【悲報】引きこもりワイ、魔法学校にぶち込まれそう
1:引きこもり転生者
助けて
2:名無しの転生者
何が?
3:名無しの転生者
状況がわからんのやが
4:名無しの転生者
まずイッチは何者なん?
5:引きこもり転生者
ワイは田舎の農村に引きこもっとるんやけど、こないだお役所から手紙が来たんや。
6:名無しの転生者
役所から手紙……
もしかしてその封筒はカラフルだった?
7:名無しの転生者
納税の義務は果たさないとだめだぞ
8:名無しの転生者
流石にそういうのは助けてやれんなぁ
9:引きこもり転生者
そんなんちゃうって!
お役所っつーか、正確には魔法庁からの手紙や。
「近いうちに検査官が伺います」って書いてあった。
10:名無しの転生者
魔法庁ってなんや、国の機関か?
11:名無しの転生者
検査って何の?
12:引きこもり転生者
ワイの住んでる国では、子供の魔法適性を調べる制度があるんや。
それで、検査で優秀だったやつは魔法学校に入れられてしまうんや。
13:名無しの転生者
入れられてしまうって、牢獄に入れられるみたいな言い方だな
14:名無しの転生者
あー、それで検査にバッチリ引っかかったと。
15:引きこもり転生者
>>14
いや検査はまだ受けてない
16:名無しの転生者
どういうこと?
17:名無しの転生者
居留守でも使ったのか?
18:名無しの転生者
検査受けてないのに学校行かされそうってどういう話やねん
19:引きこもり転生者
検査する人は毎年村に来てたんやけど、学校は嫌やから、毎回検査を"なかったこと"にしてたんや。
20:名無しの転生者
なかったこと……?
21:名無しの転生者
概念系の能力でも持ってんのか?
22:引きこもり転生者
ワイのチートは魔法系統なんや。
それで、毎回検査員に忘却魔法をかけて、「ワイを検査するのを忘れさせる」っていうのをやってたんや。もう毎年の恒例行事やな。
23:名無しの転生者
毎回記憶消される検査員カワイソス
24:名無しの転生者
ふーん、体術チートもらったワイなら手刀で同じことできるけどね
25:名無しの転生者
>>24
んなことで張り合うなw
26:名無しの転生者
ほならなんでイッチはぶち込まれそうになってるんや?
27:引きこもり転生者
>>26
なんかバレたっぽい。
手紙には『先日、検査員が魔法の影響を受けてあなたの検査を行えなかったことが判明しました。
このたび魔法庁の上級役員が直接検査に参りますので、該当日は家を離れず待機してください』……みたいなこと書いてあった。
28:名無しの転生者
記憶消してたの完全にバレてて草
29:名無しの転生者
もう終わりやね
30:名無しの転生者
そもそも勝手に人の記憶消してええんか?
ワイの転生先ではガッツリ犯罪やけど
31:引きこもり転生者
>>30
知らん
32:名無しの転生者
えぇ…
33:名無しの転生者
無責任すぎる
34:名無しの転生者
魔法学校以前に牢獄にぶち込まれそう
35:名無しの転生者
ほんでイッチどうすんの?
36:引きこもり転生者
>>35
そんなのワイが知りたいねん
やっと本題入れたわ、今日その偉いやつが再検査しに来るからどうすればいいか教えてクレメンス
37:名無しの転生者
往生際が悪いぞ
38:名無しの転生者
どうするって、素直に検査受けて学校行けばええやん
39:引きこもり転生者
>>38
いや今の引きこもり生活で充実してるからわざわざ学校行く意味ないねん。
40:名無しの転生者
うーんこのニート思考
41:名無しの転生者
まぁそれはそう(無職並みの感想)
42:名無しの転生者
学校行かないんだったらせめて仕事しろよニート
43:引きこもり転生者
ワイはニートちゃう!
ちゃんと仕事だってしとるわ!
44:名無しの転生者
引きこもりがどうやって仕事すんねん
45:引きこもり転生者
>>44
ワイには魔法チートがあるんや!
魔法で野菜作ったりお金造幣したり村の節税したり色々お仕事してるわ!
46:名無しの転生者
えらい
47:名無しの転生者
えらい
48:名無しの転生者
えら……ん?
49:名無しの転生者
なんか不穏なワードがあるんだけど
50:名無しの転生者
野菜作るのは良いとして後ろ2つは何?
51:名無しの転生者
造幣局に勤めてるんか?
52:名無しの転生者
節税って何、イッチ税理士だったの?
