引きこもり、魔法学校にぶち込まれる   作:年中有休

15 / 38
【前回までのあらすじ】

 第一学年Aクラス エインは、素行不良により本校の品位を著しく損なったため、本日をもって退学処分とする。

 また、監督責任者であるレオナルド・グリムフォードは、本件の責任を取り、教頭に降格処分とする。
王立魔法学校 校長 ギルバート・モーリス




【悲報】元引きこもりワイ、魔法学校を追い出される

1:元引きこもり転生者

助けて、退学になった。

 

2:名無しの転生者

いきなりで草

 

3:名無しの転生者

いつになったら落ち着くんだお前は

 

4:名無しの転生者

裁判で一応は無罪になったんじゃなかったっけ?

何で退学になったの?

 

5:元引きこもり転生者

>>4

素行不良だって。ワイ首席なのにおかしくね?

 

6:名無しの転生者

お前が首席な方がおかしいだろ

 

7:名無しの転生者

素行不良で退学とか至極真っ当な理由で草

 

8:名無しの転生者

どうしよう、全くイッチを擁護できないんだが

 

9:元引きこもり転生者

あとなぜか校長が降格して教頭になってた

 

10:名無しの転生者

責任取らされたんやろなぁ……

 

11:名無しの転生者

校長……イッチを田舎から連れ出したばっかりに……

 

12:名無しの転生者

もう校長じゃなくなったぞ

 

13:名無しの転生者

それなら投票で新しい呼び名を決めないとね

 

14:名無しの転生者

でんぢゃらすなじーさんがやってそうな企画だな

 

15:名無しの転生者

元校長よりイッチのが深刻やろ。

退学ってことは飯も寝床もないんちゃうの? 今どこいんの?

 

16:元引きこもり転生者

>>15

普通に警備員に追い出されたから、今はそこら辺の路地で座りこんでる。

朝から裁判で何も食べてへんかったし、腹減って力が出ない……

おばちゃんのハンバーグ……セレナのお菓子……食いてぇ……

 

17:名無しの転生者

そのまま物乞いでもしてみるか

 

18:名無しの転生者

セレナって誰? 前に言ってた第四王女?

 

19:元引きこもり転生者

つーか昨日から法典読んでて徹夜だったせいで眠いわ、寝る。

ぽやしみ~

 

20:名無しの転生者

道端で寝るな

 

21:名無しの転生者

落ちるところまで落ちたな

 

22:名無しの転生者

引きこもり→学生→死刑囚→路上生活者

クラスチェンジ激しすぎだろ

 

────────────────

 

 

「……退学?」

 

誰かが、呆然と呟いた。僕だったかもしれない。

信じられない思いで、何度も張り紙の文字を目で追う。けれど、そこに書かれた言葉は、何度読み返しても変わらなかった。

 

隣に立つエイン君は、張り紙をじっと見つめていた。

怒るでも嘆くでもなく、ただ怪訝そうに首を傾げながら、何かを考えている様子だった。

ベイルとスザンナ教授は、黙ったまま、険しい顔で何かを考えている。

 

これからどうなるのか──。重たい沈黙が、僕たち全員の頭上に落ちていた。

誰もが次に発すべき言葉を見つけられずにいた、まさにその時。

 

校舎の玄関から、規則正しい革靴の音が響いた。

振り返ると、そこに立っていたのはギルバート教頭。背筋を伸ばし、どこか芝居がかった立ち姿。隠しきれない野心を宿した瞳。その口元には、不敵な笑みが貼りついていた。

 

彼は、まるで初めて張り紙に気づいたかのように、わざとらしく首を傾げる。

「おや、諸君。揃いも揃って、どうかなされたかな? 何か珍しいことでも書いてありましたかな?」

 

エイン君は、まっすぐに張り紙を指差すと、ぽつりと口を開いた。

「……これ、マジ?」

 

ギルバートは、待ってましたとばかりに、芝居がかった動きで肩をすくめた。

「ええ、マジですよ。そこに書いてある通り、君は退学ですな」

 

ぱちん、と彼が指を鳴らす。

その音に応じて、校舎の陰から数人の警備員が姿を現した。どれも屈強そうな体格で、見るからに容赦がなさそうだ。

 

