言うのに『私は……』『アリスは……』ってうじうじしてちょっと面倒くさかったから強制的に引き合わせた。最後には笑顔で笑い合っていたからもう大丈夫だろう。

 

 リオは他人に頼り、少数を切り捨てるやり方を止めるよう言っておいた。俺は『全能』だ、トロッコの新しいレールでも分岐点でも何でも作ってやると啖呵を切った。思い返せば恥ずかしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おら先生、助けに来たぜぇええええ!!!」

 

「ハガネ!?どうしてこんな所に!?」

 

「そりゃあ俺が『全能』だからだ。宇宙船なんてチョチョイのチョイよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゲヘナでは、トリニティでは、アリウスでは……

 

 もういいだろう。

 

 出来る事は全部やった。

 

 だから、最期の時だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そいつがプレナパテスか。そいつを倒せば全部元に戻るのか?」

 

 ゆっくりと銃口をプレナパテス先生へと向ける。彼女は命乞いも、身動ぎ一つしない。己の終わりを、死を、受け入れているのだろう。

 

 全くもって腹が立つ。

 

「待って、ハガネ!彼女は!」

 

「知ってるさ、プレナパテス『先生』?」

 

「っ!どうして、それを……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺は『全能』、全てを理解し、実行する絶対の一。」

「こんなシナリオは認めない、認めさせない。」

「だから、2人とも助けに来た。」

 

 

 

 

 

“ああ、君は……変わらないね……”

“こんな私でも、助けようとするなんて……”

 

「やっとこっちを向いたな、自己犠牲大好きウーマン。」

 

「その言い方は酷くない……?」

 

「あんたを助ける。世界線が違ってもアンタは先生だ。」

 

 

 

 

 

 

『ハガネ!早く宇宙船に戻って下さい!維持装置も限界です!』

 

「さあ!帰ろう!皆の所へ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 先生とプレ先を宇宙船に押し込み、発進。崩れてゆく空間を見つめながら、彼女達に脱出ポットの操作について説明する。

 

「良いか?ハッチを閉めたら外から俺が外からロックを掛ける。その後、そこの酸素マスクを着けて横になっていれば良い。」

 

「うん!ありがとう!ハガネ、本当にありがとう!!」

 

 

 

 

 

 

『ハガネ……?それでは、貴方は……?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 2人の脱出ポット、そのハッチを閉め終わる。操縦席に戻ろうとした、その時だった。

 

“待って、ハガネ”

 

「ん?なんだ?」

 

“ハガネはどうするの?誰が貴方の脱出ポットを……”

 

「俺はまだ弾道計算とか、やる事が残ってる。脱出はその後だ。」

 

“……その後、どうするの?”

 

「やっぱりアンタも先生だな、誤魔化せないか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺の脱出ポットは必要無い。

 何故なら、

 

 

 

 

 

 

 俺の物語は、ここで終わるんだから。

 

 

 

 

 

 

 

「待って!!どういう事!?」

 

『ハガネ!?その脱出ポットは貴方と先生の物では無いのですか!?』

 

 

 

 

 

 

 

 俺はこの物語の中の異物。

 

 何処で消えようか、ずっと考えていた。

 

 カイザー、神々の王女、アリウス、色彩……

 

 どれも強い。が、俺を殺すには足り得ない。

 

 発想を変えたんだ、戦って死ぬのではなく、守って死ぬ。

 

 守られた者にとっては呪いだ。だが、それが先生なら。

 

「もう沢山背負ってるもんな、1つ位増えたって、なぁ?」

 

「開けて!ハガネ!ここを開けて!」

 

“ハガネ……!私は良い、貴方が乗って!”

