幻想とつながる箱庭   作:腹痛はらいた

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遅くなってしまい申し訳ありません
先生の描写にすごい苦戦して書く気ががが
言い訳はしません


5、安全確認は大事!まぁもう遅いけど

 

経過報告

 

社会構造の変化不明

...目的地への到着が確認出来なかった

次元変異の可能性有り

 

社会構造の大幅な乖離が存在する事を確認 この時点での目的の完遂は不可能と判断した

原因の調査から現状の確認に主眼を置くことにする

 

銃器の流入元が現在地であると考えられる

依然大元の目星は付かず 引き続き調査を進める

 

魔法が使用可能である事を確認(・・・・・・・・・・・・・・)

 

魔力形成×

魔力弾形成×

魔力陣形成×

呪い(まじない)レベルの魔法〇

魔法陣による召喚× これは単純なリソース不足に思われる

魔法陣による魔法の発動〇

魔道具の使用〇

 

基本的に魔力の放出が出来ない

魔法陣による発動も正常に動いているというよりかはそれと同じ結果を引き起こしているように思える

今現在法則を考察中 進展があり次第追加の報告を行う

 

P.S.面倒事に巻き込みやがって覚えてろよ。別に支障はなさそうだしお前がこっちに来たらどうなんだ?それでどうなっても知らないが

まさか寝てんじゃ無いだろうな??

 

 

──────────────────────────

 

 

「それ使うの禁止ね」

 

「はい…」

 

 

裏庭の壁に空いた穴の前で正座させられた私はさぞ滑稽だろう

昨日思いついた八卦炉の実験をホシノ立ち会いのもとしようとしたら普通に使えてしまった

そしてそのまま一直線に進んだそれは校庭に小さな瓦礫の山とそこに続く幅三十センチほどの溝を作りあげてしまっていた

 

 

「しかしやっぱり弱体化してるな」

 

「先に言うことあるでしょ何考えてるの?」

 

「すいませんでした…」

 

 

正直こんなことになることを想定してなかった私が全面的に悪い

 

昨日の夜に室内でできるものはあらかた試したがここまで素直にできるとは思っていなかった

実際使えても自分の思い通りに動かない方が多かったのだ

物資生成はハリボテができ確率操作はサイコロのでた目で結果を決めている感覚で全く意味がない、弾幕にいたっては魔力陣どころか形成すらできなかった

 

真新しくできた溝の縁にかがみこみ大きなものが通ったかのようにえぐれてめくれた土をつまむ

 

 

「ねぇ、それにしてもどうして急に実験なんてし始めたの?」

 

「ん?単純にお前らにああいうのが使えるってバレたからな」

 

 

ホシノはその返答に目を細めいつも通りにわらってみせた

 

 

「…うへへ、おじさん的にはもう少し早く教えてくれれば何か手伝えたかもしれないけどね〜」

 

「バレなくてもそのうち検証はしなくちゃいけなかったしその時は頼んでたさ。でも切り札は多いに越したことはないだろ?」

 

「まぁ、それはそうかもね」

 

 

───────────────────────

 

 

 

穴の空いた外壁が良く見える一室に人影ができていた

いつもは使われていないその部屋は珍しいこともあったものだと嬉しげに電球を瞬かせる

 

 

「どうしてこんなことになってるんですかぁ…?」

 

「申し開きもございません!」

 

 

涙目のアヤネの前に正座した私

 

正直本当にすまないとは思っている。まともに魔法が使えないとはいえ油断して何の保険もかけてなかったのは迂闊すぎた。

いや、一応ホシノっていう保険はあったけどそれでも保険でしかないし何の許可も求めないのもまずいだろうってことで話してただけだしでなんの対策にもなってない

 

 

「いやぁ…ごめんね〜おじさんはそこにいたんだけどなんにもできなくてさ」

 

「…いえ、状況的に誰も悪くはありません。少し取り乱しました」

 

「それにしても派手にいきましたね〜修繕にはどれくらいかかるでしょうか?」

 

