【執筆休止中】AI2回行動の権化の主、肉体は脆弱。   作:KIARU

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AI2回行動の権化(中枢塔)

 社員食堂にしても豪華すぎる食事を堪能した後、食器を返却し中央にあるいくつかのエレベーターの内の一つに乗り込んだ私達は行き先に悩んでいた。と言うのも各階に何があるか全くわからず、7階まであったからだ。現在いる一階が食堂として、残る6階のどこかにキシリアの部屋があるようだが…

 

「まあ、普通に考えたらここの主であるキシリアは最上階にいそうだよね」

 

「でも折角こんな凄い場所まで来たんだし、最上階直行っていうのはなんか勿体無い気がする…」

 

「アリスもダンジョンは隅々まで探索するタイプです!2階から順に攻略することを提案します!」

 

「と、トラップとか無いといいけど…」

 

 好奇心旺盛なゲーム開発部の子達がインスピレーションが湧き出る城のようなものを前にして止まるはずもなく、2階からじっくり探索することになった。

 

 1階分の移動にしては長いエレベーターの到着を待つこと数十秒。私達は2階に足を踏み入れた。

 

「ここは…工場、でしょうか?」

 

「どっちかっていうと物流の中枢って感じがするね」

 

 外から繋がれている大きいコンベアに乗っている物品を見たことないカラーリングのキラーマシン達が検品し仕分けしてさらに別のところに送っている。

 全体がメタリックな銀色と縁が緑で彩られているキラーマシン。ただの色違いに見えるが、キシリアがわざわざ色を変えてるのは決して見た目を良くするだけではないのを、私はよく知っている。ゲーム開発部の子達もなんとなく目の前のキラーマシン達が普通のキラーマシンとは違うことを察しているようで、モモイとアリスは目を輝かせているし、ミドリは怪訝そうな顔、ユズは私の後ろに隠れている。

 ふと目の前のキラーマシンの中の一体がこちらにやって来て手を振ってくる。

 

『こんにちは、先生、それにゲーム開発部のみなさん。ようこそおいでくださいました』

 

「めっちゃ流暢に喋ってる!?」

 

『ええ、私はキラーマシンシリーズの中でも後期に作られたデュランダルモデルなので、皆さんと何不自由なく会話する機能も搭載されています。尤も、この機能が有効的に使われたのは今現在が初めてですが』

 

「えっと、他のキラーマシン達と会話したりはしないの?」

 

『私達は全員生物であると同時に機械ですので、お互いに暗号通信で意思疎通を取り合います。故に声に出して会話する必要はなく、むしろ音声を介す分意思の疎通にラグが生じます。現に今もこうして話している間、私は物流班のリーダーとして指示を飛ばしているわけですしね。そういった理由で、今まで声を出す必要は無かったのです。…ところで皆さん。もしよければ私がこのセントラルタワーの案内をさせて頂こうかと思いますが、いかがでしょう?』

 

 …普通に考えて、キシリアが一勢力として既に巨大企業に匹敵する仕事をしているのは事実。そしてその中枢がこのセントラルタワーという事なのだろう。だとすれば、探索などしたら仕事の邪魔になる可能性は十分あるだろう。そう考えればこの案内の申し出は受けるべきだ。…ゲーム開発部の面々も少し考えて同じ結論に至ったのか、okを出した。

 

『では、今日1日私のことはデュランとお呼びください*1。では、参りましょう』

 

 2階はこのキシリアタウン―――キシリアが名付けたわけではない―――の物流兼品質審査を司っており、一般作業員キラーマシンから送られる食品、工業部品、武器等を商品にする前に一度すべてここに送る。その後、デュランダル達が検品、仕分けを行い然るべきところに発送、報酬が各キラーマシンに振り込まれる。この一連の作業は一般キラーマシンだとスピードが落ちるためデュランダルのような後期モデルがすべて担当しているという。

 

『元々は従来のモデルであるキラーマシンが担当していたそうなのですが、スペックが足りず作業速度が間に合わなかったそうです。かと言って従来モデルが優秀じゃないなんてことはないのですがね。私達は強さという面ではキラーマシンモデルに負けることも多々ありますし』

 

 特に統括と呼ばれている3体のキラーマシンはキシリアタウン全体でも勝てるものが極端に少ないらしい。同じ機械の同じモデルなのに性能差が存在する。これが彼の言っている生物であると同時に機械、ということなのだろうか。

 

 2階を一通り見終わり3階へ。デュランが言うにはキラーマシンのための学校らしい。

 

 確かに通路を進めば左右に教室がいくつも見える。普通の教室と違うのは、BDを見るだけでなくBDの内容を実践したりするためのような設備があり、その分巨大ということだろうか。

 

『我々は機械の側面もあるので、知るだけならインストールして終わりです。ですが同時に、知識でしかありません。このセントラルタワーの教室では、知識を経験とリンクさせて現場でより失敗を少なくするための講義を行っています』

 

 確かに、知識で知る、目で見る、体験するではそれぞれ全く理解度が違う。…これもキシリアが思いついて作ったのだろうか?もしかしたらキヴォトスで一番実践的な学びが得られるのはキシリアのところかもしれない。

 

 4階。屋内闘技場。

 

「物騒!!」

 

「いきなり中枢に相応しくない施設が…あれ?で、でも闘技場ってここ以外にもあったような…」

 

