ラブライブ!~μ'sとの日常~【完結】   作:薮椿

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今回は短編集の中の短編集。そして初めての6000文字。

『日常』と『非日常』、話が進むたびに変態設定が消え去り、段々零君が超人化していっているような気がする……


嫉妬することほのうみ

  高坂穂乃果です!

 

 今日はこの1週間で溜まった宿題を、零君と一緒にやろうかなぁ~なんて思ったりしています。初めは海未ちゃんに頼んだんだけど、『自業自得です!』って言われて手伝ってくれませんでした。全く、相変わらずのケチんぼなんだから!ことりちゃんまで連れて行くし……

 

 

 いいもん!零くんからたくさん教えてもらって、次のテストで海未ちゃんの泣き顔見ちゃうんだから!

 

 

 

「零く~ん!数学の宿題手伝って……?」

 

 

 そう言って零君の方を見てみると、既に零君は誰かとお喋りしていました。

 

 

「そうそう、そこにこの公式を当てはめるんだ」

「ホントだ~!神崎君、教え方上手いからスラスラ頭に入るよ!」

「だろ?俺に任せとけば大丈夫なんだって!」

「じゃあこれからも教えてもらっていい?」

「もちろん!」

 

 

 零君は数学を教えているみたい。隣に座っている女の子は、確か隣のクラスの子。穂乃果目線で見ても、その子はとても可愛い。そういえば、ラブレターをたくさん貰ってるって噂の子だったような気がする。

 

 

「ありがとう!でも教えてもらってばかりじゃ悪いよね、何かしてあげられるコトないかな?」

「そうだなぁ~弁当でも作ってきてくれるとかどうだ?」

「え!?それでいいの?」

「ああ、いつも昼食は質素だからな」

「分かった!私料理得意だから、楽しみにしててね!」

「なら期待させてもらおう。でも俺の審査は厳しいぞ」

「私に任せとけば大丈夫!」

「それ俺のセリフ!」

「へへっ、お返し!」

 

 

 

 むむむむ……楽しそう……とても入っていける空気じゃないや……

 

 

 なんだかモヤモヤする。別に零君やあの子が悪い訳じゃないけどさ、心にチクッてくるんだよね。でも、零君ってやっぱり人気あるんだなぁ。同級生だけじゃなくて、下級生や上級生にも知り合いがいっぱいいるみたいだし。零君頼りになるもん、仕方ないよね……

 

 

「穂乃果!」

 

「な、なに!?」

 

 

 びっくりした~。あれ?さっきまで話していた女の子がいなくなってる。机から教科書やノートがなくなっているから、もう勉強は終わったのかな?

 

 

「お前、さっきから何でそんなトコにつっ立ってんだ?」

 

「べ、別に何でもないよ、アハハハ……」

 

 

 何でもないコトないんだけど……あれ?どうして穂乃果、教科書とノートを背中に隠したんだろ?教えてって言えばいいのに……

 

 

「何でもないコトないだろ、俺を呼んでなかったか?」

 

 

 聞こえてだんだ!?てっきり勉強に集中して聞こえてないと思ってたよ。なんて言い訳しよう……

 

 

 

 あっ

 

 

 零君は穂乃果の背中に手を回して、隠していた教科書とノートを掴んで持ち上げました。

 

 

「数学か……教えて欲しいならそう言えばいいのに」

 

 

 相変わらず零君、察しよすぎるよ~

 

 

「だって……そんな雰囲気じゃなかったし」

 

 

 あそこで穂乃果が出て行ったら、絶対に空気悪くなってたもん……

 

 

 それに穂乃果と一緒に勉強しても楽しくないよね……あの子は物覚えが凄く良さそうだったから、教えてる零君も楽しそうだったけど、穂乃果は物覚え悪いし……

 

 

 

「じゃあサッサと片付けようぜ」

 

「え?」

 

「どうしたんだ?溜まった宿題消化するんだろ?」

 

「そ、そうだけど……」

 

 

 そうだ。これは穂乃果の宿題なんだから1人でやらないと。零君に頼ってばかりじゃダメだよね。

 

 

 

 

「あのさ、穂乃果」

 

「は、はい!」

 

「そんなに気兼ねしなくていいんだぞ。アイツも割り込まれたからって怒るような奴じゃないし、それにな」

 

 

 零君は一度言葉を切って、穂乃果の目を見つめ直します。

 