「さあ、部外者は速やかに立ち去りなさい。ここは神聖なる学び舎。君のような者がいていい場所ではない」

 

「あっ、その指鳴らして召喚するやつ、俺もやりたい! ……って、ちょ、ちょっと待って、こっち来んな!」

 

呑気なことを言うエイン君を無視して、警備員たちは無言で彼の両腕を掴むと、そのまま一気に校門の方へと引きずり始めた。

 

僕が反応するより早く──彼の身体は、みるみる視界の外へ遠ざかっていく。

 

ただ、夕陽の中に、仰向けで連行されていくエイン君の手足がぶらりと揺れているのが、記憶に焼きついた。

 

その一方で、

 

「ギルバート教頭」

スザンナ教授が、氷のように冷たい声で制した。その厳しい視線が、まっすぐにギルバートを射抜く。

 

「これは一体どういうことです? このような重大な決定、私も初耳なのですが」

 

すると、ギルバートは心底愉快そうに、ねっとりとした笑みを浮かべた。

 

「おや、スザンナ教授。ご存じなかった? それも無理はない。あなたが“遊び”に出かけている間に、緊急の職員会議が開かれましてね。──これは、すでに可決された“決定事項”なのです」

 

僕は思わず口をついた。

「なんて横暴な……!」

 

ギルバートの視線が、値踏みするように僕へと移った。

「横暴? これは規則に則っただけの、至極まっとうな処置ですな。……私が、何か“間違ったこと”でも、言っていると?」

 

「そ、それは……!」

僕は反射的に言い返そうとした。

そうだ、エイン君は無実なんだ! こんなの一方的な処分……だろうか?

 

──僕の脳裏に、これまでの光景が次々と蘇ってきた。

 

忘却魔法で試験をやり直し、入学式を崩壊させ、カツラを何度も剥ぎ取り……。

戦闘訓練では拷問魔法を使い、法廷では関係者全員の記憶を消して──。

 

「…………あれ?」

 

「……どうしましたかな? 何か反論でも?」

 

(……ない!)

 

反射的に口を開きかけて、すぐ閉じた。

どうやっても擁護できる気がしなかった。

 

僕が押し黙ったのを見て、ギルバートは満足げに、歪んだ笑みをさらに深くした。

彼は僕たちに見せつけるように、わざとらしく胸を張り、ゆっくりと告げる。

 

「ああ、それと皆さん。一つ、訂正が」

 

その声には、権力を手に入れた者の、隠しきれない悦びが滲んでいた。

 

「私はもう、教頭ではありません。本日より、この私が“校長”です。以後、お間違えのないように」

 

くっ、くっ、くっ……。

喉の奥で押し殺したような笑い声を残し、彼は僕たちに背を向けた。そして、勝利者の足取りで、悠々と校舎の中へと消えていった。

 

後に残されたのは、追い出されていくエイン君の抵抗する声と、僕たちの途方もない無力感だけだった。

 

「……まずは、レオナルド校長……いえ、教頭にも話を聞かなければなりませんね」

 

静寂を破ったのは、スザンナ教授の冷静な声だった。その目は、すでに次の行動を見据えている。

 

「私はひとまず職員棟へ向かいます」

それだけ言うと、彼女は僕たちに一瞥もくれず、毅然とした足取りで去っていった。

 

その背中を見送っていると、隣でベイルが静かに口を開いた。

 

「……済まないが、俺は俺で動かせてもらう」

その声には、以前のような傲慢さのかけらもなかった。

 

「当たるべき“敵”が、俺にはいるかもしれん。……今回の退学処分にも関わっている可能性がある。その程度であれば調べておこう」

 

それだけ言うと、彼もまた、僕に背を向けて歩き出す。その足取りには、もう迷いはなかった。

 

一人、また一人と仲間が去っていく。

 

ただ僕だけが、その場に取り残されていた。

 

(どうすればいいんだ……)

 

そう思いながら、気づけば足が寮の方へ向かっていた。

 

その、道すがらだった。

 

「──フレッドさん!」

 

切羽詰まったような声に呼び止められ、顔を上げる。

息を切らしてこちらに駆け寄ってくるのは、第四王女のセレナ殿下と、その侍女であるイレーネさんだった。

 

