女の敵のわるーい先生シリーズ   作:ブルアカ二次創作@本拠地はpixiv

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コンプレックスこじらせたかまってちゃん可愛い、一生成長せずそのままでいてほしい


わるーい先生が自立してきたコハルに他の正実の子の話をして嫉妬させてからハグして依存の幸せを教えてあげる話

 下江コハル。

 彼女はとてもかわいいチワワである。

 チワワというのは案外凶暴で、プライドが高い犬なのだ。

 その上、ちっこい。とてもよく似ている。

 そしてコハルの人格はまさに子供。未完の器。

 プライドの陰には、人を信じたい、そして愛されたいという強い想いが隠れている、そんな子である。

 まさに私の好みど真ん中なのだが……ナギサのようにはいかない。

 コハルはハナコと仲良しだからだ。コハルになにか不自然な変化があれば、一瞬で気取られるだろう。

 そのため私はあの子になにもできない。

 ハナコ自身だってちょっと……私は手を出さないタイプだ。不安定すぎて管理不可能な子だから。

 昔、キヴォトスの外でミカみたいな子とハナコみたいな子の両方に手を出してしまって、危うく殺されかけたことがある。

 ……まあハナコはあと一年か二年もしたら、すっかり落ち着きそうではあるけども。成長の流れに乗れてるから。

 まあ……なので、私は下江コハルには手を出せない。

 ちゃんちゃん。

 

 

 

「せんせえ……どこお……」

 

「当然よ!私はエリートだし!…………ありがと、せんせえ」

 

「せんせえ!ほら!わたし、自力で六十八点とったのよ!みてみて!ほら、むずかしいのも解けたの!」

 

 

 

 無理だ我慢できない。

 こんな無垢な子を汚したいと思わない人類はいねぇ!!!

 ……おっと口調が崩れてしまった。

 しかしハナコは難敵である。コハルに付随する外付け爆弾だ。

 それでも諦めたくない。

 私はコハルに不可逆の変化を与えて、これまでの人生で知らなかった感情に苦しむ姿が見たいのだ。

 ……どうしたものか。

 

 ……ハナコは私のことを信頼している。

『きっかけ』がない限り、私は『疑うリスト』には入らないだろう。入ってしまったらもうアウトだ。

 なら……そうだ。

 コハルがただ健全に成長して、健全に嫉妬してるだけな感じに見せればいいのでは?

 よし。

 熟慮し、実行しよう。

 

 というわけで私はまず、正義実現委員会の子たちに、ことあるごとに「黒い翼好きなんだよねーかっこよくて」と言い続けた。何回も。

 みんな羽をバサバサして喜んでいた。可愛かったかは覚えていない。私はその間中、コハルのことしか考えていなかった。

 

「せんせえ……」

 可愛いコハルがある日、補習授業の後に声をかけてきた。

「は……羽根!ブラッシングして!」

「え?私が?」

 アプローチの仕方が意外だった。

 ハナコとヒフミが机に座ったまま「あらあら……」みたいな感じでこっちを見ている。アズサはむっとした顔だ。自分もしてもらいたいのだろうか。

「その、えっと、痒いの!だからしてほしいの……」

「私は翼がないから、アズサの方が慣れてて上手いんじゃない?」

「うっ、そうだけど……」

「どうして私じゃないといけないのかなー?」

「ううう……」

「あ!それともあれかな?私は黒い羽根が好きって話を聞いたのかな?」

 コハルが正義実現委員会から聞いていないはずはない。八回ぐらい言って回ったからね。

「そそそそそそんなの知らないわ!まったくもって初耳よ本当よそんな自分の身体的優位をもってなんかをするなんてエッチなこと私はしないから!」

 激しく四枚の羽根をバタバタさせるコハル。

 やべえ興奮してきた。

 おさえろ、おさえろ。

「はっは、いいよいいよコハル。してあげる。道具を持っといで?」

「わあい!……ハッ!し、仕方ないわね!」

 なんだこの破壊力は。わざとやってるのかこの子?

 ハナコたちは『お楽しみ』の邪魔はよくないとのことで、ヒフミとアズサ二人を連れ、死刑宣告されながらも笑顔で退出した。

 もう私の勝ちだ。今日のところは。

 

