融合でもお前らはダメだろ!   作:カニ漁船

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オーバースペックが過ぎるぞ!

「ヒーローにはヒーローに相応しい、戦う舞台ってもんがあるんだ!」

 

 目の前に広がるのは前世ではありえなかったソリッドビジョンによる投影。俺のテンションは上がりっぱなしである。

 

(う、うおぉ~! こ、これはもしや!)

「スカイスクレイパーシュート!」

 

 アニメでも有名なワンシーン、E・HEROフレイム・ウイングマンの攻撃が決まり勝敗は決した。古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)の身体は崩れ落ち、クロノス教諭が飲み込まれていく。無論、ソリッドビジョンなのでリアルダメージは0である。

 

 いやはや、それにしても。

 

「やっぱ凄いな~、ソリッドビジョンシステム!」

 

 モンスターが投影されることで迫力満点のエンターテインメントに早変わり。決闘(デュエル)が大ブームになるのも分かるぜ、これは。

 

(俺も早く決闘して~!)

 

 原作主人公である彼の番が終わった。俺の出番はというと、彼の後である。なのでもうすぐなのだが、早くソリッドビジョンのモンスターたちが見たくて仕方なかった。

 

 

 決闘の後始末が終わり、会場にアナウンスが響き渡る。

 

《それでは最後に。特待生枠の朝比奈遊輝さんの決闘を始めます。朝比奈遊輝さんはデュエルフィールドへ》

「はい!」

 

 お、ついに来たぜ俺の出番。さて、お相手は~っと。

 

「ワタクシがこのままやります~ノ。問題ないノーネ!」

 

 さっきまで決闘していたクロノス先生が続投でやるらしい。なんか、ここで名誉を回復してやるみたいな目をしているけど。そんなのは関係ない。

 

(アイツらの目を盗んで、夜な夜なコツコツと作ったこのデッキ! ようやくお披露目する時が来たぜ!)

 

 この世界用に新しく作ったおニューのデッキ。少しでも楽しむために、譲るわけにはいかない。

 

「それでーは、受験番号と名前をお願いするノーネ。ま、受験番号ではありませんーガ」

「はい! 特待生枠の朝比奈遊輝(あさひな ゆうき)です!」

「よろしい。ワタクシはクロノス・デ・メディチ。今回の試験官を務めるノーネ。手加減するつもりはありませんーノ」

 

 上等、望むところだ。俺は早速用意したデッキを取り出す。そして、デュエルディスクにセット!

 

ガッ!ガッ!

 

 ……なぜか入らない。

 

「どうしたのでーすカ? 早くデッキをセットするノーネ!」

「す、すみません! すぐに用意しますんで!」

 

 そう言ってデュエルディスクにデッキをセットしようとするが、エラーを吐かれたかのようにセットできない。いや、正確にはセットしても反応しない。デッキを入れることができない。

 

「おいおい」

「なにやってんだー? デュエルディスクの不調かー?」

 

 野次も酷くなってきてる。くそ、さっさと入れなきゃならんのに!

 

「動けこのポンコツが! 動けってんだよ!」

 

 どこぞの元コ〇ンドーみたいなセリフが出てしまうが、一向にセットできない。お、俺の夜なべして作ったデッキが発揮できないまま終わるだと!?

 

 それでも気合いで入れようとする。だが、最終的には。

 

〈浮気は許さない〉

「あっ」

 

 ……デッキが派手に四散した。あたり一面に、俺のデッキだったものが広がっていく。一枚、また一枚と雪のように儚く散って。いや、カードは無事だけど。

 

「……なにをやっているノーネ」

「……なに、やってるんでしょうね」

 

 カードを拾いながら聞こえてくるのは、クロノス先生の呆れた声と外野の笑い声。

 

「あはは! 特待生なのにデュエルディスクすら整備してねぇのかよ!」

「不良品なんか使うからそんなことになるんだぞー!」

「そんなに金がねぇのかー!」

 

 う、うるせぇ! ちゃんと新品じゃい! 安心と信頼のKCブランドじゃいこのデュエルディスク!