「エイン様は……! 先ほどの裁判、どうなりましたの!?」

彼女の声には、隠しきれない不安の色が滲んでいる。

 

僕は、うまく言葉が出てこなかった。何から話せばいいのか、頭が整理できない。

 

「……それが、その……」

 

僕は、裁判で起きたこと、そして、ほんの少し前に起きたことを、ポツポツと、途切れ途切れに説明した。

 

「……それで、エイン君は……退学、だって……」

 

その言葉を口にした瞬間、彼女の顔から、すっと血の気が引いた。大きく見開かれた瞳が、信じられない、というように揺れている。

だが、彼女とは対照的に、隣に立つイレーネさんの表情には、ほんのわずかに安堵の色が浮かんでいるように見えた。

 

「そん……な……」

セレナ殿下が、か細い声でうめく。

 

「エイン様は……今、どちらに……?」

今にも泣き出しそうな声で、彼女は僕に尋ねた。

 

「さっき、警備員の人に校門の外へ追い出されたばかりだから……たぶん、まだその近くにいるんじゃないかな……」

 

僕がそう言い終えるか、終えないかの、その刹那だった。

 

彼女は、何も言わずに駆け出していた。

僕たちの返事も、立場も、何もかもを置き去りにして。ただ、まっすぐに、校門の方向へ。

 

「お待ちください、殿下! お一人では危険です!」

 

イレーネさんが、鋭い声で叫びながら、慌ててその後を追う。

 

あっという間に、二人の姿は遠ざかっていく。

また、僕だけが一人、その場に取り残された。

 

夕暮れの風が、やけに冷たかった。

 

 

────────────────

 

 

息が切れる。心臓が早鐘のように胸を打つ。

それでも、セレナは足を止めなかった。

 

イレーネの制止を振り切り、正門を駆け抜ける。石畳の校舎から、砂埃の舞う街道へ。

ひやりとした夕暮れの冷気が、呼吸を浅くさせる。

 

(どこに……どこにいらっしゃるの、エイン様……!)

 

退学。その二文字が、頭の中で何度も反響する。

あんなに理不尽な形で、彼が学園から追い出されてしまうなんて。自分のせいで巻き込んでしまったという罪悪感が、ただひたすらに足を前へ運ばせていた。

 

校門を出て、左右の通りを必死に見渡す。人通りはまばらで、彼の姿は見当たらない。

 

(まさか、もう遠くへ……? いいえ、そんなはずは……)

 

焦りが胸を締め付ける。その時、街道脇に立つ一本の大きな樫の木、その根元に横たわる人影が、セレナの目に留まった。

 

「……!」

 

見間違えるはずもない。あの制服は、あの黒髪は。

間違いない、エインだ。

 

(まさか……警備員が乱暴を……? それとも──イレーネが言っていた、あの襲撃者がまた……?)

 

最悪の想像が、セレナの血の気を引かせた。

「エイン様っ!」

 

悲鳴に近い声を上げ、彼女は彼のもとへ駆け寄る。

ぐったりと横たわる彼の肩に恐る恐る肩に手を置き、何度も呼びかけながら揺さぶった。

 

「しっかりしてください! エイン様! 今、回復魔法を……!」

 

まるで瀕死の重症者を相手にするように、涙ながらに介抱しようとする。

だが、その背後から、追いついてきた侍女の、あまりにも冷静な声がかけられた。

 

「──殿下。……お落ち着きください」

 

遅れて到着したイレーネは、少しだけ息を切らしながらも、その目は冷静に状況を分析していた。

 

「え、でも、イレーネ! エイン様が倒れて……!」

 

「よくご覧ください」

イレーネは、エインの胸元を無機質に指し示す。その胸は、穏やかなリズムで静かに上下していた。

 

「外傷はなく、呼吸も極めて安定的です。……聞こえませんか、この健やかな寝息が」

 

すー……すー……。

 

言われてみれば、彼の口元からは、状況をまるで気にしていないかのような、呑気な寝息が聞こえてくる。

 

「え……あ……」

 

セレナの顔に、さっと朱が差した。自分の大騒ぎが、急に恥ずかしいものに思えてくる。

慌てて、彼に触れていた手を引っこめた。

 

