アルト・ザ・ダイバー【書籍化】   作:左高例

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アルト・ザ・ダイバー2巻が8月31日に発売されます!
記念してWeb公開分を投稿しますが是非物理書籍、電子書籍で購入して応援していただければ嬉しいです!


第14話『アルト・ザ・2巻エピソード開始』

 

「キエエエエエエチェェェェーーーストオオオオ‼」

 

 うるさ。

 人工島『三岳島』の朝はクソみたいな猿叫から始まる。いや始まるんじゃねえよボケ。静かにしてろ。頼むから。

 実際のところ三岳島一区イカダ小屋区画の朝はこんな感じだった。ついこの前までは。

 なんでかっていうと、近所に住んでいるブラジリアン示現流使いのブラジル人、故チェスターが朝っぱらから木剣で巻藁(示現流では立ち木だが、ブラジリアン示現流では巻藁でやるらしい)をぶん殴りながらそう叫んでいたからだ。

 

 この島には騒音条例もなければ島民の陳情を受けて騒音の元をブタ箱に叩き込んでくれる警察もいない。となると騒音を止めるには自分から木剣振り回している狂人に対処しないといけないわけだが、それもやや怖いのでスルーされていた。もしくは耳栓だ。

 その元サッカー選手の剣客もついこの前、サメのオヤツになっちまったので最近は静かになっていたんだが、誰だやつのろくでもねえ遺志を受け継いじまったやつは。

 

 特に今日、さっきの叫びは酷かった。拡声器がハウリング起こしたみたいな機械音混じりで、女声の甲高さもあって超音波兵器みたいだった。

 苛ついたオレがテニスウニ(ゴムボールみたいな弾力のウニ)をぶん投げようと握りしめてイカダ小屋から飛び出た。

 

「うるせえぞボケ! 明日の南日本新聞に身元不明で載ったぞテメー!」 

 

 うすらやかましい謎の叫び主を半殺しで海に流してやろうかと思って怒鳴りつけたら、その相手が見えた。

 

「……人形?」

「チェスチェスチェスチェエエエエエスッット!」

 

 奇声を上げて設置している巻藁を木剣でぶん殴っているのは、フンドシ一丁のマネキン人形みたいな存在だった。

 女性型なんだろう、胸はサラシを巻いているが隠しようもなく全身の関節に割れ目が見えて内部骨格的なメカがある。パチスロのアニメみたいな原色カラーの髪も作り物っぽさが満点だ。

 ロボなのか? いやまあ、この島には造形こそドラム缶に手足が生えたみてえな感じだが自立駆動するロボもいるから、人型ロボが居ても不思議じゃねえけれども。

 ブラジリアン示現流の熟練者は一呼吸叫ぶ合間に三十は打ち込むという。そんな勢いで巻藁を殴って、なんか体から焦げ臭い煙を出しながらロボ女?は動きを止めた。

 冷酷な殺人マシンめいた動きで首をぐるりと動かし、目をライフルのポインターみたく光らせてオレを見てきた。メタルウニを持ってきた方がよかったかな……?

 腹話術人形よりはかなり滑らかな口の動きでロボ女は叫んだ。

 

「おう! アルトどんか! よか鍛錬日和じゃッッど────Peeee!!」

「あん?」

 

 ロボは突然警告音みたいなのを出して、ピタリと動きを止めた。そして口を動かさずにアナウンスが流される。

 

「本機はオーバーヒートを起こしました。脳波コントロールを緊急停止。オートパイロットに切り替わります。非常用冷却システム作動」

「うおっ⁉」

 

 ジュワッと油が撥ねるような音を出したかと思うと、なんか薩摩弁を喋った気がするロボの全身から蒸気みたいなのが吹き出た。

 感情の見えない人類抹殺機械みたいな顔でロボは無機質な声を出す。

 

「補修ドックへ帰還モードを起動します」

「お、おう。さよなら」

 

 フンドシマネキンはスタスタと自然な歩く動きでその場を去っていくと、どっからか慌ててすっ飛んできた黒塗りのトラック……ヴァルナ社のロゴが入っている……に乗せられてどっかへ消えていった。

 不気味そうに見ていた近所の冒険者がオレに訊いてくる。

 

