三区にあるギルドは普段使っている一区よりもデカいし上等な感じだ。
そもそも三区のほうがオケアノス本社や研究所に近いし、港湾設備も整っているから便利に作られている。企業所属の上級冒険者なんかは活動場所が三区のやつが多い。
これまでセンセイも来たことがなかったものだから、周囲の職員や冒険者の注目を浴びながら指定された会議室へ入った。
中には二十人ぐらい冒険者の男女が椅子に座って気怠そうな雰囲気を出していた。どいつもそれなりに強そうな連中だ。目つきでわかる。オレは友好を示すために中指を立てながら挨拶する。
「遅れたかな? メーン」
「はっはっは、二人で最後だね。説明を始めるから適当に掛けてくれ」
部屋の一番後方にもたれかかる。会議の司会役はグレイのオッサンだった。
「オケアノスの職員や上の方は、作戦を実行する手続きや根回しで忙しくてね。代わりにオジさんが作戦を説明するよ。作戦名『強く当たって後は流れで』」
「すっげ駄目そう!」
「命名したのオッサンだろ!」
「こっちの命掛かってるんだぞ!」
作戦名だけで部屋に集まった連中から非難轟々だった。
オッサンは皆を落ち着かせるようにジェスチャーをして、話を続ける。
「まあまあ、聞いてくれ。まずドラグアナ統率種が現在居るであろう場所は電波を探知して見当がついている。ダンジョン中心部、ブルーホールの深さ三十メートルほどだ」
部屋の正面中央にあるプロジェクターに簡単な図が投影されて統率種の場所を示した。
「千メートル上空にドローンを飛ばして観測してみようとしたが、電波で狂わせられて墜落した。統率種の電波強度は未知数だが、少なくとも海中よりも空中のほうが射程は長いと考えられる。水は電波を遮るからね。それで、どこまで届くかを試すのも危険だから高高度からの爆雷投下は不可能だ。日本からの許可も降りない」
まあ、幾らオケアノスに物流握られている弱腰政府とはいえ、爆撃準備万端の戦闘機を国内で飛ばす挙げ句、ひょっとしたら墜落しますって言われれば頷きはしないだろう。オケアノスは米軍ですらないんだから強行する立場もない。
「高度な誘導、推進装置をつければつけるほど統率種の電波で破壊される可能性も高い。そこでオケアノスはカタパルトを使うことにした」
プロジェクターにタンカーみたいにデケえ船の映像が出る。
「オケアノスの電磁カタパルト搭載型原子力メガヨット……科学実験船『トリトン』を使って、新型の
「おいおい!」
「なんだよ電子励起爆雷って⁉」
「よく日本が許可したな⁉」
「解説が必要かい? よおし」
と、意気揚々にグレイが電子励起爆雷とやらを説明する。異常に高エネルギーを持つヘリウム原子を人為的に作り出して個体にし、それを爆薬として使う云々……さっぱりわかんね。こちとら高卒だぞ。
海の中で核爆弾級の大爆発を起こし、放射線は出ないが衝撃波で周辺をめちゃくちゃに粉砕する作戦のようだ。
「ちなみに今回起こる爆発は、危険な魔物であるドラグアナが起こした攻撃行動ということで発表されるので、決してオケアノスの新兵器が日本近海で炸裂したわけではない。いいね?」
「よくはねえよ。津波大丈夫だろうな」
オレの地元なんかすぐ近くなんだが。
「一番高くて一メートル以内になる予定だよ。事前にテレビの緊急放送で津波警報が出る予定だ。『魔物が暴れて津波が発生します。オケアノスが魔物退治に出動しました』と」
「欺瞞を感じる……」
「国民騙してでも対処しないといけない事態ってことだね。基本的にEXランクに指定された魔物はあの海域に入らないと襲ってこないんだが、統率種は攻撃範囲が広すぎる」
まあ……下手をすれば鹿児島から種子島屋久島奄美なんかへ向かう旅客機まで落とされたら大惨事になりかねない。
他の冒険者が野次を入れる。
「で。その超すげー爆弾で統率種を吹き飛ばして、俺たちの役目は?」
