女の敵のわるーい先生シリーズ 作:ブルアカ二次創作@本拠地はpixiv
いつものように勉強を教えていた時、私は軽い気持ちで言った。
「コハルがもしも百点取れたら、ハグよりもっと凄いことしてあげるよ」
「!……とっ、取らない!ぜったい取らないから!ぜったい、エッチなこととか興味ないから!」
隣に座ってくっつきあっていたので、激しく動く頭の羽根が、私の顏に鬼のように当たっていた。
そして次の定期テストで、コハルは百点を取った。それも、二教科で。
他もほぼ満点だった。ハナコがめちゃくちゃびっくりしていた。
で。
またしても、可愛い可愛いコハルと、合宿棟の私の部屋で二人きりになった。
私はベッドに座っていて、コハルは立っていた。隣に来るよう促したけど、来てくれなかった。
コハルはほっぺたを真っ赤にして、猫みたいな目で私を見ている。四枚の羽根がすでにぱたぱたしていた。
なんやかんや、呼んだら私の部屋に来てしまった。信頼してくれて嬉しい限りだ。
「せんせえ……」
「なんだい?」
「…………せんせえ、みんなにこんなことしてるの?」
まだ三桁はいっていない。
「……どうだろうねー?」
首をかしげてとぼけてみせた。
「しっ、死刑!」
「なんでさぁ?無実かもよ?」
「どっちにしても、死刑!雰囲気が女の敵!」
雰囲気……。
うん、まあ、わざとやってるところもあるけどさ。昔、随分訓練したものだよ。
「大丈夫だよコハル?私たちはただ、定期的にオキシトシンハグをしてるだけじゃないか」
「今まではそんなことしなかったでしょ!ほんと、突然……し、知らない先生になっちゃったから、なんか、怖くて……」
事実である。なぜ急にしたのかと言えば……可愛かったからつい、だ。
……最近、理由もついてきてしまったけど。
「何さー、ハグくらいで。おこちゃまなんだから。私の育った場所じゃ普通だったよ?」
嘘である。
「くっうう……」
コハルの頭は茹だっていた。煙が立ち上っている。子犬みたいな声が超可愛い。
「……や、やっぱり変よ。ねえ、せんせえ……何か、あったんじゃないの?」
「え?」
「ハ、ハグより凄い事のっ、代わり!代わりに、どうしてこんなことを急にしてきたのか教えて!」
「なにもないよ」
あるとしても、君は知らなくていいんだよ。
「じゃあ……先生は、ただの変態だったの?」
「うん、そうだよ!」
「……」
猫の目で見てくる。まるで信じていない。
なんか鋭いなあ、コハルのくせに。……女性ってこういうところあるんだよな、人によっては。
「コハル?そんなことより、いつものをしようよ。ほら、おいで」
「……ううん。もうこういうこと、しないわ」
「なんでー?」
「せんせえ、なんか変だもん」
うむむ。今日は手強いな。
「じゃあこちらから行くね」
言い終わらぬ内にコハルへと突っ込んだ。
「えっ」
捕まえた。
……小さくて温かい。首にかかる吐息が少しばかり熱く、心地よい。私の体温と混じっていくコハルの生命の気配は、とても頼もしく感じる。
「………………は、はなしてぇ……」
「嫌♪コハルの方が強いんだから、本当に嫌なら離れなよ」
「…………うぅ」
耳元で、ウィスパーボイスで囁きかける。
「コ、ハ、ル?」
「ふゆぅっ……!」
「温かいね?」
「それ、やめてっ……」
「これ、嫌い?」
「う、き、嫌い」
「そっか、ごめんね」
「あ……」
囁くのをやめてコハルの顔を見ると、羽根で目を隠してしまっていた。もはや現実を直視できないらしい。しかし、微かにへの字を作っている口は、安堵よりは悲哀の印象があった。
「ごめんね、二度としないからね?おねだりでもされない限りは……ね」
「…………ヘンタイ」