53:名無しの転生者
それって合法なやつ?
54:引きこもり転生者
>>51
違う、家にある硬貨参考にして同じやつ生成してる
>>52
違う、村長に頼まれて徴税官の記憶改ざんしてるだけ
>>53
知らん
55:名無しの転生者
うーんこの
56:名無しの転生者
流石に知らないは無理がある
57:名無しの転生者
知らなくてもやったらあかんってわかるやろ
58:名無しの転生者
村ぐるみで脱税してるのやばすぎる
59:名無しの転生者
やっぱり魔法学校じゃなくて牢獄にぶち込まれるだろこいつ
60:引きこもり転生者
あ、誰か来た
─────────
レオナルド・グリムフォード。魔法学校の校長にして、魔法庁上級職員。その名を知らぬ者は、王都にはいない。彼は魔法学校の入学予定者リストを受け取るため、魔法庁の庁舎を訪れていた。
深紅の外套をまとった老紳士が回廊を歩くだけで、空気が張りつめる。庁内の職員たちはその姿に気づくと、即座に背筋を伸ばし、緊張した面持ちで挨拶を交わした。
「レオナルド様、本日はお越しいただきありがとうございます」
応対に出た職員は一礼してから、続けて書類を差し出す。その所作は丁寧だが、どこかぎこちなさが滲んでいた。
「こちらが、今年度入学者の一覧となります。本来であれば、こちらからお届けすべきものでしたが……」
「いやいや、ついでの用事じゃよ。長官に少し話したいことがあっての」
レオナルドは穏やかな微笑を浮かべ、ゆったりとした動作で書類を受け取り、その場で目を通し始めた。
「ふむ……なかなか面白そうな面子が揃っておるの。それに、今年で三学年すべてに王子たちが顔を揃えることになるか」
「ええ。派閥争いが過熱するのではと、我々も少々懸念しております」
そのときだった。庁内の奥から、怒号が響いた。
「何をやっているんだ!」
一瞬で空気が凍りつく。周囲の職員が一斉に動きを止める中、レオナルドはわずかに眉を寄せた。廊下の向こうから、続く叱責の声が聞こえてくる。
「今年こそ検査を忘れるなと、あれほど念を押したはずだ! なぜ検査結果がない!?」
「い、いえ……確かに対象者の家は訪問しました。しかし……」
「しかしもなにもない! もう間に合わんのだぞ!」
叱られている職員の声には、戸惑いと、どこか釈然としない曖昧さが滲んでいた。レオナルドの眉間に、さらに皺が刻まれる。
(何か……妙じゃのう)
騒ぎを横目に、彼は足を止め、職員たちの様子をじっと観察した。その視線が留まった先、目の奥に、針先ほどの魔力の揺らぎ。凡庸な者には気づけぬほどの痕跡だが、数多の魔法を見てきた老練の魔導師にとっては、看過できぬ異物だった。
(……魔力の痕跡、か。しかも、見慣れぬ性質じゃ)
見逃すには、あまりにも不自然。しかもそれは、単なる残滓ではない。意図がある。まるで──見られること自体を避けようとしているかのような。
(面白い。これは……追わずにはいられん)
老獪な探究者としての火が、静かに胸の内で灯る。レオナルドは音もなく歩み寄り、騒ぎの中心にいた職員たちの前に立った。その眼差しには柔らかな笑みを浮かべつつも、隠しきれぬ鋭さが宿っている。
「……お主らが話しておる、その対象者。名を教えてくれんか。──ワシの手で、確かめねばならんようじゃ」
─────────
63:引きこもり転生者
ついに恐れていた人物が来てしまった……
64:名無しの転生者
衛兵かな
65:名無しの転生者
「警察の者ですが、イッチさんはご在宅ですか?」
66:名無しの転生者
早くこいつを逮捕しろ!
67:名無しの転生者
いや、死刑執行人かもしれんぞ
68:引きこもり転生者
>>64>>67
んなわけあるかい!手紙にあった偉い人や。
ヒゲモジャのじいさんで、魔法学校の校長もやってるらしい。
69:名無しの転生者
まんまダ○ブルドアやな
70:引きこもり転生者
>>69
いやハゲてるから違う
ヅラはしてるから見た目は似てるけどな
71:名無しの転生者
草
72:名無しの転生者
また髪の話してる……
73:名無しの転生者
ヅラなのなんで分かったん?やっぱずれてたんか?
74:引きこもり転生者
>>73
魔法で調べた
75:名無しの転生者
ファッ!?