「爆雷を使う直前に、そこのセンセイに頼んでブルーホールの近くまで穴を掘って進む。計算上は十メートルの土壁があれば爆発の衝撃波は伝わらないから大丈夫だ。そして爆破後、ブルーホールへ穴を繋げて突入。統率種が死んでいたらその確認、生きていたら討伐を狙う」
「生きてたらって……そんな国際的に非難を浴びそうな爆弾使って死なねえ怪物を冒険者用の装備で殺せるのかよ⁉」
「そうだ!」
「説明しろ!」
まるで国会の追求めいてオッサンに皆が言う。いや国会中継見たことねえけど。
まあ問題は国会よりも深刻だ。政治家の爺さんどもと違って、ここに集まった冒険者たちは身一つで怪物に接近しないといけないわけだから。命がけだな。
しかしグレイは爽やかな笑みを浮かべて言う。
「ポケモン博士の解説が必要かい⁉ まず研究でわかったことだがね、大型魔物は皮下脂肪と内臓脂肪に特殊なゼリー状の脂を蓄えていることが多く、これもまた種類によって成分が異なるのだが共通することとして神経細胞からの微弱な電気信号を受けて変質し圧力を緩和や遮断する能力があり、爆発や音波などの攻撃から内臓を保護していて──」
冒険者の方々は宇宙を感じた猫のような、どうでも良さそうな表情をしている。
とりあえず要約すると、デカブツに爆弾は直撃でもしない限り効果が薄い。ドラグアナ統率種は比較的EXランクの魔物でも小型だから、接近さえすれば携行火気で倒せるはず。ただし電波攻撃の危険性があるのでハイテク武器は使わずに銛とかで戦え。
そんな感じだった。つまり『後は流れで』って感じ。
「オジさんも参加するぐらいだから勝算があると思ってくれたまえ」
「あのオッサン、どんなクソ環境でも自分だけは生還するタイプじゃん……」
「うわ……しかも同タイプのアルトも参加してるぞ、この仕事」
「嫌な予感がしすぎる……」
「失礼なやつらだぜ」
オレもヤバそうならセンセイ連れて逃げるつもりだが。
続けて声が上がった。
「聞いてもいいかー?」
「どうしたんだい、
「そっちのセンセイっての? なんでその強化アーマーは使えんだよ。ウチのやつは使えねえのに」
若い女の声。ゴルゴン小隊だ。前の方に三人座っていた。強化アーマーじゃねえと存在感ないなあいつら。名前は……デカいやつが
グレイがチラッとセンセイの方を向いた。説明していいものだろうか。そういう視線だ。
それに気づいたセンセイが自分から明かす。
『私のスペランクラフトジャケットは異物というモノらしくてな。電波を感知はできるが、遮断も可能だ』
「ずりいなー、っていうかウチらも強化アーマーがねえと攻撃力足りなくねえか」
「アハハ! ヘミちゃん、統率種に機体奪われちゃったじゃん!」
「そうなのか?」
オレがグレイに訊くと、苦笑いで答えた。
「この前の資材運びのときに迎撃に出たら操作を奪われたようでね。緊急の手動パージで中の半くんは抜け出したのだが、遠隔操作で強化アーマー『ゴルゴン』を持っていかれたようだ」
「遠隔自爆装置とか付けてねえの」
「非人道的な発想をしないでくれ。オケアノスが採用したらどうするんだい」
「暗黒メガコーポなら当然仕掛けてると思ってたわ」
まあ……特別仕様のあの強化アーマーだと一機数十億とかしそうだけどよ。
それ奪われたんだから生体パーツめいた実験動物のこいつらは大変だろうな。今回も強化アーマー抜きの作戦に参加させられるぐらいだし。。
他の集まっている冒険者どもも、オケアノスと契約しているか、借金持ちなせいで断れない雰囲気が出ていた。企業と契約するとこういうカスミッションに強制参加だからやりたくねえんだよな。
いやまあ、オレなんか志願していることになっているけれど。
「作戦は今から二十四時間後、つまり明日の夜に三岳島を船で出発。異海周縁部で潜ってセンセイにブルーホールまで深さ三十メートルほどから横穴を掘ってもらう。計測した速度によれば五時間ほどで到達するはずだ。そこで連絡を取ってから待機し、夜明けと同時に電子励起爆雷『エリス』を射出。昼間にやると見られるし、夜中だと海が暗いからね。ブルーホールを爆破後、横穴を繋げて突入。恐らくまだ生きているであろう統率種にトドメを刺す。使用する武器や強化スーツはおおよそ電波干渉を受けないだろうモノをカタログに纏めておいたので、オケアノスの資材部に申請して用意するように」
