チュートリアルでスライム一匹でスカウトアタックしてみよう!みたいなの毎回あるじゃないですか
初回のアレでまさかのスライムがスカウトアタック外して0%のままいかりを発動されました(キレ)
これは多分この世界に転生してからなのだが、私はそこそこ頭がいい。勉強してないだけで、勉強自体はミレニアムだろうが付いていける自信がある。じゃあその勉強をしてない分の時間はどこに充てられてるかと言うと、勿論キラーマシンの製作と研究なのだがまあそれは置いといて。
私の地頭は悪くない。だから殆ど消えかかってる前世の知識を引っ張り出しながら現在進行形で補完していけば…
「キシリアちゃん91点!凄いですよ!」
高校1年生用の模擬テストもそれなりにできてしまうと言うわけだ。キヴォトスの地理歴史なんかは前世にはないが、15年この世界で暮らしてきているので下地はある。一回私みたいな存在がいなかったかキヴォトスの歴史を調べたことがあったんだけど居なかったね。
そんなわけで私はあっという間に教える側に回った。正直特典もあって私は天才の感覚肌の人間だと思っていたが、案外論理的にわかりやすく説明できるらしい。コハルでも「なるほど」と理解できる説明ができているのだから自信を持っていいかもしれない。…でもコハルって行動はバカなんだけど、地頭悪いようには見えないからやっぱり大したことないかも…。
え?どしたのカックン。ティーパーティーの聖園ミカと先生がプールで密会してる?放っておいていいんじゃない?盗聴なんてそんな倫理の欠けた行為私はしませんよ!!…ヴェリタスの部員の1人の顔が頭に浮かんだ。脳内でギガクロスブレイクを撃っておいた。
私の方はもう勉強しなくても90点以上取れるような状況だし、コハルやアズサから質問があるまで折角だからこの前リオから貰った機械工学の本でも読んでよう。…これ著者のところに調月リオって書いてあるのに題名をネットで調べても出てこないんだけど。ちょっとー!リオさーん!これ私のために作った専用書ですかー!?しかも電子書籍だからって油断してたら1万ページくらい無いですかこれ。ただの同盟相手にここまでする?読ませてもらいますけども…
なんかカックンじゃ無いと解除できないページあると思ったらリオが公開してない技術の仕組みまで入ってるじゃねえか!!!何やってんだリオぉぉぉおおお!!
そうしてシフターフッドのマリーがアズサのトラップに引っかかったりした1日。水着パーティをした1日。なんとも騒がしい日々を過ごし、お泊まり会とはこう言うものかとまたかしこさが上がった気がした深夜。ハナコが「深夜徘徊に行きましょう!」とか言い出したので「服を着るなら…」と了承した。
深夜にキラーマシン2を連れ歩いてたらちょっと怪しい気がするので、セイアのところにもいるミニキラーマシンとカックンを両肩に乗せた。
「キラーマシン2、留守番よろしくね」
キラーマシン2の頭をそっと撫で、先生達の後に続き、夜の街を歩く。
「キシリアちゃんは、キラーマシンさん達をすごく大切にされてますよね」
「そりゃあね。キラーマシンは機械であると同時に心もある生命体。私にとっては家族みたいなもんだしね」
今となっては、というか最初から本当の両親なんてどうでもいい。現実で大好きなキラーマシンに会えて、そして彼らが私を育ててくれた。それが全てだ。
今更「私達があなたの両親なの!」なんて本当の両親が出てきても親愛は湧かないだろう。家族愛ってのは血の繋がりが生むものではないからね。
「“キシリアらしいね”」
「そう、私は私らしく、生涯キラーマシンと共に生きていく。キラーマシンのために私が生まれてきたと言っても過言では無い」
「過言でしょ。と言うかもっとマシな名前無かったわけ?殺人機械なんて…いくらカッコ良くても名前で損してるわよ」
「いやあ、こればっかりはねえ。元々キラーマシンって私が生み出した存在じゃ無いし」
「あら?」「ほう」「えぇ!?」「は?」「“は、初耳…”」
