ラブライブ!~μ'sとの日常~【完結】   作:薮椿

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クリスマスに投稿すると言ったが、クリスマスネタとは言ってない。つまりクリスマスとは何ら関係のない話です。


2014年12月23日21時の日間ランキングにおいて、この小説が4位にランクインしました。その反動で読者様が大幅に増え、より一層励みとなりました。ありがとうございます!


※今回は「ToLoveる」より発明品だけをお借りしました。



まるまるチェンジくん!

 

バン!

 

「さあ!!今日も練習だあ!!」

 

「穂乃果、扉は静かに開けてください!」

 

 

 穂乃果と海未は、掃除当番の零とことりよりも先に部室へとやって来た。

 

 

「……ってあれ?誰もいない」

 

「掃除や生徒会で忙しいのかもしれません。私たちだけでも、先にストレッチをやっておきましょうか」

 

「さんせーい!」

 

 

 μ'sの練習になると、穂乃果は数段テンションが上がる。普段の昼からの授業はすべて寝て過ごしているため、体力は余りに余りまくっている。そしてテスト前になると、零たちに泣きついてくるまでがテンプレである。

 

 

「あれ?コレなんだろ海未ちゃん」

 

 

 穂乃果は部室の机の上に置いてあった、妙なおもちゃを手に取る。その形状は、モニタがついた球体から取っ手のようなものが、お互いに反対方向に伸びている。

 

「なんでしょう?新しいアイドルグッズですかね?」

 

 

 アイドル研究部の部室に置かれているぐらいだから、そう考えるのが普通だ。しかし、そのおもちゃは明らかに子供っぽ過ぎる。

 

 

「面白い形してるよね。海未ちゃん、そっち持ってみてよ!」

 

 

 穂乃果は片方の取っ手を持ちながら、もう片方の取っ手を海未に向ける。

 

 

「そもそも、コレって何をするモノなのでしょう?」

 

 

 穂乃果に言われるまま、もう1つの取っ手を握る。

 

 

 

 

ピコ!

 

 

 

「あ!画面が映ったよ!」

「ど、どうして急に!?」

 

 

 

 

 

 

ピカーン!

 

 

 すると突然、モニタから目が眩むような光が漏れる。

 

 

「「きゃぁ!!」」

 

 

 その光は部室全体を大きく包み込んだ。

 

 

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 

「うぅ~目がクラクラする~」

「なにがどうなっているのか分かりません……」

 

 

 光は収まったが、2人の目眩はしばらく続いていた。

 

 

「あれ?」

 

「どうかしましたか?……って、え゛ぇぇ!!??」

 

「どうして穂乃果がそこに!?自分が目の前にいる!?!?」

 

 

 穂乃果の目の前には穂乃果が、海未の目の前には海未がいた。何故かお互いは自分の顔を見ている状況であった。

 

 

ピコ!

 

 

 再びモニタが作動した。しかし今度は文字が映し出されていた。

 

 

「えーと、『2人で取っ手を持つと、その2人の心身が入れ替わってしまいます』だって」

 

「入れ替わるって……じゃあ、私と穂乃果は」

 

「入れ替わっちゃったみたいだね」

 

 

 身体は同じで中身だけ入れ替わったと思えば分かりやすい。つまり、穂乃果の身体の海未と海未の身体の穂乃果になってしまったという訳だ。

 

 

「まだ続きがあるよ、『もう1度入れ替わるには充電が必要です。充電は24時間で自動的に行われます。ただし、他の人に知られてしまった場合、元に戻れません』だって」

 

「24時間!?というコトは……明日のこの時間までこのままですか!?」

 

「それに誰にも知られたらいけないって……これから練習なのに!?明日も普通に学校あるよ!?」

 

「練習は……ライブも近いですから休むべきはないでしょう。みなさんに気付かれないように振舞うしかないですね」

 

「で、できるかな?」

 

「入れ替わりなんて非常識的なコト、誰も思い浮かばないでしょう。たった一人を除けば……」

 

「零君、だよね……」

 

 

 2人が危惧している人物は零である。彼は色々細かいところにすぐ気が付くし、何より鋭い。妙な素振りを見せれば、たちまち見抜かれてしまうだろう。同学年で同じ教室である以上、危険も大きい。

 

 

「綿密に計画を立てましょう。そうでなければ、一生このままですから」

「そうだね!頑張ろう!」

 

 

 そうして、穂乃果と海未の神経を削る戦いが始まった!

