久しぶりの前後編、しかも折角分けたのに今までの話より1話が長い長い。もう少し読みやすくなるように努力します!
また、今回のためにお弁当について色々調べました(ロシア料理とかオムライスとか)。
それではどうぞ
翌日・昼
「さあ!お昼だ!お昼ご飯の時間だ!」
「それ穂乃果のセリフ!」
俺は昨日の穂乃果のセリフをそのままそっくり言い放つ。
穂乃果とギャーギャー言い争っていると、ことりと海未もこちらにやってきた。
「零君、頼まれてたお弁当持ってきたよ」
「私も作ってきました」
「え!?昨日言ったばかりなのに今日作って来てくれたのか!?」
「?、というより今日作って来て欲しいとばかり思ってたんだけど……」
「私もです」
「そうだったのか……」
まさか昨日の今日で作ってきてもらえるとは思わなかった。
「でも2人分だったら大丈夫!見たところ弁当箱も小さめだしな。そういや穂乃果も饅頭作ってきてくれたんだっけ?」
「え、あ、そ、そうだね~」
なぜ目をそらす。まさか忘れたのか?いや昨日かなり意気込んでいたようだったからそれはないと思ったんだが。
~♪
ん?俺の携帯に連絡が来た。そこには一言
『部室で待ってるにゃ~』
と、凛からの文章が。はて?部室に用事ってあったっけ?
~♪
また連絡だ。人気者だな俺。
『もう部室にいるから早く来なさいよ』
と、にこからの命令。もしかして部室の片付け手伝わされるのか?汚くしてんのは主に穂乃果や凛たちだろ。俺は男手ということで、そういうのに狩り出されることが多い。多分昼休みに呼び出されるってことは、一緒に飯食おうってことなんだと思うけど。
「みんな部室に集まっているみたいだけどどうする?」
俺は携帯を3人に見せる。
「部室でご飯食べるのって珍しいね、穂乃果たちも行こうよ!」
「そうですね。たまにはみんなで食べるのもいいかもしれません」
「ことりもいいよ~」
「決まりだな」
~※~
「遅い!」
部室の扉を開けた瞬間怒られた。にこの連絡をもらってから3分も経ってないじゃないか。
中ではメンバーが1年生組と3年生組が集合していた。
「お弁当作ってこさせたのに遅刻はヒドイにゃ~」
「いやいや理不尽すぎるだろ。さっき連絡貰ったばっかだっつうの」
ん?今何て言った?お弁当作ってきた?
「あれ?凛もにこも弁当作ってきてくれたのか?」
「はぁ?昨日そう言ったでしょう?」
にこが何言ってんだコイツって顔をしている。
「いや、昨日の今日で作ってきてもらえるとは思ってなくて」
「あれ?そうだったの私てっきり今日作ってくるものだとばっかり」
「って、絵里もか!?」
「ウチもあるよ」
「希も!?」
「私もです」
「花陽もか……ということは真姫も?」
「あ、あるわよ!」
マ・ジ・で!?
「零、これはどういうことです?」
あれ?少し怒ってる?
俺は穂乃果たちに昨日の帰り道での出来事を話した。
「零君みんなにもお弁当ねだってたんだあ~へぇ~」
穂乃果がジト目で俺を見る。本当は向こうから作ってくるって言ったんだが。最後にはこっちから頼み込んだけどな。
「でも、その会話の内容だったら今日作ってきてもおかしくないかも」
ことりの言う通り、俺自身も説明している間にそんな気がしてきた。
「まあ過ぎたことは仕方ないとして、どうするんですか?零?」
「ああそうだな……」
ここには俺の為のお弁当が9つ集結していることになる。さすがの俺でも弁当9つを食べられるほど大食らいではない。だがせっかくみんなが作ってくれたんだ。
「頂くよ、みんなの」
「「「「「「「「「ええ!?」」」」」」」」」
「別に無理しなくていいのよ。みんなで分け合えばいいし」
「ナイスアイデアやね、絵里ち」
「いや、みんなが作ってきてくれた弁当は俺が頂くよ。むしろ頂かせて下さい」
みんなのお弁当を無下にはできない。実は今日少し期待してお腹を空かせてきてあったのだ。どうやら功を奏した。よし
覚悟はできた!
~※~
「まずは凛からね!」
最初からクライマックス!ラーメンしか作れるイメージないんだが。しかも思っていたよりも弁当箱が大きい。これから8人分+おやつを頂かなければならないのに……
しかし頑張って俺の為に作ってくれたんだ。
パカ
「あれ?」
意外にもまともだった。しかし……
「肉多くない?ていうよりご飯と肉しかねぇじゃん!」
「これが凛のお弁当なんだにゃ!普通のお弁当じゃ面白くないし!」
「弁当に面白さを追求すんな!」
しかも肉ばっかで重い!絶対腹に来る!
