幻想とつながる箱庭   作:腹痛はらいた

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アヤネちゃんカワイイカワイイネ
セリカちゃんカワイイカワイイネ

マリサ、君のキャラほんとに分かんないんだけど?


3、不和の種

現在異世界遭難中の霧雨マリサだ。

結局私の頭の上にヘイローが出てきた理由は分からずじまい。どうやらセリカたちはもともとあるものだと思っていたらしい。シロコが言うには外を歩いていた時にはすでに有ったそうだ。

 

ついでに言うとシロコ達が経験したらしい事例というのはどうも並行世界の自分が来るタイプらしくあまり参考にならなそうだった。なんだそれはどこぞのスーパーヒーローか?

 

それで今何をしているかと言うと

 

 

「なんだこれ?」

 

 

元カイザー基地現廃墟に生えた木のような物体の前に立っている。

 

 

 

────────────

 

 

 

目が覚めた私は昨日の出来事を思い出して憂鬱な気分になっていた。何しろ何も改善してもいなければ何か手がかりが見つけられたわけでもないのだ。寝床を確保出来ているだけましだろう。

 

あの時、セリカに何か言われた時とっさに喧嘩を売らなければまだマシだったかもしれない。今思い返せば割と限界だったのだろう。セリカが睨んでいたというのもあやふやで鏡を見たあとの言動も怪しい。あんまり主観が当てにならない。

 

「おはようございますマリサさん。起きるのが早いですね。眠れませんでしたか?」

 

 

「ああ、おはよう。私のは習慣だったからな。気にしないでくれ。そっちこそずいぶん早いな?」

 

 

医務室に様子を見に来てくれたアヤネに返事をしながら目を向けた時計には 6:30と表示されている。

ここの静かさを見るにセリカ達はまだ来ていないだろうここまで来る時間を考えると起床時間は相当早くないと無理じゃないか?

 

 

「ええまぁ…朝の準備もありますし。それに、放っておくとすぐに砂が入り込んでしまうのでこうやって早めに来てるんです。」

 

 

苦笑いを浮かべるアヤネは気を取り直して前を向く。

 

 

「ところでマリサさんは今日はどうするつもりなんですか?」

 

「いやまだ特には決めてない。」

 

 

そもそも何をすればいいかも分かってないがな。

見つけるためにも何か行動しなければならない。

 

 

「とりあえず掃除を手伝ってもいいか」

 

「え…ですが、仮にもお客さんに手伝わせる訳には…」

 

「仮だろ?せっかく私のホウキもあるんだしな。さすがにそのまま居候(いそうろう)で何もしないわけにもいかないだろ。それにここの建物案内もしてもらいたいしな」

 

「そのついでだと思えばいい。こき使ってくれていいぜ?」

 

 

それで何か見つかるかは分からんが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「思ってた10倍広い…」

 

 

1時間後、そこにはホウキにすがって項垂れる私がいた。

 

 

「ほら休まないでください?あとは1階と別館と図書館だけですよ」

 

「この!2人じゃ無理だろ!」

 

「手伝うと言ったのはマリサさんですよ?それに私も別に遠慮する必要は無いと気付きましたので。良く考えなくても必要の無い心配でした」

 

「ぐぅ、ぐぎぎ……」

 

にっこりと笑いながら非情なことを言ってのけるアヤネを見ながら決意した。

必ずやかの邪智暴虐の鬼畜(アヤネ)を除かねばならぬと!

 

 

「はぁ…まぁ私が言いだしたことだし文句は無いんだがなぁ…」

 

「ふふふ。冗談はこのくらいにしましょうか。実は今日、元々みんなで校舎全体を掃除する予定だったんですよ」

 

「毎朝掃除してたんじゃないのか?」

 

「いつも使っている場所はそうなのですが全体となるとさすがに手が回らないですから。正直助かりました」

 

 

それにしたって広すぎる…備品の場所がわかるのが収穫だろうか。割に合わない。

 

しかし『みんな』か…セリカと会うのは気まずいが身から出た錆な以上、ボヤいていても仕方ない。とりあえず会ったら煽るか。

 

 

 

 

 

 

「おはようございます〜☆2人とも頑張ってますね〜。…集合時刻、間違えちゃいましたか?」

 

「おはよう…って、ちょっとなんであんたもいるわけ?」

 

「おはようございます。すいません勝手に始めてしまって」

 

 