76:名無しの転生者
そんな魔法あんの!?
77:名無しの転生者
同じくヅラのワイ、恐怖する
78:引きこもり転生者
>>76
暇すぎてワイが開発したオリジナルの魔法や。
探知魔法に
名付けて
怪しいおっさんが居たらとりあえず使ってる。
村長もヅラだった。
79:名無しの転生者
ハゲにどんな恨みがあるんや……
80:名無しの転生者
ネーミング妙に上手くて草
81:名無しの転生者
ハゲ特攻の魔法とかどんな需要があるんだよ
82:引きこもり転生者
>>81
原理的にはカツラ以外も探せるで、村長の裏金の隠し場所も把握しとる。
83:名無しの転生者
お前のところの村長ろくでもないな
84:引きこもり転生者
あ、やべっ
スレに夢中で校長の話聞いてなかったわ。
しかも出会い頭に
85:名無しの転生者
まずいですよ!
86:名無しの転生者
そらハゲてるのバレたら警戒するやろなぁ
87:名無しの転生者
こういうときこそ忘却魔法使えや
会話ロードしろ
88:引きこもり転生者
>>87
確かに!早速やるわ!
89:名無しの転生者
やるな
90:名無しの転生者
倫理観のかけらもないなこいつ
91:引きこもり転生者
あ
92:名無しの転生者
何?
93:名無しの転生者
なんかあった?
94:引きこもり転生者
失敗した。
なんでか知らんけど、魔法が効いてない。
よく見たら変な指輪付けてるしそのせいかも。
95:名無しの転生者
やばいじゃん
96:名無しの転生者
対策されててウケる
97:引きこもり転生者
しかも忘却魔法かけ直そうとしたら先に
反応早すぎてビビる。
何回やっても通らんし、普通に校長強い。
98:名無しの転生者
だめみたいですね……
99:名無しの転生者
こりゃ学校じゃなくて牢屋行きだな
100:引きこもり転生者
あれ、意外と校長怒ってない。
なんか事情があるんやろ?みたいな感じで察してくれてる。
101:名無しの転生者
ワンチャン出てきたな
102:名無しの転生者
事情(引きこもりたいだけ)
103:名無しの転生者
なんかそれっぽい理由言えば納得するんちゃう?
104:引きこもり転生者
せやな、とりあえず説得してみるわ
─────────
レオナルド校長は魔法庁で職員に
精神魔法の使用は被使用者の同意がなければ犯罪に当たる。しかし、対象者であるハテナ村のエインに興味を持った校長は、憤慨する職員たちを説得し、自ら再検査に向かうことにした。
──数日後。ハテナ村──
雲ひとつない穏やかな空の下、村の通りには洗濯物がゆるやかに揺れていた。
レオナルドはエインの住む家の前に立ち、質素な木の戸をノックする。
「はーい」
ゆっくりと木の戸が開き、中から女性が顔をのぞかせる。おそらくエインの母親であるアリアだろう。資料に記された年齢よりもずっと若く見える。
「ワシは魔法学校の校長のレオナルドというものだが、こちらはエイン君の住むお宅であってるかのう」
「はい、そうですよ。息子に用ですか?今呼びますね」
アリアは柔らかな笑みを浮かべ、奥へ向かおうとする。
その時、家の奥から少年の気配を感じた。黒髪の少年がこちらをじっと見ている。おそらくエインだろう。
その少年と目が合った瞬間──空気が変わった。
「!」
魔力の波動が、触手のように探ってくる。レオナルドの全身に警戒感が走った。
耐精神魔法用の指輪は反応を示さない。精神系の魔法ではないようだが──
「ふむ……」
校長は警戒を緩めず、少年の様子を観察し続けた。
(この少年が、エインか)
アリアに案内され、校長は居間の椅子に腰を下ろした。古びた木製の家具が整然と並び、慎ましやかな生活ぶりがうかがえる。
エインは居間の隅に座り込んでいる。手元をじっと見つめており、視線が落ち着きなく彷徨っているように見えた。
「エイン君、どうかしたかね?」
レオナルドが問いかけても、エインは反応が鈍い。まるでどこか別の世界に意識を飛ばしているようだった。
仕方なく、レオナルドは用意してきた建前を話し始めた。職員が魔法攻撃を受けたため検査ができなかったこと、その謝罪、そして再検査の必要性について。
「……それで、検査の結果が良ければ君に魔法学校に──」
言葉が終わる前に、エインの顔が一瞬でこわばった。
そして少しの間を置き──
立ち上がり、叫んだ。
「
──瞬間、青白い光が炸裂した。
光の奔流が空気を裂き、レオナルドに向かって一直線に襲いかかる。その魔力密度は常軌を逸していた。
レオナルドの身につけた指輪が光り、自動防御が発動する。だが──
パキン!