『ユズさん、いい着眼点ですね。確かに、闘技場はここ以外にもいくつかあります。ですがここは謂わばSランクの闘技場。数千体いる全キラーマシンの中でも上位50体しか戦うことが許されないエリート闘技場なのです。他の闘技場はそのランキングに入るための闘技場とでも言えばいいでしょうか。ちなみに各闘技場の試合はカジノで賭け事になっています』

 

 賭け事の対象になっていると聞いて私は苦い顔をしていたに違いない。キシリア、未成年が考えるにはちょっと嫌な経済の回し方かな…。

 

「アリス、試合を見て見たいです!」

 

『ええ、勿論。丁度北東ブロックで試合が始まるようです。見に行ってみましょうか』

 

 透明且つ分厚い窓ガラスに覆われた観客席に全員で座り、試合を見た。勿論賭け事はしていない。

 

 対戦カードは7位のプロトキラーと15位のキラーマシン。プロトキラーの方はビナーの残骸を運んでいたのを見た気がする。

 

 プロトキラーとキラーマシンが定位置に着き合図と同時に駆けだすも、プロトキラーの変則的な動きにキラーマシンが対応しきれない。まるで自分自身の行動に乱数をかけてその乱数に合う行動をしているかのように*2、動きが全く読めないのである。それはただ速いだけよりよっぽど厄介に見え、キラーマシンは5分ほど防御しながらもカウンターをしに行ったが、かすり傷のみでプロトキラーの勝利。

 

『見ての通り、同じ50位以内且つランクが近くても、実力には相当の開きがあったりします。なのであんまりランキングは変わらなかったりして、実は賭けの対象としては別の闘技場の方が盛り上がったりするのですが…偶に番狂わせが起きるのも面白いところですね』

 

「あの!戦っていたキラーマシンさんはもう起き上がらないのですか?」

 

 先ほど負けたキラーマシンがぐったりとしたまま動かなくなったのを気にしたのだろう。アリスが涙目でデュランに問うていた。

 

『ああ、大丈夫ですよ。瀕死になったキラーマシンは一日の終わりにお嬢様にまとめて回復されますからね*3。今まで闘技場をやっていて完全破壊になった例はありません』

 

 やはりキシリアはパーティメンバーにしなければ…と呟いているアリスを連れて5階。そこは管制塔のような…違うような…雰囲気としては特異現象捜査部の部室に似ているかもしれない。

 

『この階はキシリアタウン全体で見ても少し特殊な場所なのですが…一言で言ってしまえば、宝探しを大真面目にやっている場所です』

 

「宝探し!?何それ面白そう!」

 

『実際お嬢様が面白がって作られた部署ではありますね。今となっては実用的というか必要になりましたが』

 

 ああ、合点がいったかもしれない。つまりここは…

 

「”ここはキヴォトスに眠る宝や脅威、そういったものを検証し発見する…そういう場所だね?”」

 

『その通りです、先生。先生はもうご存じかもしれませんが、このキヴォトスには脅威と呼べる存在がたくさん眠っています。それらは得てして我々にとって貴重な資源や宝であることも少なくなく、こうして情報を集め精査でき次第実働部隊を向かわせております』

 

「お、思ったより危ないことしてた…」

 

「お姉ちゃんが興味本位でキヴォトスの脅威に立ち向かうところだった…」

 

 私もいつかここを頼る日が来るかもしれないなあ…

 

 6階。

 

『管制室です。全てのキラーマシン達とネットワークを確立し、緊急時には全体に連絡をし部隊の指揮を執ることもあります。と言っても、個人プレーの多いキラーマシン達ですので、指示という指示は大雑把なものしかありませんが』

 

「うん!すごい忙しそう!」

 

「まあ、管制室だもんね…」

 

「指がすごい動きをしてます!アリスもアレくらいの速度でプログラミングができるようになるでしょうか…」

 

「アリスちゃんはそのままでいいからね?」

 

 管制室をうろつくのも仕事の邪魔になりそうだったので早々に7階に出発した。腕時計を見て見れば17時。キシリアの部屋で遊ぶ時間はそんなにないかもしれない。

 

 問題がここからだと分かったのは、7階に着いた途端だった。

 

「ゑ?」

 

 モモイが変な声を出したのもわかる。何故ならエレベーターから出て私達を出迎えたのは石でできた迷路だったからだ。多分ここがキシリアの居住スペースなんだろうけど居住スペースが迷路ってどうなんだ?そもそもこれまともに生活できるの?というか何で迷路にしようと思ったの?とか色々疑問は出てくるが…

 

『では、私はこれで。ここから先は皆さんの手で攻略してくれとお嬢様から仰せつかっておりますので』

 

「「「「「…」」」」」

 

 どうやら私達はこのクソデカ迷路を攻略しなきゃいけないらしい。

 

 2時間後、ようやくキシリアの部屋にたどり着いたモモイの第一声は「キシリア!殴らせて!」だった。プライステーション5キラーマシンモデルはちゃんと貰えたし、帰りは送ってもらったが帰るころには全員くたくたになっていた。

*1
もしここにキシリアがいたら止めたかもしれない

*2
AI1~3回行動

*3
ベホマズン




tips キシリアの私室がある最上階が迷路なのはキシリアが血迷ってキラーマシン達に「迷路にして!!」と頼んだから。最近全て壁を壊すか悩み中

tips 最上階にはキシリアの私室以外にも色々あるが、キシリアの私室含めた幾つかは右手の法則が通用しないようにできている。モモイがキレたのもこれが一因。

tips 最上階にはキシリア以外の人物の私室もあるらしい
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