テンポを重視したら体感すごく短くなりました。
※場面転換の区切りを『---』連打から『~※~』に変えました。今までのハイフン連打は文字数が増大するためです。
「大掃除をします!!」
そんな海未からの呼び出しで、冬休みにも関わらず俺たちはアイドル研究部部室前に集められた。
「ふぁ~」
「穂乃果ちゃん眠そうだね」
「そうなんだよことりちゃん……何でこんな朝早くから…」
「シャキっとしなさい!!冬休みだからって怠けた生活を送っているからそうなるのです!!」
正直言って俺もすげぇ眠たい。生活態度の悪さなら穂乃果にだって負けてないと思う。
「絵里ちゃんたちはどうしたのかにゃ?」
「3年生は受験勉強で忙しいでしょうから、今日は私たち7人でやります」
そう、3年生はあと1ヶ月足らずでセンター試験だ。そのために1日でも無駄にしないよう海未からの配慮だった。というコトで、集まったのは俺を含めた2年生4人と1年生3人だけだ。
「そもそもこの部室ってにこちゃんのモノばかりじゃない。どうして私たちが掃除しなきゃならないのよ」
真姫も俺たちと同様やる気はないようだ。
「私たちが入ってから、にこ以外の私物もたくさん増えました。特に穂乃果と凛の私物が多いこと多いこと。一応事前に連絡を取って、いるモノといらないモノを教えてもらいました」
「じゃあいらないアイドルグッズは貰っていいんですか!!!」
さっきまで黙っていた花陽が急に食いついた。花陽にとっちゃお宝の山だろうからな。
「えぇ、まあ……」
「ぐぅ~」
「穂乃果ちゃ~ん!起きて~!」
「ことり、叩き起して構いませんよ」
「えぇ!!」
「とにかく、サッサと終わらせようぜ!オラ起きろ!」
「イタッ!!もっと優しく起こしてよ~」
「それでは取り掛かりましょう!」
「「「「「「お~!」」」」」」
そもそも部員でない俺が駆り出される理由がよく分からないが、男手というコトで"しょうがなく"手伝ってやろう。
~※~
「とりあえず部室のモノを全部外にだそうぜ。その後、部室を掃除する班と更衣室を掃除する班に別れよう」
俺の号令と共に掃除が始まる。まず机のように大きなモノから、CDなどの小物まですべて外に出さなければまともに掃除もできない。
「あーー!!」
「どうした凛!」
「なくしたと思ってた漫画が見つかったにゃー!!」
「懐かしむのは後にしろ。今は部室内をカラにするのが先決だ」
「いや~やっぱ面白いにゃ!」
「今読むなよ!!大掃除の定番ネタやってる場合か!」
朝っぱらからツッコませないでくれ。もう完全に目覚めたわ。
「これは!!」
「どうした花陽」
「A-RISEの特典付きCDじゃないですか!!A-RISEのみなさんのインタビューが付いているというあの!!」
「とりあえず今は片付けをだな……」
「パソコンは!?パソコンはどこですか!?」
「だから今見ようとすんな!!」
開始10分で頭に相当血が登ってきた。めちゃくちゃ暑い!!
「全く2人共、手を動かしなさいよ」
分かってくれるのは真姫だけだよ。真姫は台に乗り、棚の上のダンボールを降ろそうとしている……って!!
「待て真姫!!それ動かすな!!」
ガサ!
遅かった……
ブワ
「ほ、埃が!!ケホッケホッ!」
「うぅ~埃くさ~い、穂乃果この匂い嫌いだよ!」
「ケホッ!みんな部室から出ろ」
ダンボールを動かしたせいで、ここ数年分溜まっていた埃が部室に充満する。
「ケホッ!何!この埃!?」
「あぁ~ん!!髪の毛にくっついちゃう!」
「隣から入ってきているようですね」
部室から繋がっている更衣室で作業をしていた穂乃果たちにも被害が及んだ。
「お前らも一旦廊下に出ろ」
こうして、大して作業が進んでいないまま休憩となった。
~※~
廊下
「部屋のモノを出す時は下から順番だろ。掃除のセオリーぐらい知っとけよな」
「だから悪かったって言ってるでしょ!」
さっきから真姫に逆ギレされてるんだが。これだからいいトコのお嬢様は……
「う~!廊下寒いにゃ~!!」
「今日は特に寒いらしいよ」
「俺は暑いけどな、お前らのせいで」
ダキ!
「ちょ!!穂乃果!!急に抱きつくな!!」
「うわ~!!零君あったかいな~」
「ことりもことりも!」
ダキ!
「ことりまで!?離れろお前ら!!」
「それなら凛も!!」
ダキ!
