アサルトリリィTarnished ELDEN   作:イロマス

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共に二次創作を欲するものよ。
お主のコメント、きっと………我を高めようぞ


この先、尋問が待ってるぞ

 

 ヒュージ、それは地球にとって、世界にとっての敵。突如として現れたソレはまるで蝗害のように爆発的に数を増やし、人類を襲った。

 しかし人類も無抵抗のままな訳じゃなく、人体に有害な物が生まれた時に抗体を作り出すように、人類はリリィと呼ばれるヒュージに対抗できる存在が現れた。

 リリィはCHARMを使用し、現状ヒュージを倒せる唯一の存在。しかしリリィとは少女しかなれぬもの。学業もある彼女達の為に、政府はガーデンを造った。

 ここ、百合ヶ丘女学院とはそういう所であった。

 して、そんな百合ヶ丘の理事長室には、3人の男女が向かいあって座っていた。

 一人は着物を着た老人は百合ヶ丘女学院理事長代行、高松咬月。その眼鏡の向こうからは鋭い視線が対面の存在へと向けられている。

 対するのは褪せ人だ。咬月からの視線などお構いなしに周りを見渡している。

 

 

「…………」

「……………」

 

 

 今思い返せば、狭間の地では拷問を受けたことが無かった。厳密には拷問に行われる手段をその身に受けたことはあるが、"拷問"そのものは体験した事が無い。

 

 

「そろそろ何か話してもらえると助かるのだが?」

「申し訳ない。連れてきたのは我々だと言うのに、いざ目の前にすれば何を話せばいいのか分からなんだ」

「………先程から私の体につけられたこれは何だ?痛みとかは感じないが正直鬱陶しい」

「それは嘘発見器と言って、万が一貴方が嘘をついた際に直ぐにそれを察知する機械です」

「説明感謝する。貴公、名は?」

「出江史房です」

「イズエシノブか。良い名だな」

「ありがとうございます」

 

 

 周りを見ても、どれもこれも狭間の地では無いものばかり。文明レベルは敵いそうもない。

 狭間の地では到底作れないその全てに、褪せ人は強い探究心をくすぐられながら、何とか抗う。

 

 

「そろそろ質問しても良いかな」

「あぁ私に話せることなら」

「────君は何者だ」

「褪せ人、狭間の地でエルデの王をしていた。今は原因不明のトラブルでこの世界に来ている」

「………それは名前か?」

「褪せ人とは過去、狭間の地の女王マリカによって祝福を奪われた者、その末裔を指す。生憎、私個人の名はとうの昔に捨てた。もはや覚えてすらいない」

 

 

 さも当然に言い放つその姿に、手元の機械は嘘を検知しない。ならば褪せ人の話す事全て本当で、狭間の地と呼ばれる異世界から来た来訪者だと言うことになる。

 咬月の脳裏には先刻の戦闘映像が思い返される。現存するCHARMやリリィでは到底届き得ぬ力の数々。

 ギガント級、アルトラ級のヒュージだと言われた方がまだ納得が行く。

 

 

「褪せ人、貴方はこの世界に来て何をするつもりだ」

 

 

 見極めなければなるまい、常軌を逸した力を持つ褪せ人の目的を。もし彼がリリィの障害となり得る存在ならば、相応の処置をしなくてはならない。

 一層鋭さを増した咬月の雰囲気に慄く様子も見せない褪せ人は暫しの思考の末、悠然と言い放つ。

 

 

「何も、ただ飽きぬ闘争がしたいだけだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 一体この世界はどれだけ己の心を湧き立たせれば気が済むのだろう。触れずとも開く扉、馬よりも速く走る箱、全てが褪せ人の常識を越える物ばかりである。

 

 

「ふう、この紅茶といった物は美味いな。これちなみに何か体が硬くなったり力が強くなったり、そんな効果は無いのか?」

「えっと………あはは」

「ありません。紅茶は香りを楽しむものです」

「うむぅ…………そうなのか、だかまあ美味いからいいか。おかわりを貰えたりしないだろうか?」

 

 

 日の光を満遍なく取り込むガラスの壁。手の中で揺れる紅に目を向けながら器用に兜の隙間から紅茶を飲む。

 一滴も溢さず、かつ鎧も汚さぬその器用さに対面に座る梨璃と夢結は内心舌を巻く。

 咬月との応答が終わるなり、史房から百合ヶ丘の案内をされていたのだが、途中で史房に急用ができ偶然近くを通りかかった梨璃に褪せ人とファーストコンタクトをとった人物として案内の続きをするよう頼まれ、今は休憩がてら百合ヶ丘の食堂で褪せ人は紅茶を嗜んでいた。

 もう一人の夢結は食堂で休憩していた褪せ人達の姿を発見するなり様子を見にきたらしい。

 