 コハルと私は席に着いた。

 夕焼けが射し込む教室は暖かくて静かだ。

 これからコハルを食べてしまう場にはちょっとこう、ロマンチックすぎる気がして、逆にそそる。

 私に対して後ろを向いたコハル。

 ああ、今きっと顔を真っ赤にしている。

 可愛い。

 壁ドン三連発したい。

 それかバックハグしたい。ハナコたちはいいな、そういうの違和感なくやれて。

「せんせえ、その……エッチなことは駄目だからね!」

 もう誘い受けだろこれ。

 すまないねコハル。大丈夫。エッチではなく、その前段階こそが一番エッチなのだと私は知っているのだ。

 これから君もエッチになるんだよ。

「じゃあ右の羽根からいくよ」

 ちっちゃな翼に、優しくブラシをかけてあげる。

 羽根の先端を優しくつまんで、まずは外側沿いをなぞった。

 コハルは照れているらしく、何も言わない。

 私も何も言わず、この後どんな言葉を紡ごうか考えていた。

 どの言い方が一番、コハルを『成長』させられるか……。

 よし、決めた。

「そういえばさ、コハル」

「な、なに?」

「アズサから聞いたの?私がブラッシング上手だって」

「えっ?……え」

 私はアズサにブラッシングをしたことはない。

 後日追及されても記憶違いを装えばよい。

 まあコハルは勝手に一人でモヤモヤして抱え込んで、誰にも言わないだろうけど。ああ、想像するだけで……胸が満たされる。

 想像する。コハルが、私だけを見つめるおばかさんになってしまう姿。何も手につかなくなって、苦しいのに誰にも相談はできなくて……ぞわぞわする。

「……し、したことあるの?アズサに」

「うん、確か」

「そう……」

 わーお。切なげ。

 天使かこの子は?いやまあ天使だけど。

「最近、コハルはとてもよくやってるね?すっかり勉強上手になったし」

「う、うん!……せんせえもみんなも、教えてくれる、し……ハスミ先輩も時間が空いた時、助けてくれるの」

 よし!よし!狙い通りだ。

 私は、最近ハスミがコハルによく勉強を教えているのを知っていた。

 自然な会話の導線ができたぞ。

「コハルは愛されてるね」

「……うん」

「これなら、補習授業部員じゃなくなる日も遠くないね」

「…………」

「私がコハルに授業をすることもなくなるね」

「……教えてよ、これからも」

 おっ。前のコハルならなんか棘のあることを言ってきたのに、ちゃんと頼んできたぞ。教師として嬉しい成長だ。

「いいよ。いつでも頼んでね」

「うん!」

「ところでさ、ハスミで思い出したんだけどさ」

「な、なに?」

「いつかはコハルもハスミみたいになるのかなぁ」

「死刑!」

「え?いや、良き先輩になる、みたいな意味だよ?何想像してんのさー?」

「あ、あ、そっか、そうなのね、そうよね……」

「そうなのよ♪……それにしても、正義実現委員会ってすごいよね」

「うん!」

「ツルギは強くて……『可愛い』し、ハスミも頼りになる委員長な上に『可愛い』し」

「…………う、うん?」

「あとね、イチカ!あの子はすごいんだよ、私のヒーローなんだよ」

「…………え?」

「発掘のお仕事の帰りに、うっかりゲヘナ行きの電車に乗っちゃったことがあって、それでゴタゴタに巻き込まれてたでしょ?その間中、ずっと私を守ってくれたんだ」

「……そ、そう、なのね」 

 よし、適度に話を盛れてるな。

 ここまではいい。前置きのようなものだ。コハルは一年生だからね。年上の話ならまだ、多少モヤモヤするぐらいだ。

「あとね、マシロ!」

 ここで一年生の話題を出す。

「っ」

「凄い子だよね、まず『可愛い』し、そしてあの謎の狙撃!ドンッ!てでっかい剣みたいなのが生えるやつ。あれ、最高にかっこいいよね」

「……」

「コハルのそういう技も今度見せてよ」

「え」

「え?できるんじゃないの?」

 私は知っている。

 コハルのそういう……神秘的なやつは、仲間を癒す力なのだ。

 そちらの才能は卓越しているけど、マシロのように敵を射殺す真似はできない。

「いや、その……ごめん、せんせえ。わたし……できない」

 ああ。

 素直に認められて偉いね、コハル。

 自分とおんなじ一年生のマシロにできて、自分にはできないことをちゃんと認められる。多分前のコハルなら「できるわよ!」とか言っていたと思う。

「えー、そうなの?なんか、羽根が黒い子はみんなそういう謎パワーを持ってるものかと」

「……人に、よるわ」

「そっか。じゃあ今度マシロに見せてもらおっと」

「うん……」

「あとさ、マシロはすごいよね、狙撃手としてさ」

「……」

「私は色んな学園の狙撃手の子を知ってるけど、あの一撃必殺っぷりは類を見な」

「せんせえ!!」

 あっ、ついに我慢できなくなっちゃったねコハル。

 ……泣きそうな声、やばいぐらい可愛いよ。

「せんせえ、ほ、他の子の話、しないでよ」

「えっ、どうして?コハルの仲間じゃない」

