今回はイベスト的なアレ。
アリスの中に眠る魔王の鍵。ケイと名付けられた彼女は無事アリスの陽キャパワーによって光堕ちし、一旦アリスと人格を共存させることになった。アリスみたいなボディ作ろうとしてもアリス自体オーパーツだから現時点では作れないしね。私の特典はキラーマシン系統しか作れないし…そもそもなんで作れてるのか私自身よくわかってないし。別に機械弄る知識があるわけでも得意なわけでもないんだよね。特典って不思議だあ…。
と、いうわけでミレニアムを騒がせていた問題は解決!被害はミレニアムから横領した資金とそれを実行したリオがユウカに説教されるだけで済んだ!まあエリドゥ自体はすごい都市だし、なんかに使えるでしょう。
それでですね。私は元々ミレニアムの生徒らとは一部以外連絡先を交換してなかったんだけども。アリスが私の連絡先をめちゃくちゃ欲しがったらしく、この度リオから「教えても良いかしら…?」と若干不安そうなモモトークが飛んできたのでokを出したところ、ヴェリタス、ゲーム開発部、エンジニア部、C&C、セミナー、エイミ等めちゃくちゃな数のフレンド申請が飛んできてビビり散らかした。まあマキやネル、ヒマリオ*1は元々交換してたけど、まさかこんな一気に連絡先が増えるとは…。
そしてこの前、フレンド申請を承認して数十分後。通話がかかって来た。家でゴロゴロしてるだけなので寝っ転がったままカックンに通話を繋げて貰えば、元気なアリスの声が聞こえてくる。
『こんにちは、キシリア!』
「はい、こんにちは。今日はどうしたの?」
『キシリアのおかげでアリスは再び勇者への道を歩み、仲間と旅を再開することができました!なのでアリスはキシリアにお礼参りをしたいです!』
『アリスちゃん!その言い方は誤解を生むよ!』
『それとキシリアの拠点はとても大きいと先生から聞きました!アリスはキシリアのお家に遊びに行きたいです!』
「ほほー。なるほどね」
確かに私の拠点は大きい。それはもう下手な学校の敷地より大きい。この学園が複数集まった規模のブラックマーケット、その数割が私の敷地である。数千体に及ぶキラーマシン達やGや超Gサイズの子達を収容してるんだから当たり前だけど。さらに言えばキラーマシンと言う無尽のマンパワーで作った建造物や地下室も相応にデカい。勿論防衛設備は要塞並み。正直エリドゥ並みかそれ以上に堅牢な自信がある。
ただねぇ…
「私の家、ほぼ迷路だよ?」
そう、私の家は私ですらカックンの案内が無いと迷う。一回カックンを連れないで歩いたら速攻で迷子になってそこら辺にいるキラーマシンに泣いて案内を頼んだ記憶がある。
『ダンジョン探索ですね!アリス、気になります!』
『アリス!そのセリフなんかダメな気がするから今後禁止ね!』
「まあ、いっか。じゃあ3日後、私の家で待ってるよ。無事私の部屋まで辿り着いたらプライステーション5キラーマシンモデルを進呈しよう。規格はそのままにスペックは5倍の最新型だよ〜。ちなみにサニーに無理言って作らせたからこの世に10台しかない」
『えぇ!?それ都市伝説じゃなかったの!?アリス、これはもう何としてでもクリアするしか無いよ!!』
『はい!アリスは決意が漲りました!』
『アリスちゃんがそのうちネットミームだけで話すようになったらどうしよう…』
そんなことがあった日から3日。つまり今日。先生率いるゲーム開発部の面々が私の家のクソデカ玄関に圧倒されていた。
◻︎
『先生!アリス達はキシリアの家にダンジョン探索に行くことになりました!先生もマスコット兼指揮官として協力を要請します!』
そんな文言がモモトークで送られて来たのは一昨日のことだった。勿論私は承諾し、探索を行う今日。そしてこの今日のために仕事をあらかた片付けた私はキシリアの家の前に立ってその規模に圧倒されていた。近未来的な青色の金属で出来た高さ10メートルはあろうかと言う外壁が目の届かないところまで続いており、門の高さは50メートルほどもある。
ゴリアテですら余裕で潜れそうな巨大な門をどう開けようかと悩んでいると、門の下部、その一部がギィと音を立てながら開いた。丁度キラーマシン一体が通れるくらいの扉が開く。よく見ればこの巨大な門は何段階かに分かれるように切れ目が入っており、出入りする個体の大きさによって開ける扉を変えるのだろう。
開いた門の向こう側に一体のキラーマシンが手招きをしており、私達は息を呑みながら門を跨ぐ。
「「「「わぁ…!!」」」」
「“すごい…!”」
外からでも外壁を超える高さの建造物は見えていた。見えていたが、中に入って見てみればその見え方は外と全く違うものだった。下手な学園より大きい敷地を持つキシリアの拠点、その中はキラーマシンの国とでも言うべきところだった。方々に続く道は整備されキラーマシンの運転するトラックが走り、青を基調とした近未来的な建物群の壁には清掃をしてるキラーマシンが張り付き、カカシに向かって剣戟を繰り出すキラーマシンに、畑を収穫するキラーマシン。先導するキラーマシンの後に続き歩く度キラーマシンへの見え方が変わる。建物も青を基本としていながらも道場のようなものや工場、宿屋(?)に武器屋。そして何故か一際大きいカジノ。それぞれが一目見てそれだとわかるデザイン性の高い建物が並んでいる。