「さあどうぞどうぞ!」
「せかすなって。頂きます」
俺は箸を取って、もはや見た目が牛丼と化している弁当を食べる。
「あれ?普通に美味しい」
「なんか失礼なセリフだにゃ」
「いやそんなこと思ってないって。美味しいよこれ」
「そらそうだにゃ!牛丼の材料入れただけだから」
「納得、どうりで。でも美味しかったよ。ありがとな」
「うん!」
そこそこの量があったが、やはり一発目。腹が減ってたのもあってすぐに食べてしまった。
~※~
「次は私ですね」
何故かくじ引きによって順番が決定されていた。次は海未の番だ。
パカ
「「「「「「「「「お~」」」」」」」」」
海未以外の俺を含めた全員が声を上げる。
中身はおせち料理のような、まさに和食といった感じだった。
「これ凄く手間がかかったんじゃないか?いつものお前の弁当とは違うし」
「人に食べさせるものですからね。手間をかけて当然です」
「わざわざ済まない。じゃあ頂きます」
まず手始めに煮物から食べる。
「う、うまい!これがお弁当なのか!?店に出せるレベルだぞ!」
「そんなに褒めないで下さい!普通に作っただけですよ」
「謙遜すんなって」
「うん!海未ちゃんのお弁当いつも美味しいもん。ね!ことりちゃん」
日頃、海未の弁当を奪っている穂乃果が言うのならそうなのだろう。
「うん!もっと自信持っていいと思うよ」
「そうですか、そう言われるとこっちも嬉しいですね」
その後、弁当はあっという間に空になった。弁当箱が小さかったのでまだまだいけるだろう。
~※~
「次はウチやね。正直海未ちゃんの後やと普通に見えるかもしれんけど」
「大丈夫。むしろシンプルイズベストだから」
パカ
「おお!」
中身は本人の言う通り普通だった。卵焼きやウインナーなどお弁当のお手本となるメニューだった。
「あまりパッとせえへんやろ?」
「いやいや、この卵焼きとかとても綺麗じゃん。卵焼きって作るの難しいからな」
初めに卵焼きを食べる。
「甘い」
「もしかして甘いの嫌いやった?」
「その逆、甘い方が好きなんだよ。この卵焼きは俺好みだ!いい嫁になるよ、希は」
「からかわんといてよ~」
今日の希は、いつも俺をイジって楽しんでいる希とは違っていた。何というか……可愛い……
他の具材も甘味が施されており、3つ目の弁当だというのに箸が進んだ。
~※~
「次は……」
と言いつつも、3つの弁当のおかげで相当腹は満たされてきた。もしかしたら、美味しく食べられるのはこれで最後になるかもしれない。
「私よ」
「真姫か」
「何よ、その反応」
「いや……何でもない」
真姫の家には専属の料理人がいるとかいないとか。だとしたら真姫は料理できない可能性が高い。昨日も反応悪かったし。
真姫は俺に弁当箱を手渡す。思ったより軽い。何が入っているんだ?
パカ
「これは……サンドイッチ?」
「そうよ。これだったら手間かからないし」
「見た目凄く綺麗だし、美味そうだ。ありがとな」
「べ、別に!」
そっぽを向いて髪の毛をクルクルしだした。相変わらず素直じゃない。とりあえずBLTサンドイッチらしきものを頂く。
「美味い、いやただ美味いだけじゃない。マヨネーズやチーズ、マスタードの味がいい感じに絡み合ってる」
「マスタードが少し辛いと思ったんだけど……」
「確かに刺激はあるけど、さっぱりとした野菜と食べると丁度いい具合になってるよ」
「そう」
淡々としてるように見えるが、顔はしっかり喜んでのがわかる。
その後、ペースは遅くなりながらも完食した。
さすがに4連続のお弁当が腹を支配したので、残りは放課後となった。
~※~
俺たちは再び部室へ集合した。放課後と言っても練習が終わった後なので、お腹の方はそこそこ空いている。午後の授業に体育があったのが救いだな。
「次は花陽です。とっておきのおにぎりを作ってきました!」
ドン!と俺の前に出されたのは……
「「「「「「「「「でか!」」」」」」」」」
思わず全員が声に出してしまう。花陽がダイエットをする前に食べていたおにぎりと同じ大きさだ。
いきなりこれかよ。むしろ初めがこれでよかったのかも。もし途中でこれを食べることになったら絶望したかもしれない。
「ちょうど昨日、新潟の親戚から送られてきたお米でこのお米は……」
始まったよ、演説が。花陽はアイドルと米のことになるとキャラが180度変わってしまう。しかも演説を途中で遮ると、怒ってさらに熱弁し始めてしまうので大人しく聞いているしかない。
「えぇーい!この間に食べてやる」
躊躇していても仕方がない。例えどんなものでも、花陽が俺の為に作ってくれたものを嫌な顔して食べるのは申し訳無さ過ぎる。
そして……
「食べきった……」
「どうだった!?」
いつもと違ってハイテンションな花陽。演説のせいで穂乃果と凛が軽く寝かかってるし。
「美味かったよ、ははは……」
ちなみに嘘ではない。さすが米マイスターが選んだ米だ。しっかし味が付いていて飽きずに食べられた。腹のダメージは深刻だが。
~※~
「次はことりだね!ハイどうぞ!」
「ありがとう」
