今回は前回の続きからとなります。長さも前回と同じく短めに、いかにも短編集っぽいと言い訳をしてみる。
とある冬の日(戦慄の鍋パーティ)
「お邪魔しまーす☆」
凛の号令と共に、俺たちは穂乃果の家にお邪魔した。何故俺たちがココへ来たのかというと……
「みんな入って入って!早くお鍋をはじめよーっ!」
「みんなでお鍋とは……いいコトを考えましたね」
「でしょ?でいうか、冬は鍋って相場が決まってんのよ」
学校でのにこの提案は鍋だった。それで、休日に俺を含めたμ'sメンバー鍋パーティが開かれるコトになったのだ。
「お鍋でもいいなら~可愛いコートでもいいと思うんだけど~……」
ことりの奴、まだ言ってるよ……鍋とコート関係ないじゃん。
「みんなで好きなお鍋の具を持ってきたけど……まず、どうしよう?」
花陽はカバンから買ってきた具材を取り出しながら聞く。今日の鍋は俺たち10人で具材を持ち寄って、オリジナルの鍋を完成させるという企画である。
「早速順番に入れていこうぜ。腹減ってしょうがない」
「あれ?好きなお鍋の具……!?」
ことりが不穏な言葉を口にする。あれ?俺、ちゃんとみんなに報告したハズなんだけど…大丈夫だよな?
「ことり、忘れてしまったのですか?」
「う、ううん。持ってきたけど……」
「じゃあ穂乃果から入れるね!お鍋と言ったらやっぱりお肉だよねっ!」
穂乃果がことりの言葉を遮ったため、その先を聞けなかった。
「焼肉用のお肉だにゃー!」
「私は鮭を持ってきたの。後で味噌味にしてもいいかなぁと思って」
絵里が持ってきたのは鮭。たまにどこか抜けている絵里にしては結構マトモだ。
「さすが絵里ち!ウチはお豆腐を入れるね」
「にこは油揚げとしいたけ!だしが出る具は、これで決まりでしょ☆」
案外みんな安定した具材を持ってきてるのな。これじゃあ普通の鍋と変わらんじゃないか。まあ、普通の鍋パーティなんだけど。
「花陽はご飯と卵なんだけど、お鍋の最後に卵雑炊にしようと思って」
「おお!いいね。俺、鍋の後の雑炊好きなんだよね」
「では花陽の分は後で入れましょう。私はネギと水菜とほうれん草を持ってきました」
「海未ちゃんのは、緑の野菜ばっかだにゃー」
これは、普段から食生活もキチンと整えている海未らしいチョイスだ。
「野菜が苦手なら、野菜と好きなモノを交互に食べるといいですよ」
「ふむふむ。海未ちゃん賢い!」
野菜が苦手な凛にとっては朗報だな。
「じゃ、次は私ね。トマト持ってきたから」
真姫が懐から取り出したのは紛れもないトマトだ。自分の好物を持ってくる場じゃないぞ。
「ぶれねぇなお前……いくら自分が好きだからって、鍋にトマト入れんのかよ」
「なんか雲行き怪しくなって来たわね……」
にこも同じ空気を感じ取る。俺たちはオリジナルの鍋を作るのであって、闇鍋ではない。
「別に怪しくないし」
だが、少々変な鍋になった方が面白くはあると思う。俺らが満足できるかは別として。
「うーん、前にトマト鍋っていうの見たコトあるからいいんやない?」
「まあ、それならいいか。次は俺だ。俺が持ってきたのはイカにエビ、そしてホタテだ」
「魚介類!?アンタも真姫のコト言えないんじゃないの?」
「バカ言うな。海鮮鍋ってのがあるだろ」
しかし、魚介類と真姫のトマトは確実に合わないだろう。だが、未知への挑戦は嫌いじゃない。トマト鍋と海鮮鍋の融合、やったろうじゃねぇの。
「いいよいいよ!じゃあ次はことりちゃんね」
「ええっ!?」
何だその驚きは?既に俺と真姫が斜め上のモノを持って来ている以上、何が来ても特に驚かれはしないだろう。
「え?穂乃果、何か変なコト言った?」
「違うの、違うんだけど~っ」
「分かった。誰かと具が被ったんだろ?気にしなくていいぞ、少し余るぐらいが丁度いい。途中でなくなるのが一番面倒だからな」
「ち、違うの……」
本人は相当焦っているみたいだ。具が被っていないとなると、そうとう凝ったものを持って来たのか?みんなが普通のモノを持ってくるもんで、出すに出せなくなっているとかかな?