「アルト……ありゃなんだったんだ?」

「知らんが……ヴァルナ社の新型ロボにチェスターの亡霊でも宿ったんじゃねえの」

「あの暗黒メガコーポならむしろ狙って悪霊憑依とかしてそうだよな……」

「気をつけろよ。ヴァルナ社の犬になったら死んでもああやって使われるから」

「こわ」

 

 そもそもこの島の管理者オケアノスも非人道的な実験を多数行っていると噂だしな。

 暗黒メガコーポの闇が垣間見えることもこの三岳島では日常の一つだった。 

 さて、メシでも食うか。貧困冒険者の友、海モヤシを太陽熱と海水で茹でたやつ。

 

 

 ******

 

 

 鹿児島県南、大隅海峡に浮かぶ巨大な人工島。

 それは海底に広がる鬼界ダンジョンへ潜り、危険で高価な魔物を狩り、財宝を回収する冒険者たちが世界中から集まる無法の島。

 邪悪な魔物。邪悪な企業。邪悪な冒険者。邪悪なパチンコ屋。そんな日々が今日も始まり、続いていく。

「プールだぁー!」

「なんで泳ぐだけでそんなにテンションぶち上げなのかわかんね」

「水を差すナ。誘ってもらったことに感謝するネ」

 

 水着姿ではしゃぐエリザにオレはシケた意見を口にしたが、チャイナ娘から足を踏まれた。

 プール。なんかイマイチ、オレの人生には縁の遠い施設だ。小中学校の頃プール授業は漁師町なもんだから地元の海でやっていた。そうやって海水浴で鍛えて錦江湾を横断するのが鹿児島キッズの試練だ。オレは余裕で二往復できた。

 しかし今日は『魔寿司』の三人組と共にオレはカネにもならんプール遊びへやってきていた。なんか、音速マグロフェア成功のお祝いバケーションらしい。

 

「つーかなんでプールなんだ?」

「仕方ないネ。この島には基本的に女の子が遊べる施設なんてないヨ」

「パチスロとか」

「それはちょっと……」

 

 エリザが困った顔をして否定的に言った。なんだよ。パチは老若男女楽しめる、ギャンブルではなく遊戯なんだぞ。

 しかしまあ三岳島は人口の大半が冒険者で、冒険者の九割九分は男だ。そのため、島内にある店はほとんど男向けのモノばかりだった。

 すなわち、飲む(居酒屋、バー)、打つ(パチ屋、カジノ)、買う(キャバクラ、風俗)なんかだ。

 

 冒険者の多くは日本人以外なので、入管を通さない限り一番近くの地方都市である鹿児島市へも遊びにいけないから島内であれやこれや、稼いだカネを乱痴気騒ぎで浪費するから女子供が入れる店ではないわな。スタバぐらいはあるけどよ。

 ちなみにキャバやゾクフーの姉ちゃんたちはほぼ日本人で、出稼ぎに来て休みの日は日本に帰っている。オケアノスと特別な契約をしていて渡航費が非常に安く、日本国内より数倍は稼げるようだ。

 島は海に囲まれているが、近くに魔物が出るとなりゃ海水浴とも行かねえからプール遊びってことになるんだろうが。貸し切りにした屋内プールを眺めて言う。

 

「三年ぐらい島にいるけど沈下区画入ったの数えるほどしかねえな」

「そうなの?」

「基本的に下の方が高い店多いんだよな……道具でも食い物でも」

「階層社会ネ」

 

 三岳島は基本的にチンピラが多い。国も文化も常識も違う連中で、しかも大抵は命よりもカネが大事な食い詰め漁師上がりみたいなのが冒険者なので、そいつらが入り浸る店は場末の雰囲気が溢れ出さんばかりだ。

 しかしながらごく一部、安定して高収入を得ている冒険者や、オケアノスやヴァルナ社の関係者で高級取りな研究者たち、更には異世界かアンダーグラウンドめいた雰囲気を味わいに高いカネ払ってやってきた観光ツアー客が遊ぼうにもそんなチンピラと同じ場所は御免被る。

 幾ら警備を置こうが、酔っ払った冒険者がいつ暴れるかわからねえ場所だと落ち着けないので、高級店の多くは沈下区画(メガフロートの地下階ってところだが、地面の下じゃないので沈下という)で店を出している。

