アルト・ザ・ダイバー【書籍化】   作:左高例

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第22話『アルト・ザ・拠点設営ミッション』

 

 拠点作成ミッションは三つの仕事に分かれる。

 

 建設資材を周縁部から海底都市群にある拠点の予定地へ運ぶ、またはその護衛。

 予定地に到着した資材で拠点を作成する工作。

 拠点周辺及び、運搬ラインの魔物を掃討する間引き。

 

 運搬班はヴァルナ社の強化アーマー、及びセンセイが配属された。自己防衛もできる強化アーマーで資材を担いで現地まで持っていくのが効率的だ。 

 工作班はオケアノスの制作部署が工事用強化アーマーで突貫作業するらしい。

 他の冒険者やオケアノスの戦闘用強化アーマー組は魔物を狩りまくる。

 

 まあそんな感じだが、とりあえず最初の一回目は全員揃って資材運びながらゾロゾロと海底遺跡群を目指した。

 資材の種類は様々だが、ひとまず外壁を作るための強化炭素繊維の板やパイプが多く、強化アーマーが担いで運ぶのみならず、資材に水中スクーターをくっつけて現地まで持っていくことになる。

 

「それにしてもヴァルナ社も本気だな。最高級の強化アーマー『十腕王』を六機も出してやがるぜ、センセイ」

『あの腕が多いやつか』

「腕が多ければ多種の武器を持てるっつー単純な理屈で作られたんだが、中で操作する方は大変だよな」

 

 ヴァルナ社も様々な強化アーマーを出しているんだが、中でも高いのがあの十腕王と名付けられたやつだ。サハスラバーフだっけか? ヒンディー語での正式名称は。

 基本的に人間型なんだが仏像みたいに脇や背中からサブアームが伸びていて、十本の腕を操れる。一本ごとのパワーも強くて十本使えば地上で戦車を持ち上げられるとか。

 腕の制御はセミオートで大雑把な感じらしいが、ヴァルナ社のエースパイロットなアルジュナってオッサンは全部マニュアルで腕を操作して武器を自在に使える。

 

「しかしまあ、大量の資材を運ぶって仕事だと十本腕は便利かもな」

『そうだな』

 

 センセイは畳みたいなカーボンの板を数枚束ねたやつを頭の上に持って運びつつそう返事をした。

 ジロジロと見ていると、腕の一本に見た覚えのある刀……ナミヒーラを持った十腕王がオレに向けて刀を振って、通信飛ばしてきた。

 

『アルトどんも来ちょったとか! 気張っど!』

「チェスターかよ。ええ……あのアンドロイド、もう実戦に投入してんの……」

『直接泳ぐのは駄目っちゅう話じゃっど、こいに乗らされたとよ』

 

 脳髄だけになっても働かされる人生。ヴァルナ社はクソだってわかる。

 他にもオケアノスの工作用強化アーマーをゴルゴン小隊が守っていたり、強化アーマーじゃないダイバースーツの冒険者も大勢参加していたりと、これまでにない大所帯で海底遺跡群へ向かう。

 問題はだ。

大所帯で行くと魔物を寄せるんだよな、この異海ダンジョン。

 大人数で一気に攻略という手段をオケアノスがこれまで考えなかったわけはなく、何度か試して大損害を得た結果として人数が増えすぎると魔物の襲撃が増え、更には強力なやつも寄ってくることが多いとわかった。 

 

『各員に通達。前方二時方向に放電光を確認──イナズマグロが群れで来る!』

「そら来た!」 

 

 斥候やっているグレイのオッサンから通信だ。まだ海底遺跡群にも入ってないのにBランクの危険な魔物が群れを成して来やがった。

 イナズマグロは小型のマグロなんだが名前の通り、放電器官を持って周囲に電撃を放つやつだ。冒険者の装備なんて機械ばっかりだからこいつの放電を食らったら一発でお釈迦になることも珍しくない。

 

『イナズマグロは近づかないように長射程装備の二班が迎撃をしてくれ』

『おーう、野郎ども、弾代気にせずぶっ放せー!』

『ヒャッハー!』

 

 重装型のごっつい装備をした冒険者が数名、前に出て砲身の長いライフルを構える。基本的に水中銃ってのは射程が短くて五十メートル行かないぐらいなんだが、ヴァルナ社の完全水中用長射程ライフル『VA-LL(ヴァル)』は弾丸のケツが水中で燃えながら推力を得てかっ飛んでいく特別製で、数百メートルは届く。

