まあ何とかなるでしょう
やりたいことはできてるから満足か
「知らない天井だ」
ここは、どこだ?私は霧雨魔理沙?
確か地平線にうっすら見えた町...というか遺跡に向かって歩いてたのは覚えてる。あのただでさえだだっ広い上に歩きにくい砂漠を文句も言わずに2時間も歩き続けたのは我ながら褒めてやりたい。しかし、今の知らないベッドの上に寝かされているこの状況とどうやってもつながらない。それに箒も荷物も辺りには見当たらない。
立ち上がって窓の外を見てみたかぎりあまり遠く離れた訳ではなさそうではあるが。
窓の外には相変わらず砂にまみれた建物と鉄屑があたりに散らばる光景が広がっていた。
ふと、今まで寝ていた布団に濡れタオルが落ちていることに気がつく。
あー、思い出してきた。確か最初に外に出たときめちゃくちゃな暑さで早々に帽子を脱いだんだ。そしたら今度は直接日差しが照るもんだから暑いのなんの、結局また被って...。それでもほとんど改善しなかったのだからやってられない。
だとしたらそれで倒れたか?見てたやつが助けてくれたのか...。朦朧としていて余り覚えていないが途中から後ろを歩いてたやつがいたはずだ。
もし助けられなかったらと想像すると寒気がする。そうだったなら今ごろ私はミイラにでもなっていただろう。最初に足音を聞いたときはついにハゲワシでも来たかと思っていたが感謝しておこう。
さて、だ
「どうしたもんかな…」
今、私は絶賛途方にくれている。あまりにも予定外だ。さ迷い歩いていた時も宛などなかったが落ち着けるとなると逆に落ち着かない。聞いていないぞ、というのが正直な感想だ。
気が滅入る。
だがここでいつまでも外を眺めているわけにもいかないだろう。どうにもならない、という訳ではないとは思いたい。
改めて周囲を見渡す。
白く清潔そうな部屋!良くわからない道具類!ビンが入れられた棚!ベッド!窓!
役立ちそうなものは何もない。私の荷物も何処にもない。
さてだ。さて、さてさてさて。
どげんしたもんかなこれ。頭おかしくなりそう...。
荷物がない以上連絡もとれない状況、それにおいても現状の把握もままならないでは動くのは無謀だ。おとなしく助けられた相手を待つべきだろう。
ため息をつきながらぐったりとベッドに腰かけた。
異変解決のためとはいえ外に出る、なんてのは引き受けるべきではなかったか...?そんなことを洩らそうもんなら霊夢に嗤われるだろうが。
この場所がどこかは分からないがここがどういう部屋かは見当がつく。この消毒の匂いは竹林の医者のとこで何度もかいだことがある。ならばあの棚にあるのは薬か。いくらか拝借した方がいいだろうか。自前のものはどこにあるのか分かないし。
薬棚の一番手前の物を手にとってみる。カロナールと聞き覚えのない言葉の書かれたそれは茶色のガラスビンに入っていた。...知らない薬を持っててもあまり意味がないな…。
「何してるの?」
「どぉうわ!?!!」
「「「「あ」」」」
珍妙な声のあとに固く甲高いビンの割れる音が続いた。
─────────────────────────
アヤネと名乗った黒髪ショートでメガネをかけた少女に切った指を手当てされながら質問...尋問を受けていた。
今、座る私の前でショットガン片手に仁王立ちしてる桃髪異虹彩のがホシノでなぜかすごい同情的な視線を送ってきてる犬耳のがシロコ。ちょっとどうやって運んでるのかわからないくらいでかい鉄の塊の銃を足元において微笑んでいるのがノノミ。正反対に不信感丸出しでこちらを見下ろしている猫耳のがセリカ。
正直生きた心地がしない。全員武器持ち。アヤネの武器が見当たらないのは支援要員だからか?手に持っているのがホシノだけなのが救いだ。救いか?
「うへ~、まあとりあえずこっちの自己紹介は終わったしさ、君の名前とどこの自治区から来たのか聞いてもいい?」
「じちく...自治区?あー、私は霧雨魔理沙だ」
ずいぶん馴染みの無い言葉が出てきたな。もしかしてコイツは幻想郷のことを言っているのか?