 

 せこせこ集める俺に聞こえてくるのはここにはいない……のではなく、見えない第三者の声。女性特有の高い声が、俺だけに響いてくる。

 

〈私達以外のデッキを使うのは許さない〉

〈大人しく私達を使ってね~?〉

〈……呪う〉

 

 ~~~ッ!

 

「だ~もう分かったよ! お前ら使えばいいんだろ使えば!?」

「い、いきなりどうしたノーネ!?」

「大丈夫です! 時々起こる発作みたいなもんなので!」

「怖すぎナノーネ!?」

 

 カードを拾い終わり、束をポケットにあるデッキケースにねじ込む。代わりに取り出すのはもう一つのデッキ──俺の、最強のデッキだ。

 今度のデッキはすんなりと入る。デュエルディスクも反応し、問題なく使用できることを確認した。向こう側も安堵したようである。

 

 使いたくなかった。すげー使いたくなかった。でも、使わないと決闘すらできない。あまりにも終わっている。

 

「準備ができたようなのーで、決闘をはじめマース!」

「はい。あ~もう本当にッ!」

「「決闘(デュエル)!」」

 

クロノス:LP4000

朝比奈遊輝:LP4000

 

 始まる決闘。さて、俺の手札はというと。

 

・壱世壊=ペルレイノ

・ティアラメンツ・シェイレーン

・壱世壊に軋む爪音

・壱世壊に澄み渡る残響

・壱世壊に澄み渡る残響

 

 ……もうお分かりだろう、なんで俺がこのデッキを使うのを渋ったのか? 今更どうこうできるものじゃないから諦めるけどさぁ。

 受験生が基本的に先攻だ。なので俺のターンなのだが。

 

(確か、この頃はまだ先攻ワンドローがルールだったよな)

「俺のターン、ドロー!」

 

 引いたカードを確認して、あ、はい。

 ……やるしかないかぁ。

 

「まず俺はフィールド魔法、壱世壊=ペルレイノを発動します!」

 

 

壱世壊《いせかい》=ペルレイノ

・フィールド魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、このカード名の③の効果は1ターンに1度しか使用できない。

①:このカードの発動時の効果処理として、デッキから「ティアラメンツ」モンスターまたは「ヴィサス=スタフロスト」1体を手札に加える事ができる。

②:自分フィールドの融合モンスター及び「ティアラメンツ」モンスターの攻撃力は500アップする。

③:自分フィールド・墓地の「ティアラメンツ」モンスターがデッキ・融合デッキに戻った場合、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

 

 ソリッドビジョンで映し出されるのは現実離れした光景。水が宙に浮き上がり、一本の根のようなものが頂上まで貫通している。俺達が立っているのは最上層だ。

 

「な、なんなノーネこのフィールド魔法ーは!?」

「今から説明しますので。まず発動時の効果処理としてデッキからティアラメンツモンスターまたはヴィサス=スタフロストを手札に加える。俺はティアラメンツ・レイノハートを手札に」

 

 加えたのは鞭を持ったイケメンのカード。これをやるしかあるまいて。

 

「さらに、俺は手札からティアラメンツ・シェイレーンの効果を発動する! このカードは自分のメインフェイズに一度だけ、手札から特殊召喚ができる!」

〈遊輝は私が守るわ!〉

 

 出てきたのは長髪の少女。色素の薄い肌、可憐な見た目には似つかわしくない剣を持ち、やる気十分に俺を守るとか言ってる。

 

ティアラメンツ・シェイレーン 闇属性 レベル:4

水族・効果モンスター

ATK/1800 DEF/1300

このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

①:自分メインフェイズに発動できる。このカードを手札から特殊召喚し、自分の手札からモンスター1体を選んで墓地へ送る。その後、自分のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る。

②:このカードが効果で墓地へ送られた場合に発動できる。融合モンスターカードによって決められた、墓地のこのカードを含む融合素材モンスターを自分の手札・フィールド・墓地から好きな順番で持ち主のデッキの下に戻し、その融合モンスター1体を融合デッキから融合召喚する。

 

 

「ただし、この効果で特殊召喚した場合手札を1枚捨て、デッキの上からカードを3枚墓地に送る必要があります。3枚墓地へ」

 

 さて、落ちたカードは……げっ!?

 

・ティアラメンツ・クシャトリラ

・壱世壊=ペルレイノ

・古尖兵ケルベク

デッキ 33→30

 

 ……分かった分かった、もうここまで来たら突き抜けますよ。

 

「今墓地に送られたティアラメンツ・クシャトリラと古尖兵ケルベクの効果を発動! クシャトリラの効果でデッキからカードを2枚墓地へ、ケルベクの効果でお互いにデッキからカードを5枚墓地に送る!」

