記録者 『冒険カメラマン G』
日本近海に現れた異海ダンジョン。
そこに挑み、人食いの魔物と戦い、財宝を回収していく現代の冒険者たちがいた。
現代社会では考えられないほどの死亡率を誇る危険な仕事が生まれて早数年。特に初期の頃は装備も少なく、魔物も未知のものばかり、ノウハウが確立していなかったこともあって海域を封鎖してはどうかという議論が起こるほどに死者が出た。
しかしながら魔物を駆除せねば被害は拡大するというオケアノスの調査結果と、捕獲した一部魔物に含まれる薬効成分や化合物による驚異的な社会への利益を鑑みて、毎日の如く死者が出る冒険者による冒険は続いている。
さて、そんな危険な冒険者という職業は『自分はなりたくないけれど、どういう人がやっているのか気になる』と世界中で注目されている。
冒険者が投稿しているオケアノエックスの閲覧数もかなり伸びているしね。
かくいう私も冒険者の端くれなのだが、本業は写真家、ついでに記者もやっている。
そこで私に有力な冒険者を紹介する記事を書いて欲しいと依頼があったので、各所に許可を得て広報活動の一環として行うことにした。
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『ゴルゴン小隊』
それはオケアノスに所属する、美しく洗練されたエリート部隊(こう書けって言われたんだ)。
漆黒の強化アーマーを装備し、Aランクの魔物を軽々と屠り、ブルーホールの深淵を目指す冒険者たちの最前線に身を置く三人組である。
──本日はインタビューを引き受けありがとうございました。まずはお名前からお願いします。
半「いや知ってんだろオッサン。ちょくちょく会ってんだから」
大「そういうテイでござるよ、ヘミシュ。この前、魔寿司の食事代を奢って貰った分は協力するでござる」
半「あれ? いつ奢ってもらったっけ?」
大「ほら電子版の特典で」
──それはいいから。
小「はいはーい。あれ? 名前って本名? コードネームの方?」
半「コードネームでいいだろ。本名は記録抹消されてるし」
大「社会復帰できるのでござるかなあ……身分証とか作れなさそう……」
半「ま、ともかくだ。ゴルゴン小隊点呼!」
大「
半「
小「
半「並べてみるとウチが微妙に外れてるよな。大中小じゃなくて半分って」
大「中ぐらいだとギリシャ語でメトリオスでござるが……娶り雄……なにかエッチな意味にも聞こえるでござる!」
──はいありがとうございます。ゴルゴン姉妹として有名ですが、三人姉妹なんですよね。
半「おう。見た目的にメガが姉でミクが妹みたいに見えるけど、三つ子だから同年齢だぜ」
小「3人とも10歳頃からオケアノスの投薬や改造手術を受けてたら、ミクちゃんは成長が止まっちゃったんだよねー」
大「逆に拙者は体が大きく成長してしまったでござる」
半「だいたいウチがベースみたいなもんだと思うんだけどよ、将来どうなるんだろうなウチらの体」
小「でもさー、3人とも改造の副作用で神経とかボロボロじゃーん」
大「そうでござるなあ。耐用年数があと数年とか研究者言ってたでござるし (笑)」
三人「気にしても無駄かー (笑)」
──そのあたりはなんとかね。希望を持ってね。……ええと、それでゴルゴン小隊の由来は。
大「基本装備の強化アーマー『ゴルゴン』でござるな。拙者らがテストパイロットを務めて数年がかりで開発された水中専用機でござる」
半「もっと言うならギリシャ神話の化け物であるメデューサとかの蛇頭なやつだろ」
小「ゴルゴンアーマーも頭部に蛇みたいな触手ユニットが付いていて、それを神経接続で動かして攻撃するんだよねー。ちなみに、ミクちゃんたちみたいな専用の神経改造していない状態で使ったら大変なことになるらしいよ!」
半「借金払えなかったチンピラで実験したら、ちょっと動かしただけで脳がおかしくなってそれ以降歩けなくなってたな」
大「なのでゴルゴンの量産型強化アーマー『グライアイ』は頭部の触手が付いていないのでござるな」
──ちなみにそのゴルゴン装備、重たくないのですか?
半「水中専用だからなー陸上だと重てえんじゃねえの?」
小「はいおじちゃん! 頭部ユニット持ってきたよ! 持ってみてー☆」
──ありがとう。重たっ! ムリムリ! おじさん腰をイワす!
大「一応脚部以外を装備して陸上を走り回れる程度には拙者らも鍛えているというか……」
小「筋力や骨格を改造されているとゆーかー」
──ブラックな事情が山程出てきますね。ちなみに好きな武装とかあります?
半「ウチは触手で刺して毒をぶち込むやつだな。ドンドン相手が弱っていくのがウケるぜ」
大「拙者は長距離用水中銃でござるなあ。接近戦はイマイチ苦手で」
小「ミクちゃんは近接―! ブレードドローンを握って斬りかかるよー!」
半「……っていうかメガ、おめー侍の出てくるジャパニーズムービーとか好きでよく見てるのにカタナじゃなくて銃なのな」
大「正直、カタナを振り回すと胸が邪魔で腕が動かしづらいでござる。ミクロやヘミシュは平面だから平気みたいでござるが。ミクロがよく見ているアニメに出てくるデカパイ剣士はよくあんなに動けるでござるな」
小「アニメと現実をごっちゃにしてもらっては困りますなー☆」
──うん。そういうセクシャルな話題は私も困るからね。大くんが遠距離、半くんが中距離、小くんが近距離と綺麗に得意分野が別れているわけだね。ところで三人はどうしてオケアノスに入ったんだい?