 弾丸が高い上にライフルがデカくて取り回しが悪いのであんまり使われないが、こうして装備を分担した部隊なら役に立つ。

 水中に気泡を残して打ち込まれる無数の弾丸が、遠くから近づいてくる雷模様のマグロへ着弾する。イナズマグロは何匹も居て、弾丸をすり抜けて寄ってこようとするが、広範囲に網を投射するネットガンで動きを絡め取られて撃たれた。あれも対大型魔物向けの高価なやつだが、今回のミッションで弾代はオケアノス持ちなので景気よくぶっ放している。

 

『次は九時方向からタナカシンベエザメだ。デカいぞ! これはゴルゴン小隊に頼むよ』

『へいへい、りょーかーい』

『アハハハ! 誰だよタナカシンベエって!』

『日本に昔居た、殺し屋のサムライでござる。あの魔物は全身刃物だからそう名付けられたとか』

 

 ぺちゃくちゃ喋りながらゴルゴン小隊の三人が隊列を離れて迎撃へ向かった。

 遠目に見ても全身から真っ白いトゲみたいな刃物が生えているのがわかるタナカシンベエザメ。大きさは十メートルほどもある。危険度Aランクで数十人は冒険者を殺している魔物だった。あんなのと戦いたくねえな。

 ゴルゴン小隊の主な武器はブレードタイプの大型水中ドローンと、頭部ユニットから伸びる触手アームだ。ブーメランみたいな刃物を飛ばして大型の魔物を縫い留め、触手アームから毒や電撃を打ち込み仕留める。

 蛇の尻尾みたいな脚部高機動ユニットで中距離を維持しながらタナカシンベエザメを三方向から囲んで攻撃を仕掛けている。頑丈程度の能力しか持っていない魔物では手も足も出ないだろうな。オレがやったツインヘッドシャークもあいつらが仕留めとけよ。

 

『あとは……バーニングサバが大量に来ている。これは戦闘員全員で近づかせないように』

「焼き鯖かよ。面倒だな」

『焼き鯖?』

 

 センセイの疑問に解説してやる。

 

「近づいてきたら異常発熱して水蒸気爆発を起こす機雷みたいなサバだ。ロケットトビウオもそうだが、自爆系魔物ってなに考えて生きてるんだろうな」

 

 ついでにこのサバは小さい素早い数が多いの三拍子揃ってやたら厄介だ。

 

『大物がもう一匹! ドラグアナの近接種だ! アルジュナ、頼んだ!』

『ガンジスの流れのように了解した』

『おいも行き申す!』

 

 どういう了解だよ。

 ドラグアナの近接種は腕などに精製したルビジウムを使ってレーザー刃を作り出し、ダイバースーツどころか船すらバターみたいに切り裂くやつだ。ヴァルナ社のエースとブラジリアン示現流が迎撃に出た。

 雑魚とデカブツが次々に来て戦力が分散されていく。クソ、運搬作業は一時中断でまずはサバ退治だ!

 近づいてくるサバの群れに向けて音響爆弾VS-Gをぶん投げてから銃を構えた。前方で無数の爆発が起こり、衝撃波がビリビリ来やがる。

 

「お亡くなりになりやがれえええ!」

『いいぞアルト! おっと、ステルスタイプのカレイドスコープも海底から近づいてきているから気をつけろよ!』

「センセイ、頼んだ!」

『あの見えにくいやつか』

 

 カレイっぽい魔物で鏡面の鱗をしていて周囲の景色を映し出し隠れている魔物だった。センセイがブラスターを向けて打ち込むと、周囲に緑色の光が飛び散った。

 

「反射しやがった⁉」

『むう。ピキャストで破壊する』

『トビーも近接武装を使うのです』

 

 ツルハシを構えたセンセイが近づく魔物を片っ端から削り取っていった。トビーも素早く動き回り、推進装置付き水中用鎖鎌を振り回していた。

 

『さあ止まらず進んでくれよ、立ち往生していると更に魔物が来るぞ』

「手前も戦えよオッサン!」

 

 索敵係として見張りをやっているオッサンへ怒鳴りながら──いや見張りも大事なんだが──オレたち拠点設営チームは進んでいくのであった。

 しかしまあ、ゴルゴン小隊はタナカシンベエザメをぶっ殺して戻ってきているみたいだし、アルジュナとチェスターも危なげなくドラグアナと切り結んでいる。イナズマグロを仕留めた部隊もサバへと攻撃を開始した。

 鬼強えやつらも揃っているんだからラクショーだろ。弾代は全部会社持ちだしな!