「ぐふっ」「アヤネちゃん!?」

 

「ん、ノノミ。それ追い討ち」

 

「いえ…大丈夫です…壊れたと言っても一部ですしデパートに売っているもので十分直せる程度ですから」

 

「ほんとに大丈夫なのアヤネちゃん!?何かボディに入ったみたいな声してたんだけど!?」

 

 

…それにしても元気がいい。いや壊した側の言うことじゃないがこうして正座して目線が低いところを周りでわちゃわちゃされると蚊帳の外感が出てくるな

 

 

「ねぇマリサちゃん?他人事みたいな顔しないでよ?」

 

「いやー?してないしてない、私もでぱーと?に行こうとしてたくらいには自分事だぜ?」

 

「うわめちゃくちゃ白々しい」

 

 

ホシノとセリカに囲まれているとそこでアヤネが何かに気づいたようにこちらに視線を向けた

 

 

「え?マリサさん町に行って大丈夫なんですか?」

 

「さすがに校舎壊しといて何もしない訳にはいかないだろう。何かまずいのか?」

 

「マリサさんは銃火器を持っていませんよね?」

 

「そこはあれよ、自前の魔法でどかん!と一発さ」

 

 

そう言ってみたはいいがどうもアヤネの顔は緩まない

 

なんだ?私の行こうとしている場所はそんなにやばいとこなのか?

 

 

「足りないと思いますよ〜?それに裏庭で使ったようなのはさすがに一発で起きる破壊の規模が大きすぎると言いますか…」

 

「む、まぁそれもそうか」

 

「それにマリサちゃんが今朝使ってたのって連発できるものなの?」

 

「…どうだろ試してないからわからん」

 

 

というかこいつらの前以外で使えばどんな面倒事が起きるかわからないから使えないかな?不意打ちの最終手段で使うくらいがちょうどいいだろうか

 

そんなことを考えていればセリカが気遣わしげに私をみる

 

 

「じゃあついでにマリサの銃も買う?」

 

「ありがたいが私、払える代金は持ってないぜ?」

 

「ああ、そういえばそうだったわね…でもいつまでも町に行かないって訳にもいかないでしょうし…」

 

 

実際そこに行けなくて困っていることはないのだ。水は昨日の通り何とかなっているし食料も予備にはまだ手をつけていない。しかし身を守る手段が心もとないのはいかがなものか。

 

 

「それじゃあさ、おじさんがお金出してあげようか?」

 

 

…驚いた。随分と意外な提案をしてくるな…

 

そう言うホシノはいつも通りの緩んだ表情を浮かべていて何か裏があるのかは読み取れない

もしここで断っても別に私に何か問題が今すぐある訳じゃあない。ならばそこには深い意味はないと思う

 

 

「一応聞いて置くけどさ。その代わりに私は何すりゃいいんだ?」

 

「お、話が早いね。そんなに心配しなくても簡単な事だよ〜?」

 

「そこまで言われると逆にうさんくさいけどな」

 

「それで条件なんだけど。マリサちゃん、対策委員会に入ってくれないかな」

 

 

やはりホシノの顔は変わらず自然体のままである

 

ホシノにとって対策委員会というものはどれほど大きなものなのかは私には分からない。が、それでも軽々しいものでは無いはずだ

 

だとするとこれは…どうなるのだろうか

 

 

「…そんなことでいいのか?私は別に構わないが…魔道具は売れないぜ?」

 

「え!?私は反対よ!だいたいマリサも借金返済しなきゃいけなくなるのよ!?分かってる!?」

 

「そうですよ!それにここの事をあまり知らない人の弱みにつけ込むのはどうなんですか?」

 

「…私は賛成です。学校に所属していないとスマホを買うことも口座を作ることもできませんし。何より先生も手出しできないってなると保証してくれるところなんて無くなっちゃいますからね☆」

 

「う、それは…そうかもだけど…」

 

