女の敵のわるーい先生シリーズ 作:ブルアカ二次創作@本拠地はpixiv
投稿者の本拠地(かなり先まで読めます、このシリーズ以外にも色々書いてます)https://www.pixiv.net/users/108799386
シャーレの地下室で、私は優しく縛られました。
後ろ手につけられた手錠は手首がもこもことしていて、跡がつきにくいようになっています。
さらにハーネスを胴体につけられ、天上から下げられた縄に吊るされていました。例え意識を失ってもぶらぶらと吊り下がることになるでしょう。これもまた、体に負担がないように考慮されているようでした。
そして先生は「仕上げ」といい、私に目隠しをつけさせました。
閉じられた視界の中、私は先生の気配を必死に感じようと、自然に神経を研ぎ澄ませていきます。地下室という、どこか不安を掻き立てるロケーションの効果もあるのかもしれません。
「これでよし。気分はどうかな?ナギサ」
「……ど、どきどき、します」
「そう。大丈夫?もう自力じゃ逃げられないけど、怖くないの?」
「……先生のことは、信じています」
「そっか、嬉しいな。そんな健気なこと言われたら、その信頼を壊してやりたくなっちゃうなあ」
顎を優しく撫でられ、くい、と軽く持ち上げられました。
「……っ」
このとき、私は少しだけ、先生を怖いと思いました。しかし同時に、スリルというかカタルシスというか、日常生活とは無縁な、自己破壊的な快感を感じてしまっていました。
全て、先生の狙い通りなのでしょう。
先生は、これまでも何人もの女性に、こんなことをしてきたのでしょう。
そんなことはわかっています。しかし、それでもこの人の沼にどっぷり嵌まってしまった私には、抜け出そうという発想すら働かないのです。セイアさんの忠告通り、私はこの人から、二度と逃げられない気がします。
「……言っておくけどね、ナギサ。私はね、今まで両手の指で数えられないぐらいの人に、こういう事を教えてあげたんだよ。……ね、どう思う?私は酷い人かな?」
「……せ、生徒にも、したんですか?」
「……ふふ、どうかな?……そうだな。よし、今日のメニューは決まった。ナギサ、ゲームをしようよ」
「ゲーム、ですか?」
「そう。今から、嘘か本当かわからない話を君にしてあげる。それで私を信じられなくなっちゃったら、ナギサの負け」
「……ひどい、です」
「そんな言葉じゃ済ませられないぐらいの人間だと思うよ、私は。……じゃあね、さっきの質問に答えるけどさ」
頬を親指で軽く、からかうように押されました。
「こういうこと、したよ。結構な人数の生徒にね」
私はなぜか、息を呑みました。
この人の話は、私の心を締め付けて締め付けて、ついには壊死させてしまいそうに思えるのに。それを、どういうわけか、期待してしまうのです。
痒くてたまらないかさぶたを、剥がしてしまいたくなる感覚と少し似ています。
「トリニティ以外の子にもやってるけど、ナギサはあんまり外に知り合いはいないよね。だから、トリニティの中だと……最初は誰だったと思う?」
「……わっ、わかり、ません」
「アズサ」
背筋が寒くなった気がしました。
あのアズサさんが?あの無垢そのもののような、しかし誰よりも強く真っ直ぐな少女が、先生の魔の手に落ちた?
「……アズサはね、完全に、目に毒なんだよね。可憐で、柔らかで壊れやすそうなのに、実際は誰より頑強でさ。そして、世の中の事をなんにも知らなくて、私のことを、まるで助けた犬みたいにずっと信頼してきて……完全に私の好みのど真ん中なんだ」
「……ふ」
「ナギサ?どうしたの、もう嫉妬してるの?まだまだこれからだよ?アズサはね、尋問に耐える訓練をしてほしいって言ってさ、あの補習授業部棟の私の部屋で、自分からロープでグルグル巻きにされたんだよ。二人きり。誰もいない。もう叫んだって誰も来ない。据え膳もいいところだよね。私が『アズサは、縛られるのが好きだったりする?』って聞くとね、『好きなわけが無い、そんなことはありえない。もしそう感じるんだったら、その時点で兵士として終わりだ』って。それを聞いて限界だったんだよ、私は。縛られるの、大好きにしてあげようって決めた」
先生は私の手錠を探っています。かちゃかちゃ、と鉄鎖の擦れる音が鳴り、それが私を少し高揚させました。
「アズサは少しだけ手強かったな。最初の十五分くらいは、ぜんぜんうんともすんとも言わなかった。性感というもの自体が、あんまり縁のないものだったのかも。アズサもずっと『先生、何してるんだ?それでは苦痛にならない』って、あの可愛らしい表情を見せてきてさ。でもね、弱点を見つけたんだよ。あの子は耳が弱くてさ。こんな風に」
「あっ、あっ……」
右の耳の中に、指を入れられました。
聴覚が先生の指にかき回され、ぞわぞわと快感がくすぶり始めました。
「あとね、こう……」
「ふわぁっ!?」
左の耳には、……キス?