 

「俺はお前と一緒に勉強するの、好きだぞ。解けなかった問題が解けた時の笑顔とか、見てるとこっちも楽しくなる。勉強の途中でふざけたりダラけたりするコトもあるけどさ、それもお前だからこそ気兼ねなくできるコトなんだ」

 

 

「零…君…」

 

 

「だからさ、もっと俺を頼ってくれ。穂乃果と一緒にいる時間、大好きだから」

 

 

 

「零君……零くーーーーーーん!!」

 

「え!?ちょっと穂乃果!?」

 

 

 穂乃果は少し涙を流しながら零君に飛びつきました。穂乃果も零君と一緒にいられる時間が好き。ことりちゃんや海未ちゃん、μ'sのみんなと一緒にいる時間とはまた別に、零君といる時間が大好き。

 

 

 

「よろしくね!零君!」

 

 

「「俺に任せとけば大丈夫だって!」」

 

 

 穂乃果は零君が絶対に言うと思ったセリフを、零君と一緒に言いました。

 

 

「お前!?俺のセリフに被せるなよな!」

 

「えへへ~」

 

 

 これからもよろしくね!

 

 

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 

 南ことりです。

 

 

 今日は零くんのために新しいチーズケーキを作ったので、零くんと2人でお試食会をしようと思ったのですが……

 

 

 

 

「神崎先輩!ほら、あ~ん!」

「廊下でそんなコトするのやめろって!!」

「え?じゃあ廊下じゃなかったらいいんですかぁ?」

「揚げ足取んな!いいから離れろ!!」

 

 

 

 零くん、廊下で誰かに言い寄られてる。リボンの色は……青。だったら1年生だ。1年生にしては、背が高いしモデルさんみたい。それにしても零くんとあの子の距離……近すぎるよ。あれ?あの子の手に持っているのって……チーズケーキ!?ことりと一緒で小さくスライスして小分けにしてある。

 

 

 

「いい加減試食してくださいよ~」

「お前、段々積極的になってきてるな」

「先輩の周り、女の子が多いんですもん。そりゃ積極的にもなりますよ。ホラホラ、食べないといつまでもこうしてますよ」

「分かった分かった!食べるから!」

「やっとその気になりましたね。それじゃあいきますよ。はい、あ~ん!」

 

 

 

 

 !!!

 

 

 零くんはそのままチーズケーキを食べてしまいました。それはいいんだけど、自分の役目が奪われた感じがしてショックです。お菓子を作ってきた時、ことりはいつも零くんに『あ~ん』をしていました。零くんは恥ずかしがりますが、結局は最後にしっかりと食べてくれます。それはことりだけの専売特許だと思っていました……

 

 

 

 でも、零くんは他の女の子からもやってもらってるんだ……ことりだからじゃないんだね。そう考えるとすごく寂しい気持ちになりました。

 

 

 

 

「先輩!美味しいですか?」

「ああ、さすがパティシエの娘なだけのコトはあるな」

「毎日の練習のお陰です」

 

 

 

 あの子、パティシエの娘さんだったの!?そりゃ美味しいに決まってるよね、だってお菓子作りのエキスパートなんだもん。ことりみたいに趣味で作ってるお菓子とは比べ物にならないよ……

 

 

 なんだろ?この胸の辺りがキュッと締め付けられるこの感じ。零くん……さっきまでは食べるのをあんなに拒否していたのに、今はとても美味しそうに食べてる……それに笑ってる……やっぱりことりだけが特別じゃなかったんだ。

 

 

 

 

 いいもん!ことりは零くんとキスしたコトあるから!……ちょっと唇が触れただけだけど。

 

 

 

 

 

「おい、ことり」

 

 

「ぴぃっ!!」

 

 

 声を掛けられて気が付けば、いつの間にか零くんが目の間にいました。びっくりして変な声出ちゃったよ。

 

 

「柱に隠れてどうした?かくれんぼ?」

 

「ち、違うよ~。零くんがいたから何してるのかな~って思って。そ、そうだ!さっきの子はどうしたの?」

 

 

 零くんに詮索されないように、話題を上手く逸らします。

 

 

「もう教室に帰ったよ。次体育なんだとよ」

 

「そうなんだ……」

 

 

 話題を逸らせました。じゃあことりはこの辺でお暇しようかな。ことりのチーズケーキじゃあ、さっきの子のチーズケーキには到底かなわないし……

 

 

 

「ん?この匂い……」

 

 

 零くんが鼻をくんくんさせています。そういえば前に自慢してました、俺の鼻は穂乃果ちゃん並だって。……というコトは!!