「自治区っていうのは幻想郷のことを言っているか?」
「...どこ?」
「ん、近くにそんな名前の場所有ったかな…」
「さあ...どうでしょう“郷”と言うからにはそれなりの規模だとは思うのですが...心当たりはありませんね~」
「私も知らないわ。アヤネちゃんは知ってる?」
「いえ、私も......あ、でもレッドウィンターに似たような名前の場所が有ると聞いたことがあるような…」
「そのレッドウィンターはここから近いか?」
「え、いいえ...そんなことはないですが…?」
違うらしい。そう簡単に知られていても困るが。
「もしかして自分がどこから来たのかわからないのですか…?」
「あぁいや、そう言う訳じゃない。すまんな」
「そうですか...いえ、でしたら大丈夫です」
...調子が狂うな…。私が生きてきた中で今が一番心配されてるんじゃないか?
幻想郷での私は霊夢に喧嘩を売りに行くついでに博麗神社で茶菓子をむさぼったり
紅魔館で魔道書を
竹林のウサギ相手に弾幕の実験しに行ったり
単純に心配される立場じゃないだけだなこれ。
そもそも居心地が悪いのでやめて欲しい。
そしてなぜだかシロコの耳が垂れていた。
「なあ、こっちも聞きたいことがいくらか有るんだが聞いてもいいか?」
「うへ~?別におじさんは尋問してるわけじゃないんだからさ。聞きたいことがあったら許可なんかとらないでよ」
そう言ってホシノは表情をとろけさせる。
その妙な一人称にはつっこまない。絶対にやぶ蛇だ。この状況でそれにわざわざつっこむやつがいるとすれば地獄の妖精か空気の読めない庭師くらいだろう。
そこにはつっこまない。つっこまないがひとつ言わせて欲しい。
「武器持ったままそれ言ってもなんの説得力もないだろ」
その状態で尋問じゃないは無理がある。
私はてっきりその返答は鬼のような笑い声か、屁理屈か、皮肉が帰ってくると思っていた。
「んぇ?」「ん?」「はい?」「え?」「えっと?」
だから何言ってるのか分からない。みたいな反応は正直
「...あ?」
イラついた。
「...あー、もしかしてマリサちゃんってさ銃は身近じゃない?」
「...まあ...そうだな」
ホシノが何かを確認する。今ので何かを確信したらしい。
...ミスったか?だがさっきの言葉を取り返すわけにもいかず。そう答えるしかない。
「ん、なるほど。それなら納得」
「ああ~!そう言うことでしたか~」
「え?え?何?どういうかことなの?」
「つまり、マリサさんは先生と同じ外の人だったんですね...」
セリカ以外は合点がいったと言うような表情だがこっちとしては何がなんだかわからない。どういうこった?先生って誰だよ。
だがそんなことよりも聞き逃せないことがある。
「なあ、何言ってるんだ?外はこっち側のはずだろ?」
「「「「「うん?」」」」」
「だいたい、いつから天使が天から地に降りて...
そう
彼女らの頭の上には煌々と仄かに光る天使の輪が浮いていた。
部屋に沈黙が落ちる。やっぱりな...天使/天女とは本来、傲慢で地上のものを見下しているため地上にはめったに降りて来ない。あの不良天使と悪名高い
つまり、コイツらがここにいる時点で下界の人間を滅ぼしたか、その子孫かだ。なぜその必要があったかや。外に天女がいたのかなど疑問はあるがとりあえず後で考えればいいだろう。何よりのその証拠がその頭の上に有る以上言い訳はできないはずだ。
そこまで考えて反応を待つ。
最初に沈黙を破ったのはシロコだった。
「さっきから何言ってるの?」
シロコの顔にはありありと困惑の感情が浮かんでいた。
霧雨マリサ、ここで電流が走る。
あれ?思ってた反応と違うぞ、と。
「うへ~。マリサちゃんおじさんをそんなに褒めても何も出てこないよ~?」
「ん?へ?あ、うん?」
「フフフ☆それにしても天使だなんて...マリサちゃんはお世辞が上手いですね☆」
この時点で霧雨マリサの脳はパンク寸前だった。あまりにも何もかもうまくいかない状況に思考回路がショートしたのだ。
有り体に言って訳が分からなくなった。
まともに働かなくなった頭で無意識的にアヤネに視線を向けた。
マリサはこの短時間で怪我の処置のこともあり苦労人気質をアヤネから感じ取っていた。そんなアヤネならば理解出来る答えを出してくれることを期待して。
「えっと...あはは…...天使なんて私には似合いませんよ…...?」
アヤネは照れくさそうに前髪をいじり頬を朱に染めていた。
霧雨マリサの目は死んだ。
お ま え も か、と。
お前もそっち側なのか、と。期待していただけにその落胆は凄まじかった。
必然的に残った一人にすがるような目を向ける。
「...?何?結局何が言いたいの?」
セリカは何も理解していなかった。
これは正直仕方がない。納得しかけたことを否定され。追加で意味のわからない情報を流し込まれた結果。マリサの「キヴォトスが外のはずだ」と言う発言のところで思考が止まっていた。
一番普通の反応はシロコの困惑だったりする。
マリサにはセリカの無理解がありがたかった。すっとんきょうな方向にすっ飛んでいった3人よりも0からの方がまだ言い訳...弁明する労力が少ない。何より理解ができる。
霧雨マリサは極力頭を使いたくなかった。
「...ほら、おまえの頭の上にリングがあるだろ?」
「...ヘイローのこと?」
「そう
「...??それがなんの証拠になるわけ?」
「......???」
自分でヘイローって言ってなかったか??