 なんかこう、海の中をガラス張りにした水族館みてえな店とかそんな感じが多い。

 高価な商品も防犯上、地上の店舗に置いとくよりは安全だから沈下区画で保管、販売が行われている。

 そんな沈下区画は下級(カス)冒険者のIDじゃ入れないので客も選別できるって寸法だ。オレは長期活動の実績からかセーフだった。好き好んで入ったことがないだけで。

 

「これがプールか……水が沢山だな!」

 

 ついてきたセンセイがスペランクラフトジャケットから上半身を出して当然のことを確認する。記憶喪失なのもあるが、プールを見るのは初めてらしかった。

 

「実は結構沈下区画にはあるんだよな、プール設備。メガフロートのバラストにしてんのかもしれねえけど」

 

 バラストは海に浮遊する乗り物(主に船)で、バランス取るために水とか内部に入れておくやつだ。メガフロートは船ってレベルの大きさじゃねえし上部の建物がどう見てもバランス悪いから結構必要かもしれない。台風だって来るしな。

 そんなわけで沈下区画には共同プール、貸し切りプール、ミニ水族館付き飯屋など。他にもオケアノスやヴァルナ社が水中で実験するための水槽なんかがあちこちに設置されている。

 そのうちの貸し切りプールを借りて来たってわけだ。

 

「それにしても結構広いなここ……」

 

 四人で借りているにしてはデッケエプールだ。ダイビング体験用なのか数メートルは深さがあるプールに分かれていて、強化ガラスで外の海も見られるようになっていた。全体的に青っぽい照明で光っている。

 ついでにそこそこ高そうなダイバースーツも複数吊るしてある。借りて使えるらしい。

 

「……ちなみにこのプールって借りるのにどれぐらいカネ掛かるんだ?」

「そこらにある食べ物付きで一日五十万エレクだネ」

「たっけ! だいたい五十万円と考えると、リーマンの給料二ヶ月分突っ込んで一日だけピチャピチャ水遊びかよ!」

 

 備え付けのテーブルや冷蔵庫には飲食物が入っていてその代金も含むんだろうが。

 

「大儲けしたからこれぐらい大したことないネ。……ぼちぼち浪費しないとオケアノスに目をつけられるかもしれないシ」

「暗黒メガコーポの運営する島だからな。公平とか秩序とか期待しねえほうがいい」

「ちゃんとお店の仕入れで消費してるから大丈夫だと思うんだけどなあ、あたしは」

 

 世界の流通で六割ぐらいシェアを持っている巨大企業オケアノス海運が何兆ドルもぶっこんで運営しているのがこの人工島と冒険者による魔物狩り、資源回収の業務だ。

 独自通貨エレクトロンを発行して流通させることで経済活動がある程度は島内で完結するように調整されている。エレクトロンは円やドルに交換もできるんだが、島内でどれだけ消費したかで経済貢献として記録されているらしい。

 溜め込むだけ溜め込んで使わない(円やドルに変換して海外の口座に送金する)冒険者や商売人にはこっそりペナルティがあるとかないとか噂なんだが、詳細はわからん。だが暗黒メガコーポがやることだからなにが起きても不思議ではなかった。

 特に魔寿司はついこの前、音速マグロフェアで大金を一気に稼いだから目を付けられかねない。経費とかは知らんが一億エレク以上は資産があることを考えれば、これぐらいなんてことないのかもしれない。

 

「それにほら! センセイが泳ぐ姿見たいよねアルトくん! だって人魚だよ人魚!」

「外で泳いでたら一発で捕まって水族館送りになりそうではあるよな」

 

 魔寿司の居候として冒険者活動をしている期待のルーキー、謎の強化アーマー『スペランクラフトジャケット』に乗り込んでいる美人のチャンネー、センセイは人魚だ。

 今のところ世界で唯一の存在かもしれない。変な生物が次々に発見され続けているダンジョン周辺でも、センセイ以外には見つかっていない。

 オケアノスとかヴァルナなんかの人権意識をかなぐり捨てている暗黒メガコーポに見つかったら解剖とかされそうだが。

 

「そういやセンセイって監視カメラ平気なのか? この島ってあちこちに付いてるぜ」

「店にある警備ロボは行動プロトコルをいじって私とスペランクラフトジャケットへはさり気なくカメラを向けないようにしている。このプール室にあるカメラも同じ映像がループするようにしてあるから大丈夫だ」