おや、五者五様のリアクション。てか私がやってること二次創作ってまだ誰にも言ってないんだっけ。いや誰かに言った気がするんだよな…あぁ、思い出した。ウチのセントラルタワーの最上階の一室を貸してる子だ。元気かなあアキラちゃん。まあそれはいいんだよ。
「キラーマシンは私が何故か作れるってだけで、別に私が考案したものでは無いよ。言ってしまえば私がやってるのは二次創作だね」
「“そうだったんだ…”」
「だから私が名付けたわけでも無いし、私がデザインしたわけでも無いんだけど、私はそのキラーマシンが大好きでね。いつの間にか作れる様になってたってわけ。…ん?ねえコハル」
「なによ」
「アレ」
私が指差した先、そこには24時間営業のスイーツ店内で正実の制服を着た色んなところがデカい女子生徒がこれまたデカいパフェを3つも食べているところだった。
「ハ、ハスミ先輩っ…!?ダイエットするって言って自分との約束を守っていたのに…!」
「いや問題はそこじゃありませんよコハルちゃん!?私達がこんな時間に外出してる事を知られたら…!」
「あら♡目が合ってしまいました。手招きされていますね♡」
「大丈夫だ、記憶を飛ばせば問題ない。決行するなら早いほうがいい」
「ダメに決まってるでしょおおおおおおお!!」
夜の街に、コハルの叫びがよく響いた。
結局店内に入って同じテーブルを囲むことになった私達は一緒にスイーツを堪能していた。私達の外出については黙認してくれる様だ。…私達がこの深夜スイーツドカ食い事件を黙っている限りは。
まあ、そんな歓談の時間も美食研究会共のせいで終わったんですけど。そしてそいつらをエデン条約目前で正実が捕えるのは政治的に良くない、と言う話らしくシャーレである我々が出ることになった。のはいいんだけど…
「逸れた」
そう、私は自他共に認める貧弱もやし!普通に体力あるあの子達とは歩幅も何もかも違う!
「しかもなんか暗い路地裏に迷い込んじゃったし…カックン、道案内よろしくね」
・どうして最初から本機の案内に従わなかったのか。これがわからない。
「いや、なんか負けた気がして…」
・今が真に敗北してる場面だと自覚したほうがいい。
そんなコントみたいなやり取りをカックンとしてると、銃弾が顔面に何十発も当たり、バリアで防がれた。スナイパーも飛んできてたな。そこそこ削れたねぇ。300は減ったんじゃない?
「今ので仕留めたつもりだったが…お前がマダムの言っていた不穏分子の一つだな。一人きりになったのは都合がいい。ここで排除させてもらう」
まー私色んなところから恨み買ってるからね!!襲撃くらいされるよね!!キラーマシンも今カックンとミニ一体ずつしかいないし!!
でもね。
「ちょっと、私たちのこと舐め過ぎかな」
「何?」
「私がいつも肌身離さず連れ回ってるカックンにはね、それ相応の理由があるの」
「ッ!?ヒヨリ、今すぐ───」
嫌な予感を感じ取ったのだろうが、もう遅い。
・周囲にいる敵性存在及びマスター達が戦闘を開始したと認定。
急に私の体が軽くなり、相手がいきなり体の力が抜けた様に、一瞬体勢が崩れる。
本来は行動順を逆転させる効果だが、この世界では、
・マスターが無傷及び敵性存在全員の弱体化を確認。
辺りに回復反転効果の紫色悍ましい霧が立ち込める。
「チェックだよ。誰の差金かは知らないけど、今日はここで退いた方がいいんじゃない?まあ退かないなら退かないで、無理やり退かせるけど」
そう言って私は目の前の黒マスクの人物にホイミをかける。少し苦しそうな呻き声を出した後、私を睨みつけながら夜の闇に消えていった。
・敵性存在撤退。戦闘体制を解除。
「あぁ〜、リバースが切れた後の脱力感エグい〜。さあ、さっさと帰ろう」
ちなみにカックンのルート案内は正確で3分で見覚えのある道に戻れた。先生達にはそこそこ心配された。
tips カックンはもう一つ害悪技を持っている。非常に強力だが現実化した事で使い所が限られるため今まで使われたのは数回だけである。
tips ミニキラーマシン「俺いる?」