相変わらずセリカは元気だな。心なしか昨日より毛並みがいい。やはり昨日は時間が遅くなりすぎたか。

 

 

「なんだ?セリカの掃除する場所ならもう無いぜ?」

 

「いや別に掃除する場所が欲しいわけじゃないわよ!?なんでそこに疑問持たないの?」

 

「冗談だよ、通じないか〜セリカには。おーいアヤネ!セリカ掃除したくないって〜」

 

「そうは言ってないでしょ!?」

 

「もう、決めたでしょうセリカちゃん。こういうことはみんなでやるって。はいこれセリカちゃんの分ですよ☆」

 

「あ、ありがとノノミ先輩…だから言ってないってば!」

 

「あはは…そろそろ再開しましょう。マリサさんもあんまりからかわないでくださいね?」

 

「へいへい」

 

 

 

 

 

 

 

「なぁアヤネ?この部屋は掃除しなくていいのか?」

 

「あーそこは…どうでしょう…?ノノミ先輩。ここの掃除はどうしましょー?」

 

「ああ、そこ前までの癖で忘れてたわね。もうそのままでいいんじゃない?」

 

「そうですね〜?昨日掃除したばっかりですし、もういいかもですね」

 

生徒会室と札の下げられた部屋だけ素通りして行ったからなんかあるのかと思ったがそういう訳では無いのか。

後で何か貴重品がないか見に行こう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ!2人ともこんな所にいたの!?」

 

「…うへー?…あれ、もしかして時間過ぎてる?ごめん」

 

「ん!しまった寝過ごした…」

 

「うふふ、仲良しさんですね〜」

 

「時間的にはあと三十分くらい余裕はありますから心配しなくても大丈夫ですよ」

 

「にしても、なんで2人して空き教室なんかで寝てたのよ?」

 

「いやー、遅れちゃ行けないって思って早めに来たのまでは良かったんだけど眠くてね〜?」

 

「ここで寝てるのを見かけて時間になったら起こそうと思ってたら寝落ちした…」

 

「…シロコって見かけのわりに自由だよな」

 

「あはは…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅー…何とか午前中には終われそうだな」

 

 

本のホコリを払い終わり額に浮いた汗を脱ぐう。

外側から見ていなかったからここまで広いとは思わなかった…。

 

 

「お疲れ様です、マリサさん。助かりました」

 

「気にしなくて良いぜ?何せ図書館が有るって事を知れたのは個人的に大収穫だったからな」

 

「マリサさんって…本とか読むんですね」

 

 

…何だその意外そうな目は。

 

 

「あ!いえ、すいません!そういう意図はなくてですね。と、ところで!これからどうするか決まりましたか!?」

 

「まあいいか…私は図書館が有ることだしせっかくなら読んでいようと思う。ある程度はそれでここの常識も分かるだろう」

 

 

実際問題ここの事情が全くわからないから困っているのだ。最初はポストアポカリプスみたいな状況かと思っていたがどうも違うらしいと掃除していて気づいた。

 

もしそんな状態で談笑出来ていたなら尊敬しちゃうね。…シロコあたりは一人になってもたくましくやってそうではあるが。

 

アヤネは納得したのか頷きながら肯定する。

 

 

「分かりましたそれでは私たちは部室にいますので何かあったら呼んでください」

 

「おう、わざわざありがとな」

 

 

戻ろうとして振り返る彼女の後ろ姿を見送る。

きっとアヤネは私の事に疑問や猜疑を抱いていない。

現にいま私がここの物を持ち去ることをおくびにも考えていないように見える。意味無いからしないが。

 

何も知らないやつにここまで親切なのは理解に苦しむ。本当にここの奴らは大丈夫なのか?心配になって来た。

 

あ、そういえば目的の本、先に聞いておけば良いじゃん。

 

 

「なあ、悪いけどアビドスの歴史書みたいなのってどこにある?」

 

 

こちらに振り向いた彼女は少し困った顔をしていた

 

 

 

「多分ここには無いと思いますよ」

 

 

 

───────────────────

 

 

 

そんな訳でここにいる。アヤネによればどうやらあの校舎は移転してきたものらしい。そしてその移転理由が砂となると余計な荷物を動かす理由も余裕もなかっただろうな。

 

 

「ええ、少し込み入った事情がありまして…行ったのはそれきりですね。今はもう誰も使っていないんじゃないでしょうか。カイザー基地として使われ無くなってかなり経ちますし。もう今はどうなっているのか分かりませんよ」

 

 

との事だ。後はその『込み入った事情』で使ったらしい地図を漁って来るだけ。コンパスは必須だろうが建物がある分割と簡単だった。

 

お日様の位置は大体真上それなりに時間は有る。

問題は…

 

 

「この奇っ怪なオブジェは何なんだ…?」

 

 

遠目で見れば葉の散った木に見えるんだろうが近くで見れば黒く太いチューブと電線の塊だ。何を目的として作ったのか全く分からん。砂から突き出てるがわざわざこれらを植えたヤツがいるのか?