 

 

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 

「ハイ!1、2、3、4……」

 

 

 海未のカウントと共に、穂乃果たちはいつも通りのダンスレッスンを行っている。でも、今日は何かが妙に変だ。それが何かはまだ分からないけど、俺の感覚がそう感じ取っている。

 

 

「1…2、3、4」

 

 

 まず1つ目におかしいのが、海未のカウントがたまにリズムに乗っていない時がある。少しズレているというか、音楽ド素人の俺でもリズム感覚がおかしいコトぐらいは見て取れる。

 

 

 

 2つ目は穂乃果と海未のテンションが明らかに低い。やけに神経を集中させているみたいだ。いつも馬鹿みたいにはしゃぐ穂乃果も今日は落ち着いているし、海未も海未でいつもはあまりやらないボディランゲージをしている。

 

 

 

 

「1、2、3…4」(あ!またズレちゃった!結構難しいなぁ)

 

(穂乃果……また……)

 

 

 

 

「ちょっと海未!アンタさっきからズレ過ぎよ!」

 

 

 みんなも同じコトを感じ取ったのか、にこが代表してツッコむ。

 

 

「カウントと手拍子が全然合ってないにゃ!」

 

「タイミングが分からないじゃない。もう少しで花陽とぶつかるところだったわ」

 

「真姫ちゃんとの入れ替わりのタイミング、シビアだからね」

 

 

 1年生組も海未に猛反発。海未から変な汗出てるぞ。

 

 

「海未ちゃん大丈夫?具合でも悪いん?」

 

「い、いえそういうのではなく」(あぁ、未だに敬語は慣れないよ~)

 

「とにかく、今日は私と交代ね。それでいいでしょ?」

 

 

 海未の調子が悪いのか、今日の指導役は絵里と交代になった。

 

 

「は、はい。お願いします」(穂乃果のせいなのに、海未ちゃんの株がドンドン下がってるような……)

 

(自分が猛反発受けているところを見るのは辛いですね……)

 

 

 

「おい、ことり」

 

「なぁに?」

 

「あの2人、どうしたんだ?」

 

「2人って、海未ちゃんと……誰?」

 

「穂乃果だよ。アイツ、さっきから全然喋ってないだろ?」

 

「そういえば…穂乃果ちゃんも具合悪いのかなぁ?」

 

「う~ん……」

 

 

(零がこっちを見ています……もしかして、もう気付かれたのでしょうか?)

 

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

翌朝:通学路

 

 

「お、おはよー!ことりちゃん!」(穂乃果の言葉、まだ慣れませんね……)

「お、おはようございます、ことり」(う~……まだ違和感あるよ)

 

「おはよう!穂乃果ちゃん!海未ちゃん!あれ?2人一緒に来たの?」

 

「え、ええ。たまたま途中で会ったので……」

「そ、そうなんだよ」

 

「ふ~ん、珍しいね」

 

 実は昨日から海未の両親が不在であったため、2人は海未の家で一緒に1泊していたのだ。海未がそのまま帰宅してしまうと、穂乃果の家族に対してボロが出る可能性がある。

 

 

「あっそうだ!海未ちゃん、数学の宿題はもうやった?」

 

「……」

 

「!!!」(穂乃果!あなたですよ!)

 

 

 海未は穂乃果を肘でつつく。今は穂乃果が海未となっているからだ。

 

 

「え!?あ、や、やったよ…じゃなくて昨日やりましたよ」(突然過ぎるよ!)