「なんと……!」
魔法庁支給の耐精神魔法用指輪《サーキュラ・アメジスト》の表面に、蜘蛛の巣状のヒビが走った。並の強度の精神魔法なら何十発と耐えられる特別製なのだが、たった一撃で損傷するとは。
(この少年、一体何者じゃ!)
「
レオナルドは即座に魔法を発動した。透明な障壁が空間に展開され、校長の周囲を包み込む。魔力の膜が静かに震え、目に見えない盾を形成した。
だが、エインは止まらない。
「まだだ!【忘却】!」
二度目の光弾が真正面から襲いかかる。
障壁がその衝撃を受け止め、鈍い音を立てて揺れる。亀裂が走り、すぐさまレオナルドは魔力を流し込んで補修した。
「執念深いのう……だが、二度目は通さんぞ!」
しかし──
「【忘却】……!」
三度目の詠唱。今度は何かが違った。
魔力の軌道が弧を描いている。真正面ではない──回り込むように、障壁の死角を狙って!
「なにっ!?」
光の矢が障壁の外縁を滑り、レオナルドの左肩へと鋭く迫る。
「くっ!【精神防壁】!」
咄嗟に展開した第二の障壁が、間一髪で攻撃を受け止めた。
光と光が空中で衝突し、鋭い反響音と共に周囲の空気が撓んだ。
(詠唱速度だけではない……完全に、障壁の構造を読まれていた!)
レオナルドは一歩後ずさり、息を荒げながら少年を見つめた。
少年の目には、もはや迷いはない。まるで獲物を狙う猛獣のような、鋭い集中力が宿っていた。
その後も、エインは執拗に攻撃を続けた。軌道を変え、タイミングをずらし、魔力の密度を調整して、あらゆる角度から忘却魔法を放ち続ける。
だが、レオナルドの防御は鉄壁だった。校長は冷静に障壁を維持し、エインの猛攻を全て受け止めていく。
やがて──
「はぁ……はぁ……」
エインの息が荒くなった。魔力の消耗が激しく、額に汗が浮かんでいる。
それでも少年は諦めず、もう一度詠唱を始めようとしたが──
「もうよい」
レオナルドが静かに手を上げた。
「君の力は十分に理解した。これ以上続けても、君が疲れるだけじゃ」
エインは悔しそうに唇を噛む。だが諦めるように肩を落とし、手を下ろした。
深く息をついた校長が、感嘆の声を漏らす。
「ふぅ……恐るべき才能じゃ」
静寂が戻った居間。二人は向かい合っていた。戦いは終わったが、その余韻は重く空気に残っている。
息を整えながら、レオナルドが静かに語りかけた。
「エイン君、君にも事情があるのじゃろう?」
エインは未だにこちらをじっと見つめている。害意は感じない。むしろ、その目は何かを恐れているように見えた。
「まずは話を聞かせてくれんか。君の力を無駄にするのは、あまりに惜しいからのう。……それに、誰にも話せぬ事情があるのなら、ワシが聞こう」
エインはしばらく視線を泳がせていたが、やがて小さく息をついて動きを止めた。
─────────
105:引きこもり転生者
……なんて言えばええんや?
急に言われても思いつかんのやが
106:名無しの転生者
は?
107:名無しの転生者
そんくらい自分で考えろや
108:引きこもり転生者
もうめんどいからお前らに任せる
とりまどうするか安価で>>115
109:名無しの転生者
適当やなぁ……
110:名無しの転生者
人任せにすなーっ!
111:名無しの転生者
発言内容の権を安価に握らせるな!!
112:名無しの転生者
答えは沈黙
113:名無しの転生者
正直に引きこもりたいから学校行かないって言う
114:名無しの転生者
また校長に忘却魔法連打
115:名無しの転生者
こういうのって普通はお金がないとか、家族の世話とかそんな感じの理由ちゃうの?
ワイも前世はそれで学校辞めたし
116:名無しの転生者
校長のハゲを晒す
117:名無しの転生者
はい
118:名無しの転生者
決まったか、ありがちな理由だな
119:名無しの転生者
>>115
かわいそう、元気出して
120:引きこもり転生者
>>115
ええやん、マッマと二人暮らしだからそれ理由にするわ
121:名無しの転生者
母親としては引きこもりを引き取ってもらったほうが良いのでは?