 

『死を望んでいる!?巫山戯ないで下さい!』

 

 

 

 

 

 

 さようなら、皆。

 

 

 

 

 

 

「脱出ポット、射出。」

 

 

 

 

 

 

 

 大気圏に突入したポットが、炎に包まれながらキヴォトスへと落ちてゆく。既に脱出していた皆の所へ、寸分の狂いも無く。

 

「弾道計算、かんぺき〜。」

 

 友の口癖を借りるなら、こんな所だろうか。

 

 

 

 

 

 

『1つ、聞かせて下さい。』

 

「良いぞ、ヒマリ。時間が無い、手短にな。」

 

 

『貴方は最初から脱出ポットを2つしか用意していなかった。その気になればもっと搭載出来る船を作れた筈なのに。』

 

「ああ、そうだな。」

 

『最初から、死ぬつもりでしたね?』

 

「流石は『全知』様だな。」

 

『っ、巫山戯ないで下さい!何故、何故です!』

 

 

 

 

 

 

 俺はな、異物なんだよ。

 

 本来なら存在しえない異物。

 

 今までは『知識』で何とかなった。

 

 でも、この先は知らない。

 

 これ以上先に俺が居たら、バットエンドになるかもしれない。

 

 

 

 

 

『……だから、ここで、死ぬと?』

 

「そうだ。」

 

『そんな不確かな理由で死を選ぶと!?』

 

「そうだ。」

 

『何なんですか貴方は!リオなんかよりよっぽどバカです、この独善家!誰がそんな理由で納得するんですか!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヒマリ、最期に俺からも1つ。」

 

『もう知りません!』

 

「良い人を見つけて、幸せになってくれ。」

 

『……は?は?は?貴方、私の気持ちを知らずにそんな事を!?今!?ええ言ってやりますよ!この朴念仁!私はね!貴方の事がす

 

 

 通信を切る。

 

 ヒマリの言葉を最後まで聞いたら、覚悟が揺らいでしまいそうだったから。

 

 震える足を叩き、そろそろ耐えきれそうにない熱さになってきた宇宙船の中、静かに目を閉じる。

 

 この3年、本当に楽しかった。

 

 思い残す事はない、

 

 

 

 

 

 はずなのに。

 

 

 

 

 

 

 どうしてだろう。

 

 

 

 

 

 

 寂しいな。

 

 

 

 

 

 

 

 ヒマリ、俺も、

 

 

 

 

 

 

 愛して……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先生!先生!」

 

「ん……ここは……」

 

「気がつきましたか!」

 

  起きて見回すと、皆の顔があった。帰って来たんだ、キヴォトスに。そっか、私は、脱出ポットで……誰が用意した脱出ポットで……?

 

 未だ朦朧とする意識の中、大事な事を思い出す。

 

「ハガネ、そうだ、ハガネは!?」

 

 皆の顔が歪む。

 

「先生、落ち着いて聞いて下さい。」

 

 

 

 

 

「現在宇宙船の墜落現場を捜索していますが……」

「生存は絶望的、かと……」

 

 ……そっか。

 

 私のせい、だよね。

 

 ちゃんと貴方の分も、背負うから。

 

「うぅ、うぅぅぅ……ハガネェ、ごめんなさい、私のせいで……」

 

 今はただ泣く事を、許して下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハガネ、死亡。

 

 その報道は、キヴォトス中を駆け巡った。

 

 人死のほぼ無いキヴォトスにおいて、そのニュースは驚異的な速度で拡散した。何より、死んだのが『あの』ハガネだ。

 

 『全能』『キヴォトスの創造者』『救世主』『キヴォトス長者番付第1位』……様々な異名を持つ彼の死。

 

 

 

「うへ……嘘だよね、また、私は……」

 

「嘘だ……嘘じゃんね……」

 

「虚しい……結局全ては……」

 

 キヴォトスで1番長い日。

 

 それは、ある男の死で締め括られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【対象の死亡を確認】

【保存されている神秘の形成を開始】

【思考パターン、行動パターンの再現を開始】

【神名を保存……■■■■の再構築】

【転生開始】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あるぇ?」

 

 俺、死んだはずでは?

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