半「えーと確かあれは十年ぐらい前か? ギリシャは経済危機で一家離散してなあ。ウチらの親父とお袋が蒸発したもんで、幼い姉妹三人飢えて彷徨ってたわけだ」
大「三人で地中海式マッサージ屋(隠語)をやるか、少女窃盗団になるかで話し合って窃盗団になったでござるなあ」
小「そして窃盗に入った先がオケアノスの倉庫で■■■■の密■を■■■■■■■■■■■■(オケアノスに見られたら危ないから消しとくよ!)」
半「■■■■■■■■■■■■って思ったより■■ンだな。そのせいで捕まってから■■■■」
大「こんなことなら地中海式マッサージ屋をやっとけばよかったでござるなあ」
半「どーせそっちも地元マフィアに見つかってエーゲ海の魚のエサだったろうけどな」
──よし、話題を変えよう。三人の趣味は?
半「パチスロ。得意中の得意だぜ。日本に来てドハマリしてな、今や名人と言ってもいいぜ」
小「引くほど負けてるじゃんヘミちゃん」
半「だが……トータルでは?」
大「(無視)拙者は時代劇の視聴と食事でござる。研究所での食事が酷いから、オフの日は美味しいものが食べたいでござる」
小「ミクちゃんは休みのときは炭酸麦茶飲みながらアニメと動画配信見つつゲームして漫画とラノベ読んでるよー☆」
半「ミクだけ小型の触手ユニット使って全部同時にやってるからな……」
大「しかも酔っ払いながら……若干キモいでござる」
──ところで三人は誰が一番強いのですか?
半「んー? まあ強さの種類によるけど……腕力ならミクだな」
小「改造されてるからねー」
大「素早さもミクロでござるな」
小「小さくて小回りが利くからね。移動は脚部ユニットの出力でみんな同じだしー」
半「触手の動かし方もミクが一番で……おいおい。ウチらミクに勝てねーぞ」
小「その分ミクちゃんは体力が低くて継戦能力がないんだよね。特攻して暴れてなるはやで勝負を終わらせるやつ!」
大「拙者は感覚器官特化型でござるな。目と耳と肌が敏感だから索敵などに優れるでござる。それ故に普段の消しゴムみたいな不味い食事が耐え難いつらさ。他の姉妹より味覚十倍はあるのでござる」
半「ウチは代謝っつーか回復力を上げられてるから、多少の怪我はすぐに治るし体力もずっと尽きねえ感じで……三人揃って実験体だな」
──(どう質問してもアレだな)食べ物といえば、魔寿司を利用されましたが寿司は好きですか?
半「おお、ありゃ美味かった! よく考えたら寿司食ったのあそこが初めてだわ」
大「拙者は和食チェーンの『海幸山幸』で食べたことあったでござるが、レベルが違ったでござるな」
小「美味しかったし、なにか体に良さげだったよね! あそこのお寿司食べたらミクちゃん、長年の常時発熱している関節痛が収まったかも!」
半「ウチも異常に心臓が鳴りまくる胸の動悸がしなくなった」
大「拙者も思わず悲鳴をあげそうな群発頭痛と夜も眠れない粘膜の炎症と火傷しそうな感覚が延々襲ってくる皮膚過敏症が治ったでござる!」
半「なんだよ全員ボロボロだったじゃん (笑) 痛み止め毎日打って仕事してたからな(笑)」
──ハハハ。あーところでこのカンペ。オケアノスから預かってきたので読んで欲しいのですが……『冒険者としてオケアノスに所属するメリットとは?』
半「んだこれ……えーと『じゅーじつしたふくりこーせー』」
大「『さいしんえーのそーび』」
小「『あんてーしたけんきゅーかんきゅー』」
半「かんきゅーじゃなくてかんきょーな?」
小「そうだった☆」
──よし、宣伝ノルマ終了……後は細々としたことを聞いていくから。
そうしてインタビューは割とどうでもいい、一番金遣いの荒い姉妹は誰かとか、戦った魔物で危険だったのはなにか、好きな娯楽作品などといった話が続いた。
──それでは最後の質問です。注目している、他の冒険者はいますか?
半「んー……そうだな、センセイってのは腕利きでやるよな。ソロでドラグアナ砲撃種倒してたし、ウチの強化アーマーに耐電波コーティングしてくれたしよ」
大「そうでござるなあ。チェスター殿はサムライっぽくて面白かったのでござるが、今はああなってしまって……ヴァルナ社は怖いでござるなあ」
小「ミクちゃん的にチンピラのお兄ちゃんかなー、一緒に戦ったことあるし。文句をブツブツ言うけど危ない状況でも楽しんでるフシがあって親近感☆」
半「チンピラって……あの雑魚パチンカーかよ。あんまり近づくんじゃねえぞ。ロリコンかもしれねーし」
大「いやあ、周囲にいる女子の傾向見るに巨乳マニアなのでは?」
半「確かに、前パチの玉奢ってくれたらウチがイイコトしてやろーかって言ったのにシケ顔してたしな。男なんて胸しか見ねえ馬鹿だろうし。じゃあメガ気をつけとけよ」
大「ちなみにヘミシュに言うイイコトとは?」
半「投げキッスだ」
小「カスがよ☆」
大「カマトトぶりでござる」
半「酷くねえ!?」
──(笑) インタビューありがとうございました。
さて今回の紹介記事はこれで終わりです。
魔物と戦う冒険者の普段は見られない一面を見ることができましたね。
次回はゴルゴン小隊の方々が勧めてくれた、謎の強化アーマーに乗る正体不明のルーキーセンセイ、ヴァルナ社の被検体でもあるチェスターマン・ユナイト氏、ベテランで『しぶとい』の異名を持つ界村アルト青年のいずれかをお送りしたいと思います。