 

 ******

 

 ──そんで、魔物に襲われながら海底遺跡群へ辿り着き、魔物に襲われながら拠点予定地へ辿り着いた頃には、鹿児島弁でいうところの『ちんがら』になっていた。めちゃくちゃってことだ。

 

 負傷して途中離脱した冒険者十二名。死亡したやつ二名。大破し放棄されたオケアノスの工作用強化アーマー三機。中破した十腕王二機。人命を無視した被害額でも億が飛んだんじゃねえの?

 

 最初は良かったんだが次から次に魔物の群れがやってきて、次第に対処しきれなくなってこのザマだ。どうにか半壊前には拠点に辿り着いたのはラッキーだったな。

 拠点の予定地はオケアノスが今までよりもデカ目の建物を作ろうと決意したのもわかる感じの、体育館ぐらい広さのある建物だった。そこに建材を放り投げて、集まった連中が揃ってげんなりとしている。

 さすがに腕利きのゴルゴン小隊やアルジュナの十腕王なんかは無傷なんだが、そいつら強え兵隊が無事だからって拠点を組めるわけじゃねえしな。

 

「なあこれどうすんだ? 資材どんぐらい運び込めたんだ? ひょっとして全部か?」

 

 資材をチェック(途中で放棄してきたのもある)しているグレイのオッサンに聞いてみると、オッサンは水中用タブレットをポチポチ操作しながら答えた。

 

『ざっと三割ぐらいかな。次からは防衛に人数をより回すから……あと五回ぐらい運搬すれば最低限の機能は確保できる』

「あと五回なら六十人リタイアして十人死ぬわ! 計画見直せ、計画。この拠点の位置を登録して無人機で運ばせるとかよー」

『どうもこの前のスーパームーンから、ドラグアナの統率種が電波を発しているらしく無人機がやたら故障するようなんだアルト青年』

「空の上から輸送機で材料落として沈めるとか」

『簡単な建材だけならまだしも、発電設備や空気精製装置、3Dプリンターや減圧器などの精密機器も多いからねえ』

 

 それにしたってこんなデスマーチ続けていたらどんどん護衛はリタイアしていくし、危険度アップする。参加する冒険者の質も下がっていくだろうに。

 オケアノスとしても拠点設営の進展が遅れるのは大きな問題だった。なにせ約四百十二日ごとにスーパームーンで拠点が流されるんだから、設営に半年とか掛けていたら使える期間もその分縮まる。

 

『他のみんなもなにかいい案があったら出して欲しい。使えそうなのにはオケアノスから特別ボーナスを支給させよう』

 

 そうグレイが言うので、参加している冒険者連中もなにやら考え込み出した。

 すると、センセイが機体の腕を上げて提案する。

 

『海底の下にトンネルを掘って、この地点と魔物の出にくい周縁部を繋げばどうだろうか』

『ううむ、そのトンネルの掘削工事だけで相当時間が……』

『私がやってみよう』

 

 そう言うとピキャストを掲げて、足元に叩きつける。

 

 勢いに比例したパワーが出るのか、ごっそりと海底がエグれて穴が空いた。

 

『え⁉』

 

 誰が叫んだのか、そんな声があちこちから響いた。

 センセイは穴の周囲をピキャストで削って広げながら飛び込み、地下五メートルほどに広さも五メートル四方のスペースを一分ほどで作り上げた。

 

『資材運搬船はあっちの方角だったな』

 

 センセイが確認すると地下をゴリゴリと削って自分のスペランクラフトジャケットが余裕で通れるぐらいのぶっとい穴を掘削し始めた。

 人が歩くほどの速度だろうか。目に見えて穴は前方へと掘られ進んでいく。

 

『こ、これはさすがにオケアノスも想定外の能力だったかなあ……』

 

 グレイは若干引きながらもそう呟いた。

 

 嘘だろ。解決したぞ。輸送問題。

 

 ******

 

 数時間ぐらいセンセイが穴を掘ってるのをグレイのオッサンや他数名と、念の為の警備でついて行ったらとうとう周縁部のほぼ安全な座標まで辿り着いた。

 ボコッと穴を開けて顔を出すと上の方にオケアノスの運搬船の底が見える。

 