「…そうですか…そうですね。口座が作れないとなるとバイトを受けるわけにもいけませんしね。ですが本当にいいんですか?」

 

 

…借金、そんなのもあったな。…だがただでさえ私は使っている部屋代すら払えていないのだ。こうして選択肢を与えられているだけありがたい。そう考えてみれば借金の返済を手伝うことも手数料と考えてしまえば妥当だろう

 

さすがの私も一般人に迷惑をかけて平気なほど面の皮は厚くない

 

 

「いや、逆にそういうことなら無駄に警戒しなくて済むから良かった。こっちから頼みたいくらいだ」

 

「??警戒ですか?」

 

「うへ〜そうしてくれると助かるよ。マリサちゃんにとっても悪い話じゃないと思うしさ」

 

 

まぁこのままここで世話にならないとなると追い剥ぎぐらいにしかなれなかっただろうしな

そういう意味でも受け入れておいた方が身のためではある

問題は…

 

 

「いや、借金の話してたのよ?何も良くなくない?」

 

 

二人が納得するかだな

 

 

「ハハッ、なんだよセリカ。心配してくれてるのか?」

 

「茶化さないで。ホシノ先輩ももうちょっと遠慮しなさいよ!」

 

「うへへ、セリカちゃんは可愛いね〜」

 

「な、なんなのよ急に二人して!?茶化さないでってば!」

 

「ちょっろ」

 

「────!!!マリサ!!!一旦そこに頭つけなさい!上から殴ってあげるから!」

 

「誰がやるか!!というかどんな処刑だよ!」

 

「マリサさんも随分なじみましたね〜☆うんうん、仲良きことは良きことです!」

 

「あはは…」

 

 

 

 

「あ、マリサちゃん。も一つだけ!おじさん今日シャーレの当番だからさ。マリサちゃんも登録しとくね〜?」

 

「?ああ、わかったよろしく頼むぜ〜」

 

 

───────────────────────

 

 

「ん、なかなか筋がいい」

 

「射撃初心者にしてはそれなりに上手いのね…どこで習ったの?」

 

 

校舎に比較的近くの商店街の射撃場

過疎化の進んだアビドスでもその地域はそれなりに栄えているようで子供連れの親子や住民が買い物をしに来ているすがたもちらほら見えた

 

…問題はその姿

近くでは犬の頭の夫婦がこれまた犬の頭の子供を抱えあげ、店員にいたっては横に広く丸い妙な鉄頭だ

 

 

「なんなんだここ…ほんとに頭おかしくなる…」

 

「…またマリサが頭抱えてる」

 

「また?いい加減慣れてよ。話が進まないじゃない」

 

 

ここキヴォトスにはご存知の通り不良と呼ばれるものたちがいる。そして銃社会の不良ともなればやる事の被害がとんでもない

 

コンビニ強盗は日常茶飯事、路上で撃ち合うのはまだ可愛い方で自分が買えないからとかいうふざけた理由で人質をとるといった風にイカれた倫理感が顕著に表れている奴らだ

 

なぜそんなことを言い始めたかというと

 

 

「ほらそろそろ起きてよ。何度もしゃがまられると他の人に迷惑でしょ?」

 

「うるさいな…自分に向かって銃弾が飛んできたらトラウマものなんだよ!前にしゃがんだのそのくらいだろ?逆になんでお前ら普通にしてるんだよ」

 

「ん、さっきの銀行強盗の話?マリサ普通に避けれてたけど…」

 

 

つい先程、口座開設のため正規の銀行へ申請に向かった際に運悪く銀行強盗にかち合ったのだ

 

「だから!さっきから言ってんだろ!バックに金をつめろって!」「すすす、すみません!!し、しかしこれはバックではなくビニール袋では…?」「い、い、か、ら、さっさっとしろって言ってるだろ!?撃ち殺されたいのか!?」

 

とまぁはたから見ればコントの様な会話から簡単に引き金がひかれるのは流石の治安の悪さである

 

 

「…それにしてもさっきのは雑だったね」

 