「もう明日には仕事かよ。早えな」
「急いで解決しないと常に破滅の危機に晒されているようなものだと上層部は判断してね」
カタログデータが送られてきたのをスマホで確認する。電子制御なしのバネ式爆破銛発射銃やヴァルナ社イチオシの近接武装でカタナや槍、猛毒弾頭の強化ニードルガンなどだ。強化スーツやボンベなどはどれもオーガニックコンパウンド製の対電波用。最高品質とは言えないが、かなり高級なものを用意している。
「これタダか?」
「貸出という形だから、終わったら返却するように」
「ケチ」
まあいいか。弾代までは請求されねえだろ。
話は終わったようで、明日の仕事に向けて肩を落としげんなりした表情で冒険者たちは解散していく。今日のうちに可愛い姉ちゃんのいる店で最後の酒でも飲むのかもしれない。
部屋が空いてきたのでオレとセンセイはグレイに近づいて尋ねた。
「オッサン。センセイに新装備を渡す話が付いてんだけどよ」
「ああ、聞いているとも。オケアノスもバタバタしていてね、明日には作戦開始だから。作戦にも必要ということで借りてきたけれど、請求書等は後回しのようだ。はい」
と、でっかいブロワーみたいな道具が入ったゴルフバッグみたいな入れ物を会議室の長机に置いた。
センセイが器用にバッグを開き、パーツを確認する。
『ふむ』
スペランクラフトジャケットの顔に当たるモニターがピカピカ光った。なにやらチェックしているようだ。
すると、背後のバックパックから細いマジックハンドが延びてきて、そこに収納していたピキャストをアームユニットに手渡した。折りたたまれて棒みたいになっていたピキャストがツルハシの形に変形する。
なにやらツルハシで撫でるようにして確認しているセンセイを見ながらグレイに聞いてみる。
「あの道具、なにやら渡すの渋られたんだけど高いやつなのか?」
「オケアノスが開発した投射型三次元積増造型装置……『ヘパイストスの槌』と名付けられているね。建築、造船、人工島拡大の現場で使用されている画期的な道具だ。アルト青年はこの三岳島がやけに早く完成したと思わなかったかい? あの道具を使って吹き付けるように建造物を作成することで、強度はともかく恐ろしいほど高速でガワは完成するのさ」
「強度はともかくって……」
「アレで壁とか足場とか作ると重さが半分以下になるとか」
「大丈夫かよこの島」
「とりあえずガワだけ作ってあとから強度足すらしいから……とにかく、オケアノスがガチガチに未公開特許も取って他には渡していない道具なんだ」
特許技術は基本的に公開されるもんだが、公開されることによって国家や人命が損害を受ける危険性がある技術に関しては、特許として登録しつつも一定期間は未公開にできる。
「この譲渡受取証にサインをしてくれ、とのことだよ。君たちはチームだから保証人ということでアルト青年も」
「んだよ面倒だな」
「渡された道具を横流しされたら困るらしいね。それだけ貴重だから、エリートさんが色々頑張ってどうにか条件付きで手に入れたようだ。まあ、作戦が成功すれば彼の評価も上がるが」
グレイが出した紙には販売、譲渡を禁止する旨が書かれていた。オレとセンセイのチームに渡されるので、センセイではなくオレが使う分には良いらしい。使い方はさっぱりわからんが。
違反した際の罰金は百億エレク。
「ひゃくおく⁉」
「怖いねえ。盗まれないようにしときなさいよ」
いやでも百億だぞこれ……と思っているとセンセイがサラサラとサインをしていった。躊躇わずに。契約書にサインするときはもうちょっと熟慮するようずんだもんから教育を受けなかったのか?