 

 

「そうなんだ。実は分からない問題があって、海未ちゃんに教えてもらいたいんだけど」

 

 

「え゛!?」(穂乃果、数学なんて分からないよー!!まして、ことりちゃんが分からない問題を穂乃果が解けるハズが……)

 

「学校に着いてからでいいかな?」

 

「う、海未ちゃんより零君に教えてもらって方がいいと思うよ!零君、数学凄く得意だし!」(これでなんとか!)

 

(ナイス!海未ちゃん!)

 

 

「それもそうだね!他の教科でも教えてもらいたい問題があるから、零君に頼もうかな?」

 

((ふぅ~))

 

海未の機転により、上手いこと難を逃れた。この時だけは、零が賢いコトに感謝する海未であった。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 

 

「おはよう!零君!」

 

「おはよう、ことり」

 

 

 毎回思うけど、コイツら何時に学校来てんだ?俺より後に来ているのを見たコトがない。それも、規律を重んじる海未のせいなのかもしれない。

 

 

「零君、数学の宿題で分からないところがあったから、教えてくれないかな?」

 

「いいけど、教えるのは下手だぞ。海未の方が絶対分かりやすいって。おーい!海未ー!」

 

「はい、なんでしょう?」

 

「オメーじゃねぇよ、穂乃果」

 

 

 海未を呼んだのに、何故か穂乃果が応答した。そんな耳悪い奴だったっけ?それとも……

 

 

「あ、ああ…ゴメン、聞き間違えた…あはは…」(やってしまいました!!なんたる不覚……)

 

(海未ちゃん……とりあえず、穂乃果じゃ無理だから、何か作戦を考えないと)

 

 

 

「ん?この問題なら大丈夫だ。悪い海未、やっぱいいわ」

 

((た、助かった~!))

 

あの2人、さっきから焦っていると思えば、今度はホッとした表情してやがる。まるで、2人とも同じ感情を共有しているかのような、そんな感じ。

 

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 

 現在、4時間目の数学の授業だ。いつもと変わらない退屈な授業だが、俺は穂乃果と海未に対して目を光らせていた。まず、2人の挙動がいつもと逆だ。穂乃果が真面目にノートを取り、海未は寝てはいないもののボーっとしている。

 

 

 

「よし!この問題は……高坂!答えてみろ!」

 

 

 先生が穂乃果に問題の答えを求める。まぁ穂乃果じゃ無理だろ。いつも通り、『分かりませんか』って答えるか、とんちんかんな答えで終わるのは目に見えている。

 

 俺は机に肘をつきながら、暇そうに穂乃果を眺めた。

 

 

 

「18です」

 

「!!!」

 

 

 何だと!?俺だけじゃなく、周りの生徒も驚いている。もちろん先生も。

 

 

「正解だ。じゃあ2番と3番の問題は?」

 

 

 

「2番が64で、3番が-2です」

 

「正解だ!凄いな高坂」

 

 

(海未ちゃーーーん!!!)

 

 

(は!!またしてもやってしまいました!!)

 

 

ザワザワ

 

穂乃果が全問正解したコトが珍しすぎて、教室内がざわつく。穂乃果の奴、別人みたいだな。ん?別人……?

 

 

昨日の練習……今日の朝……そして…………!!!

 

 

 

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

「よし、今日の授業はこれで終わりだ。宿題は明日提出だからな。忘れないように」

 

 

 

 

(穂乃果!)