 

 

「お前が持ってるのって、チーズケーキか?チーズケーキだろ、俺の鼻は誤魔化せない」

 

 

 ビシッと零くんはことりが持っている小さな箱を指さしました。うぅ……バレちゃったよ~

 

 

「そういや作ってくれるって言ってたっけ?もしかして、今から試食会か?」

 

「うぅん、これは違うの!」

 

「違う?何が?」

 

「えぇ~とそれは……」

 

 

 誤魔化そうと思っていましたが、零くんには通用しないようです。ここは腹をくくります。

 

 

「さっき零くん、1年生の子にチーズケーキもらってたよね?」

 

「ああ、それが?」

 

「実は聞いてたんだ、さっきの会話。あの子、パティシエの娘さんなんだね」

 

「そうだけど…………!!」

 

「だったらことりのチーズケーキなんて食べない方がいいよ。ことりのなんて趣味で適当に作ってるだけだし、本格的なケーキに比べたらまだまだだよ」

 

 

 

 

 

「お前それ本気で言ってるのか?」

 

 

「え!?」

 

 急に零くんの口調が真剣になりました。表情も、さっきまでの疲れた表情ではなくなっています。

 

 

 

「上手いとか下手とか、美味しいとか美味しくないとか、そんなの俺にとっちゃどうでもいいんだよ。よく言うだろ?料理は愛情だってな。俺もそう思ってる。確かにアイツのチーズケーキは美味かったよ。でもそれでお前のチーズケーキが劣っているなんてコトは絶対にない」

 

 

「そう、なの?」

 

 

「当たり前だ。そもそも料理で優劣を付ける意味がよく分からない。アイツはアイツのケーキ、ことりはことりのケーキだ。どっちも美味い、それでいいじゃねぇか」

 

 

 そう言って零くんはことりが持っていた箱を開けて、中に入っていたチーズケーキを1つ掴み、パクッと一口食べました。

 

 

「甘い、すっごく甘い。でもやっぱりこの甘さこそがことりのケーキだな。俺好みすぎる」

 

「うん!今回はちょっとお砂糖を多めにしてみたんだ!零くんがとことん甘いお菓子大好きだって言ってたから!」

 

「そうそうそれだよ」

 

「?」

 

「誰かに食べてもらいたいっていうその気持ち。それが重要だと思うんだ。お前は俺のためにこれだけ頑張って作ってくれたんだ、美味しいに決まってるよ。悪い、少し上から目線すぎたか?」

 

「うぅん、そんなコトないよ!」

 

 

 ことりは目を大きく広げて零くんを見つめていました。さっきまで心に掛かっていたモヤが一気に晴れていきます。

 

 

 忘れてたよ。ことりは零くんに食べてもらいたいから、笑顔を見たいからチーズケーキを作ったんだって。誰かと比べたりする必要とかないんだ。

 

 

 それにもう1つ分かりました。それは誰かが零くんに『あ~ん』をしていて悔しいなら、ことりも負けないぐらい零くんに『あ~ん』をすればいいんだって!!

 

 

 

「よ~し!はい、零くん!あ~ん!」

 

「急にどうした!?……まぁいいか、あ~ん」

 

 

 その後、2人一緒にチーズケーキの試食会をしました。これからもっと零くんに喜んでもらえるような、愛情を込めたチーズケーキを作っていきます!

 

 よろしくお願いします、零くん!

 

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 

 園田海未です。

 

 

 今日はμ'sの練習はお休みして、弓道部に顔を出しています。そこには何故か零の姿も……やるコトがないからって何も弓道場にまで来なくてもいいのでは?今、零は1年生の弓道部員に稽古をつけている最中です。

 

 

 

 

「お!いいね!さっきから連続で当たってるじゃん」

「神崎先輩の指導のおかげですよ!まさかこんな短時間でここまで上手くなるとは思いませんでした!」

「自惚れるなよ。たまたまかもしれないし。とにかく練習あるのみだ!」

「はい!」

 

 

 私の目から見ても、零の指導はとても的確でした。零は一目見ただけでその子の悪い部分を発見し、さらにその改善方法までも瞬時に教えていました。

 