弁当箱は女の子らしい可愛いものだ。
パカ
「「「「「「「「「お~!」」」」」」」」」
再びメンバーの声が揃う。
中身はタコさんウインナーやウサギの形に切ったリンゴなど、今流行りのキャラ弁ではないが動物に模したものが多い。
さっきまで米ばっかり食ってたためか、早速おかずにありついた。
味はもちろん美味い。それだけではなく、一口サイズのものが多くて食べやすい。何気に今回デザートが入っていることが初めてなので、腹を落ち着かせることにも一役買っている。
「これ作るのに結構時間掛かっただろ?丁寧な作りでことりの気持ちが伝わったよ」
「え!?」
「俺に食べて欲しいって気持ちがな」
「そ、そうだね」
あれ?俺マズイこと言ったかな?ことりの様子が変わったように見えたけど。
とりあえず苦もなく完食できた。
~※~
「次は私ね」
次は絵里の番か。放課後といっても昼にお腹ゲージが一旦MAXになってしまったので、放課後までに完全には回復できなかった。今のお腹ゲージは半分をとっくに超えている。
「大丈夫零?まだ食べられる?」
「大丈夫大丈夫」
パカ
「こ、これは!?」
絵里のお弁当は他のみんなが作ってくれたお弁当とは雰囲気が違っていた。
「もしかしてロシア料理なのか?」
「よく気づいたわね。あまりお弁当には向いてないかもしれないけど、今回は特別」
「確かにお弁当にビーフストロガノフはな……」
どうでもいいが、ビーフストロガノフって必殺技みたいな名前だな。
「これトマトの味がするぞ」
「!!」
真姫が反応した。そういやトマト好きだたな。
「向こうではあまり入れないんだけど、日本のレシピでは入ってることが多いから、そっちの方が口に合うと思って」
たまねぎとトマトが絶妙に絡み合う。今度は弁当ではなく、絵里がその場で作ってくれたものを食べてみたいもんだ。
~※~
「最後はにこね!」
「一応穂乃果がいるんだが」
「……」
あれ?いつもなら穂乃果自身がツッコミをするハズなんだけど。何故か喋らない。
「はいこれ!にこにー特別レシピ!」
パカ
「オムライスか」
「よく妹たちにも作ってるから得意なのよね」
「じゃあ頂きます」
時間が経っているにも関わらず、ふわふわ感がしっかりと残っている。形も綺麗で崩れない。
「すごいなこれ!美味いし食べやすい!」
「当たり前でしょ!にこが作ったんだから!」
自慢そうにしているが、真姫と同じく嬉しそうにしているのがよくわかる。その点が似た者同士なんだよな。
~※~
既に腹ゲージはMAXを迎えていた。それを考慮してでもみんなの弁当は美味しかった。平静を装っているが、正直かなりしんどい。今から饅頭を食べるとなると気が重くなる。作ってくれた穂乃果には申し訳ないが、何か奇跡が起きてこの状況を乗り越えられないかと思う。そのぐらい腹がピンチであった。
「……」
「おい、穂乃果どうした?」
「実は……」
「実は?」
「新作のお饅頭を作ってきたんだけど、授業の合間に小腹が空いて、ちょっとだけ味見しようと……」
「そういえば、休み時間にコソコソしてましたね」
前回のダイエット経験があってから、海未の目はさらに厳しくなった。
「おい、それってもしかして……」
「うん。いつの間にか全部食べちゃった!」
謝る気があるのかないのか、穂乃果は笑いながら告白した。
「穂乃果!あなたって人は!」
「ごめん!ちょっとした出来心だったんだよ!新作まだ食べてなかったし」
「食べてないのを俺に食わせようとしたのかよ!」
しかしこれで……
バタン
「「「「「「「「「零(君)!?」」」」」」」」」
俺はこれ以上食べなくていいと安心したためか、その場で倒れ込んだ。いい顔をして。
みんなのお弁当を楽しんで食べることができたから満足だ。
そして俺はやすらかに眠った。
その翌日、腹を壊して学校を休んだ。
ちなみに、見舞いに来た穂乃果から新作ほむまんを貰った。腹壊してるのに……
~執筆の感想~
今回の話を制作するにあたって、お弁当や料理についてそこそこ調べました。どういうオムライスが美味しいか、女の子らしいお弁当の中身とかですね。一番の収穫は話の中でもありましたが、ビーフストロガノフがロシア料理で、ロシアと日本では使われている具材が違うことがあるってことですね。
個々のキャラクターのお弁当は完全に自分の想像で、『このキャラはこんなお弁当だろうなぁ』と考えながら書きました。うまく読者様のイメージに合えば幸いです。今回の話ではお弁当を作って来なかった穂乃果は、実際どんなお弁当を作って来てくれるんでしょうね?
~執筆裏話~
実は今回の話、処女作であったことは内緒。真の主人公の性格を見せるには「PV撮影」の回を第1話に持ってきた方が、変態さ加減をアピールできてイイとの判断でした。とりあえず初めての読者様は1話を見るため、一番読者様の目に入って欲しい話ということもあります。正直、文才皆無の時に書いたものなので黒歴史回なんですけどね。
それではこの辺で失礼します。ありがとうございました!
次回は真姫とデート回!