「……スーパーハッカー?」

 

 記憶がないのに何故かメカには強いのがセンセイだ。オレの口座に入っている電子マネーを無限に増やすとかできねえのかな。無理か。

 

「ともかく、泳いでみてくださいよセンセイ!」

 

 エリザがいかにも興味津々とばかりに勧めるので、センセイは「では」とジャケットから体を起こした。

 下半身が魚になっているセンセイはビキニの上と腰にパレオっていうのか? なんかヒラヒラした布を巻き付けている。ちびっこ二人のどっちかが付けたのか尾びれにもリボンみたいなの巻いているが泳ぐのに邪魔そうだ。

 オレは伝統的に人魚ならホタテブラジャーを提案したんだが、却下された。っていうか魔物にいるんだけどなデカブラホタテって種類が。デッケエブラジャーみたいな形をしたホタテで。恐らく胸とかに吸い付いて攻撃してくるエロ系魔物。女冒険者が少ないから被害に遭うのは男になる。

 

「スペランクラフトジャケット以外で泳ぐのは初めてだな。では」

 

 言うと、センセイはキレイなフォームでプールへ飛び込んだ。水しぶきを上げて半透明の水中へ人魚がスーッと潜っていくのは幻想的で、オレたちは「おお」と声を漏らすほどだった。

 そして華麗な泳ぎを……

 華麗な……

 

「……いや泳いで……なくね?」

「なんか……ズルベタと這ってるネ」

「想像と違うなあ」

 

 センセイは川底をのそのそ動くオオサンショウウオめいた動きで、手と尾びれをうねらせてプールの底を進んでいた。 

 イルカショーみたいな派手な泳ぎを期待していたオレたちのイメージが……

 

「ひょっとしてセンセイ、泳ぎ方知らないんじゃ……」

「記憶喪失ってそんな本能レベルで忘れるものカ?」

「あっ! なんか息苦しそうにしてるよ⁉」

「ひょっとして水中で呼吸できないってことも忘れてたんじゃ」

「いいから助けてこいヨ!」

「ぐえ」

 

 ウリンからプールに蹴り落とされた。クソが。溺れた人間助けるの大変なんだぞ。溺れた人魚を助けるのは知らんが。

 優しいエリザが浮き輪を投げてくれたのでそれを引っ掴んでセンセイの沈んでいるところまで泳ぎ、しゃがむ。深さは百五十センチほどだったが、潜水してパニックなセンセイは沈んだままだった。

 抱きかかえて顔を水の外に出してやるとゲホゲホと水を吐いて酷く驚いたような、目を見開いた顔をしていた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「息が……できなかった⁉」

「そこからか⁉」

「私だって自分の種族が人魚と聞いて、色々調べたのだが人魚って普通に海の中で生活しているだろう。だから水中で呼吸ができるのかと」

「そこまで不思議生物じゃなかったってわけか」

 

 絵本に出てくる人魚の中にも、海上の瀬とかに腰掛けて呼吸しているやついるからな。

 センセイはとりあえず浮き輪に上半身を入れて、ジャバジャバと適当な動きで尾びれを動かして飛び込んだ地点へ戻っていった。

 

「泳ぐ練習も多少はしとかねえと、いざというときに困るかもしれねえぞ。冒険者だと」

「確かに」

「強化アーマー乗りが最終的にぶっ壊されたアーマーから離脱して生還したってのも時々聞く話だからな」

 

 命あっての物種だが、企業所属じゃない限り強化アーマー捨てて逃げたらその損失がゲボ吐くだろうけどな。安くて数百万、高くて億の値段がするわけで。センセイのスペランクラフトジャケットは数十億の買取価格が企業から提示されている。

 

「つーかちびっ子手前ら、ちゃんと泳げるのか? 三岳島に住んでいても暗黒メガコーポを狙ったテロとかで海に沈められねえとも限らねえぞ」

「島ごと海に沈められたら泳げていても無意味ネ」

「はい! あたし泳ぎ得意だよ! 故郷のシチリアはねえ、温泉プールが沢山あったよ! アルトくんは?」

「冒険者が泳ぎ下手だったらマズイだろ。ビーチを監視するライフセーバーの資格も持ってるぞ。まあ、講習受けりゃ取れるが」

「すごいね!」

 