 

あたりを見渡せばところどころ同じような黒いものが私の目的地に続いているのを見るにカイザーとか言う奴らの機材なのか?

 

風化しかけた部品も周囲に散乱していて銃創も目立つが戦闘でもあったのか…それともアヤネたちの言っていた事情とやらの結果が破壊行為だったのだろうか。

 

シロコはやるだろうな。ノノミはどうだろその場のノリでやりそうかもしれん。セリカは…やらないか。

 

そうだなあいつらはやらないだろ。シロコが暴走してもアヤネとホシノが止めるだろう。

 

 

 

 

 

 

その辺を見て回ったがそれら以外に特に怪しいものは無かった。逆に目立つオブジェが一番気色悪い。

 

帰ったらあいつらに相談だな。黙ってここに来たことは秘密にしておきたかったんだがなぁ。

 

というわけで本来の目的に戻ろう。

さーてお宝探しだ。どんだけあるかな?

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

んで、全く収穫無しって訳。

知ってたよ…知ってたさ…完全に砂の上に入口が有る時点でもう使いもんにはならんだろうなとは思ってたさ…。でも廊下全面鉄板なんだよな。ここ本当に元校舎か?

 

でも正直ワクワクしてきた。こんな薄暗くて入り組んだ場所どんな厄ネタがあるのか探すのが鉄則だろ。ましてやそれを持ち出さないのなんてパニックホラーに喧嘩を売るようなもんだな。

 

人気のないアビドスをシリアルキラーで彩ってやるぜ!

 

そんな事を考えながらルンルン気分で暗い廊下を進んで行く。

 

 

 

 

 

 

 

「うーわ何だこれ」

 

 

厄ネタだ。しかも持ち出せないタイプの。

それはドームのような形をした気味の悪い部屋だった。真っ暗で底の見えないその部屋の中心には天井から下がる一本の柱がありそこに向かって薄い足場が浮かぶようにして有る。

 

ここは他の場所とは明らかに製作者が違うな。こっちは私ら寄りだ。だけど魔法とは違う。

外との景観の乖離は意図的なものか。異界の再現って所じゃないか?…じゃあ何のために?隔離ならあの柱もこの底なしの床もドーム状である必要すら無い。

 

私の身近なものは結界だあれは儀式的な手順で他人に境界線を示し意味を与えるもの、ここと同じだ。違うのはそれが誰に、何に向けられているかだ。

 

ここが霊や悪魔に使われていたならあの柱は必要無い。縛らなくてもそれらは『結界』に捕われる。あれらにはそこが地続きで無いとされればそうならざるおえないくらい脆い存在だからだ。知性ある者共はその限りじゃないが。

 

ならここは人、ないし物理的な物に使われたんだ。

 

ではなぜ結界で無ければいけないのか、それが分からん。

 

 

ふと婉曲したその部屋の壁面に目を向ける。そこでは点灯していない灯りたちがずらりと柱を見つめていた。

 

 

…もしかしてこれは意図してやっているのか。

 

納得した。ここはいわゆるプノパティコンか。

 

観察と言う行為をここまで儀式的に行う必要があり霊的で無い存在。私には心当たりがある。

 

何せ私も今やそれの仲間入りを果たしているからだ。

 

よし帰ろうすぐ帰ろうここにいても何も得しない。

 

もしここの管理者に出くわそうものなら、あいつらに知られた時どんな面倒事が起きるのか分かったものじゃない。

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

「遅かったかぁ…」

 

「出会い頭にご挨拶ですね」

 

 

目の前には全身黒ずくめの異形の姿。

顔全面にひび割れが広がり、口にあたる部分には薄ら笑を描いている。目を型どるひび割れから青白い炎のようなもやが覗いているがこいつの肌は陶器なのか?