いくつもいくつも、間隔を開けながら口づけられ、体熱と心拍がどんどん上がるのを感じました。
「どう?気持ちいい?これをアズサにもしたんだよ……ナギサも弱いけど、アズサはもっと弱かった。最後の方じゃもう、叫んで叫んで、子供でも産んだのか、ってぐらいのがらがら声になっちゃってさ。気絶した。気絶しても止めてあげなかった。脳は死なない限り動き続けるんだからね。寝ている間もずーっとやって、教え込んだんだ。ほら、こんな風にね」
「ふう、ん、あ、あっ、せん、せい……あっ、あ」
ここで頭を撫でられます。ふわふわして、幸せになって、ほんの少し湧いていた先生への不信が、でろでろに溶けて消えていきます。
頭を撫でられながら、脳みそをいじられているような心地でした。
「……ああ、下着濡れてきちゃったんじゃない?見ないとわからないけど……ふふ、今日はなんにもしてあげないよ、そこには。いや、当分……処女は、貰ってあげないからね?」
耳の内壁をぞりぞりとなぞられます。身体が跳ねてしまいます。あろうことか先生は、ハーネス頼りに前傾になった私の上半身を抱き寄せ、もっと耳を責めてきました。
「そん、なっ……あっ、あっ」
「だってさ。一回しちゃったら、二度と一回目をできなくなるんだよ?私はね、愛されてるのかわからなくて不安がる女の子が何より大好きなんだ。今の君みたいにね」
「わ、わた、し、は、せんせいを、しんじ……んっ」
「ふーん。……ミカにもこういうことしてるって言ったら?」
また私の身体が跳ねました。ミカさんの名前が出たからか、それともこの慣れない被虐の快感からかは、わかりません。
「なーんて、嘘だよ。ふふ、安心した?」
「…………う、あ……」
どう返事をしたらいいかわかりません。どちらが先生のお気に召す答えなのか検討もつかないのです。
「だってね……むかし、ミカみたいなタイプの子に手を出して、酷い目にあったもの。君みたいな、単純でかわいくて依存的な子が一番だ。ふふ、好きだよナギサ?」
邪悪な、最悪なことを言いながらも、耳たぶに優しい軽いキスが来ます。偽りの愛情を感じてしまい、嬉しいような、むず痒いような……そして、喜んでしまう度に、女として、どんどん先生のモノに堕ちていくような気がします。……複雑な、黒い、どろどろした、圧倒的な恍惚に震えてしまいました。
「……せん、せい……」
「あとね、ウイとかハナコとかイチカとかも駄目だね。あとツルギもだ。あの子は純情過ぎてちょっと逆に危険で……ふふ、ひどい男でしょ?私」
「……ぜん、ぶ、うそ、です」
「んー、どうかなー?今すぐアズサに電話をかけてみる?スピーカーフォンで。私に『教育』されたアズサを想像してみてよ。あの可憐な子の口から、本来絶対出ちゃいけないような淫語が出てきて、自慰をし始めて……そして気持ちよくなっちゃう様子を聞いてみたくない?」
「……いや、いや……」
「ふふ、じゃあ止めておこうか。それに、そもそも私の嘘かもよ?どっちかな?実は私はナギサだけがだーい好きなのかもよ?それとも、印象通りの最悪な男かな?ふふ。ほら、もうナギサはどのみち逃げられないんだよ。……ああ、近くで見るとやっぱり綺麗な口だ。ふふ……」
先生は私の唇の近くを、優しく撫でてきます。
たくさん、淫らな事を想像させられて、焦らされて焦らされてふわふわしていた私は、それだけで激しくカタカタと身震いしました。
「……キス、人としたことある?」
「あり、ません」
「貰ってもいい?」
「………………………………はい」
「本当に?まだ引き返せるよ?」
ああ。またです。
こうして私に選ばせて、どんどん逃げられなくしていくんです。
わかっているのに。真っ当に生きていくのなら、この誘いは断る以外ないといってもいいのに。
でも……。
「せんせい……う、……奪って、ください」
先生は歓喜したようでした。先生の、微かに乱れていた息が、この時初めて大きい息遣いへ変わりました。
「……あぁ、もう。どこでそんな言い方を覚えちゃったの?ナギサ。自分で調べたのかな?どんどん汚れていっちゃうね……ナギサっていう宝石が、私の手にべたべた触られて、指紋まみれになるんだ……ふふ、ナギサ。やっぱりこんな男からは離れなよ。今の聞いたでしょ?自分自身でもびっくりだよ、こんな気持ち悪い台詞が出るなんて。ほら、言って?君の気持ちを、素直に」
「…………わたし、を」
「……私を?」
「たべて、ください」
両耳を塞がれました。
先生の、手の平の血流の音。ざああという激しい嵐のような音。
「よーく、覚えてね?こうすればキスだけに集中できるから」
骨伝導する、声。
そして、唇を奪われました。
ロマンなんて欠片もない、ただ深くて、獰猛で野性的なキスです。
脳に色欲の大波が押し寄せてきます。
桐藤ナギサという人の人生が、がらがらと音を立てて崩れていくのが見えるようでした。
ずっと、ずっと、続きました。
鼻での呼吸はうまく行きませんが、呼吸よりも、先生の唾液の方がずっと欲しいと思えました。
深い海へ、私は沈んでいきます。温かい、夢の中のような世界。しかし、その世界の色合いは毒々しいビビットです。
背中の羽から、羽毛が抜けて、蝙蝠の翼に変わっていくような幻覚がありました。
もう天使には戻れません。
二度と。
もう二度と。
この、世界一素敵な悪魔に捕まって、契約を交わして、もう完全に所有物とされてしまったのです。
不要な記憶は全部、先生に燃やされていきます。
残ったのはただ、先生と同一化したいという欲だけ。
この日から、私は生まれ変わりました。
わるーい先生がナギちゃんを拘束して焦らしていじめて嫉妬させて好みに育てる 完
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