Hard run! 万丈! (波乱万丈)   作:海~KAI~

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第2話 一八開始

はぁ…はぁ…

 

今、俺、櫻井拓海は廊下を大爆走している。

初日から遅刻とか最悪だ…

急がねえと!

目的の8組はあそこだ…あと少し…!

 

「遅れまし…うわっ!」

「きゃあっ!」

 

たまたま空いていた8組のドアにダッシュで駆け込もうとした。

しかし、ドアのところで飛び出してきた人影にぶつかってしまう。

 

「いててて…すまん、大丈夫か…?」

「大丈夫です…こちらこそごめんなさ…って拓海?!」

「え?なんで俺のことを…ってお前我那覇か?」

 

そこには少し肌が黒目の黒髪ストレートの美少女がいた。

すらっとした足。ちょっとふっくらした胸とお尻に、ものすごいくびれ。

 

彼女は『我那覇 由梨』。

俺が沖縄に3年間住んでいた時の一番仲が良かった友達だ。

彼女は水泳をやっており、俺らが中2の頃にはJrオリンピックで優勝するほどの実力者であり、ニュースに取り上げられた事のあるほどの人である。

だが彼女は沖縄にすんでいるはず…

 

「なんで我那覇がここにいるんだ?」

「あぁ、東京の有名スクールの方がわざわざ沖縄まで来てくださって、スカウトしに来てくれたのよ。最初は沖縄に残るつもりだったんだけど、食費や宿泊費とかの費用は全部だしてくれるって言うから来ちゃったの。で、そこからちかかったこの学校を選んだってわけ」

「はぁ…金で釣られたってわけか。さすが我那覇。変わってないな」

「むむっ、失礼な」

「…で?今は何の時間なんだ?」

「たったさっき入学式が終わったばっかよ。ちょっと休み時間で、もう少ししたら自己紹介が始まるわ。」

「お、マジか。それはちょうど良かった。」

 

と言って我那覇から離れて自分の席を探す。

俺の席は…あったあった。

ちょうど真ん中か…。

 

席を見つけ、近づく。

そしてイスに手を伸ばし、腰をかけようとしたところで、声をかけられる。

 

声のした方向を向くと、茶髪でストレートの少し長めの髪をした、いかにも美少年といったような容姿の生徒が座っていた。

 

「君が櫻井くん、だよね?」

「ああ、そうだが。それよりなんで俺の名前を?」

「さっき先生が「入学式を無断欠席するとは櫻井は何様のつもりだ!」ってカンカンに怒ってたからね。このクラスでいなかったの君だけだったから。…あ、ごめん、紹介が遅れたね。僕の名前は長谷川直紀。君の席の隣だよ。よろしく。」

「あぁ、よろしく。…ところでいきなりで申し訳ないんだが、呼び捨てでいいか?こういう堅苦しいのは少し苦手で」

「うん。構わないよ。」

「じゃあよろしく。直紀。」

「こちらこそ。拓海。」

「はいはーい、みんな、席についてください…って櫻井!アンタなに入学式無断欠席してんのよ!」

 

直紀との自己紹介が終わった後に少し甲高いような声が響く。

これは明らかに女の声だろう。

しかし、見渡しても先生のような人は見当たらない。

どこだ…どこにいるんだ。

 

「ここよ!アンタの目の前よ!」

 

声のした方向を向くと………誰もいない。

 

「こっちよ!下よバカ!」

 

下を向くと、身長は140cmほどの少女が立っていた。

明らかに中学生といった感じの童顔で、さらさらした髪をポニーテールでまとめていた。

 

「………直紀?ここって中高一貫校だったっけ?」

「その人が僕らの担任、畠山優衣先生だよ。」

「そうよ!アンタの担任よ!よくも中学生扱いしてくれたわね!?後で職員室に呼び出しよ!遅刻のことも含めて!」

「えー……最近の中学生はませてるなぁ…」

「中学生じゃないって言ってるでしょ!とりあえず、後で職員室来なさいよ!」

 