「え?…そうかもね、私にもわかるくらいには準備不足ぽかったと思うけど…」

 

「マリサにはああならないくらいには動けるようになってもらうから」

 

「シロコ先輩??」

 

「そこまでする必要あるのか?第一さっきのあいつらみたくすぐ捕まるのがオチな気がするがな」

 

「そもそも表の銀行は襲うべきじゃない」

 

「そりゃあそうだが」

 

 

どうやらシロコにも良識はあったらしい

私的には捕まって何の支障も無いならやっても良かったんだがシロコ的にはダメなのか…

だとしたらさっきのは何かのは比喩か冗談だろう

 

 

「表の銀行は警備がしっかりしてるからバルキューレを呼ばれやすいし監視カメラも多い。その点後暗い事が多いブラックマーケットの銀行の方は対応が遅れる、だからそっちを襲うべき」

 

 

…さっきから何を言っているんだこいつは…?

 

 

「さっきから何言ってるのよシロコ先輩!?そこじゃないでしょ!?」

 

「ん…まぁそれはいったんおいとこっか。とりあえずどれがいいとか決まった?」

 

 

…もういいか、シロコの突拍子も無い言動にも慣れてきた。パチュリーなんかも今の私と同じ気持ちだったのかもな

 

話を戻そう。試し撃ちなのためにここに来たはいいが私には違いはよくわかっていない

決まったかと聞かれても私はズブの素人なのだ。銃の扱いなんて少し触った程度では分かるわけはない

 

 

「うーん、そうだな…ノノミみたいな大きめなのはどうだ?」

 

マシンガン(MG)のこと?あんた扱いきれるの?」

 

「取り扱いづらいのは分かってるさ。だけどでかい武器は誰にとってもロマンだろ?」

 

 

それと反動に慣れていないことを加味しても当てるために弾幕を広げることは有効なはずだ

ただ弾にコストがかかるのが難点だな。弾幕ごっこをする時もコストはかからないわけでは無かったがここだと撃てば撃つほど懐がさびしくなる

 

 

「…あんまり背伸びするべきじゃないよ」

 

 

どうやらシロコは反対でセリカも頷ける様子ではないようだった

 

そんなにダメだろうか?

確かに動きは多少鈍くなるとは思うが思っていた程では無かったし何よりノノミが軽々と持っていたのを見るとそこまで邪魔になるようには見えない

 

 

「体に重りが増えればそれだけ小回りも効かないからね。自分で余裕があるつもりでもかなり邪魔になると思うわよ」

 

「あれでノノミは私達の中で1番力は強い。キヴォトスだと見た目はあてにならないよ」

 

「うーむ本格的に人間かどうか怪しくなってくる」

 

 

だとすると何がいいだろうか

KBPとか言う銃はなかなかにいいが反動が強いうえに連射も低く当てられる気がしない

 

 

サブマシンガン(SMG)はどう?連射は早いし比較的反動も少ないよ?」

 

「近距離か…うーんそうするかな…?」

 

「もう私たちが使ってるのにする?整備の仕方とか教えるのにもやりやすいわよ?」

 

 

どうもそれでいい気がしてきた

セリカの銃は使ってみた感じくせもなく連射性もそれなりだった

こだわりはない以上悩んでも無駄だろう

 

 

 

 

 

「…ほんとにいいの?銃は一生ものなんだからちゃんと選んだ方がいいわよ?」

 

「武器が一生ものなのもどうかと思うが…いいさこういうのは使っていく内に愛着が湧くものだろ?」

 

「ん、それじゃあ会計してくるけど名前はなんにする?」

 

 

並べていた銃を片付け終えながら話をしていると選んだ銃を持ってシロコがそんなことを言い出した

 

 

「あん?銃に名前なんてつけるのか」

 

「ほらマリサも言ってたじゃない愛着が湧くって」

 

 

なるほど“一生もの“というくらいには銃というのは身近な存在らしい

 