「ううう」
胃が痛くなるような気分だったが、売っ払わなければいいだけではある。センセイにそのつもりはないだろう。後は盗まれないようGPSとか付けておくか……
オレもサインをして、正式にヘパイストスの槌……長えよ。『ビルダー』が手に入った。
『よし』
センセイはなにやら調べていたのが一段落ついたのか、頷くような仕草を見せた。
そしてピキャストでビルダーを砕いた。
「ごあああああ⁉」
「うおっ⁉」
思わず叫ぶオレとグレイ。容赦なく破壊しやがった! 百億を!
いや、破壊時の罰金は書かれてなかったからいいのか⁉
焦りながらもよくよく見ると、ビルダーでぶっ壊れたのはガワの部分だけらしい。
内部のメカメカしいのかよくわからん、黒い部品がゴチャついているところが残っている。
センセイのバックパックから伸びたアームがそれを更に大まかに分解し、なにやらスペランクラフトジャケットの腕部分がパカッと開いてそこに組み込んでいった。凄い早さで。
あっという間に強化アーマーの手には小さな(強化アーマーと比較して)スプレーガンみたいになったビルダーが握られていた。
もともとのサイズが、強化アーマーが持つエアブロアーぐらいの大きさだったことを考えるとめっちゃ小型化している。
『どれ、試してみよう』
シューッとセンセイが机の上に吹き付けると、スプレーガンを保護するためのガワみたいなのが立体的に生み出された。わずか数秒でそのカバーは作り出され、センセイは器用にスプレーガンへ取り付ける。
『大丈夫そうだな』
「なんか凄え小型に改造してねえ?」
『機構の大体の部分を機体へ収納しただけだ。やはり性能としてはイマイチだな……グレードアップするには特殊な鉱石が足りない。とにかく、これで探索や戦闘も多少は便利になった。普段の生活でも、簡単な道具ならば設計図なしで作れるだろう。椅子とか机とか金床とか』
「マジで。新台の吉宗作ってくれねえ?」
『それは設計図がないと……そうだ、装備の対電波加工もできるぞ』
「マジか。便利だな。どうやって加工すんだ?」
『アルミホイルを粉にして吹き付けコーティングする』
「……本当に効き目あるのかそれ」
センセイが電波に対してアルミホイルは無敵だと信じ込んでないか? 誰の影響だ? ずんだもん……手前か。
「おいアンタ!」
声が掛けられて振り向くと、会議室には殆ど人は居なくなっていたが、オケアノスの強化アーマー乗り三人組だけ残っていた。
「その電波対策って万全なのか? ウチらの強化アーマーに施したら今回使えねーかな」
『私が保証しても納得しないだろう。試しにやってみてもいいが』
「よし、強化アーマーは一機でも多いほうがいい。カタログの武器だけじゃ心許ねえからな。こっち来てくれ」
三人組が立ち上がって会議室から出ていくので、センセイだけにするのも不安だったからオレもついて行った。
少し歩いた別の部屋は強化アーマー用のドックらしい。どデカい機械式ハンガーに黒光りしたオケアノスの強化アーマー『ゴルゴン』が設置されていた。
ゴツい頭部ユニットから繋がった有線攻撃アームを多数操作しつつ、脚部は蛇みたいな推進装置で高速移動、胴体部は結構がら空きになっているのは、高速で突っ込んでくる魔物に対しては生身のほうが反応速度は早いから両手をフリーにしているわけだ。胴体の強度はオケアノス謹製のダイバースーツで補っている。
「勝手に改造していいのかよ」
オレの疑問に半子(とりあえず脳内で大子・半子・小子と呼ぶことにした)は言う。
「上に許可取ってたらいつまで経っても進展しねえよ。勝手にやって事後承諾。これが大企業でやっていくコツだ」