 

なるほどこいつがあの部屋を作ったんだろう。纏う空気が同じだ。性悪賢者(八雲紫)と同じような雰囲気を感じる。

 

 

「こうも目の前で無視されるとは」

 

「気を使ってくれなくても良いぜ?聞こえてるからな」

 

「クックックッ、ならば早速本題に入りましょう。まずは自己紹介を、急な呼び止めに応じていただきありがとうございます。黒服というものです。どうぞ、お見知り置きを、霧雨マリサさん?」

 

 

目の前の男──黒服がそう言って慇懃無礼に腰を折る。

 

…よく言うぜ。出入口を塞ぐように待ち伏せしてたくせに。

こっちの名前を知っていることについては気色悪いな、くらいだ。話が早くて逆に助かる。

 

 

「名乗ってもいないのに名前を呼ばれるのは気分が良いもんじゃないんだけどなぁ?そこは嘘でも知らない振りでもしていた方がいいんじゃないか?」

 

「クックックッ、ご冗談を。それが必要無いと判断したからこそ、このような形の挨拶になったのです。気になどしていないでしょう?」

 

 

お前と私の間には何の関わりもないだろ!!!…と言いたいところだがあの部屋を見た後だとなんの疑問も湧いてこないな。後で校舎に何か仕掛けられてないか確認しよう。

 

 

「おっと、ばれたか。無礼ついでに何かたかろうと思ってたんだがな」

 

「おや、お望みならばそれ相応の御用意はありますよ。どうでしょうか、このまま契約書にサインしていただければちょっとした仕事と生活の保証は差し上げられますが」

 

 

感情の読めないその顔は今も目の奥を怪しげにゆらめかせている。

 

 

「本当か!?よろしく頼むぜ!と、言いたいところなんだが断わる。代わりと言っちゃあ何だが一つ聞いておきたいことがあるんだが…」

 

「…ええ、断られたのは残念ですが仕方ありません。なんでしょうか?」

 

あの部屋(監視部屋)、作ったのお前だろ?」

 

 

瞬間黒服の表情が変わった。…いや、表情は変わんないけど、雰囲気が変わった。不敵な態度から一転自らの失敗を悟ったように。

 

 

「…いつから気付いていましたか?」

 

「さあ?いつからだろうな?」

 

 

お前が待ち構えているのを見た時からだよ。いやマジびびったからな?ずっと見られてたとか鳥肌モノだわ。耐性ない奴からすれば抗議ものだぞ?初対面だからしてないだけだが。

 

先程の会話を見るに対策委員会とのやり取りは見られていたと考えるのが自然だろう。まったく、安く見られたもんだな。俗物なのは事実だが。

 

 

「…クックックッ、そこまでバレているなら隠しても仕方がありませんね。」

 

そう言いながら黒服はいつの間にか用意していたイスに座りこちらにもそれを勧める。

 

 

「さて、貴女が感じていた通り、私が貴女の観察を始めたのはアビドス郊外に奇妙な揺らぎを観測したからです。」

 

「揺らぎ?」

 

 

あっぶねそんなとこから見られてたのかよ。だとしたら何かを起点にしたものではないのか…校舎への確認は意味無いか〜。

 

 

「我々が観測したのは空間の一部が曖昧になる、という異常現象でした。」

 

「そこから私が出てきたってわけか」

 

「──ええ、私としても驚きましたよ。ここまでなんの前触れも無くこのような現象が起きたのは初めてです」

 

 

待て、つまり前触れがある現象はあるって事か?しかもこいつの技術的に再現可能なレベルの頻度で?…ここの事が本当に分からなくなってきた…ここまで技術が発展した場所で神秘がそこまで露出する、なんてことがありうるのか?

 

 

「一つ提案をしましょう。我々に協力する気はありませんか?」

 

「無い」

 

 

ぴしりと黒服の表情が固まる…気がした。表情が無くてもこうも簡単に感情というのは伝わるものか。

 

 

「なぜ、とお聞きしても?私としても人員が足りていない状態でして。貴女の調べることへの積極性は評価しています。引き受けていただけると助かるのですが」

 

「あ…?そんな理由だったのか。てっきり私は実験材料として使うつもりだと思ってたんだが」

 

「クックックッ、否定はしませんよ」

 

「否定しろや。そういうところだぞ」

 

 

私は一度ため息をついてから立ち上がる。なにはともあれ、面倒になりそうな話でなくてよかった。

 

 

「私はもう行くぜ?話は変わるが表のあれはお前のか?」

 

「詳しいことは何も。少なくとも私の作品ではありませんよ」

 