「凛!!苦しいって!!」
「ほら!海未ちゃんも花陽ちゃんも真姫ちゃんもおいでよ!おしくらまんじゅうしてるみたいであったかいよ!」
「くっつき過ぎだって!!暑苦しい!!」
「私は……え、えぇと」
「バカみたい」
そんなコトを言いつつも、花陽も真姫も顔がものすごく赤い。
「れ、零!!」
「海未!!助けてくれよ!!」
「ハレンチです!!!」
ドゴォ!!!
「ぐはっ!!!……って何で俺なんだよ!!」
俺、帰っていい?
~※~
1時間後
「あーあ、零君が気絶するから遅くなっちゃった。穂乃果、早く帰りたいのに」
「迷惑な話だにゃ」
「お前らなぁ……」
俺がその場で気絶してしまったため、作業開始がまさかの1時間後になった。それだけあれば充満していた埃も消え去るわな。
「部室と更衣室に置いてあるものはすべて外へ出しましたね」
「ああ、じゃあここから部室と更衣室の2班に別れよう」
2つの部屋の机やらイスやら私物やらを外へ出したので、ここから本格的に作業へ取り掛かる。俺と1年生組が部室、穂乃果たち2年生組が更衣室の担当になった。
~※~
「どれだけ掃除してないのよ、この部室。汚いところだらけじゃない」
部室の隅で真姫が汚れと格闘している。
「少なくともにこが部長の時からはやってないだろうな」
「この汚れとか全然落ないし」
「この洗剤使え。汚れによって洗剤を上手く変えないと苦労するぞ」
「何か違うものなの?」
「当たり前だろ。そんなコトじゃあ、いい奥さんにはなれないぞ!」
「お、奥さんって……」
ありゃ?黙ってしまった。相変わらずからかいがいのある奴だ。
「零君が真姫ちゃんを口説いてるにゃ」
「く、口説かれてないわよ!!手を動かしなさい!手を!」
「はいはい」
「凛!!」
「真姫ちゃんが怒ったにゃ~!!」
「待ちなさい!!」
凛が真姫を挑発して逃げ、真姫があっさりそれに乗り追いかける。
「掃除しろお前ら!!!」
もうスクールアイドルとか関係なくシバイてやってもいいよな?
「ん?すごいな花陽!この辺、綺麗になりすぎだろ」
気付けば花陽が部室の一角の汚れを完全に落としていた。そこだけキラキラという擬音が似合いそうだ。
「掃除は結構好きで、家でもよくしてるから」
「もう俺とお前の2人で頑張ろう」
「凛ちゃんと真姫ちゃんは!?」
「ほっとけ」
もうあの2人には何も期待せん。
「うぁああああああああああああああ!!」
「ったく、今度は何だよ!!」
次は隣の更衣室から穂乃果の叫び声が聞こえた。また掃除が中断される。
「ぴぃぃぃぃぃ……」
「ことり……変な声だしてどうした?」
「あ、零君!!あそこあそこ!!」
ことりは更衣室の隅を指差す。そこには通常サイズより少しデカイ、黒光りしている物体がカサカサしていた。
「何だよ、ゴキブリかよ」
「ゴキブリかじゃないよ!早くやっつけてよ!」
前に穂乃果は蜘蛛も怖がっていた。意外と虫苦手なんだな。
「今こっちの掃除で手が離せないから、海未がやってやれよ」
「……」
「海未?」
海未に話しかけるも一切動かないし喋らない。俺には背を向けているので表情も分からない。
俺は海未に近づいて顔を覗き込む。
「コイツ、立ったまま硬直してやがる……」
海未もGは苦手だったのか、直立不動で固まっている。
「うわぁ!動いた、動いたよ!!こっちに来る!!」
「うわ~ん!気持ち悪いよ!!」
「じゃあ見なかったらいいだろ!!見なかったら!!」
「「零君!!早く!!」」
「うっせぇなぁ。分かったよ……」
スッ
ポイッ
ちりとりでゴキブリをすくい上げ、窓から外へ捨てる。
「やったね!ことりちゃん!!」
「うん!ことりたち、無事生還できたんだね!!」
片や感動のクライマックスを迎え……
「……」
片や硬直したまま動かず……
「ゴシゴシ……」
片や真面目に掃除をし……これはいいか……
「今の真姫ちゃんは、”真姫”じゃなくて”真鬼”だにゃー!!」
「どういう意味よそれ!!」
片や廊下で追いかけっこ……
「…………花陽、俺帰るわ」
「えぇ!?!?」
という訳にもいかないので掃除を再開したが、今日の掃除が丸一日かかったコトは言うまでもない。
ということで、今年分は『日常』『非日常』を含めて最後になります。お暇な時に読んでもらい、少しでも楽しんで頂けたのなら幸いです。
それではよいお年を!