「半はそう言ってるでござるが、実際そうするとメタクソに怒られて幹部の靴とか舐めるハメになるでござる……」
「アハハハ! アタイが代表でペロペロするからダイジョーブ!」
「勤めたくねえ職場だな」
どこの暗黒メガコーポでも働きたくねえが。どうやら下っ端の提案なんて聞いてはくれないらしい。いやまあ、下っ端の戦闘員が『装備にアルミホイル巻いていいか?』とか言い出したらオレならカウンセラー呼ぶけど。
『とりあえずコーティングしてみるから、そちらで電波が通るか検査でもしてくれ』
「OK。じゃあひとまず一機頼むぜ」
靴ペロを対価にした許可が出たので、センセイはまずバックパックから徳用アルミホイルを取り出した。なんで持ち歩いているんだそんなの。いや理由は聞きたくない。
それをピキャストで叩くと分解・凝固されキューブ状の物体に変化した。アルミホイル一個でサイコロぐらいのキューブが五つ分ぐらいだ。
それをスプレーガンに付いているボンベみたいな筒に入れてアルミホイル成分を充填、吊るされている機体にアルミホイル粒子を吹き付けた。アルミホイラーは大喜びだろうな。
「なあセンセイ。アルミニウム粉末って水に入れると爆発するんだけど大丈夫なのか?」
『発熱するほど粒子が細かくないから大丈夫だ。見た目は完全に癒着するが、状態としてはアルミホイル巻いているのとそう変わらない』
「もうアルミホイル巻いて出撃しとけよ。こんなハイテク加工器具使わずに」
やがて真っ黒だった機体は銀色に染まっていった。半子が拳を握って感嘆の声を上げる。
「おおお! めっちゃカッコいい! よし、こいつを『銀王』と名付けよう! ウチの愛機だ!」
「半……お主の愛機はドラグアナに奪われたやつでござろう」
「それアタイの機体なんだけど」
酷く不満そうに大子と小子が言っているが、やたら半子は機嫌が良さそうだ。継続率九十五パーセントのモードに突入したパチスロみたいな名前を付けるぐらい。
「いいじゃん! ウチのと交代しようぜ!」
「それより対電波試験の予約を取らないといけないでござるよ……」
「そうだった。よし、センセイとやら。結果は連絡するからよ。これは心ばかりのお礼だ」
半子はそう言ってスペランクラフトジャケットの腕になにか握らせてきた。
ビッグカツだ。
『……アルトと似ているな』
「失礼なこと言わんでくれ。おいドツボ女! 工賃十万請求しとくからな!」
「勝手にしろ! どうせウチの口座は昨日負けてゼロだから無い袖は振れねえ!」
『実は兄妹だったりしないか?』
しねえよ。パチンコ愛好家が似たりよったりなだけなのかもしれない。
ともあれ、試験に付き合う意味はないのでセンセイとオケアノスの資材部まで装備を借りに行った。このミッションではほぼ魔物の捕獲はできないので、センセイの収納ボックスにオレの装備を一部詰め込んでいける。
現場でレアな魔物見つけたら装備捨てて魔物入れればいいんだ。どうせオレのじゃないんだし。戦闘中の事故で失った分は弁償しないでいい。
とりあえず使えそうな武器を見繕って帰ることにした。
「明日死ぬかもしれねえし豪華に寿司でも食うか」
『アルトが交渉してくれたおかげでビルダーを手に入れたから、今日はお礼に私が奢ろう』
「そいつはありがてえ」
『それにミッションでどうしようもなく危険になったら撤退すればいい。アルトをスペランクラフトジャケットの中に収納すればどうとでも逃げられるだろう』
「その狭い機体に二人乗りはキツそうなんだけどよ……」
『ギリギリ入っただろう。この前』
「また今度、死にそうなときに頼むわ」
どっちにしても作戦ミスって無理そうなら逃げりゃいいってのはその通りだ。命あっての物種。暗黒メガコーポに貢献して死んでもなーんにもならんからな。