「わ、ワタクシもなノーネ!?」

 

 はい、あなたもなんです。ケルベクの効果だけだけど。

 

 

ティアラメンツ・クシャトリラ 水属性 レベル:7

サイキック族・効果モンスター

ATK/2300 DEF/1200

このカード名の①②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

①:自分・相手のメインフェイズに発動できる。このカードを手札から特殊召喚し、自分の手札・墓地から「クシャトリラ」カードまたは「ティアラメンツ」カード1枚を選んで除外する。

②:このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。自分または相手のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る。

③:このカードが効果で墓地へ送られた場合に発動できる。自分のデッキの上からカードを2枚墓地へ送る。

 

 

古尖兵ケルベク 地属性 レベル:4

天使族・効果モンスター

ATK/1500 DEF/1800

このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

①:手札・デッキからカードが相手の墓地へ送られた場合、相手フィールドの特殊召喚されたモンスター1体を対象として発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。その後、対象のモンスターを持ち主の手札に戻す。

②:このカードが手札・デッキから墓地へ送られた場合に発動できる。お互いのデッキの上からカードを5枚墓地へ送る。その後、自分の墓地に「現世と冥界の逆転」が存在する場合、自分の墓地から罠カード1枚を選んで自分フィールドにセットできる。

 

 

 7枚墓地に送る。これで連鎖したらアレだが。

 

・古尖兵ケルベク

・ティアラメンツ・ハゥフニス

・大嵐

・強欲な壺

・シャドール・ビースト

・古尖兵ケルベク

・ティアラメンツ・メイルゥ

デッキ 30→23

 

 連鎖はしなかったか。連鎖はしなかったけど……うん。

 

「俺は今墓地に送られたシャドール・ビーストとティアラメンツ・ハゥフニスの効果を発動!」

「また発動するノーネ!? というか、そのカードはなんですーノ!」

 

 はるか未来のやべーやつら、ですかねぇ。とにかく効果を発動だ。

 

 

シャドール・ビースト 闇属性 レベル:5

魔法使い族・効果モンスター・リバース

ATK/2200 DEF/1700

このカード名の①②の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

①:このカードがリバースした場合に発動できる。自分はデッキから2枚ドローし、その後手札を1枚選んで捨てる。

②:このカードが効果で墓地へ送られた場合に発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。

 

ティアラメンツ・ハゥフニス 闇属性 レベル:3

水族・効果モンスター

ATK/1600 DEF/1000

このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

①:相手がフィールドのモンスターの効果を発動した時に発動できる。このカードを手札から特殊召喚し、自分のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る。

②:このカードが効果で墓地へ送られた場合に発動できる。融合モンスターカードによって決められた、墓地のこのカードを含む融合素材モンスターを自分の手札・フィールド・墓地から好きな順番で持ち主のデッキの下に戻し、その融合モンスター1体を融合デッキから融合召喚する。

 

 

 さて、まずは1回目だ。

 

「まずはシャドール・ビーストの効果で1枚ドロー。その後ハゥフニスの効果により、手札・フィールド・墓地から融合召喚を行う!」

「融合を使わずに融合召喚だと!?」

「インチキ効果もいい加減にしろ!」

 

 うるせぇ知ったことか!

 

「俺はハゥフニスとシェイレーンをデッキに戻して融合召喚!」

〈あぁそんな!? 遊輝を守るために来たのに~!〉

〈……抜け駆け許さない〉

 

 すまんシェイレーン、これがこのデッキなんだ。

 ハゥフニスに連れられるシェイレーン。俺が召喚するのは……当時ですらオーバースペックと言われていたアドの塊。

 

「融合召喚! 現れ出でよ、《ティアラメンツ・キトカロス》!」

〈うふふ……我ら以外のデッキを使おうとする蛮行、これで許して差し上げましょう〉

 

 