「そうだよ。……ヘンタイからは逃げたほうがいいんじゃない?」
「……に、逃げ、ない」
「どうしてー?」
「……せ、先生に何があったか聞くまで、逃げない」
「ほーう」
中々に強情だ。ぜひへし折らないと。
登山家が山を見ると登りたくなるように、私は女の子の強情な様子を見ると、私に依存させてしまいたくなる。
これは本能なのだ。
「コハル。じゃあ、勝負ね。私に何か一つでもおねだりしたら、君の負け」
「……そういうのいいから、教えてよ」
「なにもないってばー」
「嘘よ!……ひゃっ!」
背中に回した手で、羽根の付け根を弄った。
羽のある子は既に何人かものにしているので、練習はしっかりできていた。大抵、付け根の筋肉の末端部が弱いのだ。
「ひゃん、ん、あ……せんせ、や、やっ……」
「我慢しなよ。私のペースに飲まれたら、負けが近づくよー?」
コハルは歯を食いしばった。絶対耐えるという意思を感じる。
私の言葉に誘導されている時点で、ペースに飲まれているのに気づいていない。
愛おしい。
「コハル、ねえ。私の事好き?」
「……」
歯をしっかり食いしばって声を我慢しながらも、少し逡巡して、頷いた。
「そっか、好きなんだ。へー?私のこと、恋愛対象としてアリなんだ?」
「な、何言ってるのひゃああっ!」
隙あり、だった。
羽根の性感帯を激し目に撫でると、コハルは少し飛び跳ねた。
「ん、ちょっと、やめて、やめて、だめ、ぜったいだめ、だめだめだめだめだめ……」
顔面を胸にぐりぐりさせてくる。声がどんどん強張って上擦る。
コハルがだめになっていく。余裕が剥がれて本能が剥き出しになっていく。
「やめなーい。ルール追加ね。……とんじゃったら、君の負け」
「あ、あ、んん、ひゅ…………」
コハルの声は止んだ。快感を克服したからではない。気持ちよさが深層のそれに移り始め、声の代わりに痙攣とハグが強くなったのだ。顔は見えないが、多分涙を流している。
コハルってこういう気持ちよさに慣れてるのかなあ。そういう感覚って男女でだいぶ違うと聞いたことあるけど、それが正しいのなら、見かけじゃわからないな。
「コハル、囁いてもいい?……返事がないということは肯定だね。……コハル。気持ちいい?」
「……ぁ」
「可愛い。可愛い。可愛い」
「……ぁあ、あぅ」
痙攣の波が、大きくまとまっていく。
「コハルは可愛い。頑張ってる。みんなを守ってくれる。しかも可愛い」
「……んっ、んっんっ、う!あ、」
ハグがより強くなる。ちょっと痛い。可愛いからいいけど。
「……私だけ。君のこういう姿を知ってるのは私だけ。……ねえ、どう思う?」
もはや羽根への愛撫は、愛撫と呼べない激しさを呈していた。
コハルは大きくびくついて、小声で「せんせ、せんせっ」と壊れたように繰り返している。
そろそろ限界が近そうだ。
私は彼女を開放し、二歩ほど離れた。
コハルは膝をついた。びくびくしながら、自分の中に渦巻く感覚に悶えていた。
あまりに可愛いので写真を撮りたくなったけど、許可を得てないのでやめておいた。
三分間ぐらい、そうしていただろうか。やがてコハルは深い呼吸をしながらも、潤んだ目で私を見てきた。
「……ヘンタイ……ほんしょうを、ゴホッ、……現したわね……!」
「こういう私、嫌いかな?」
「……好きとか、嫌いとかじゃないから!わっ、わたしの、勝ちよ!」
「えっ、コハル、とんでなかった?」
「とんでないわよ!」
「……しまったな。私は男だから見た感じじゃわからないや」
「そ、そうよ!とんでないと思えば、それはとんでないの!」
ハナコがこのやり取りを聞いたら卒倒しそうだ。
「……うーん。じゃあコハル、ここは間を取ってもう一回戦しよ?」
「いや!もう私の勝ちよ!」