もし幻想郷にこいつら…というかここの奴らが入ったらどんな反応をするだろうか。妖怪以前に銃がないことに驚いていそうだ

 

 

「まぁそうか、名前をつけるのは確かに大事なことか。例えばシロコ達はどんな名前をつけてるんだ?」

 

「ん…ちょっと恥ずかしい」

 

 

こいつ…そういう恥じらいはちゃんとあるんだよな…

 

 

「えっと確か…シロコ先輩のはWHITE_FANG_465だったような…」

 

「465…?ああシロコか!なんの数字かと思った」

 

「ん!ん!!」

 

「あははっ、痛い痛いって!ごめんなさい!」

 

 

頬を膨らませてじゃれつくシロコ達を見ながら考える

 

私ならどんな名前にするべきか。やはり星の名前か?うーむ

セリカがつけた名前を聞いてからにするかな

 

見なくてもわかる。今の私の顔には随分と意地汚い笑みを浮かべていることだろう

 

 

「なあシロコ?セリカの銃はなんて言うんだ〜?」

 

 

瞬間今まで笑顔だったセリカの顔が固まった

 

 

「なぁ!?なんでシロコ先輩に聞くのよ!?」

 

「シンシアリティ」

 

「あー!?!?」

 

 

今度はセリカが目を白黒させて逆にシロコを追いかけはじめる

 

Sincerity『誠意』『真心』ねえ…

 

 

「なんか普通にいい名前過ぎないか?」

 

「はぁ!?人のつけた名前聞いておきながら感想それ!?」

 

「ん、セリカはまじめ」

 

「シロコ先輩まで!?」

 

「うーん、セリカのせいでどうすればいいのか余計に分からなくなってきた…」

 

「えぇ…それ私のせい??いいからちゃっちゃとつけちゃいなさいよ。テキトーでいいでしょ名前なんて…何よ?」

 

 

愛着とか言ってたクセにどの口が…?

ふむ、まぁこれでいいか

 

 

「よし決めた」

 

「早いわね。で、結局どうするの?」

 

「Broom Starにする」

 

「…ほうき星?」

 

「なんで?」

 

「ピッタリだろ?この(ワタクシ)のたなびく金髪に」

 

「うわぁ…」

 

「うわぁ?」

 

「…ん、とりあえずお店の人に言ってくる」

 

 

うわぁはないだろうわぁは

失礼にも程がある。そもそも適当でいいって言ったのはセリカだろうが。心外だ

 

 

「…そういえばさ、マリサのほうきって何で持ってるの?」

「魔女っぽいだろ?」

 

「えぇ…」

 

 

───────────────────────

 

 

日は陰り東の空が紫がかるころ

シャーレのオフィスでは連日の徹夜により酷いくまを目元に飼う細身の男性が机に向かっていた

 

 

“おわらない”

 

 

彼の特徴的な低めで落ちついたその声を疲労で震わしながら独り言をつぶやく様はなかなかに哀愁を漂わせるものだった

 

なぜ、こうなっているかといえば期限の遠く、時間のかかる仕事を後回しにした結果あれよあれよと言う間に緊急の案件が積み上がり期限が迫ってきてしまったのだ

 

だが文句は言えない

ちょっととはいえ期限が迫っているなか遊びに出かけたり緊急ではないものに首を突っ込んだりしたため自業自得な部分もあるのだ

 

悲しいことに彼も人であった

 

 

「ちょっと先生?何をさっきからブツブツと。そんな暇があるなら手を動かしてください?」

 

“でもーだってー”

 

「でももだってもありません!あの子達を甘やかした事まだ許してないですからね!」

 

“そんな!”