ティアラメンツ・キトカロス 闇属性 レベル:5

水族・効果モンスター・融合

ATK/2300 DEF/1200

「ティアラメンツ」モンスター+水族モンスター

このカード名の①②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

①:このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「ティアラメンツ」カード1枚を選び、手札に加えるか墓地へ送る。

②:自分フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。自分の手札・墓地から「ティアラメンツ」モンスター1体を選んで特殊召喚し、対象のモンスターを墓地へ送る。

③:このカードが効果で墓地へ送られた場合に発動できる。自分のデッキの上からカードを5枚墓地へ送る。

 

 

 うん、冷静に考えてコイツの効果おかしいだろどう考えても。お世話になったけどさ。

 

「キトカロス第1の効果によりティアラメンツ・シェイレーンを手札に。2つ目の効果でキトカロス自身を対象にもう一度シェイレーンを召喚! 対象となったキトカロスは墓地に送られる!」

「アイツ何してんだ? わざわざ攻撃力の低い方を場に出したぞ?」

「おいおいプレイングミスか~?」

 

 シェイレーンが信じてたわみたいなキラキラした目で見ているけど悪いな。お前の出番はもうすぐ終わる。

 

「キトカロスの効果を発動! デッキからカードを5枚墓地へ送る!」

「どんだけ墓地に送るんだよアイツ!」

「セルフデッキ破壊は高度プレイが過ぎるぞ!」

 

 こういうデッキなんじゃい。

 

・天使の施し

・ティアラメンツ・メイルゥ

・壱世壊を劈く弦声

・ティアラメンツ・シェイレーン

・壱世壊を揺るがす鼓動

デッキ 25→20

 

 落ちはまぁまぁ許容範囲。さて、と。

 

「墓地に落ちたティアラメンツ・メイルゥの効果を発動! ハゥフニス同様に融合召喚を行う!」

「なんデスーと!?」

 

 

ティアラメンツ・メイルゥ 闇属性 レベル:2

水族・効果モンスター

ATK/800 DEF/2000

このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

①:このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。自分のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る。

②:このカードが効果で墓地へ送られた場合に発動できる。融合モンスターカードによって決められた、墓地のこのカードを含む融合素材モンスターを自分の手札・フィールド・墓地から好きな順番で持ち主のデッキの下に戻し、その融合モンスター1体を融合デッキから融合召喚する。

 

 

 これで2回目の融合召喚だ。ま、こんなものでいいだろう。

 

「俺は墓地のキトカロスとメイルゥをデッキに戻して融合召喚!」

 

 出てくるのは──凛々しくなったキトカロス。シェイレーンのような剣を持ち、さらに煌びやかになったドレスを身に纏っての再登場だ。

 

 

ティアラメンツ・ルルカロス 闇属性 レベル:8

水族・効果モンスター・融合

ATK/3000 DEF/2500

「ティアラメンツ・キトカロス」+「ティアラメンツ」モンスター

このカード名の②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

①:このカード以外の自分の水族モンスターは戦闘では破壊されない。

②:モンスターを特殊召喚する効果を含む効果を相手が発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する。その後、手札及び自分フィールドの表側表示のカードの中から、「ティアラメンツ」カード1枚を選んで墓地へ送る。

③:融合召喚したこのカードが効果で墓地へ送られた場合に発動できる。このカードを特殊召喚する。

 

 

 こちらを向くルルカロス。万人を魅了するような微笑みを浮かべ。

 

〈貴方は私が守りますよ、遊輝。我らの愛しいマスター〉

「アッハイ」

 

 もう会話できることにも驚かなくなった。これが俺の精霊たちである。

 

「ルルカロスは相手がモンスターを特殊召喚を含む効果を発動した時、手札かフィールドからティアラメンツカードを一枚墓地に送ることで無効にします」

「なんデスーと! さっきから驚きっぱなしナノーネ!」

 

 本当にすいません。ただ、これ以上動くつもりはない。

 

「俺はカードを2枚セットしてターンエンド」

 

残り手札:3枚

フィールド:ティアラメンツ・ルルカロス セットカード2枚

デッキ:21枚

 