 バイトに使えそうだから中学の時に取ったんだが、高校入って大津波が来てどこのビーチも封鎖されたから意味なかったんだよなこれ。高校生程度の泳力があって、応急処置や溺水者への対応なんかを学べば誰でも取れる。

 

「……ところでよぉ、ウリンちゃんよぉ」

「なにネ」

「マリンちゃんの妹のウリンちゃんよぉ」

「勝手に人の家庭を捏造するナ。我はパチンコのキャラじゃないヨ」

 

 ※ウリンの水着が密かにアニメ版海物語のウリンちゃんに似ていると思っているのはナイショだ。

 

「手前、水入って大丈夫なのか? なんか中国奥地のポイズン村の伝承者とかいう設定聞いたんだけど。手前が入った瞬間オレら全滅しねえ?」

 

 エリザが言うにはウリンは毒手を代々伝えているとかいう、中国四千年の歴史を持つ怪しげな村出身らしい。そんなやつが寿司屋になるな。 

 するとちびっ子は呆れた顔でオレを見下ろして告げた。

 

「馬鹿ネ。常に手が毒に汚染されているとかそんな不便な拳法があるわけないヨ」

「……だよな。手に毒だったらケツ拭いただけでひでえことになりそうで」

「仕掛ける前に手や暗器に毒を塗るネ。これ特製の毒薬ヨ」

「危ねえな! そんなもんプールに持ってくんなよ!」

 

 腰のポシェットから『毒』なんて書かれた小瓶を取り出したのを止めさせる。中身が流出しないよう蓋を溶接してろ。

 冒険者でも毒薬はそれなりに使われる道具で、逆に魔物の攻撃手段としてもある。毒針を刺してくるやつ、毒液を吹き付けてくるやつ、内臓潰したら周囲十メートルぐらい毒水に変えるやつとか様々だ。

 それでダイバースーツとゴーグルマスクの多くは耐毒性能を持つ。それだけじゃなく、注射式解毒薬(主に麻痺毒を緩和させる効果があり、動けるうちに帰って治療を受けろというやつ)を携行することも生存率を上げるには重要だ。オレは予算の問題で持ってないことが多いが。

 まあ……海パン状態だともちろん防毒なんてできない。

 

「センセイ! 泳ぎを教えてあげます! そしてあたしは人魚に泳ぎを教えた最初の人類になるんです!」

「なんか妙なトロフィー狙ってんな。ほら、ちびっ子も泳いでこい」

「我は泳げないからいいヨ。ジュースでも飲んでおくネ」

「なにしにプール来たの手前ら。おーいエリザ。こっちのちびも練習させとけ!」

「はーい」

 

 エリザに呼ばれてウリンも渋々とそちらへ向かう。改めて思うが、最低限でも泳げる技能を持っておくのは大事なことだ。そもそも三岳島にやってくる冒険者連中も、世界各国から泳げる連中だけが集まっているからな。

 意外と人類にとって泳ぐスキルってのは必須じゃない。水泳の授業があって、海も近い島国な日本でも泳げる人の割合は六割しかないと報告されている。ヨーロッパ平均では八割弱、北欧が九割以上。そんで海に近そうな東南アジアの国々は四割台と、アジア人より欧米人の方が泳げる人が多いらしい。結構、冒険者にもヨーロッパ人が混じっているのは納得だ。

 

 ちなみにウリンは中国人だが、中国人の泳げる割合は二割と先進国だと最低ランク。泳ぐ場所あるのか? って感じのモンゴルやネパールより割合が低い。泳ぎを教えたり、遊びで泳いだりする文化があんまりねえのかな。

 

 まあいい。オレも別に水でチャプチャプして遊びはしゃぐ趣味はねえし。ここに呼ばれたのは保護者っつーか、救助役だ。

 

 というわけで遊ばずに適当に監視しとこう。

 





【挿絵表示】

アルトくんのカッコいいシーンもあるでよ!

暫く毎日更新しますので、是非2巻を購入していただいて「このネタアウトで変更されたんだ…」とか楽しんでください!

特典小説はメロブ、ゲマ、電子BW、電子Kindle、購入後アンケートにご協力の5種類用意させていただいています
センセイとメロかったりエリザとラブコメったりウリンちゃん可愛いだったりゴルゴン三姉妹の貴重な出番だったりと種類がありますのでお楽しみくだされ!
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