引き続きの日常回です。
現在、ことりが買ってきたお土産のケーキをみんなで食べている。
穂乃果の前にはお土産として買った木彫りのフクロウが、絵里の前には雪ん子の人形が置かれていた。
そういや食事といえば……
「晩飯……」
「晩御飯はまだ早いよ~。今おやつ食べてるのに」
「違う違う!その日の晩飯はどうしたんだっていう話だよ」
「晩御飯ならサービスエリアで食べましたよ」
「その時箱は?」
「持って出ようとも思ったんだけど」
「やっぱり車の中に置いていったよ」
「でもその時は間違いなく、みんな車を降りましたけど」
「途中で誰か車に戻った奴はいないのか?」
「「「「う~ん……」」」」
4人はあの時の状況を思い出す。
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「凛はラーメンにするにゃー!かよちんは?」
「私はこの黄金米定食にします!」
「どんな定食よ、それ」
各々が晩御飯を決めている中で……
「あれ?」
「どうしたん、にこっち?」
「財布を車の中に忘れてきたみたい」
「それじゃあ、ハイ鍵」
秋葉がにこに鍵を渡す。
「ありがとうございます。みんなは先に入ってていいわよ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~
「それだ!にこが箱をすり替えたんだよ」
「え!?にこちゃんが!?どうして?」
「またイタズラとか言い出すんじゃないでしょうね」
「そうだよ。にこってちょっとお茶目なところがあるだろ」
「ちょっとどころではないと思います」
「でもにこちゃんだったらわかるよね!」
「まあ、真姫よりは可能性があるとは思うけど」
「というか、にこちゃんあの時……」
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「はぁ~」
「ため息つくと老化が早くなるよ、にこっち」
「余計なお世話よ!」
「で?今度はどうしんたん?」
「朝も昼も眠たくて、全然食欲無かったせいで、今ものすごくお腹が空いているのよね。それで……これを食べたいんだけど」
にこが指差したのはステーキ定食であった。
「美味しそうやん。これでええんとちゃう?」
「値段見てみなさいよ」
「うわ~、結構するんやなぁ。あ、だから!」
「そうよ!貧乏で悪かったわね!」
「よしよし、今度一緒に焼肉食べに行こな」
ナデナデ
「撫でんな!!」
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「そうか!だからムシャクシャしてイタズラしたんだね!」
「そういうことだから、穂乃果!にこに電話してみろ」
「またぁ~?」
「いいからはよ」
―電話中―
「アンタそれ本気で言ってるの?」
「私も違うって言ったんだけど…って今回は穂乃果も疑ったけど…」
ブチ
―通話終了―
「あれ?電話切れちゃった」
どうやらにこが通話を切ったようだ。なんかデジャヴ。
「で?どうだって?」
「やっぱり違うって」
「こっちもハズレか」
~※~
「だけど、その2人が違うということは……」
「もう誰かのイタズラの線はないんじゃない?」
絵里の言う通りかもな。イタズラしそうなのは穂乃果と凛ぐらいだけど、穂乃果は被害者だし、凛はすり替えるタイミングがない。
「晩飯の後はどこにも寄らなかったのか?」
「だと思うけど……、私寝ちゃったから」
「私も寝ちゃった」
「お腹一杯で気持ちよくなっちゃって」
どうやら絵里、穂乃果、ことりは寝てしまったらしい。
「海未は?」
「私は起きていましたよ。秋葉さんがまた危険な運転をしないように見張ってましたから」
「それは……なんかすいません」
姉の失態を弟がカバー。情けない……
「起きていたのは私と真姫ぐらいでした」
「じゃあその間は高速をひた走っていたのか」
「少し渋滞に巻き込まれましたけどね」
「渋滞?」
「はい。私たちが乗った高速道路は長い下り坂が続いた後、上り坂がある関係でしょっちゅう渋滞になるんです」
下り坂からの上り坂?ということは……
「わかったぞ!それだ!」
「またぁ?それ飽きたよ!」
お前さっき俺に賛同してなかったか?
「いいか?まず、眠ってしまった2人の膝から箱が落ちたんだ。そして、下り坂になると2つの箱は床を滑って、上り坂で箱がまた滑って戻ってくるんだ。その時、戻ってきた箱が入れ替わっていたんだよ。最後に2人がその箱を拾ったって寸法だな。この推理どうよ!」
「でも私、箱を拾ったりしてないわよ」
「え!?穂乃果は?」
「穂乃果も。起きたらちゃんと膝の上にあったもん」
「そんなもの、誰かが拾って膝の上に置いといてくれたんだろ。なっ!」
「私は拾ったりしてないけど……海未ちゃんは?」
「私も拾ってません」
「う~ん……これもダメか」
「鹿のくだりよりはマシだけどね」
また振り出しに戻ってしまったか。初めはただの好奇心で犯人探しをしようと思っていたが、こうなってくるとマジで真相を知りたくなってきたな。
~※~
「あ~あ。車がとうとう学校に着いちまったな」
もう手詰まりなのか……いや、まだ何かあるはずだ!