「この箱の中に入ってるのかにゃ?」
「あっ、凛ちゃんそれはダメなの~!」
この焦りっぷり。尋常じゃないぞ……滅茶苦茶嫌な予感がする。
「ねーちょっと何してんの?早く入れてよ!火が通るスピードとか色々あるんだから」
次第にイラ立ち始めたにこ。いつの間にかコイツが仕切り屋になっている。『色々』とか有耶無耶に誤魔化している時点でお察しだが。
「にこっち、めっちゃ鍋奉行やん」
「うぅ……みんな、ごめんなさい!!え~~いっ!」
ポチャン
ことりは素早く手持ちの箱から具材と思われるモノを取り出し、鍋に投入する。それにしても、鍋に入れる時の音がかなり鈍かった様な……
「これは……何でしょう?三角柱の様な形状ですが……」
「ケーキみたいな形よね?」
真姫それはおそらくケーキみたいではなく……
「う、うわあっ!これ、ケーキみたいな形じゃないよ!ケーキだよ!」
いち早く気付いた花陽を皮切りに、全員も気付いたようだ。
「ええええっ!?な、何でことりちゃんお鍋にケーキ入れちゃったの!?」
「好きな食べ物持って来てって言われて……ことりチーズケーキが好きで……だから……あの……。あ~ん、ごめんなさ~いっ!」
もしかして、俺が『好きなお鍋の具を持って来い』ではなくて、『好きなモノを持って来い』って言っちまったせいか。
「とりあえず、今はケーキの水没してない部分から救い出すのが先だろ。みんなは水没したところを拾ってくれ。まあ、ほとんど助からないと思うけど」
今回は連絡ミスをした俺にも失態があるから、ことりを責めるコトはできない。とにかく、あま~いトマト海鮮鍋になるのだけは避けなければ……
「凛はね、カップラーメン持ってきたよ!お鍋にピッタリだし~!1人1個だから、10個ね!」
「凛、ちょっと待って!そんなにたくさん乾麺を入れたら……」
絵里の静止を振り切り、凛は鍋に麺を投入した。
「オイ!!今入れるんじゃねぇ!ケーキ取れなくなるだろ!!それに、鍋の汁が麺に吸い取られる!!」
ケーキ汁がみるみる麺に染み込んでいく。これは完全なる手遅れだ。
「あれれ?お水が足らないみたいだにゃ?誰かお水~っ!!」
「ていうか、チーズケーキほとんど溶けちゃったんだけど!!」
珍しく真姫が大声で叫ぶ。これは叫びたくもなるわな…もう笑いしかでねぇ。
「これは仕切り直し、やね」
~※~
「はぁ~、おいしかった~!満腹満腹~っ」
「もうダメかと思ったけど……やり直せてよかったわ」
みんなが多めに具材を持って来てくれたおかげで、鍋を再開するコトができた。穂乃果もご満悦のようだ。
「チーズケーキは残念だったな」
「ことり、頭がいっぱいになっちゃって。え~いってお鍋に入れちゃったの……ごめんなさい」
「終わったコトはもういいやん。みんなでおいしく食べられたんやし」
「そうだな。その代わり、また今度うんとおいしいチーズケーキ、食べさせてくれよ」
「うん!ありがとう零君!」
やっぱりことりは笑顔が一番だ。
色々あったが、鍋パーティは無事に終えるコトができた。本当に温かくなるには、こうやってみんなと一緒にいるコトが一番なのかもしれないな。
10人が同じ舞台にいて喋らせるのは1話以来かな?今は誰が喋っているのかがすごく分かりにくかったと思います。ある程度は零君の地の文でフォローを入れていますが、いちいち入れていると読みにくくなるというジレンマ。今回に至っては読者様の想像力にお任せします。(丸投げ)
この話を元にしようと思ったのは、ことりちゃんが可愛かったの一言に尽きます。何でも完璧にできる女の子よりも、少しドジな子が個人的には好きなんですよね。ラブライブのキャラは全員そういうところがあるのが可愛いと思っています。
とりあえず、今回の冬の日の話はこれで終わりになります。スクフェスをプレイしている人なら分かると思いますが、この後は雪合戦をする話になります。気になる方は見てみては?