 MAXムーブではない。これでもかなり抑えた方である。それでもここまで繋がるのだから恐ろしい。

 余談だが、ペルレイノの効果によりルルカロスの攻撃力は3500まで上がっている。クロノス先生の切り札であるアンティーク・ギアゴーレムよりも上だ。

 

「それでーは、ワタクシのターン!」

 

 クロノス先生のターン。あのデュエルディスク邪魔にならねぇのかな。

 

「……場に2枚のカードを伏せるーのデス」

 

 2枚伏せるってことは、アレか。クロノス先生が使うのは。

 

「そして魔法カード発動、《大嵐》!場の魔法・罠カードを全て破壊するノーネ!」

 

 

大嵐

通常魔法

フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する。

 

 

 やっぱそうか。ならあの伏せカードは黄金の邪神像だろう。十代戦でやったムーブをここでもやるつもりか。

 だが、そうはいかない!

 

「リバースカードオープン! カウンター罠、《壱世壊に澄み渡る残響》!」

 

 

壱世壊に澄み渡る残響《ティアラメンツ・クライム》

カウンター罠

このカード名の①②の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

①:自分フィールドに「ティアラメンツ」モンスターまたは「ヴィサス=スタフロスト」が存在し、モンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時に発動できる。その発動を無効にし、そのカードを持ち主のデッキに戻す。その後、自分の手札からモンスター1体を選んで墓地へ送る。

②:このカードが効果で墓地へ送られた場合、除外されている自分の「ティアラメンツ」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。

 

 

 迎撃用の罠もしっかりと伏せてある。

 

「このカードはティアラメンツモンスターが存在する時にモンスターの効果・魔法・罠のいずれかを無効にしてデッキに戻す! 大嵐はデッキに戻してもらいましょう」

「ムキー!」

 

 大嵐をデッキに戻した。手札コストを払う必要があるのだが。

 

「俺はティアラメンツ・レイノハートを墓地へ。この瞬間レイノハートの効果を発動!」

 

 

ティアラメンツ・レイノハート 水属性 レベル:4

戦士族・効果モンスター

ATK/1500 DEF/2100

このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

①:このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「ティアラメンツ・レイノハート」以外の「ティアラメンツ」モンスター1体を墓地へ送る。

②:このカードが効果で墓地へ送られた場合に発動できる。このカードを特殊召喚し、自分の手札から「ティアラメンツ」カード1枚を選んで墓地へ送る。この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。

 

 

 出てくるのはイケメンだ。このイケメンがティアラメンツに暴力振るってんだからな。

 

〈……汚らわしい。よくもその面を私の前に出せましたね〉

〈おいおい、仲良くしようじゃないか。どうせ僕は君らに何もできやしないんだから〉

 

 そのせいでこいつらの仲は険悪どころじゃない。ルルカロスの目には憎悪が籠っているし、レイノハートはどこ吹く風。胃が痛くなってきた。

 

 手札から落とすのはシェイレーン。ビーストのドローで引いたカードだ。レイノハートの効果は、別にいいか。

 

「シェイレーンの効果が発動します。墓地にあるメイルゥとシェイレーンを融合召喚! 再び現れよ、《ティアラメンツ・キトカロス》!」

 

 またも出てくるアドの塊。同じように効果処理をしていく。

 

「デッキからハゥフニスを墓地に」

 

 あーはいはい、そういうことね。

 

「ティアラメンツ・クシャトリラの効果をチェーン1、ハゥフニスの効果をチェーン2で使います。まずはハゥフニスの効果で融合召喚!」

 

 今回融合するのはレイノハートとシェイレーン、そしてハゥフニス……えらい嫌そうな顔するやん2人とも。シェイレーンに至っては噓でしょみたいな目をしてる。すまん。

 

「レイノハートとシェイレーン、そしてハゥフニスで融合召喚! 現れろ、《ティアラメンツ・カレイドハート》!」

〈なんでよ遊輝! この裏切り者~!〉

〈仕方ありません。相手のデッキであなたが残るのは少々不利ですから〉

 

 

ティアラメンツ・カレイドハート 闇属性 レベル:9

水族・効果モンスター・融合

ATK/3000 DEF/3000

「ティアラメンツ・レイノハート」+水族モンスター×2