─────────
レオナルドは、エインが何かを言い出すのを黙って待っていた。居間には沈黙が落ち、二人の間に、逃げ場のない視線が静かに交差する。
やがて、エインが観念したかのように口を開いた。
「……俺には、母さんがいる。だから校長、魔法学校には行かないよ。仕事もあるし、母さんを守らなきゃいけない」
レオナルドはすぐには応じなかった。エインの顔を見つめたまま、やがて頷く。
「……そうか」
それ以上は踏み込まず、視線を外す。居間を一度だけ見回し、再びエインに向き直った。
「だがな、エイン君」
口調は穏やかなままだった。
「君の魔法は、かなり練られておる。独学にしては、だ」
言葉を選ぶように、続ける。
「それほどの才能を……こんな村で、こんなところで終わらせてしまえば、いずれは腐らせてしまう。──それは、あまりに惜しい」
「……こんなところ?」
エインの声が、低く落ちた。
「今、何て言った」
一歩、前に出る。
「この村が……母さんがいる場所が、〝こんなところ〟かよ」
語気が、強まる。
「才能が腐るとか、惜しいとか、それはそっちの都合だろ! 俺にとっては、ここが全部なんだよ!」
言葉を重ねるうちに、声が荒れていく。椅子が軋む音がした。エインは完全に立ち上がっている。
レオナルドは、ほんの一瞬だけ言葉を失った。すぐに両手を上げ、首を振る。
「すまん。言葉が過ぎた」
穏やかだが、はっきりと告げる。
「君や、この村を貶めるつもりはなかったのじゃ」
だが、その弁明が終わる前に──
「……エイン、そんなふうに思っていたのね」
背後から、静かな声が落ちてくる。二人が振り返ると、居間の戸口に立っていたのは、エインの母
──アリアだった。
「──あ、母さん……!」
エインの表情から、先ほどまでの険しさが抜け落ちる。代わりに浮かんだのは、戸惑いと焦りだった。
アリアは一歩、部屋に入る。その足取りはゆっくりで、どこか慎重だった。
「私のことなんか、気にしないで。魔法学校に行ってらっしゃい」
「何言ってんだよ、母さん!」
思わず声が荒くなる。だが、アリアは視線を逸らさなかった。
「……知ってたのよ」
アリアは静かに言った。
「あなたが毎晩、遅くまで起きていること。魔法の練習をしていたんでしょう? 音で分かるもの」
エインは言葉を失う。
「本当は……勉強したかったんでしょう」
言い切る前に、ほんの一瞬だけ言葉が揺れる。
「でも……私がいるせいで行けないんだって、あなたがそう思ってたなら、それは違うわ」
声は穏やかだったが、そこには抑えきれない不安が滲んでいた。
「あなたに置いていかれるのは……正直、怖い」
アリアは弱く微笑んだ。
「でもね、それ以上に……あなたが、ここで立ち止まるほうが、ずっと怖いの」
言葉の終わりとともに、涙が一粒、頬を伝った。エインは、わずかに息を詰めた。
「違う! 俺は、そんなつもりじゃ……」
エインの声が裏返る。動揺が隠しきれず、どこか余裕を失っているようにも聞こえた。
「母さんが気にすることはないよ! だから……そんな顔するなってば!」
アリアは驚いたように目を見開き、それから、ゆっくりと微笑んだ。涙を拭いながら、息子を見る。
「なら、お願い。学校に行って」
彼女の声は優しく、そして確固たる意志に満ちていた。
「エインには、エインのしたいことをしてほしいの。それが、私の幸せだから」
レオナルドは、何も言わなかった。ただ、その場に立ち、親子のやり取りを静かに見守っている。
やがて、エインが口を開いた。
「……クソ」
視線を逸らしたまま、ぶっきらぼうに続けた。
「分かったよ。行くよ。行けばいいんだろ」
声が、少しだけ低くなる。
「だから……母さんも、泣くなよ」
握りしめた拳が、固く結ばれている。アリアは小さく頷き、何も言わずに微笑んだ。
こうしてエインは、自らに課していた枷を外した。誰かに命じられたわけでも、押し出されたわけでもない。それでも彼は、自分の足で、歩き出すことを選んだ。
─────────
139:引きこもり転生者
詰んだ
140:名無しの転生者
詰んでて草
141:名無しの転生者
何があった?
