どこで、道を間違えたんだろうか。
大切な、何もかもが、私の手に触れた途端、呆気なく何処かに消えていってしまう。
「どうして?」「なんで?」
一生をかけて守りたいものが、手放したくないものが離れるたびに、何度、そう思っただろうか。
もっと早く、結論を導き出すべきだった。もっと早く、「自分」という名の解答用紙に、答えを書き込むべきだったのだ。
私は、制限時間を大幅に過ぎてしまっていた。
もう書き込むことのできない、時間切れの空白に向き合うだけの、無意味な時間を過ごしていたのだ。
どんなに抗ったところで、その事実は変わらない。結果は0点、ゲームオーバー。
それを現実だと、認めなければならない。
何もかも失ってしまった。何一つ、残すことなく……いや、最初から何も持っていなかったのかもしれない。守るものすらも、幻想だったのかもしれない。最初から、こうなる運命だった、これが、正解だったのかもしれない。
最後に残った大切なものが、目の前でガラスのように脆く、あっさりと壊れる様は、不思議と、悲しくはなかった。
悲しさとは、傷つき、欠けてしまった、ガラスのように鋭く砕け散った心の破片を素手で拾い集めて修復する痛みのことなのではないかと、私は思っている。
全てを失った私の心は、完全に崩れ落ちてしまったのだ。
砂のように粉々になった、修復不可能な心の残骸。それを見て、私は安心したのだ。「もう、拾い集めなくてもいいんだ」と。
だから、もういいんだ。
そう、思っていたのに。
綺麗さっぱり消えたと思っていた私の心は、黒いもので補完されてしまった。どす黒く、スライムのように粘っこいそれは、どんな攻撃を受けようとも、全てを吸収し、崩れなかった。
私は思った。これに全てを委ねれば、何もかも終わらせられるのではないか。面白いことに、私はそれに縋り付きたいと思ってしまったのだ。
目を閉じると、体が楽になっていく。私を、抱擁して、受け入れてくれる。それが何であろうと、私はそれを受け入れるだろう。
もう何も、恐れなくていい。
もう誰にも止められない。止めたいとも思わないし、止められる訳もない。どんなものだって、壊して見せる。それが、私の選んだ道なのだ。
でも、一つだけ、心残りがある。もし、やり直せるのなら、全て、ゲームのようにリセットできるならば。
私は、かつての仲間を殺すことも厭わないだろう。
リセットするならば、どこがいいだろうか。
ああ、あの日だ。
あの日から、全てが始まったんだ。