このカードは融合素材にできない。このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

①:このカードが特殊召喚に成功した場合、またはこのカードがフィールドに存在する状態で、水族モンスターが効果で自分の墓地へ送られた場合、相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを持ち主のデッキに戻す。

②:このカードが効果で墓地へ送られた場合に発動できる。このカードを特殊召喚し、デッキから「ティアラメンツ」カード1枚を墓地へ送る。

 

 

 出てくるのはレイノハートがタコみたいな下半身になった姿。これでも美しいと思えるんだからすげぇよな。

 ちなみにクシャトリラの落ちはというと。

 

・壱世壊に軋む爪音

・壱世壊を揺るがす鼓動

デッキ 21→19

 

 あんま使っても意味ねぇなコレ。クライムはもう一枚手札にあるし。なら使わなくていいや。

 

「カレイドハートの効果により、セットカードをデッキに戻します。どっちでもいいや、右側をデッキに戻してもらいましょう」

「ぐぬぬ……!」

 

 あの表情から察するに、黄金の邪神像だったんだろう。なんとなくの推測だけど。

 

「ですーが、セットカードは破壊しマース! もう一度大嵐を発動!」

 

 あ、ペルレイノが破壊された。ついでにメタノイズも。効果は、一応使っておくか。

 

「今破壊された《壱世壊に軋む爪音》の効果を発動します。墓地のティアラメンツモンスターを回収」

 

 

壱世壊に軋む爪音《ティアラメンツ・メタノイズ》

このカード名の①②の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。①:自分フィールドに「ティアラメンツ」モンスターまたは「ヴィサス=スタフロスト」が存在する場合、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを裏側守備表示にする。その後、デッキから「ティアラメンツ」モンスター1体を墓地へ送る。②:このカードが効果で墓地へ送られた場合、自分の墓地の「ティアラメンツ」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。

 

 

「回収するのはティアラメンツ・シェイレーン……そんな膨れっ面するなよ」

 

 確かに融合素材にしかしてないけども。仕方ないだろデッキの性質上。

 それで機嫌が直るはずもなく。シェイレーンはずっと頬を膨らませていた。

 

〈フン! 遊輝なんて知らないんだから!〉

「この後ちゃんと出番用意するから待っとけって」

 

 そう言うと、信じてるからね、という言葉を最後に引っ込んだ。おーけい、ちゃんと用意するから待っとけ。

 

「セットカードは《黄金の邪神像》。邪神トークンを守備表示で召喚しますーノ」

 

 

黄金の邪神像

セットされたこのカードが破壊され墓地へ送られた時、

自分フィールド上に「邪神トークン」(悪魔族・闇・星4・攻/守1000)1体を特殊召喚する。

特殊召喚する。

 

 

 出てくるのは一体だけ。もう一枚はデッキバウンスされたからしょうがないか。

 

 クロノス先生は苦渋の表情。やりたくないけどやらざるを得ない、そんな表情が遠めでも分かる。ハンカチ噛んでそう。

 

「……これでターンエンド、ナノーネ」

 

 あ、有効札なかったのか。なら、もう終わりか。

 

「俺のターン、ドロー」

 

 トップドローがペルレイノ。うん、使っとくか。

 

「まずはペルレイノを発動。効果でハゥフニスを手札へ。そしてティアラメンツ・シェイレーンを召喚!」

〈さぁ、行くわよ!〉

 

 やる気満々で現れるシェイレーン。さっき出番を用意するといったので、とどめは任せるとしよう。

 

「総攻撃だ! 邪神トークンにカレイドハートで攻撃!」

〈悪いけど君は趣味じゃないなぁ。美しくなって出直してきな!〉

 

 鞭によって殴打された邪神トークンは憐れ爆発四散。これでクロノス先生を守るモンスターはいなくなる。てか下級モンスターもいなかったのか先生……相当事故ってたな。

 

「ルルカロスとシェイレーン、キトカロスでダイレクトアタック! これで終わりだ!」

〈いきますよ、シェイレーン!〉

〈うん、任せて!ハァァァ!〉

「アババババ!」

 

 ルルカロスとシェイレーンの攻撃により、クロノス先生のLPは0となった。

 

クロノス:LP4000→0

 

 電子音が響き、ブザー音の後0になったことが表示される。それと同時に、ソリッドビジョンは消滅した。

 

 静まり返った会場。あぁ、うん。

 

「え~っと、その。ありがとうございました」

「……」

 