142:名無しの転生者
逮捕されちゃった?
143:名無しの転生者
どんな話をしたんだよ
144:引きこもり転生者
>>115の通りに話したら最初はいい感じやったのに、途中でマッマが参戦してきた。
そっからなぜか感動路線に突入して、「本当は学校行きたかったんやろ?」みたいな空気になった。マッマも泣き出すし、もう無理、詰んだ。
>>115のせいやぞ、ふざけんな。
145:名無しの転生者
とばっちりで草
146:名無しの転生者
一番まともな案だったのにかわいそう
147:名無しの転生者
まぁ親に泣かれたら流石に無理やろな
148:名無しの転生者
もう正直に引きこもりたいから学校行きたくないって言っちゃえば?
149:名無しの転生者
>>148
余計に親を泣かせるのやめろ
150:名無しの転生者
ほんで結局この後どうするの?
151:引きこもり転生者
>>150
マッマ泣かせたくないから渋々了承したわ
今日のうちに荷物まとめて、明日には王都の魔法学校に向けて出発
タイミング的にギリギリで、一週間後には入学式らしい
実家離れるのつらいンゴ……
152:名無しの転生者
えらい
153:名無しの転生者
引きこもり卒業おめでとう
154: 元引きこもり転生者
めでたくないわ!まぁけど決まったもんはしゃあないけどな。
ワイ、前世含めても社会経験ほぼゼロやから、またなんかあったらお前ら頼むわ
155:名無しの転生者
ええで
156:名無しの転生者
ええよ
157:名無しの転生者
ワイらはいつでもここにおるで!
158:名無しの転生者
掲示板に常駐してるやつが社会経験豊富とは思えんけどな
159:名無しの転生者
>>158
やめろ
160:名無しの転生者
>>158
まぁそれはそう
─────────
「じゃあ母さん、行ってくるよ」
「行ってらっしゃい」
朝もやが漂う中、エインは旅立ちの準備を終え、家の前に立っていた。家の戸口に佇む母親アリアは、いつもより少し寂しげな微笑みを浮かべている。背中を丸めて荷物を背負うエインの姿は、どこか小さく見えるが、それでもアリアの目には頼もしく映っているようだった。
「エイン君のことはワシにお任せください」
校長のレオナルドは、しっかりとした足取りでエインの隣に立ち、軽く頭を下げる。年季の入った杖を握るその姿は、どこか安心感を与えるものがあった。
エインは母親に別れを告げると、ため息をひとつついて歩き出した。
「馬車は手配しておるぞ。入学まであまり猶予もない、急がねばな」
「……あぁ」
レオナルドの声には急かす調子があったが、エインの足取りは明らかに重い。家の方を何度も振り返りながら、名残惜しそうに歩いていく。
村の小道を歩く二人の姿を、朝日が柔らかく照らしていた。鶏の鳴き声や農夫たちの作業音があたりに響き、村はゆっくりと目覚めていく。
レオナルドは特に何も言わず、エインに歩幅を合わせて歩く。その横顔には、どこか温かみがあった。
「おや、これはレオナルド殿ではありませんか。どうしてこの村に?」
村の出入り口に差し掛かったところで、数人の男たちが声をかけてきた。役人然とした服装に、真剣な表情。手には分厚い帳簿のようなものを抱えている。
「おぉ、たしかにワシはレオナルドだが……お主らは誰じゃ?」
レオナルドは足を止め、男たちを見やる。
「私たちは王都直轄の税務調査官です。この村の納税記録に不自然な点がありまして、その調査に参りました」
調査官の一人が帳簿を掲げ、淡々と説明を続ける。
その言葉に、エインは一瞬ピクリと肩を震わせた。そして次の瞬間、やや不自然な笑顔を浮かべて、唐突にレオナルドに話しかけた。
「……校長、あの、馬車もう準備できてますよね? 急ぎましょうか、すぐに!」
急かすように言葉を畳みかけながら、エインはレオナルドの袖を軽く引っ張った。
校長はエインの急な変化に一瞬眉をひそめたが、すぐに苦笑まじりに頷いた。
「うむ、では行こうかの」
後ろを振り返ることなく、二人は馬車の方へと向かっていく。調査官たちはその様子を一瞬不思議そうに見ていたが、すぐに帳簿を手に村の方へと足を向けた。
こうしてエインは、魔法学校へと旅立つことになった。
そのすぐ後、ハテナ村ではちょっとした騒動が起きることになるのだが……それは彼とは関係のないお話──。