…いきなり教師に目をつけられてしまった。

遅刻した上に教師に目をつけられるなんて…高校生活大変なことになりそうだ。

 

「…はい。まだ1人足りませんが、櫻井も来たようですし、今から自己紹介を始めたいと思います。皆さんは名前、中学校、趣味、一言をそれぞれ言ってください。それでは、一番の方から。」

 

といって、出席番号が一番早い女子が立ち上がる。

 

「私の名前は有賀咲です。来前中学出身で、趣味はカメラで綺麗な写真をとることで______」

 

さて、俺は遅刻した分、皆との関わりが少し少ない。

そのため、この自己紹介で関わりやすい奴という印象を植え付ける必要がある。

陰キャラの集団と一緒に過ごしたくないし。

でもそうなると少しウケを狙いに行くべきか。でも、そうなるとウケなかった時の反動がやばい。

ここは無難に普通で行くべきなのか…

 

「私の名前は我那覇由梨です。」

 

お、こんどは我那覇か。

さすが我那覇だな。クラスのみんなの目が我那覇に釘付けになってる。

 

「那覇市立第三中卒業で、高1になると同時にここに来ました。趣味は水泳で、さらに________」

 

少し間を開けると我那覇は満面の笑みをこっちに向け口を開いた。

すっごい嫌な予感。

 

「_____櫻井拓海のガールフレンドです」

 

予感的中。

我那覇の爆弾発言炸裂。

1年8組の全生徒の目線がこっちを向いた。

 

「ちょっとまて我那覇!いつそんな関係になったんだ!ついさっき3年ぶりにあったばっかだろうが!」

「それではよろしくお願いします」

「終わらせる前に訂正しろぉ!」

 

我那覇はこういう公の場では口調を変え、真面目風な喋り方になるため、嘘をついているとは思えないだろう。

これで俺が我那覇と付き合っているっていう噂が広がってしまう…!

 

その後も順調に自己紹介は続き、ついに俺の席の前のやつの番になった。

 

「甲野祐樹、沙戸川高校出身です。趣味は_______」

 

あぁ、やべ…ちょっと緊張してきたな…

こんな自己紹介なんて久しぶりだし焦る…

 

「____です。よろしくお願す。」

 

あ。前のやつが終わった。

仕方ない。

俺は席を立ち上がり、教卓へ向かう。

その途中、皆の冷たい目線がとても気になった。

 

「えっと…櫻井拓海。栄秀中卒業っす。サッカー部で10番つけてました。」

 

栄秀中、サッカー部

この二つの単語を出せば必ずどよめきが起きる。

なぜなら栄秀中サッカー部は全国大会常連校だからだ。

俺らの台は関東大会で敗退してしまったが、それまで7年連続という実績を叩き出していた。

その栄秀中でエースナンバーの背番号10をつけていた生徒がこの学校にいるとは思わないだろうし、びっくりするのも無理はない。

 

「趣味はサッカー観戦。よろしく。」

 

と言って、教卓から離れて自分の席に戻ろうとする。

さっき俺に向けられていた冷たい目線は、尊敬の目へと変わっているような気がした。

……って、我那覇のことを訂正するの忘れてた!

 

そしてまたまた順調に自己紹介が進んで行く。

そして直紀の番になる。

直紀が立ち上がり、教卓へ歩いていく。女子の目線が直紀に釘付けになっているのがわかる。

 

「僕の名前は長谷川直紀です。管夏中出身です。趣味は_______」

 

ふと女子の方をみる。

すげえ…女子全員の目がハートになってる…

そうして女子全員を眺めると、ふととある女子と目が合う。

我那覇由梨だ。

我那覇は目があった後、顔を赤らめながら慌てて目をそらした。

…あいつなにやってんだ?