「ええー?自信ないのー?」
「っぐう、もう……!」
「じゃあ、新しいルールで仕切り直そう。今から三分間、コハルが大きく動じたり……とんじゃったりしたら、負けね」
「……いいわよ。今度は完勝してみせるから。や、やってやるわ……!」
「じゃあコハル。私をよーく見ててね?」
コハルははてなという感じの顔をしたが、すぐにいつもの猫目になった。
私が、自分のシャツのボタンを外し始めたから。
「!!いや、ちょっと、先生……」
「お、コハルが動じ」
「てない!……ちゃ、ちゃんと、見てるわよ……!何よこのぐらい!先生の水着で見てるから今更よ!」
「そっかそっか。じゃあこれも平気だね?」
シャツを脱いで、上半身をあらわにする。
コハルは目を剥いて、顔を真っ赤にした。
無理もない。本日の私の上半身は、噛み跡だらけだったから。
昨日、ナギサにたくさんつけられた。
「……」
「びっくりした?」
「……しっしっし、て、ないわ、よ」
声が震えてるよ。
「コハル。君も噛んでよ」
「は、はあ!?」
「おっ、動じ」
「てない!……らららららくしょうよエリートだから……!」
もはやなんのエリートなんだろうか。
「じゃあ、おいで?」
「う、や、やってやるわ!」
私はベッドに座った。
膝をぽんぽん叩くと、恐る恐る乗ってくる。
「この姿勢、なんかエッチだよね」
「しけ」
言いかけてコハルは両手で口を塞いだ。
「……せ、セーフよ。せんせえ、あ、その……」
「どこでもいいよ、見えないとこなら」
「……」
「あ、下半身がいい?」
「……か、かた、にする」
「そっか。コハルは、跡をつけるなら肩なんだね?」
コハルは鼻血を出していた。……まあ、セーフでいいか。
「コハル。鼻、鼻。ティッシュはここね」
「あ、は、はい……」
「じゃあコハル」
頭を抱きよせる。噛みやすいように、コハルの口元に肩を寄せてあげた。
「……うぅ」
コハルはされるがままだった。借りてきた猫みたいだ。
「コハルの歳でこんなことしたら、大変だね……?当分、寝るときとかに思い出しちゃうね?」
「……あ、あわわ……」
「跡をつけるときはね、痛くしちゃだめなんだ。噛むのはもちろん、キスでもね」
講義を受けるコハルは大人しい。荒い吐息が私の肩の素肌に当たる。くすぐったい。
「やさしく、やさしーく、かわいがるみたいに、何度も同じところに、するんだよ。相手のことだけ考えながら……ね」
小さな顎に手を添え、下唇をむにむにする。なんだか、コハルの肉はどこも柔らかい気がする。赤ちゃんみたいにやわっこい。
「コハル?生きてる?ふふ……さあ、噛んで?私の事だけ考えながら、して?」
「……」
「いつでもいいからねー?コハル。……きっともう、いつもの本じゃ興奮できなくなっちゃったね。君の性癖はもう元に戻らない。……あはは、私に壊されちゃったねー?ねえ。どんな気持ち?」
「う、うゆう……」
「安心してねコハル。……埋め合わせはするよ。……私の自撮り、モモトークで送ってあげるから」
「……しゅううううう」
蒸気機関みたいな煙がコハルの頭から立ち昇る。
「……コハル?」
「しゅうう……」
「スリーカウントするよ。帰ってこれたら試合続行ね」
「……」
「ワン」
「……」
「トゥー」
コハルは最後の正気を振り絞り、優しく肩を噛んできた。
「お……イイ力加減だよ、コハル。上手だね」
「……」
コハルの目が激しくぐるぐるしている。
嚙みついたまま、コハルは停止した。
どれくらいこうしていればいいのかわからないのか、それとも気絶したのか。
「……コハル。ふふ。よく覚えて。異性に抱き着きながら、君の跡をつけるときの感覚」
「……」
耳まで真っ赤だ。
