感想怖すぎて見れてません。心無い感想があったら立ち直れない…
「あちゃー、こうなっちゃったか…」
「あぁ?キシリア、この状況見てその発言って事は何か知ってんだろうな?」
荒れたヴェリタスの部屋を見回して開口1番に私がそんなことを言ったもんだから、ネルが鋭い目で私を睨みつけてくる。とは言っても、私は詳しい事は知らされていない。私が持ってるのは推論だけ。ほぼほぼ真実に近いだろう、ね。
「“キシリア、聞かせて。君は何を知ってるの?”」
「知ってはいないよ。憶測だけ。そこのアリスちゃんと会うのも今日が初めてだしね。でもこの様子だと先生達も見たんでしょう?アリスちゃんがこの惨状を生み出したって事」
「“…”」
「私は2年前くらいにリオ会長と同盟を結んでてね?その内容っていうのが───」
───キヴォトスの脅威となるものの排除の協力。
先生とネルはさらに目を鋭くして私を見る。モモイは倒れてて何も言わないけど、多分起きてたら文句言ってたんだろうな。ミドリやマキ達は困惑して固まってる。
「“それは、アリスも含まれるの?”」
「最終的に判断するのは私じゃ無いけど、今のところはそうなるんじゃないかな」
カチャリ。
ネルが私に銃口を向ける。…今まで私がネルと本気で喧嘩した事は一度もない。キラーマシンをかっこいいと言ってくれた最初の人物だし、気も合う。ミレニアム内にはネルに比肩する実力者はいないし、ネルと並んで前に立てるのは私が作ったキラーマシン達くらいだった。お互い実力も人格も認め合って尊重してた。
「キシリア、てめェ…このチビ助のヘイローを壊すって、そう言ってんのか?」
「リオとの同盟を履行することになるなら、そうなるね」
ネルは少しの沈黙の後、銃を下げ先生達に解散するように言った。私はその隙にモモイにベホイミをこっそり唱えて、その場を去った。その時、ネルの私を見る目には疑念は一欠片もなく、若干の呆れが入っていた。
リオから連絡を受けた私はリオが学園の資金を横領してこっそり作った要塞都市、エリドゥに向かうよう言われた。しばらくそこで待機だって。まあ?キラーマシンを作るのに必要な資材やオーパーツを提供してくれるっていうし?そこで生活するのも吝かではないけどね?
今回は今まで作ってなかったキラーマシン系統でも作ろうかな!…あいつってキラーマシン系統でいいよね?だってゲームだとスーパーキラーマシンとかキラーマシン2とかの四体配合だし…まあ行けるでしょ!
◻︎
アリスが暴走して数日、リオがやってきてアリスを連れ去った。その命令を受けていたネルはリオの命令を裏切りこちら側についてくれたが、コールサインゼロフォーを名乗る子に無力化されてしまい、私はリオの論理に反論もできず、アリスは連れ去られてしまった。最後まで抵抗を諦めなかったのは傷が思ったより浅かったのか元気いっぱいのモモイだ。…まあリオのAMASに無力化されてしまったけれど。
リオはアリスが私の守るべき生徒ではないという。私達とは違う、何故かヘイローを持ってるだけの機械、キヴォトスを終焉に導く兵器だと。
いつ爆発するかわからない爆弾があるなら、安全な場所で解体する。言葉を変えれば、つまりそういう事なのだ。でも───
「アリスはキヴォトスを滅ぼす兵器なんかじゃない!ちゃんと心を持った生徒で、私達ゲーム開発部の仲間でしょ!ネル先輩達だってアリスの事仲間だって思ってるはず!その仲間を連れ去られて、ヘイローを破壊するって言われて、それで納得できるの!?私はできないよ!!」
そう声高らかに宣言するモモイの姿は私達の目にはすごく眩しくて、その言葉はストンと胸の中に落ちた。そうだ、このままでなんか終われない。私は先生として、生徒を人殺しになんかさせないし、死なせたりもしない。リオ、君が合理と現実でキヴォトスを守るなら、私は私のやり方で、この理想を胸に生徒を守るよ。