 

そんなこんなで時は過ぎ。

HRの時間だ。

 

「さあみんな、HR始めるわよ!」

畠山優衣とかいうロリ教師がみんなを呼びかけて席に座らせる。

あのロリ教師身長小さいくせに態度はでけえな…

 

「櫻井。なんか悪口を言われた気がするんだけど。」

「滅相もございません。」

 

ものすごい感だ。

 

「とりあえず連絡よ。明日から授業が始まるから教科書に名前を記入するのを忘れずに。それから入学式で言ったとおり明後日は親睦の意を込めて球技大会を行います。種目は男女ともサッカーです。」

 

お、サッカーがあるのか。

これは楽しみだ。

サッカーはだいたい半年くらいぶりだし。

 

「以上。それではこれでHRを終わりにします。起立!」

 

といって礼をし、ぞろぞろと帰って行く。それと同時に、香澄が教室に入ってきた。

 

「たっくーん、一緒に帰ろ!」

 

…またクラスの男子の冷たい目線がこっちに向いた。最悪だ…。

そんな俺の状態を見透かした直紀が冷やかしに来る。

こっちに歩いてくる直紀がやたらとニヤニヤしている。

 

「拓海もモテモテだね。」

「なに言ってんだ?あいつが俺のこと好きなわけがないだろ」

「…へぇ?拓海って鈍いね…」

 

といって直紀はニヤニヤしたまま自分の鞄をもって手を振りながら教室を出て行く。

なんだ?

あいつは何が言いたかったんだ?

 

「ほら、たっくん、一緒に帰ろ?」

「あ、ああ。そうだな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

家に着き、俺は制服から私服に着替えて自分の部屋に篭りゲームを始めた。

すると香澄が当然のように窓から俺の部屋に入ってきて俺のベッドにダイブする。

小さい頃からよく見慣れている光景である。

 

「…なあ香澄…。一応高校生なんだからさ、男の部屋に躊躇なく入るのはやめた方がいいと思うぞ…?」

「いいもーん。たっくんの部屋だし。」

「…そこらへん気にしないあたりお前やっぱり小学生だな」

「むっ!小学生っていう方が小学生なんだぞ!」

「残念ながら俺は高校生だ」

「なんだいなんだい。包茎のくせに。」

「俺は包茎じゃねえよ!」

「うん。知ってる。」

「知ってるんなら言うな!…ってちょっと待った。なんでお前がそのことをしってるんだ?」

「………あ。」

「お前、まさか!?」

「お腹空いたね!ご飯作ってくるね!」

「おいちょっと待て!」

 

といって香澄は急いで俺の家のキッチンに行く。

 

俺の家はお母さん、お父さん、そしてお母さんが違う血の繋がった姉さんがいる。

うちのお父さんは仕事に一生懸命な男だ。

そのため、子供の世話をする時間があまりなく、前の奥さんとはそれが原因で離婚してしまったらしい。

そして、その2人の子供が姉さんである。

そして今、父さんと母さんはオーストラリアにいる。

お父さんの都合でオーストラリアに転勤になり、お母さんも一緒について行った。

しまいには、「私達オーストラリアでイチャイチャしてくるから、後のことはよろしくね!」といって出て行った。

全く…40歳にもなってイチャイチャして…

 

そして姉さんはもう社会人だ。

姉さんは今、仕事の都合で外国にいる。

っていうわけで、俺は去年から家庭用の一軒家に1人暮らしをしている状態になっている。

自分で料理は作れるのだが、なぜか香澄が「私が作る」といって聞かない。

 

しかも香澄はスプーンやフォークを1つしか出さず、必ずあーんをしようとする。

いくら幼馴染とはいえ、さすがにここまでやる幼馴染はいないだろう。

と思い毎回拒絶していたのだが、香澄は1度決めたことは曲げないタイプであり、強引に拒否した次の日には口を聞いてくれない日もあったりする。

それは流石に辛いので、恥ずかしさを我慢して、あーんをしてもらってるというわけだ。

 

「よいしょ…と」

 

テレビには、サッカーゲームが移されていて、赤いチームの選手がゴールを決めるシーンが映し出されている。

そのゲームの電源をぶっちぎってベッドに飛び込む。

 

 

香澄のご飯は後30分くらいかかるだろうし、その間少し寝ていようかな。

 

 

 

 

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