駐車場に辿り着き、キラーマシンに促されるまま車に乗れば、噴水を凍らせ風紀ラーマシンに怒られてるキラーマシンも居れば、朝っぱらからベンチで居眠りしてるキラーマシンもいる。同じ見た目でも、まさに多種多様。キラーマシンの世界が、そこにあった。
車が停車し降りてみれば、この国の中枢とでも呼ぶべき一番大きい建物の前だった。これまた大きい入り口の前に立ち入るのを促したところで、キラーマシンは止まった。
「わかりました。これは『俺に案内できるのはここまでだ。あとはお前達だけでいけ』と言うやつですね!キラーマシンさん、案内ありがとうございました!」
「ま、案内がいたらダンジョン探索なんて言えないからね!」
私もお礼を言って中に入っていく。
真ん中にエレベーターのある大広間に高い天井。キラーマシンでも使えるような多くの椅子、テーブル。そして壁に貼り付けられてる巨大な電光掲示板。周囲には美味しそうな香りが漂っており、それは奥の厨房、そして周囲のテーブルから発せられていた。
既に多くのキラーマシンが着席し掲示板を見ながら食事をしている。
「“…食事!?”」
「えぇ!?キシリアの作る機械ってご飯食べるの!?」
「胸部がパカっと開いてそこで食べてる…す、すごい」
「!!アリス、ここがどう言う場所かわかりました!!ズバリ、冒険者ギルドです!」
アリスに言われて見てみれば、電光掲示板には依頼内容と報酬金(しっかり円だった)が表示されており、キラーマシンの目が光ったと思えば依頼の一つが【受諾】と表示され消えていく。
なるほど、超ハイテクな冒険者ギルドだ。
食事が終わったキラーマシン同士が電子音を鳴らして同時に席を立っていく。食器は返却口に返しながら。
「先生、こんなこと言うのもアレなんだけど。見てたらお腹空いて来ちゃった」
「お姉ちゃん…気持ちはわかるけど」
確かに、キラーマシンの食べてる料理は私達でも美味しそうと感じる、というか普段私たちが食べてるものと何ら変わらないものであり、お腹が空いてくる。見れば食券機のようなものも並んでおり、そこでキラーマシン達が料理を注文しているのが見て取れる。方式はまんま牛丼屋である。
まだ混む時間帯では無いのか席も券売機も空いている。ここは試しに注文してみるのもありだろうとアリス達と券売機に向かう。
…うん、高級メニュー以外無料なことを除けば本当に牛丼屋の券売機だ。その高級メニューも500円程度でしか無い。500円で300gの牛ステーキ定食ってどう言うこと??
私は500円で30貫の寿司詰め合わせ、アリスとモモイはキラーセット(今はトントン相撲用のキラーマシンフィギュアが付いてくるお子様ランチ)、ミドリとユズは2人で分け合いっこするようでカルボナーラとしらすのペペロンチーノを頼んでいた。
食券が出て来て5分後。ほぼ同時に私達の番号呼ばれる。トレイを渡される時キラーマシンがサムズアップして来たけどどう言う意味だったんだろうか。
「すごい!見てミドリ!オムライスの卵ふわトロ!」
「ほんとだ、すごい美味しそう。でもお姉ちゃん、こっちのカルボナーラにのってる卵の黄身すごい身がぎっしりしてる。フォークでそのまま掬えちゃう」
「あ、アリスちゃん、そのキラーマシンのフィギュア、見せてもらってもいい?」
「はい!このクオリティのフィギュアは中々お目に掛かれません!存分に見てください!」
モモイ達がはしゃぐ気持ちもわかる。かく言う私も目の前の寿司から目が離せない。ネタの一つ一つにツヤがあり、新鮮さがこれでもかと言うほど主張している上、一貫辺りに載せられているネタがとてつもなく大きい。シャリが隠れるほどの大きさなのに、不恰好に見えない。
先ほどからどんどん空腹を訴えてくる脳に私達はもう限界だった。
「「「「いただきます」」」」
「“いただきます”」
一口。醤油をつけて一貫大トロを頬張る。…美味しい。本当ならしつこいくらいの脂の乗ったネタが旨みで全てを上書きしている。そして噛んでいるうちに後から来る米の甘み、醤油のしょっぱさが相乗し口内から伝わる多幸感が脳まで痺れるように渡る。
「お子様ランチのナポリタンなのに何でこんな美味しいの!?トマトってこんな甘さ出るっけ!?でも砂糖みたいな甘さじゃないよ!」
「アリス、こんなに柔らかいオムライスは初めて食べました。…ケイ!?どうしてアリスの体を奪おうとするのですか!?」
「ユズちゃん、このカルボナーラ、卵の味が凄い。卵の風味がガツンと来るのに全然嫌じゃない。チーズも一級品だよこれ」
「私のも、しらすの量も凄いけど、それがしつこくもなくてしっかり味わいがあるのが一番凄いかも」
ブラックマーケットに築かれたキラーマシンの国。そこにある食堂にすっかり私達の胃袋は鷲掴みにされた。…シャーレ支店、出してくれないかな。
本当はこんなに飯描写入れるつもりはなかった。本格的な探索は次回から。
tips キシリアの拠点内の車はキラーマシンでも座れるようなデカさと椅子になっいる。
tips キシリアによってつけられたキラーマシンの味覚機能は人間よりも鋭い。味わったあとは機体内で全部エネルギーに変換される。
tips キシリアのこの食堂ではラーメンだけは取り扱ってない