 

 

凛々しい目元ながらに幼さを残した顔立ちの少女───早瀬ユウカは呆れた様子でため息をつく

 

 

「今日中に終わりそうですか?」

 

“うん、なんとかね。ユウカのおかげだよ”

 

「忙しい時期なのは分かりますけどあまり溜め込まないでくださいね?後で大変になるのは先生なんですから」

 

“あはは、気をつけるよ”

 

 

そんなふうに気分を変えながら仕事を進めていく

 

いくら当番制という救済措置があろうとも連邦生徒会の下部組織である以上彼女らが手伝えることは限られる

 

しかしシャーレ膨大な仕事の中で計算や実働としての戦力は何よりもありがたい存在であることが実情だった

 

 

「先生、資料の整理終わったよ〜」

 

“ホシノ!ありがとう助かったよ”

「うへへ、無理言って当番に回してもらったからにはこのくらいおやすい御用だよ〜」

 

 

ホシノは頬をかきながらいつもどうりのふやけた笑みで応えてくれる

 

二日ほど前に近々自分が当番に入れないかと聞かれたときは何かあったのかと心配していたが何か悩んでいる様子ではないことに安心する

 

ただ二人で話したいことがあると言われていたこともあって何かがあるのは間違いない

 

その内容を聞くためにも早くこの仕事を終わらせなくては

 

 

「ユウカちゃん、次何かすることない?」

「えーと、今日の内に終わらせないといけない分は大丈夫みたいです。ホシノさんは…」

 

「おじさんはちょっと個人的に先生に相談したい事があるんだ〜」

 

「分かりました。それでは私は一足先に帰りますからあとは頼みましたよ」

 

「うん、ありがとう。急でごめんね〜」

 

“ありがとうユウカ!お疲れ様!”

 

…本当に早く終わらせなくては

 

 

 

 

 

“終わった!!”

 

「お疲れ様〜」

 

 

結局仕事を終わらせることができたのはそれから2時間後くらいの事

 

すっかり夜は暮れシャーレのオフィスも一部の必要な蛍光灯以外は消灯されている

 

 

“そうだホシノ、結局話したいことってなんだったの?緊急って訳じゃなさそうだったけど”

 

 

椅子にもたれ掛かる彼にコーヒーをいれていたホシノは今思い出したかのように目を丸くしていた

 

…本当に緊急って訳ではなさそうだ

 

 

「あー、ごめんね〜そういえばそうか忘れてたよ」

 

“あはは、今日は忙しいかったからね。ホシノもお疲れ様、本当に助かったよ”

 

「うへへ、お役にたてたようで何よりだよ」

 

“それで何を相談したかったの?”

 

「それがね〜今日アビドスに新入生が入ってさ」

 

“へー…え!?初耳なんだけど!?”

 

「あはは、まぁその子と会ってからほんとに3日くらいしかたって無かったからね〜」

 

“…うーんなるほど…その子っていったいどんな子なのかな”

 

 

本当にどんな子だろうか。ヒフミくらい素直でしっかりしていてなおかつ大人しい()子なら新しい環境に馴染むのが早いだろうが…しかしこの時期に転入生となるとどんな事情があるのかとか色々と不可解な部分がある

 

 

「えっとね、まずどうやってその子と会ったのかを話そっか」

 

 

 

「って訳で今アビドスに入学して貰うことにしたの」

 

“そっか”

 

 

いつか聞いた黒服の言葉を思い出す

『私たちはあなたと同じ、キヴォトスの外部の者…ですが、あなたとはまた違った領域の存在です』

 

突然現れたと聞かされ、キヴォトスの外ではないどこかから来たとなるとゲマトリア(ろくでもない奴ら)との関連性が気になってくるのは仕方の無い事だろう

 

彼は心配の言葉がこぼれるのをぐっとこらえた

それはまだ見た事もない子の事を怪しむことに繋がってしまう

だから代わりに良く知っているものに焦点を向けることにした

 

 

“…ホシノが大丈夫って思ったのなら大丈夫なのかな…?”

 

「うへへ?もう、買いかぶりすぎだよ〜。でもあんまり安心はできないかも」

 

「ほらマリサちゃんをアビドスに入学させたって言ってたでしょ?アレって言ってた以外に理由があるんだけど、多分マリサちゃんってシロコちゃんと同じようなタイプなんだよね〜」

 

“シロコと?”