「……そうだけど、今は、嫌」

「そうか。ごめんね」

 ここで引く。

 ここで粘ってしまうとちょっと不自然だから。ハナコセンサーのギリギリラインだ。これ以上は危険。

 ここで、右の羽根は綺麗になった。

 左の羽根に移る。

「……コハルの羽根、綺麗だね。『可愛い』」

「……ありがと」

「一番好きだな、コハルの羽根。四枚あるのがいいね」

「……!」

 頭の羽根が暴れている。照れているんだ。

「流石コハルだ、可愛いよ。ふふふ、頭よしよししてあげようか?」

「エッチ!そんなことしないで!あっ……」

「そっか、残念」

「……………………や、やっぱりしてもいい……」

 そうだよねコハル。

 あれだけ他の子の話をしていたんだ。私が何も言わなくても、心の中で「まあ正実の他の子にさせてもらえばいいや」とか考えてそうに思っちゃうよね。

 わかりやすい子は好きだ。大好きだ。

「ええ!いいの?コハルは天使だなあ!私のお願いを受け入れてくれるんだね?」

「そうよ!先生が……仕方ない大人でも、う、受け入れるわよ!私……は!」

 今「私だけは」って言おうとしてやめたのかな。

「じゃあなでなでするね。それ、よしよしー」

「……♪」

 髪の毛がきめ細かい。いい触り心地だ。

 なでなでっていいよね。……人から価値を認めてもらえるような気がするし。

「……コハルはいい子。いい子だよ。よしよし」

「……も、もう、おわり!」

「ええ、はやーい」

「なんか、手つきやらしいもん!終わりよ!」

「ちぇー、私、なでなでするの好きなのに」

「…………」

「まあいいや、コハルが嫌なら仕方ないね。それなら他の」「!!」

 コハルがビクッとする。

 私が他の子を見ることが、もうトラウマ気味なんだ。

 慣らされちゃったね、コハル。

 将来悪い男に引っかからないか心配だ。

 現に、こうして引っかかっているし。

「……他の、ことをしてもいい?コハル」

「あっ、う、うん!」

 よかったねコハル。まだ私の興味は君にあるんだよ。どうしてこんなにわかりやすいんだろう。犬だったら尻尾ブンブンしてるよきっと。

 ……そろそろとどめだ。

「……何してほしい?コハル」

「えっ、私!?えっ、えっ、……ええと、あ、その、私……」

 ああもう、すっかりテンパっている。

 視野は狭まり、冷静な判断ができなくなっている。

 可愛いよ。

「出てこないかな?じゃあ私はしたいことがあるんだけど」

「う、うん!いいわよ、いいわ」

「じゃあ、はい」

 

 

 

 背後からハグした。

 

 

 

 小さい身体は温かいどころか、少し熱い。コハルが興奮して、血の巡りがよくなっているからだ。

 

 気絶しないうちにすぐ離した。二秒くらいだった。

 逃さない。まだいじめ足りない。

 

「???????」

 宇宙状態だ。

「コハル、こっち向いて?」

「………………え?」

「私の頼みを、受け入れてくれないの?」

「………………」

 コハルはこちらを向いた。

 なにかに操られるかのように。

 ぐっちゃぐちゃの頭の中で、「私だけ見てほしい」という思考だけが、しっかりとそびえている。

 ぐるぐるの目で、私を見ている。

「コハルからもしてほしいな。今の」

「!!??」

 ハグを受け入れる体勢をとる。

「おいで?」

「………………」

「あれ?恥ずかしい?大丈夫だよ。百鬼夜行にもしてくれる子がいるしね、ははは」

「………………あっ、あっ」

「でも、コハルがしてくれると嬉しいんだけどな」

「………………」

「君が選んでいいんだよ。どうしたい?」

 

 

 

 約一分後、ぽふりと、彼女は来てくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の小テストで、コハルは六点だった。

 彼女はわんわん泣いていた。

 面談をすることにした。二人きりの部屋の中で、「見捨てないで」と何度も言ってきた。

 私には判断がつかない。

 私があんなことをしたから、コハルは何も手につかなくなってしまって、こんな結果になったのか。

 それとも。

 私の気を引くために、わざとたくさん間違えたのか?

 ……どちらでもいい。

「コハル。大丈夫だよ」

「せんせえ……」

「君のことを、私はずっと受け入れてあげるからね」

 コハルがほんの少し羽根を動かしたのを、私は見逃さなかった。

 

 

 

 

 

「おいで?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

わるーい先生が自立してきたコハルに他の正実の子の話をして嫉妬させてからハグして依存の幸せを教えてあげる話   完

このシリーズのジャンル

  • ホラー
  • 官能
  • サイコホラー
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