「あ!そういえばあの時!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~
車は学校に着き、みんなは自分の荷物を取って車から出た。
「ふぁ~よく寝たにゃ~」
凛だけでなく、寝ていた人はまだ少し夢の中であった。
そんな時
「急げー!!」
「穂乃果ちゃん一体どうしたの!?」
「おはようことりちゃん!実は見たいテレビがあるんだよー!後15分!」
見たい番組があるからと、荷物を抱え走り出す穂乃果。
「ちょっと!危ないですよ穂乃果!」
ドカッ!!
「うわ!」
「きゃ!」
車の影になっていたせいで、走っていた穂乃果と絵里がぶつかった。
コトコトコト
それと同時に2人が持っていた箱が落ちる。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
「それだ!!!その落とした箱を2人が拾い上げたとき」
「なるほど。その時に入れ替わったんですね」
「恋に落ちて、だね!」
「「「「え?」」」」
ことりの奴、急にどうした?当然俺たちはポカーンである。
「ほら!デ・ニーロとメリル・ストリープが本屋さんの前でぶつかって荷物を取り違えちゃう、1984年の恋愛映画の傑作で……知らない?……みたいだね」
そういえば新しい曲を作ろうってなった時、恋愛の話になって、穂乃果の家で映画を見たような気がするな。
「まあ、とりあえずこれで決まりだな。これにて一件落着だ」
みんなも納得したようだ、さすが俺の名推理。
「違うわ」
「え!?」
「その時に箱が入れ替わっていたなんてことはないわ。だって私、自分の箱の包み紙だってわかるもの、ほら!」
絵里が俺に箱の包み紙を見せる。
「ほんとだ。何だこれ」
包み紙には少しシミのようなものがついている。
「お茶を飲もうとしたときに、少しこぼしちゃったのよ。その時についたものだと思うわ」
「一応確認するけど、絵里が持っていった箱はこの紙で包んだ箱なんだよな?」
「ええ。持って行く時にも確認したから間違いないわ」
「ということは穂乃果とぶつかった時は、間違いなくお互いに自分の箱を拾ったということになりますね」
俺も海未と同じ考えだ。じゃあ、いつどこで……
「なぁ絵里。さっきのお茶こぼした話って当日のいつぐらいなんだ?」
「ロッジを出てすぐだけど」
!!!
「なるほど!そういうことか!箱が入れ替わっていた理由がわかったよ」
「今度は本当?」
「今回は冗談抜きで本当だって。ここに電話かけて、こう言ってみろ……」
―電話中―
「もしもし、穂乃果ちゃん?どうしたの?」
穂乃果が電話したのは新潟のお土産物屋の店員であった。
「変なこと聞くかもしれないんですけど、あの時誰がどのお土産を買ったのか覚えてますか?」
「あの日は私がお土産物担当でラッピングもしていたから覚えてるよ。確か絵里ちゃんが木彫りのフクロウで、穂乃果ちゃんが雪ん子のお人形でしょ?」
「え!?」
穂乃果が予想外の答えに驚く。そりゃそうだ、穂乃果が買ったお土産は『木彫りのフクロウ』なんだからな。
「どうしたの?」
「いえ!ありがとうございます!」
―通話終了―
「これでわかっただろ。お土産は穂乃果と絵里の手に渡った時点で既に入れ替わっていたんだよ」
~※~
「絵里がもっと早く包み紙のことを言ってくれれば、余計な推理を聞かされずに済みましたけど」
「あの時は包み紙がヒントになるなんて思ってなかったのよ」
「零君の推理、最後だけは見事だったよ~」
失礼なことを言うことり。途中まではふざけていたことは確かだが。
「でも零君!最後に汚名挽回できてよかったね!」
「…………汚名挽回してどうすんだよ」
※正しくは名誉挽回、汚名返上
今回は誰にどこを話させるかで迷いました。自分の頭の中では構想が練られているので、この会話はこの人とこの人が話しているんだってわかりますが、それが読者様に伝わるかどうかはわからないんですよね。この点、他の方の小説を読んでいると非常にわかりやすく書かれているので、自分の未熟さを思い知らされます。自分は地の文が苦手なので尚更表現に苦労しています。
それではこの辺で失礼します。ありがとうございました!
次回は零君子供になる。