「そうか、じゃあまたな。あんまり面倒事起こしてくれるなよ?」

 

「クックックッ、ええ、また」

 

 

顔も見ずに出口に向けて歩き出せば黒服からの返事が帰ってくる。思ったよりも時間がかかっちまったな。急がなくては日が暮れそうだ。

 

 

 

───────────────────

 

 

黄昏時の空の下、黒服は独り言を吐きながら帰路につく。

 

 

「彼女の発言からしてこちらにたどり着いたのは彼女の意思ではない。となればあれは何が原因か。そもそも、あのゆらぎは本当に空間のものだったのか」

 

 

表情の変わらないその顔を疑問に曇らせながら怪人は足を動かす。

 

 

「クックックッ、キヴォトスとは全く別の場所から来た神秘、実に興味深い。神秘の量は暁のホルスには遠く及ばないものの確かに精通した神秘への理解はゲマトリア再始動の為にも惜しいものでしたが…失敗してしまったものは仕方ありません」

 

 

今回の失敗は明らかに自分の引き起こしたものだと考えていた。彼女らの会話を知らないとは言え霧雨マリサの思考を読み切れなかった。それは事を急がなくては協力出来る確率は下がり続ける、という焦りから来るものだった。

 

今はそうは考えていない。彼女は考えていたよりもずっと理性的でそして合理的だった。ますます逃した魚が惜しくなる。

 

 

黒服の男はふと立ち止まり今何となく思い付いた事を口に出す。

 

 

「先生はあの者らにどのような解釈を与えるのでしょうか?」

 

 

まだまだ目が離せないなと考えて黒服は静かに笑う。

今この瞬間に霧雨マリサに対する観察(ストーキング行為)の続行が決定した。

彼女の受難はまだ続く。

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

ぅわ何だ今の。怖気が走った…。

結局すっかり暗くなってしまった校舎を歩きながら反省会をしていた私は急な寒気に身震いをする。

 

やはりアヤネが怒っているのだろう。南無南無。明日の私の為に祈っておこう。

 

 

朝イチでアヤネの前に飛び込み土下座を決め込む事を胸の内に誓っていた私は今朝考えたことを思い出していた。

 

『生徒会室』そう掲げられた部屋が目の前にあり、そして今誰もいない。そしてここから医務室まではそれなりに遠い。今じゃないか?後で戻ってくるのも面倒だし。

 

そうと決まれば話は早い。早速常備している針金を鍵穴に刺し鍵…を…あれ?この鍵壊れてないか?

 

…うん、壊れてるわ。掃除が出来るってことは…よし閉まってはないな。

 

扉は…押しても引いても開かない。となると…よいっしょ、開いたわ。

 

持ち上げるようにして開けた扉の先は、なんと言うか本当に空っぽだった。あるのは棚と机とパイプ椅子だけ。空の棚が寂しい部屋をより空虚に飾っていた。

 

 

「嘘だろ?本当に何も無いのか?」

 

 

まあ、開かずの金庫の中身は大抵、空だっていうしこういうものなのか…。あん?

 

気を落として下の棚に目を向ければダイヤル式の金庫があるじゃないか!

 

…どうせ空なんやろなぁ。しかしだからと言ってお宝を追い求めない理由にはならない。うおおぉ…!!待ってろお宝…!

 

 

「何してるの?」

 

 

瞬間私の背中に冷たい金属の筒が押し付けられる。昨日と同じ言葉だが昨日よりも数段低いホシノの声。

 

 

「いや、違くて。開いてたんだよここ」

 

「御託はいいから」

 

 

そうして銃口を強く押し付けられる。

止めてくんないかな?私死ぬんだが??

 

 

「平気だよヘイローのある人はそう簡単には死なないから」

 

「わーそれはよかったぜ〜」

 

 

アヤネ様私は明日を迎えられないかも。

焼き土下座の約束を果たせないことをお詫び申し上げます。




黒服〜君のこともうちょい底知れない風に書きたかったよ黒服〜

でもマリサ怪しい大人耐性めちゃ高いからさ〜はぐらかしてぼやかして煙にまいちゃうと思うんだよ〜

はいまあきっとこれから出番あるからさ
タブンタブンネ

ちょっと当初の構想と離れてるから何回か読み込まないと…何せあの木の元ネタは後付けなんだよね
しかも調べたらaiが答えたやつつまり真偽不明
ままエアロ どうにかなるっしょ
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