 

「貴公らリリィだったか………本当に年端もいかぬ少女だけなのだな」

 

 

 施設案内の時に思った事なのだが、すれ違う生徒ら全てが少女であり男子は一人も居なかった。用務員としてなら男性はいるが、やはり生徒という括りではリリィとは少女だけなのだと思わされる。

 時折すれ違いざまにご機嫌ようと話すなり梨璃も同じように返していた。ここではそういう作法なのだろうか。

 

 

「あら!夢結様と梨璃さんではありませんか、そちらの方は………」

「貴公は先の戦いにいた………ふむ、ご機嫌よう………だったか?」

「ご機嫌よう、すっかり馴染んでいらっしゃるようで」

「ああ、梨璃嬢が親切に案内してくれたのでな。感謝している」

「今日は授業も午前中で終わりましたし、ちょうど暇でしたので。ですが梨璃さんに会えたならもはや暇じゃありませんわ!」

「…………夢結嬢」

「はい、どうしましたか」

「彼女はいつも…………ああいう風なのか?いや別にそれをどうと言うわけではないが」

「楓さんは、梨璃が絡むと少し様子がおかしくなるんです」

「そうか………で、夢結嬢よ」

 

 

 梨璃にべったりする楓を横目に席を立った褪せ人は夢結の隣にしゃがみ、その手を取る。

 突然の行動に3人は動きを止める。

 

 

「あの、いったい何を?」

「やはり、右腕を怪我しているな。先程から少し重心が左寄りだった、怪我した右腕に負担が掛からないようにしていた訳だ。しばし待て………『回復』」

 

 

 何も持たぬ褪せ人の手に、まるで周りの空気が集まりその形を形成するように一つの触媒がその手に握られる。

 目を疑う光景に反応出来ずにいると、褪せ人は小さく何かを呟く。すると、褪せ人を中心に光が溢れ、それが夢結の身体を優しく包む。

 しばらくして光が収まると、褪せ人は夢由に腕を動かすよう言う。

 

 

「どうだ?動くだろう」

「痛くない、あの、これは一体」

「まあ、私の特技の一つさ。だがな、夢結嬢よ。あまり私に堅苦しく接するな()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、こうも堅苦しくては貴公も息がしづらいだろう」

「そう………ね。分かったわ、なら貴方も夢結嬢だなんて呼び方はやめてちょうだい」

「了解した、白井」

「夢結でいいわ」

「あ!じゃあ私も梨璃って呼んでください!」

「………今思いましたけど、貴方の名前知りませんわよね。梨璃さんは知ってらして?」

「あ………!」

 

 

 面倒な事になった。褪せ人は兜の内で苦渋に顔を顰める。名前、それは単純かつ困難な問題。褪せ人にとっては名前などとうに捨てた物、今更思い出せるものではなく、今は文字通り褪せ人として生きているに過ぎない。

 

 

「名前………か。元いた地では褪せ人と呼ばれていた」

「褪せ人?それって名前なの?」

「さあな。ただ碌でもない意味が込められている事は分かる。黄金樹の祝福を失い、瞳が褪せた者達。その者達の総称として褪せ人と呼ばれていた。私もまたその一人だと言う訳だ…………褪せ人、それ以上でもそれ以下でもない。好きに呼んでくれ」

 

 

 どこか含みを持った言い方に、三人は褪せ人の過去を少なからず幻視した。

 先程とは違う重い空気に耐えかねた楓は、声を上げた。

 

 

「皆さん休憩も済んだ事ですし、まだ案内の済んでいない所もある事だと思いますから私も参加させていただきますわ!ささ、梨璃さん行きますわよ!」

 

 

 驚く梨璃の事などお構いなしにその手を掴んで楓は颯爽と走ってゆく。

 

 

「………百合ヶ丘とはお嬢様学校と見ていたのだが、因みに楓は何か高貴な生まれだったりするのか?」

「言ったでしょう、楓さんは梨璃が絡むと様子がおかしくなるって」

「よく分かった。さて、私らも行こうか…………遅れるなよ?」

「え?」

 

 なんともまあ、見事なまでに綺麗なフォームで走り出した褪せ人に夢結はしばらく惚けたままだった。

 

「お姉さま!一緒に行きましょう!」

「梨璃?楓さんと一緒に行った筈じゃ」

「楓ちゃんは褪せ人さんと先に行きました。はい、行きましょう!お姉さま!」

「………ええ、梨璃」

 

 梨璃から差し出された手を取りながら、二人は褪せ人の向かった先は歩いて行った。

 

 




因みに褪せ人は全エンディング達成済みかつDLCをクリアしたレベルカンストの褪せ人ちゃんです。
アサルトリリィの方は結梨ちゃん登場より少し前です。
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