そんな主の様子を見て、イレーネはわずかに眉をひそめた。

それでも侍女としての礼節を保ち、静かに問いかける。

 

「それで、殿下。その男をどうなさるおつもりですか」

 

────

 

窓の外は、とっぷりと夜の闇に沈んでいた。

ランプの柔らかな光が満たす静かな部屋で、セレナはただ、ソファーに横たわる彼の寝顔をじっと見守っていた。

結局、彼をここに連れてくる以外、方法が思いつかなかったのだ。

 

やがて、長い時間が過ぎた頃。

彼のまぶたが、ぴくりと震えた。

 

「ん……」

 

うめき声と共に、エインがゆっくりと身を起こす。まだ覚醒しきらない様子で、ぼんやりと周囲を見回した。

 

「……目が、覚めましたか」

 

彼女が緊張しながら声をかけると、エインはようやくセレナの存在に気づき、視線を向けた。

 

「ここは……?」

 

「交流棟にある、私のお茶会の部屋です」

セレナは静かに答える。

 

「フレッドさんから、おおよその事情は伺いました。……もし行く当てがなくお困りでしたら、しばらくの間、私のお茶会の“お客様”として、ここにお泊まりになってはいかがでしょうか」

 

エインは静かに頷いた。

その視線が、テーブルの上に置かれた焼き菓子へと移る。

焼きたてのスコーンから漂う甘い香りに、彼の喉が、ごくりと鳴った。

 

だが彼は一度だけ名残惜しげに皿を見て、それからセレナの方へ向き直った。

 

「……助かった」

 

口をついて出たのは、それだけだった。

 

「あんたがいなかったら、どうなってたか。……それに、聞いたよ。ベイルのこと、説得してくれたんだろ」

 

そこまで一気に言うと、彼は衝動的に、しかしどこか不器用に、セレナの手を両手でしっかりと握った。

 

「……マジで、ありがとう」

 

「えっ……きゃっ!?」

いきなり男性に手を握られたセレナは、一瞬で顔に火が点いた。

 

エインは、その反応に気づく様子もなく、満足げに一度だけ頷くと、彼女の手をぱっと離した。

そして、今までのやり取りがすべて終わったかのように、再びテーブルの皿へと向き直る。

 

彼は無言で、しかし迷いのない手つきでスコーンを取り上げ、幸せそうに、それを頬張り始めた。

 

その間も、セレナは、握られた右手を見つめたまま、頬を染めて固まっていた。

 

そしてその横では、赤面したまま微動だにしない主君の姿を、侍女イレーネがまるでこの世の終わりでも見るかのような表情で見つめていた。

 

 

────────

 

 

62:元引きこもり転生者

というわけで、なんか王女様が助けてくれたわ

 

63:名無しの転生者

ラブコメの波動を感じる

 

64:名無しの転生者

唐突にヒロインムーブかましてきたな

 

65:名無しの転生者

えっ、食堂のおばちゃんがメインヒロインじゃなかったの?

 

66:名無しの転生者

おばちゃん「誰よその女!」

 

67:名無しの転生者

そんな!?

おばちゃんとひとつ屋根の下、ムフフな展開になるのを期待してたのに!

 

68:名無しの転生者

>>67

おはD

 

69:名無しの転生者

つーかこれからどうするのよ

退学という問題は解決してへんやろ

 

70:元引きこもり転生者

>>69

いや、よく考えたら好きでこの学校入ったわけじゃないし別にええかなって

しばらくはこのお茶会部屋でゆっくりしてようかな、食事も出るし

 

71:名無しの転生者

えぇ……

 

72:名無しの転生者

うーんこのニート思考

 

73:名無しの転生者

まーた引きこもりに戻るのか

 

74:名無しの転生者

引きこもりと言うかこの場合ヒモだからさらにタチ悪い

 

75:名無しの転生者

王女に寄生するヒモとか逆にレベル高すぎるわ

 

76:名無しの転生者

これ以上恥晒す前に田舎に帰れよ

 

77:元引きこもり転生者

>>76

あのさぁ……マッマはワイを期待して送り出してくれたんやで?

それを退学になったから戻ってきました、って言えるわけ無いやろ

 

78:名無しの転生者

急にまともなこと言うな!