『なんとか辿り着いたな……むう』

「どしたん? 話聞こうか?」

『さすがにピキャストを連続使用しすぎて、機体のエネルギーがかなり乏しくなった』

 

 センセイはオレにだけ聞こえるように通信を送ってきた。

 どうやらこのドラえもんの道具めいたトンデモツルハシはセンセイ本体のエネルギーを使っているらしく、今回みたいに数時間も稼働しっぱなしではガス欠になるようだ。

 

「ん? あのハンギョドン……じゃなかったイルカ人が使ってたときは?」

『ピキャスト内部にもバッテリーがあるから、残存したエネルギーを消費していたのだろう。短時間ならばアルトなどに貸しても使えるが』

「なんにでも便利な道具には制限があるってことだな。いや十キロ以上トンネル掘って言い出すのもなんかアレだが。普通の重機使って掘るならどれぐらい掛かるんだよ工期」

 

 オレのボヤキが聞こえたのかグレイが腕を組みながら答えた。

 

『そうだなあ、ざっと海底トンネル用のシールドマシンが、最大効率で稼働させて一日で十メートルしか進まないから、百日で一キロ……次のスーパームーンまでには掘り終わらないことになるね』

「ほえー」

『そんなんだからオケアノスも、地下を掘り進んでいこうというプランは出さなかったのだけれど……こうなると計画に大きな変更が必要だなあ。よし、ひとまず外部冒険者は今日のところはこれで仕事終了にしよう。プランを練り直すからね』

 

 まあ……護衛しながら資材を運ぶ計画だったのがまず大被害で士気激減。更には安全っぽい地下ルートが開通ときたもんだ。人員の配置から全部考え直さねえと非効率的だな。

 

「それはいいけどよ、センセイがシールドマシンの数百倍活躍したことはちゃんと上に報告しとけよ。報酬とかな」

『ははは勿論だよ。なんならこのトンネルを使うことで、拠点設営後も安全に物資や人員を行き来させられるわけで、有効性は計り知れないね』

 

 まあ、そりゃそうだな。これまでも拠点には補給物資販売や、拠点での魔物買い取りスペースがあったわけだが、それらも楽になる。

 オレがオケアノスなら次にスーパームーンで通路が消えたあともまたお願いして掘ってもらうぞ。もしくはピキャストを盗んで解析するか。センセイの安全には注意しねえとな。

 

「……ところでセンセイ。もうちょい活動できそうか?」

『戦闘をしないのならば可能だ』

「じゃあよ、さっき集団で通ったルートをもう一回辿って、取り損ねた魔物の死骸拾ってから帰るか。急いでたから回収とかしてなかっただろ」

『そうだな! それを持って帰って寿司にしてもらおう!』

 

 そういう事になり、現地解散でオレはセンセイの背中に掴まって現場へ向かった。オレらが通ったルートは、強化アーマー乗りを含む腕利きの連中が荒らしに荒らしたもんだからお宝が大量に散らばっているはずだ。

 

 ******

 

 三岳島に冒険者は何人居るだろうか? まあ、恐らく数千人ぐらいか。そのうち最低でも一日数百人ぐらいは異海へ潜りに出るはずだ。

 そんだけ人数が多いとどうなるかって言うと、美味しい狩り場はマッハで見つかって集まってくる。

 

「うげっ! ハイエナどもが!」

『うようよ居るな……』

 

 オレらエリートチームが暴れた後の、魔物の死骸が散乱しているエリアでは雑魚冒険者どもがスカベンジャーめいて集団で出現し、死骸を奪い合いしていた。

 中にはAランク魔物の死骸まであるんだ。一抱え持って帰るだけで百万エレク以上はするとなれば奪い合いにもなる。

 更には放棄されたオケアノスの運搬用強化アーマーすらそこに落ちている。さすがに拾って売るわけにはいかないが、持って帰るだけでもそれなりに報奨金も出るだろう。

 

「んん~……下手に奪い合いの現場に突っ込むと、獲物盗るために後ろから撃ってくるやつが出ないとも限らないんだよなあ」

『違反じゃないのか』

「あのチンピラどもにルールを守るアタマはそこまで期待できねえ。クッソー、パチ屋のホールで床に落ちた玉拾ってるタイプだぞきっと」

 