こうして霧雨マリサの思考が停止した。
それと同時に吹っ切れた。
もういいや全部話しちまえ。
そう考えると後が楽だった。守秘義務なんぞ知ったことか、と。
それはもう盛大に考えることをやめていた。
────────────────────────
「え~とつまり?その幻想郷って場所でかなり前から銃火器が外、つまりキヴォトスから流れてきてて、それを止めるために調査しに来たと」
「ああ、あってるぜ」
セリカの目がこちらを睨む。
「そこまではいいわ。だ け ど」
一度目をつぶりそして開けた瞬間まるでセリカの背後で青い炎が立ち上るかのように見えた。
「今まで普通の魔法使いしてましたって馬鹿にしてるの!?!?第一普通ってなによ!?魔法使いに普通も何もないじゃない!!騙すなら騙すでましなもの出してくれる!?」
その声を聞きなが私は全部話せばなんとかなると馬鹿なことを考えた数分前の私を殴り付けたくなっていた。
さっきまでのセリカは不信感は消え去っていたのに今はもう一番最初の態度に戻ってしまっていた。しかもシロコの同情的な視線つきでだ。こいつ...最初から可愛そうなやつだとでも思ってやがったな?
アヤネがそこはさほど重要ではないからとなだめているのを聞き流しながら緑茶をすする。
ああ、美味いな。
「ちょっと!聞いてるの?」
「あ聞いてる聞いてる。そもそも信用する必要もないだろ。ふーんそうなんだ、ですませりゃ良い」
アビドスからもらった地図に目を通しながらそう答える。
「...え!?それでいいの?」
「仕方ないだろ?信じられないっていうなら。...なあシロコ、銀行ってなんだ?」
「...お金の貸し借りとか貯金とかするための場所。」
「ふーん、酒屋、質屋みたいなもんか」
「それじゃこれは回収するよ~」
「あ!ちょっ!?」
地理資料に混じっていた銀行襲撃計画書と書かれた資料をしまおうとしたら。ホシノにかっさらわれた。
後ろに立っていたことを全く気付かせない技術はどこで身に付けるんだ?
手元の紙を見ながら呆れたようにため息をつき半目になったホシノはそのままシロコに目を向けた。
「ん…やっぱりてごわい」
「うへ、油断も隙もない...いつの間にこんなもの用意してたのさ」
「まるでいつも企んでるみたいな言い方は心外」
「それはいいけどさ、なんでこっちに寄越したんだよ」
「マリサちゃんもマリサちゃんで見て見ぬふりしようとしてたでしょ?どうするつもりだったのそれ」
おっとこっちに矛先が向いた。
「まあ?いつか役立つかもしれないし?」
「役立てないでください...!?だいたいそれが役立った時には矯正局行きですからね!?」
「ん、マリサは思った通り素質がある」
「
「ん…」
墓穴を掘ったシロコがホシノとアヤネに詰められているうちに話題を変えよう。いつこっちに話題が戻って来てもおかしくない。
「なあ、アヤネその矯正局ってのはどんな場所なんだ?」
「え?あ、えっとそうですね───」
「刑務所ってよりかは更正施設みたいだな」
矯正局のついでにアヤネにキヴォトスの治安維持組織について教わった所によるとバルキューレと言う警察組織は有るが自治区で起きた事件は基本的にその自治区の委員会が対処するらしい。
私有地での私刑が合法的に認められているようなものだろうか?