「ユウカ先輩のおかげでアリスちゃんの居場所がわかったし、ウタハ先輩達の協力でエリドゥへ侵入する事はできそうだけど…」
「問題はキシリアちゃんが会長側についている事、それとコールサインゼロフォー、ですか」
ミドリとアカネの発言で、私達が挑もうとしている事の大きな障害が二つ浮き彫りになる。コールサインゼロフォー、飛鳥馬トキ。ネルを制圧した時のあの動きはまるでゲームのバグやチートを利用したような動きだった。だがそれ以上に問題なのは、1人でキラーマシンを作れてしまうキシリアが向こうにいる事だ。私は彼女の作る機械がいかに規格外か、直接指揮をとったことで知っている。いかにネルがいようとも、ビナーを倒した時のような圧倒的な戦力を出されたらそれだけで敗北が確定する。
「あー、キシリアの事なら気にしなくていい。多分あいつは敵じゃねえ。今回は味方って言われても首を傾げるところだが、少なくとも勝利条件を達成することが絶対にできなくなるわけじゃねえ」
「リーダー?どういう事?」
ネルの発言にこの場にいる全員が首を傾げる。
「先生はあの日、キシリアにキヴォトスの脅威にチビスケが含まれるのか、そう聞いたな」
「“うん、聞いたよ。最終的に判断するのは私じゃないけど、今の所はそうなるって”」
「ああ、確かにそう言った。ここでミソなのは判断するのがリオとも言ってねえってところと、今の時点ではそうなるだけっていう事だ。誰が判断するのかまではわかんねえが、キヴォトスを滅ぼさないって判断されればヘイローを破壊するなんてこともねえはずだ」
「“それは…確かにそうとも取れるね”」
「さらに確認するために私はチビスケのヘイローを破壊するのかってあいつに聞いた。そしたらあいつはリオとの同盟を履行する事になるならそうなるって、そう言ったんだ」
「確か会長との同盟の内容は、キヴォトスの脅威となるものの排除の協力、でしたよね。…あれ?って事は」
「ああ、ただそうですって言えばいいところを、あいつは回りくどい言い方で、キヴォトスの脅威じゃなければその限りではないって言ってたんだ。…いいか、これは命をかけた試験だ。チビスケの命をかけて、私達でチビスケが脅威じゃねえって証明するためのな。だからあいつは私達が越えられねえ試験は出さねえ。けど容赦もしねえ。私達が合格ラインを越えられなかったら、チビスケのヘイローは破壊される。そういうモンだ」
「ちょっと!何それ!何様のつもりなのさ、アリスの命の合否なんて!」
ネルの話にモモイが憤る。ネルは頭を掻いて少し息を吐き出すと、口を開いた。
「キシリアは正直、私達と見てる世界が違うんだよ。…キシリアはな、孤児だ」
「え?」
「キシリアは物心つく前からあのキラーマシン達に育てられた。何処の誰がブラックマーケットに自分の子を捨てたのかは知らねえが、それを拾ったキラーマシンだけがあいつの家族だ。今、あいつには自分で作ったその家族がたくさんいる。あいつがお願い一つすれば、キヴォトスを滅ぼせるほどのな。人肌恋しくてキラーマシン作り続けたってんなら、何ともやるせねえ話だな。…とにかく、文字通りスケールが違うんだよ。あいつが持ってる想いも、力も」
「“…そっか”」
「ま、湿っぽい話はここまでだ。とりあえずキシリアの事は頭の隅にでも置いときゃいい。勝利条件は私達がやられるまでにお前らがチビスケを奪還する事。そんだけだ。ま、2度もしてやられるつもりはねえけどよ」
不敵に笑うネルを見て、私も一旦キシリアの事は置いといて作戦の準備をする事にした。
…ビターエンドなんかじゃ終われないからね。