 

「うん、ほらシロコちゃんって結構破天荒なとこあるからさ?先生も知ってると思うけど割と常識外れなことやらかすんだよね」

 

“あー…”

 

 

ことあるごとに銀行強盗を企む彼女のことは彼も良く知っている。いや、悪い子では無いのだ。普段は純真で仲間思いなことは明らかなのだがどうにも手が早いところがある

 

そんな子と似ているところがあるとなると確かに1人で放置するというのはかなり、いや大分不安だろう

 

 

「いや、ごめん先生シロコちゃんと似てるって言ったけどちょっと違う気がしてきた」

 

“え?それはまたどうして?”

 

「いやーハハ。ちょっとあの子無断で入るなって言われたとこに入るみたいな事とかめちゃくちゃ怪しいとこに怯まず出かける事とか色々となんか恐れ知らずっていうか…」

 

“危ないって分かっててもやりそうなの?“

 

「シロコちゃんはほら記憶喪失ってこともあると思うんだけどマリサちゃんは、なんか、確信犯なんだよね…」

 

“…なるほど”

 

 

悪い子ではないと言う話だが確信犯的でどこか危うい子、か

 

 

“…本当に大丈夫そう?”

 

「…分からない」

 

“「…」”‬

 

“ま、まぁほらちょっと信じてみる事も大切な事だし?”

 

「う、うへへ〜そ、そうだよね〜きっと大丈夫だよ〜」

 

 

心配だ

二人の心の声は誰に伝わらずともその場にいたものならば分かりきったものだった

 

 

「まぁそういう訳だからシャーレにマリサちゃんを派遣することもあると思うから」

 

“うん、わかった!なんか押し付けられてる気がしないでもないけど分かった!”

 

「うへへ〜キノセイダヨー」

 

“アビドスに私が行った方が良かったりする?”

 

「ううん大丈夫。先生も今は忙しい時期でしょ?ユウカちゃんにも叱られちゃうよ〜?」

 

“でもなんか怪しい木の話とかでてた気がしたんだけど”

 

「こっちとしても今は何もなってないからさ〜多分何にもできないと思うんだよね〜」

 

 

確かにそうだった

アビドスの一件からカイザーは沈黙を保ち続けている。黒い噂は今のところ出ていないし何か新しい事業を進めている、というような話も出ていない

 

 

“分かったよ。でも何か困ったことがあったら言ってね”

 

「わかってる。ありがとう、先生」




☆Bloom Star

拡張マガジンとバレルにより連射性と反動制御に重きが
置かれたマリサのアサルトライフル
セリカのものとは違いスコープは倍率の低い物となっている 近距離用
黒の下地に黄色い差し色が横に一本入っている

星はマリサが元いた場所で彼女を象徴するものであったらしい

突然に現れ軌跡を残すその星はいずれかでは吉兆を知らせ、いずれかでは凶兆を呼び込むと言われている

彼女がどちらを意図してこの名前をつけたのかは誰にも分からない マリサ的には凶兆の方がいいなーと思っている
理由はかっこいいから


─────────────────

遅れて本当に申し訳ない
先生が忙しくない頃ってどこなんでしょうね
実はエキスポからはじめた民なのであんまりこの辺で出たイベント知らないんですよね
多分アビドス3章の次はアリ夏じゃないかな?
誰か教えて欲しい切実に


魔女っ子でましたね!!
実はキヴォトスの神秘って神様とか神話とかにしか宿らないのかと思っててもしそうだったら魔理沙はどう解釈しようか悩んでいたので一安心ですわこれが

魔女っ子いないからその辺の魔女っ子神秘が集まって超ぱわーあっぷみたいなこと考えてたのは秘密ね

アリウス周りの環境がわかるのありがてぇというかそこまで行ってなくて良かった。先生は普通に何もしないわけがないと思っていたので勝手に救済措置を生やすところでした危ない危ない

それではまたよろしくお願いします
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