「たしかにそうかもしれませんね。刑務所と違うのはテロなどの一部の手に負えない生徒を収監しているところでしょうか」
「最近だと7囚人といった人たちが脱獄したのが有名ですね~」
「それは...大丈夫なのか?テロ犯なんだろう?」
「別にテロ犯だけじゃないけど、大丈夫なんじゃない?爆破なんてここじゃ珍しくもないし」
「ん、爆破と銃撃戦はキヴォトスの華」
「イカれてるのか?」
いつの間に外は世紀末も生ぬるい地獄に変わったんだ?
「...なあ、薄々思ってたんだけどさ。もしかしてここは外じゃないんじゃないか?」
「だからそう言ってるじゃない!話聞いてた!?」
「まあまあ、セリカちゃん落ち着いて」
「マリサさんが何を指して外と言っているのか良く分かりませんが...私たちが外と呼んでいる場所はキヴォトスの外のことですよ?」
「まじか…」
異常事態が発生した。どちらかと言うと発生していることを確信した、のほうが正しいか。どうやら目的地から全く違う場所についてしまったらしい。
もしくはこれが今回の異変の原因か。
「えっと、なんと言いますか...気付くの遅くないですか?もしかしてそんなに似てるとか?」
「うへへ、確かに砂漠に囲まれたビルみたいな景色はアビドス以外には珍しいだろうしね~」
「言ってくれるなノノミ。その言葉は私に効く」
「それは、まあマリサさんに言ってますし...」
違うんだ、私だっておかしいなとは思ってたんだ。でも
まあ、結界から出た瞬間砂漠だったのは予想外だったが。
それでも納得できる範囲だったからしょうがない。
「ん、マリサは本当にどこから来たの?」
「あん?幻想郷だって言わなかったか?」
「そうじゃなくて...ここのことなにも知らなかったでしょ?本当に地続きなのかなって」
「...???」
「あ!シロコ先輩のみたいな話かもってこと!?」
「...確かにそれなら色々納得できるか。でもあの時みたいにアトラハシースはないけど」
「もしかしたら他に方法があるのかもしれませんよ?アトラハシースもひとつの方法なだけかもですし☆」
...????なんの話をしているのかさっぱり分からない。
「なあシロコになにかあったのか?」
「あはは…つまりですね、マリサさんは別の世界から来たんじゃないかと言う話です。突飛な話かも知れませんけど似たようなことが前にあったので...。何か心当たりはあったりしませんか?」
心当たりも何も幻想郷はおもいっきり異界だが…。なら別におかしくはないのか?
「なるほどここは別世界だったのか」
「ええ...?」
「それでいいの?あなたは…」
「まあ、考え方が柔軟なのはいいことだけど」
「なんというか変な人ですね…」
だとすると私の今の状況も説明がつく。だいたいちょっと環境が聞いていた話と違いすぎた。
この砂漠ができるには少なくとも数十年はかかるはずでそんなに簡単に地図が変われば文屋も商売あがったりだろう。
「まあそれはいいんだが。とりあえずその頭の上のヘイローの事教えてもらえないか?それだけがいまだにまったく分からん」
今目の前の5人の上でそれは今も光っている。こいつらが天使でないとするならばこれには他に何か意味があるはずだ。
「え!?私に天使がどうとか証拠がとか言ってたくせに今さらこっちに聞くの!?」
う...どや顔で話してたのが今になって帰ってきた。
「やめてくれセリカ。その言葉は私に効く」
「さっき聞いたわよそのセリフ...」
顔を見合わせた5人はなぜか困ったような顔をしていた。
何を困ることがあるのか…デリケートな話だったりするのか?
「あーすまん。別に言いたくないなら別に言わなくてもいいぞ?」
「いえ、そう言うわけではないのですが…」
「ごめんね?おじさんたちも良く知らなくてね」
「知ってるとしたら意識の無いときに消えるってことくらい」
「考えたこともありませんね~」
まじかそれが分かればここのルールが分かりそうだったのに。どういう場所か分からない以上身の振り方も分からないじゃないか。
「ねえ、あなた魔法使いなんでしょ?そのへん自分で分からないの?」
考え込んでいた頭を上げるとこちらをにらむセリカと目があった。
他のやつらも訝しげにセリカへ視線を送っている。
「うへ~、どうしたのさセリカちゃん」
「しょうがないでしょ。私たちが何も知らないって分かったらあからさまにがっかりしたのよ?」
「ちょっとセリカちゃん!そんな言い方...」
なんだ?急に喧嘩売りに来たな。...まあいいかもう、答えが出そうもない事を考えるのも疲れてきたとこだ。このまま一暴れして追い出されるか。
「それでさっきまで馬鹿馬鹿しいって叫んでたのを魔法を使ってみろって?ずいぶんお子ちゃまな脳みそだな。カルシウム足りてないんじゃないか?」
「うるさいわね!余計なお世話よ!確かに自分で言ってて恥ずかしくなるくらい子供っぽいこと言ってるなとは思ったけど...。そこまで言う必要ないでしょう!」
「自分で子供っぽいって認めてるじゃないか。セリカはわりとばかなのか?」
「なんですって!?」
「ちょっと静かにしてもらってもいいですか?」
「「ハイ!!」」
おかしい…さっきまで確かにセリカとにらみあっていたはずなのにどうして今同じように震えているんだ?