 正直に言って、彼の知識量には頭が上がりません。弓道をやっている人には負けますが、彼は特に弓道をやっている訳でもないのに知識は多い。それは弓道に限ったコトではなく、あらゆる面で博識、知識が豊富なのが彼の特徴です。

 

 

 

 

「あれれ?おかしいなぁ、当たらなくなっちゃった」

「言わんこっちゃない。お前の場合、姿勢にクセがあるからなぁ。動くなよ、今整えてやるから」

「は、はい!お、お願いします!!」

 

 

 

 ちょっとちょっとちょっとちょっとちょっとちょっとちょっとちょっとちょっと!!近くないですか!?!?零が後ろから抱きしめてるようにしか見えません!彼女も彼女で満更でもなさそうですし……

 

 

 

 そんなコトにうつつを抜かしていては練習に身が入りません。零は私がいるなんて忘れているんでしょうね。分かりました、私は1人で練習させてもらいます。

 

 ちょうどいいです、あの的を零に見立てましょう。それがいいですね。

 

 

 

 

 ・・・

 

 

 当たりません。何故です!?さっきまで調子が良かったのですが……今は全然……

 

 

 先ほどから胸の辺りが重たいような気がしますが、恐らくそれは私の集中力が足りないせいでしょう。武道を極める者として、精神を研ぎ澄まさなければ。

 

 

 

 

「お前さっきから全然当たってないな」

 

「零!?いつからそこに!?」

 

 

 いつの間にか零が私の隣に来ていました。全く、どれだけ私の集中力を乱せば気が済むんですか。

 

 

「外見は何も問題はない。体勢もバッチリだ。というコトは……ココだな」

 

 

 零は自分の胸をドンと叩きました。

 

 

「ココ……?」

 

「心だよ……こ・こ・ろ。お前、さっきから的じゃなくて別の何かを狙ってなかったか?つまり心が乱れてるってコトだ」

 

 

 そういえば、さっきまでずっと的を零に見立てていました。一目見ただけでそこまで見抜けるとは……

 

 

「見てたんですね、私を」

 

「そりゃ見てるさ。ココへ来たのもお前の勇姿を見るためだし」

 

「なっ!?そんな……恥ずかしいです」

 

 

 零に下心がないのは分かってますが、それはそれで恥ずかしいですね。

 

 

「やっぱココに来ると、いつもと違う海未が見れて新鮮だな」

 

「いつもと違う?」

 

「教室やμ'sの練習の時とは違う、弓道をやってるお前は凛々しくてカッコよくて、それでいて綺麗だ。俺、そんなお前も好きだぜ」

 

「好きって、そんな……」

 

「お前は穂乃果やことりに比べるとさ、結構引いてしまって自分を見せないだろ?でも、ココへ来ればいつもと違ったお前を包み隠さずに見られる」

 

 

 確かに零の言う通りかもしれません。今でも少しスクールアイドルとして人の前に立つのは緊張します。ですが弓道ではそんなコトを考えている暇はありません。そう言われてみれば、スクールアイドルの私と弓道の私では違うかもしれませんね。

 

 

「これは俺の我が儘だけど、スクールアイドルと弓道のお前、どちらも見せて欲しいんだ。俺は海未のコトをもっと知りたい。だからお前も自分自身を見せて欲しい」

 

「零……」

 

「俺はいつでもお前を見ているよ。目を離したりなんて、絶対にするものか」

 

 

 以前、みんなが言っていました。零に励まされたり応援してもらえると元気が出るって。今まさにそれが分かりました。胸に引っかかっていたものが取れて軽くなっていきます。零はちゃんと私を見ていてくれたのですね。

 

 

 

「よし!それじゃあ今から俺のご指導タイムだ!」

 

 

 零は私の後ろに回り込んで私の両脇の下から自分の両腕を突っ込んできました。

 

 

 

「あれ?てっきりぶっ飛ばされるものだとばかり思ってたんだけど……どうした?」

 

 

 

「しょうがないですね、今日は特別です!」

 

 

 

 たまにはこうやって零に抱きつかれる感じもいいですね。これは弓道をやっている私だけの特権というコトで我慢しましょうか!

 

 まだまだ不束者ですが、これからもよろしくお願いします!

 

 




恋愛モノ2連発で心が折れた。次はギャグでも書きましょうかね。
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