「お礼、するね?」
小ぶりな赤い耳にキスをした。
コハルは噛みついたままダウンした。試合終了だ。
気絶したコハルを膝枕して、頭を撫でてあげた。
「……コハル。君は、凄い子なんだよ」
寝顔はあどけない。ダウンした原因があんなこととは信じられないぐらいに。
「……でも、お願いだから……君は、危ない事しないでね?」
この間のことだ。ハスミと一緒にスイーツを楽しんでいた時、突然「内密にお願いします」と前置きされたうえで、相談を受けた。
「委員長として、コハルを「役職候補」に推すと聞いたら、先生はどう思われますか?」
私は即答した。賛成だと。
あんなに正義を体現できる、勇気ある子はいないからね、と。
「ありがとうございます。安心しました……。最近は勉強もとてもよくやっていますから、私個人としてはほぼ、推薦を決めてはいたのです。でも、補習授業部でのコハルの様子は存じていないので、先生のご意見も伺いたいと思いまして」
「うん。……それに、ちょうどいいと思うな」
「……ちょうどいい、ですか?」
「うん。だってさ、コハルは……勇気がありすぎるから」
「……やはり、そう思われますか」
「まあね。……一年生のうちは下積みをして、二年生になったら何かの役職について、三年生になったら、まあ、もしかしたら委員長なり副委員長なり……だよね?……コハルはきっと、後ろで指示を出す方が向いてるよ」
「……たまに、怖いのです。あの子の素養は、本当に貴いものではありますが、でも……あの空が赤くなった時に、もしもミカ様がコハルのもとに駆けつけて下さらなかったらと思うと……」
「……ハスミ、いつもお疲れ様」
「はい。……ありがとうございます」
それからはまた、スイーツを楽しむ時間に戻った。
「……コハル。君みたいな子は、世の中に一定数必要なんだと思う」
「……すぅ」
「……でもやっぱり、君を見てるとひやひやするんだ。でも、私が君とこういう風に近い距離でいれば、きっと……いや、ブレないか、君は」
「……」
「でも、まあ、私を頼ってくれる確率は上がる、よね?……そうだよね」
私はコハルがいなくなるのが怖い。
生徒の誰がいなくなるのが怖い。
だから、危なっかしい子達はこうして捕らえて、私へと関心を向けさせる。
都合のいい、付かず離れずの距離から誘惑し続ける。
「好き」とは決して伝えずに、だが特別視しているということを伝え続ける。
そうして、縛る。
生徒からは見えない糸で、縛る。
……。
「……コハル」
「すー、すー……」
「お願いだから……元気でいてね」
「…………うん」
「え?」
「……すう」
なんだ寝言か。
「……それにしてもコハルは可愛いなあ」
「……くぅ」
「……ああ。私も寝るね、コハル」
膝枕したまま、身体をベッドの預けて仰向けになる。
疲れた。
寝よう。
……私はみんなを守らないといけない。
そのためにも、休めるときに休まないと。
後日、ハナコから電話がかかってきた。
「先生!大変なんです!コハルちゃんが……!」
「……コハルに何かあったの!?」
「私の露出を見ても、『死刑』と言ってくれないんです!それどころか、『あーはいはい』みたいな素っ気ない反応なんですよ!」
「………………」
「これはコハルちゃんの価値観に、何かがあったとしか思えません!先生、お心当たりは……!?」
「う、うーん」
やってしまった。いくらなんでも歪めすぎた……。
……次回はどうしたものかなあ。
わるーい先生がコハルの羽根の付け根を激しく撫でたり、肩に噛み跡つけさせたりして性癖を完全に破壊するお話 完
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