先程から妙な圧を発していたアヤネがふぅと息を吐き出した。
「2人とも頭は冷えましたか?」
「「はい...」」
「もう遅いですし今日はもうお開きにしましょう。今話しても建設的な話はできないでしょうし」
そこでアヤネは一度深呼吸をする。なぜか私にはその仕草がとても恐ろしいものに見えていた。
「マリサちゃん、しゃべり通しで疲れたでしょ。ごめんね~?お詫びと言ってはなんだけど今日はここに泊まっていいからさ」
「...いや、すまん。助かる」
「それなら荷物は対策委員会の部室にあるはず。場所はここから出て5つ目の教室。分からないならついていこうか?」
荷物...そうだ荷物!さっぱり忘れてた!どこに行ったか分からなくなってたんだった!
え?私さっきなんにも持たずにここを出ようとしてたのか?
「助かった!マジでありがとな、シロコ!できれば早く言って欲しかった!」
「ん、それはごめん」
───────────────
シロコ先輩の返事を聞くか聞かないかの内に部屋をとびだして行ったマリサを見送ってから私は口を開いた。
言っても良い話かは分からないけれど言った方がいい話ではあるとは思う。
「ねぇあいつのこと信用していいの?」
どこから来たのかペラペラ喋るくせにそこがどんな場所かは話そうとしないあいつ。自分で言うのもなんだが今までいっぱい騙されてきたから分かるあれは詐欺師とかと同じ話し方だ。
「ん~いいんじゃないでしょうか~?何か企んでいる風ではないですし☆」
「はい、私もそう思います。マリサさんが聞いていたのはアビドスの事情と言うよりは
「腹のそこで何を考えているのかは分からないし絶対になにか隠してるわよ?」
「うへへ、まあおじさんも確かにそう思うけどさ今のところは様子見でいいんじゃない?」
「でも...」
「セリカがそこまで疑うのは珍しい。さっきのと何か関係あるの?」
「さっきのって?」
「ほらさっきの...喧嘩って言うか、言い合い?」
...別に何かある訳じゃない。
ただあの時何も知らないって分かった時に途方にくれた、迷子みたいな顔を見たら口をついてだけだし。
そしたらまあ、買い言葉に売り言葉でああなっただけで。
「別にそんなのじゃないわ…。あれはただはずみでなっちゃっただけだか」
「へぇ...?」
びくりと肩がゆれる
帰りの準備をしていたはずのアヤネちゃんは手を止めてこちらに微笑んでいた。
「うへへ先に帰っちゃダメかな」「やめた方がいいですよ~?」「責任は先生にでも送っとく?」
「やめとこっか」
「はずみで?お客さんに?ああいう態度で?別にそんなのじゃない...?」
「ち、違うのアヤネちゃん!そ、そう!マリサが先に変なこと言うから!それで混乱してぇ!」
「...」
そうだ先に天使だのヘイローだの訳の分からないこと言うのが悪いんだ。それが全くなんの証拠になるんだ…?だって…
あ、やめて!無言でこっち来ないで!ほっぺた引っ張ろうとしないで!
部室の扉が激しい音をたてる。
その場にいる全員が勢いよく開けられた扉の方へ目を向けた。
「はあ...はぁ...っお前ら…これはどういう事だ...?」
勢い良く入ってきた彼女が指差す頭の上にはその髪色と同じ色の輪が煌々と仄かに光っていた。
こんなとこで独自解釈/設定付くとは思ってなかった…
天使=天女は完全に捏造です。多分ね。イメージ的には天使≠天女です。東方の空にいる奴らは揃いも揃って地上を穢れ扱いしてるから多分間違っては無いでしょう。
東方に天使キャラっていましたっけ。