 

79:名無しの転生者

それならせめて仕事しろよニート

 

80:元引きこもり転生者

>>79

いや、最初はいつもみたいに造幣の内職しようと思ったんやけど……ここ借り物の部屋やし、金属片撒き散らして汚すのはマズいやろ。

 

81:名無しの転生者

造幣の内職ってなんだよ

 

82:名無しの転生者

他に気にする所あるだろ

 

83:名無しの転生者

恩人に借りた部屋を犯行現場にしようとするな

 

84:元引きこもり転生者

でも流石に部屋代程度は稼いだほうがいいよな?

別の仕事探さなきゃ……、なんかいいバイトない?

 

85:名無しの転生者

バイトと言えば接客よな、店番とか

 

86:元引きこもり転生者

>>85

できると思うか?元引きこもりに

 

87:名無しの転生者

じゃあ肉体労働。畑耕すとか運搬とか

 

88:元引きこもり転生者

>>87

できると思うか?元引きこもりに

 

89:名無しの転生者

もう就活やめて物乞いしろお前

 

90:名無しの転生者

接客もダメ、肉体労働もダメ、

他に何ができるんだよこいつ……

 

91:名無しの転生者

そら魔法しかないやろ

 

92:元引きこもり転生者

>>91

あ、それならできるわ。てかそれしかないわ。

 

 

────────

 

 

主の変わった校長室。

ギルバート・モーリスは、革張りの椅子に深く身を沈め、満足げに窓の外を眺めていた。

レオナルドが座っていた時は、やけに大きく見えたこの椅子も、今や自分の身体に馴染んでいる。

 

(……ついに、ついにこの日が来た)

 

長かった。レオナルドという巨大な影の下で、教頭という二番手の地位に甘んじてきた日々。だが、それも今日で終わりだ。

この学園は、この権威は、今や全てこの私の手中にある。

 

くっ、くっ、くっ……。

込み上げる笑いを、ギルバートは隠そうともしなかった。

 

「……それにしても、感謝せねばなりますまいな。あの、エインとかいう平民の小僧には」

 

独り言が、静かな部屋に響く。

あの少年が数々の問題を起こし、学園の品位を汚してくれたおかげで、レオナルドを失脚させる完璧な大義名分が立ったのだ。

 

「もっとも、最大の功労者は、この好機を与えてくださった“あの方”だが……」

 

ギルバートが、さらなる勝利の余韻に浸ろうとした、その時だった。

コン、コン、と控えめなノックの音が、彼の思考を遮った。

 

「……なんだ」

 

不機嫌を隠さずに応じると、一人の職員がおずおずと顔を覗かせた。

 

「校長、失礼いたします。教職の任を希望したい、という者が面会を求めてきておりますが、いかがいたしましょうか」

 

「教職希望者だと?」

ギルバートは眉をひそめる。

 

(この時期にか?……ふん、どうせ私に媚を売りに来た出世欲の塊だろう。だが、レオナルド派が疎ましい今、使える手駒が増えるのは好都合だ)

 

それならば、無下に追い返すこともあるまい。自分の権威を見せつけ、忠実な手駒として使えるか、品定めしてやるのも一興か。

 

「……よかろう。通せ」

 

「はっ」

 

職員が下がり、やがて扉が再び開かれる。

ギルバートは、どんな人間が来るのかと、値踏みするような視線で扉を見つめた。

 

そして──そこに現れた人物の顔を見て、彼の得意げな笑みは、凍りついた。

 

「どうも。新しくお世話になります」

 

気の抜けた挨拶と共に、そこに立っていたのは。

つい数時間前、自らの手で退学処分にしたはずの、あの平民。

 

元生徒エイン、その人であった。

校長の新しい呼び名は?

  • 元校長
  • ルーク・スライ・エルディス
  • 鈴木さん
  • ベイクドモチョチョ
  • カツラずれ太郎
  • レオナルド・グリムフォード略して”レム”
  • ボブ
  • 災厄招来おじいちゃん
  • ミュミャリャツァオビュビュン↙
  • ピピュプリャプピフンドシン(合算)
  • 紅琉かのん
  • その他(感想から適当に選びます)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。