(うん!分かってる)

 

 

「ごめん零君、ことりちゃん。穂乃果たち少し用事があるから、昼食は2人で食べておいて」

「ゴメンなさい。結構時間がかかってしまいそうなので…」

 

「用事って何かあったっけ?」

 

「あっ!もう時間になっちゃう!海未ちゃん急がないと!」

「そうですね!それでは!」

 

 

 穂乃果と海未は弁当を持って、足早に教室を出て行った。

 

 

「ことり、今日穂乃果ちゃんと海未ちゃんに用事があるって聞いてなかったけどなぁ」

 

「すごーく大切な用事だよ」

 

「え?大切な?」

 

「ああ、あの2人にとってはな……」

 

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「ふぅ~やっと昼休みだね」

 

「はい……でも油断はできません」

 

「だから零君たちから抜け出して来たんだもんね」

 

 

 

 

 

 

「おい」

 

 

 

 

 

 

「「!!!」」

 

「何してんだ?こんなところで?」

 

「零君、ことりちゃんも!?」

 

 

 この2人がいたのは誰も通らないような校舎裏だった。漫画とかでは不良がよく溜まってそうな場所である。

 

 

「ことり、頼む」

 

「うん」

 

ことりはすぅ~っと息を大きく吸い込んだ。

 

 

 

 

「みんなのハートを打ち抜くぞ~♡ラブアローシュート♡バーン!!」

 

 

 

 

 

「ひっ!!ひぎゃあぁあああああああああああああああああああ!!!」

 

 

 ビンゴ!俺の予想通り、"穂乃果"がダメージを受けた。頭を抱えながら、地面をのたうち回っている。

 

 

「大丈夫海未ちゃん!?じゃなかった、穂乃果!?」

 

 

 

 

「どうだことり!俺の言う通りだっただろ?」

 

「本当だ、凄いね零君!……と言うことは、やっぱり穂乃果ちゃんと海未ちゃんは入れ替わってるんだ」

 

 

 

「そ、そんなコトはないですよ……」(ダメ、バレたら穂乃果たち、元に戻れなくなっちゃう!)

 

 

「昨日の練習で海未のリズムが取れてなかったのも、それが穂乃果だったから。いきなりみんなの呼吸が合うようにリズムなんて取れないからな、いつもやってる海未を除いては。そして今日の朝、俺が海未を呼んだ時に穂乃果が答えたのは、穂乃果が海未だったからだろ。さらにさっきの授業。あれを見て確信したよ」

 

 

 

(ダメ、それ以上は……)

 

 

「安心しろ。バレても元に戻れるから」

 

「え?」

 

 

 海未……になっている穂乃果はキョトンとした顔で俺を見つめる。昨日からバレないように相当頑張ったんだな。

 

 

「あれはウソだってさ。さっき姉さんに連絡したら、案の定アイツの仕業だったよ。また面白いというだけの理由で、おもちゃを置いていったんだと」

 

 

 前回の凛が猫になった時もアイツの仕業だった。俺たちに開発道具を試すのは止めてもらいたい。

 

 

「よ、よかった~」

 

 

 穂乃果は一気に気が抜けたらしく、その場で座り込んでしまった。

 

 

「でも充電は必要らしいから、今日の放課後までは我慢な」

 

 

 今度は俺たちも着いているから大丈夫だろ。

 

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

「ねぇ零君、海未ちゃんどうすればいい?」

 

「まあ、そっとしておいてやろう……」

 

 

 最後に残ったのは、海未の再び切り開かれた傷口だけだった。

 

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 

 俺は姉である秋葉に電話をかけた。

 

 

 

 

『やっはー!どうだった?穂乃果ちゃんと海未ちゃんは?』

 

「秋葉……お前、これから学院に出入り禁止な」

 

『えぇぇぇぇぇぇぇ何で!?ちょっと説明を……

 

 

ブチッ!

 

 

 これにて、不審者の撃退に成功した。もう来るなよ。

 

 

 

 




発明品シリーズ第3弾でした。第1弾は「ショタ返り(前後編)」、第2弾は「猫になった凛」で描かれています。



ランクインについては先駆けて活動報告で書かせて頂いたのですが、一応ここでも。

ランキングにランクインする事自体が初めてで、感想にて教えてもらった際に感動してしまいました。ランクインの反動からか、『日常』『非日常』共に更に多くの読者様に読んで頂き嬉しい限りです。『1話から追いかけて読んでるよ』という方も『ランキングから来ました』という方も、ありがとうございました!




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