 放心状態のクロノス先生。挽回しようとしていたのに何もできずにやられてしまったのだ。仕方ないといえば仕方ないが。

 

 静かだった会場が、今度はざわつく。クロノス先生が二度も負けたのが信じられないようで、俺のことを話していた。

 

「おい、クロノス教官が二度も負けたぜ? あの特待生、とんでもないやつだな」

「てかなんだあのカード群。ティアラメンツとか見たことも聞いたこともないぞ?」

「すっごい可愛かったっス」

 

 なんか変なの混じってるけど気にしない。いや、それにしてもなぁ……!

 

(これが嫌だったから他のデッキを使いたかったのに!)

 

 嘆くのはさっきまでの決闘。とりわけ、ティアラメンツを使ったことに対してだ。

 

 

 今更言うまでもないが、俺は転生者だ。前世の記憶もばっちりとある。

 当時のOCG環境をバリバリ戦っていた俺。とりわけ一番使ってて思い入れがあったのが、この【ティアラメンツ】と呼ばれるカード群だ。

 

 はっきり言おう。こいつらは強い、強すぎる。デッキのほとんどのパーツが規制されていることが何よりの証明だろう。キトカロスなんて本来は禁止だし。

 

(当時のOCG基準でもバケモノだったやつらだ。そりゃこうなるわ)

 

 しかも禁止制限も当然のようにかかってないから、フルスペックで戦える。戦えてしまうのだ。いいわけないだろどう考えても。

 だからこそ、俺は別のデッキを用意していた。カードショップに通っては前世よりも高いカードを買い漁り、この試験のためにと備えていた。見たことないカードを使う俺を推薦してくれたKCの人には申し訳ないけど、いくらなんでもなぁと使用を躊躇っていたんだ。

 

 だが、現実は非情である。なぜかカードの精霊化しているティアラメンツたちが、他のデッキを使うことを拒否したのだ。

 

〈遊輝には私達がいればいいのよ。他のデッキなんて必要ない〉

〈わたしたちと~、相性の良いカードはギリギリ認めますが~、それ以外はだめで~す〉

〈……他のデッキを使う、それすなわち浮気。絶対に許さない〉

〈そういうことです。諦めて我らを使うことですね〉

 

 さっきの四散もこいつらのせいである。デュエルディスクに細工をして妨害し、デッキを使えないようにした。それでも無理やり入れようとしたからあの惨状が引き起ったのである。

 

 

 ……いや、だってさぁ!

 

(お前ら当時基準でもぶっ壊れてたのに、この時代で使えていいわけねーだろうが!)

 

 確かに融合テーマだよ? 融合テーマだけれども!

 

(融合を使わない融合召喚、墓地を経由しての融合! この時代だとオーバースペックが過ぎんだよ!)

 

 この時の墓地融合なんてミラクル・フュージョンとかだぞ? 融合を使わないにしても、XYZ-ドラゴン・キャノンみたいなユニオンモンスターしかいなかったような時代だ。場に出す必要がある。

 そんな時代にこいつらがきてみろ。黒船来航どころの騒ぎじゃねぇよ。江戸時代に航空母艦が押し寄せてきたようなもんだぞ。エンタープラズニルが発艦するわ。

 これがまだシャドールとかダイノルフィアならなんとかなった。アイツらもオーバースペックだが、シャドールは特殊召喚反応系が多く、ダイノルフィアはライフを削っての展開。下手すりゃファイアーボール一発で消し飛ぶライフになるから、ティアラメンツよりはマシだと思う。

 

(だからこいつらの目を盗んでせこせこ作ってたのに……全部おじゃんだよトホホ)

 

 舐めプしたいとかそういうわけじゃない。俺は、GX当時の環境で戦いたかったのだ。

 

 だがそれは叶わない。ここにいる精霊たちによって。

 

「朝比奈遊輝、要注目ね? 亮」

「あぁ。願わくば決闘したいものだな」

「すっげぇ~! あんなカード見たことねぇ! くぅ~、早くアイツと戦いたいぜ!」

 

 この先もきっと、ティアラメンツしか使えないんだろうな。

 

 

 その後は家に帰り、数日経ったら合格通知が送られてきた。そりゃKC推薦の特待生だし不合格のはずないよな。そもそもあの決闘自体、形式的なものだし。

 俺はデッキを前に土下座をする。シェイレーンが代表して精霊化している。

 

「お願いだから他のデッキを使わせてくれ! 頼むから!」

〈ダメよ。遊輝はすぐ浮気をするんだもの。私達の目が黒いうちは使わせないわ〉

〈諦めた方がいいよ、遊輝。こいつら嫉妬深いから〉

「チクショーメー!」

 

 渾身のお願いは却下されました。他のデッキに浮気するのは許さんと。

 レイノハートが唯一の理解者だ。だが、コイツは過去の悪行からティアラメンツに頭が上がらない。クソが!

 

 この先もきっとティアラメンツしか使えないのだろう。しかも、遊戯王GXの世界で。そう考えると、頭が痛くなってきた。




ふと頭に浮かんだ一発ネタ。やれていいわけねぇだろ!
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