 やや離れたところで遠巻きにせせこましい落穂ひろいを見ていると、事件が起きた。

 重装タイプのごっつい装備をしている冒険者の一人が、水中銃を近くのやつらに向けてぶっ放し始めたのだ。

 不意を突かれた冒険者が血を流しながら何事か叫んで反撃をしている。どっちも結構良さげなダイバースーツを着ているせいか、致命傷にならず撃ち合いが始まった。

 

「おいおい、行かなくてよかった」

『アルト。様子がおかしい。他でも争いが始まっている』

 

 センセイの言葉に見回すと、あちこちで同士討ちが発生しパニック状態に陥っていた。手元のスマートウォッチを操作し通信機の感度を上げ、様子を探ろうとしたが、

 

「……? なんかエラーが出てるな。どっちも調子が悪い」

『遠目で見るに、重装型や高ランクのダイバースーツを着ている冒険者が妙に暴れている気がする』

「んー……あいつ、顔面に弾丸当てられて死んでるのに暴れてねえ?」

『──アルト。異常な電波が投射されている。私のジャケットは大丈夫だが、確認を』

 

 マジか。確かにスマートウォッチが操作不能になって、アプサラの通信機能も短距離の超音波通信しか使えない。この通信機の良いところは超音波でやり取りするから電波干渉されないことなんだが。

 幸いなことにオレの着ているランク4のダイバースーツは耐圧、耐衝撃だが筋力強化はローテクなもんで、機械は殆ど使われていない。空気ボンベもシンプルな作りを選んでいる。なんでかって、電撃系の魔物に襲われたときにぶっ壊れると危ないからなんだが。

 嫌な予感がビンビンする。

 

「……うげ! 無人の強化アーマーが動き出して、冒険者を殴ってるぞ!」

『遠隔操作か⁉』

「重装型の冒険者も装備を遠隔操作されてやがる! こういう能力を持つのは……機甲ドラグアナの統率種だ!」

『前もなにか聞いたな。どういうやつだ?』

「遠距離から怪しげな電波を飛ばして他の魔物を呼び寄せたり、船なんかの機械を誤作動させるやつだ。本体はグレイのオッサンがチラッと見たことあるだけで滅多に表に出てこない厄介なEXランクの魔物だ」

 

 EXランクというとダイレクトな攻撃で軍艦をぶっ壊す連中ばかり有名だが、オケアノスが最も警戒しているのが機甲ドラグアナ統率種とも噂されている。

 なにせその怪電波がどこまで機械を操れるのか、限度が不明なんだ。軍艦に積まれたミサイルや魚雷を自爆させたり、飛行機を電波で落としたりできるらしいが、例えば三岳島の原子炉を遠距離から爆発させられたらどうするのか。さすがのあのクソデカ人工島全部にアルミホイル巻くわけにはいかねえ。

 

『……アルト! 魔物の群れだ!』

「げっ! イルカ人が攻めてきやがった」

 

 ササッとオレらは岩陰に隠れながら見ると、遠隔操作の仲間割れをしている冒険者たちへ向かって武装したイルカ人の群れが数十匹ばかりも近づいてきていた。

 

「こりゃヤベえ。よし、センセイ。とっとと逃げよう」

『見捨てていいのだろうか』

「冒険者なら自己防衛しねえと……つーか仲間割れまでしてて大群に襲われてる状況で助ける方法がわかんねえ。下がってグレイのオッサンにでも警告したほうが被害も減るだろ」

 

 操られているやつらはともかく、それ以外のは散り散りに逃げれば生き延びることができるかもしれない。

 が、通信機もぶっ壊れているから警告もできない。仕方なくオレは事前にミッション用装備として渡された信号弾を銃に取り付けた。外付けのグレネードランチャーみたいなやつだ。

 

「こいつは警告音と光を出すビーコンを撃ち出すやつで、気づけばどうにかなるかもな」

 

 集団に向かってそいつを発射。多少でも警戒心あったら異常に気づいて逃げるだろう。

 

 やるべきことはやったので離脱することにした。ちっ! 副収入が消えたぜ。

 

 




ヴァルナ社のエーステスター・アルジュナさん
なんでも卒なく熟し、どんな兵器だろうと一流に扱えるんだけど欠点もなく得意分野も特にないのでキャラが地味なことを本人も気にしていて、時々インドアピールをするが滑る
実は国籍はイギリス人なことも気にしている
名前の由来は千腕王アルジュナから


Xで謎のキャンペーンも開催中! どうぞよろしく!

https://x.com/gcnovels/status/2096048168777687496


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